介護の基礎知識
介護現場の業務効率化アイデア7選!改善の手順やポイントについても解説
- 公開日:2025年06月05日
- 更新日:2025年06月05日

介護の現場では、人手不足や業務の煩雑さが深刻な課題となっており、「効率よく仕事をこなしたい」「もっと利用者と向き合う時間を確保したい」と感じている方も多いのではないでしょうか。そこで注目されているのが「業務効率化」です。しかし、どこから手をつければいいのか悩まれる方も少なくありません。
本記事では、すぐに取り入れやすい介護現場での業務効率化アイデアを7選厳選してご紹介します。さらに、効率化を実現するための手順や、成功させるためのポイントもあわせて解説します。
介護現場の業務効率化とは
介護現場の業務効率化とは、「限られた人員や時間の中で、安全かつ質の高いケアを継続するために、業務のムダを省き、仕組みや環境を改善すること」です。単に仕事を早く終わらせることではなく、職員の負担を軽減しつつ、利用者へのサービスの質を保つ・高めることが目的です。
業務効率化が必要な理由の一つは人手不足の解消のためです。介護業界は常に人材が不足しており、一人ひとりの負担が大きくなりがちです。また、職員の離職リスクを減らすためにも業務効率化は重要です。職員の疲労や不満が積み重なり、離職につながるケースも少なくありません。また、業務効率化が行われていないと、利用者に影響を及ぼす場合もあります。人手が足りておらず、余裕のないケアでは、利用者の満足度や安全性も低下します。
介護の業務効率化は、単なる「手間の削減」ではなく、「安心して働き続けられる職場づくり」と「よりよい介護サービスの実現」に直結する重要な取り組みです。施設の現状に応じて、少しずつ改善を積み重ねていくことがカギとなります。
業務効率化に欠かせない「ムリ」「ムダ」「ムラ」の考え方とは?

介護現場における業務効率化とは、業務の「ムリ・ムダ・ムラ(3M)」を排除し、業務改善を進める取り組みです。この3Mは、元々トヨタが製造業の業務改善で提唱した方法で、これらを削減することが業務の効率化につながるとされています。
- 「ムリ」…職員に対してその能力を超える成果を求め、心身に過度な負担をかけている状態を指します。例えば、大柄で介護が多く必要な利用者を、小柄な職員が一人で対応する場合や、十分な教育を受けていない新任職員がいきなり夜勤を担当するなどが該当します。
- 「ムダ」…職員の能力に対して負荷が低く、実際には省略できる業務を指します。例えば、介護記録やバイタル記録を何度も転記しなければならない体制や、複数のチェック表を使用することなどが該当します。
- 「ムラ」…職員や時期によって業務の進行にばらつきが生じる状況を指します。例えば、マニュアルに従って業務を行う職員と、自己流で進める職員によって仕事の進め方に差が出てしまい、場合によっては利用者に負担をかけることがあります。
介護の「ムリ・ムダ・ムラ(3M)」について更に詳しく知りたい方は以下の記事をご参考にしてください。
介護業界で業務効率化が急務と言われる背景

介護業界で業務効率化が急務と言われる背景には、①高齢化による需要の増加②介護業界の人材不足の2つの要因があります。それぞれ以下で説明します。
①高齢化による需要の増加
介護業界で業務効率化が急務と言われる要因の一つに、高齢化による介護の需要の高まりがあります。
2030年には1947〜1949年生まれの団塊の世代(第一次ベビーブーム世代)が全員後期高齢者(75歳以上)に突入し、2040年には1971~1974年生まれの「団塊ジュニア世代」(第二次ベビーブーム世代)が65歳以上となることで、日本の高齢者人口がピークを迎えると予測されてます。
高齢者人口の急増に伴い、要介護者の数も年々増加しています。以下の表の通り、平成29年(2017年)には約633万人だった要介護者は、2023年には約694万人に達しています。この傾向は今後さらに加速すると予測され、介護サービスの需要はますます高まると見込まれています。

②介護業界の人材不足
介護業界で業務効率化が急務と言われる要因の二つ目に介護業界の人材不足があります。介護業界は慢性的な人材不足で、事業所の中には経営が困難になり、最終的に廃業に追い込まれるケースも増えています。介護業界が人材不足になる理由は、「少子化」や「離職率の高さ」「採用率の低さ」の3つが要因です。
少子化
介護業界では、介護を必要とする高齢者の割合が増える一方で、それを支える若い世代が減少する少子高齢化が人手不足の大きな原因となっています。

上記のグラフが示すように、65歳以上の高齢者1人を支える現役世代の数は、2000年には3.9人でしたが、2040年にはわずか1.6人にまで減少する見通しです。
さらに2050年には、生産年齢人口(15~64歳)が5,275万人まで減り、総人口に占める割合は約51%にまで落ち込むとされています。一方で、65歳以上の人口は総人口の約38%を占めることになり、高齢者1人を支える現役世代の人数は、ついに1.4人にまで減少します。
医療や介護など、高齢化によって需要が高まるサービスに対して支える側である働き手の数が圧倒的に不足しており、このような人口構造の変化が、介護業界における深刻な人材不足の主因となっています。
離職率の高さ
厚生労働省「介護労働実態調査(令和4年度)」によると、介護職全体の年間離職率は約14.3%とされており、これは全産業平均(13.9%)よりも高い水準です。とくに訪問介護員や小規模施設では、20%を超えるケースもあり、業界全体で慢性的な人材の入れ替わりが続いているのが現状です。
介護職の離職理由は、「職場の人間関係に問題があったため」が最も多い27.5%、次点で「法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があったため」が22.8%、「他に良い仕事・職場があったため」が19.0%、「収入が少なかったため」が18.6%「自分の将来の見込みが立たなかったため」が15.0%となります。
採用率の低さ
介護業界では離職率が注目されがちですが、実は入っても続かないという課題に加えて、そもそも人が集まらない(採用難)という問題があります。
厚生労働省の統計によると、令和5年の介護職の有効求人倍率は3.63倍(※全産業平均は約1.13倍)と非常に高い水準にあります。これは、「1人の求職者に対して、3.63件の求人がある」状態を示しており、完全な売り手市場です。つまり、施設や事業所は求人を出しても、求職者に選んでもらえないという問題があります。特に地方部では、有資格者が少ないことや若年層の流出により、採用自体が極めて困難な地域もあります。また、他業種との人材獲得競争も激しく、介護職に魅力を感じてもらうためのイメージ改善や処遇改善が追いついていないのが現状です。
以上の通り、介護業界では高齢化による需要の増加に対してそれを支える人材が不足しています。これらを解決するために、業務効率化が注目されているのです。
介護の業務効率化を行う方法7選

介護の業務効率化を行う方法7選をご紹介します。以下の7つの取り組みから、自事業所の課題に合わせた改善を行いましょう。
業務効率化の取り組み |
こんな事業所向け |
---|---|
①職場環境の整備 |
・探し物の時間が多い ・事業所が雑然としている ・備品の在庫整理ができていない |
②業務の明確化と役割分担 |
・なぜかいつも忙しい ・形骸化している業務がある ・スタッフのモチベーションが低い |
③マニュアルの作成 |
・マニュアルがない ・新人がなかなか独り立ちできない ・業務のやり方が人によって違う |
④記録・報告様式の工夫 |
・報告書の作成に時間がかかっている ・報告書や引継ぎ書が見にくい ・記入ミスが発生している |
⑤情報共有の工夫 |
・情報共有がスムーズではない ・リアルタイムの情報共有ができていない ・伝達ミスが多い |
⑥OJTの仕組みづくり |
・教育体制・人事評価制度が整っていない ・人によって業務の質にバラつきがある ・新人がなかなか独り立ちできない |
⑦理念・行動指針の徹底 |
・教育体制・人事評価制度が整っていない ・人によって業務の質にバラつきがある ・イレギュラーの発生で業務が滞る |
①職場環境の整備
職場の環境を整えることで、必要なものをすぐに取り出すことができ、常に作業に取り掛かることができる状態を維持できるようになります。「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」の5Sの視点で職場環境を整備し、安全な介護サービスを提供できる環境を整えましょう。
職場環境の整備に欠かせない「5S」とは?
職場環境の整備に取り掛かる前に、まずは「5S」とは何かを正しく理解しましょう。「5S」は「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」のことで、職場環境の整備に欠かせない、基本的な考え方です。
- 整理…必要なものと不要なものを分けて、不要なものを捨てる
例:保存年限が超えている書類を捨てる - 整頓…置く場所を定める・置くものを定める・置く量を定めて探す手間を省く
例:紙オムツを決まった棚に収納し(定置・定品)、棚には常に5個 (定量)あるような状態を維持し、取り出しやすく配置する(手元化) - 清掃…すぐ使えるように常に点検する
例:転倒防止のために常に動線上をきれいにし、水滴などで滑らないようにする - 清潔…整理・整頓・清掃(3S)を維持する
例:3Sが実行できているかチェックリストで確認する、使用済みオムツを素手で触らない - しつけ…決められたことをいつも正しく守る習慣をつける
例:分からないことがあったとき、OJTの仕組みの中でトレーナーに尋ねることや手順書に立ち返る癖をつける
【職場環境の整備に取り組む際の手順】
職場環境の整備の流れは以下の通りです。
1.5S の考え方・意味を理解する
5Sで使われるそれぞれの言葉はなじみのあるもののため、読まずに理解した気になっていることも多くあります。まずは前述した5Sの意味を読み、内容を理解しましょう。
2.要改善項目を洗い出しリスト化する
事業所内を見渡し、5Sの視点で改善が必要な場所を洗い出してリスト化します。意外に多くの要改善項目があることに気がつくと思います。
3.“誰が” “いつまでに”“何を” するのか決める
改善を進めるには、リスト化した要改善項目について、誰がいつまでに改善するかを決めます。優先順位を付け、実施しやすそうなものから一つずつ順番に取り組みましょう。
4.要らない物を捨てる→物を配置→整える
ここまでで決めた内容に従って、まずは要らない物を捨てることから始めましょう。次に、機能性や見た目を考慮して配置を決めます。最後に、定期的な点検を行うなど、状態を維持するための工夫を検討し、ルール化しましょう。
【職場環境の整備による改善例】
課題:整理・整頓ができていないため、資料を探すにも時間がかかる。
取り組み:5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)を行う。
成果:何がどこにあるか、すぐに把握できるようになる。

その他にも、こんな方法があります
- 使用していない福祉用具や壊れた備品を保管庫から処分
- 期限切れの医療材料や消耗品をチェックして廃棄
- 書類や記録の棚を見直し、不要なものを廃棄・電子化
- 紙おむつやリハビリパンツを種類ごとにラベルを貼って決まった棚に収納
- ナースコールの予備機や体温計などの備品を「定位置・定数」で管理
- 食事介助用エプロンや食器を、利用者ごと・用途ごとにカゴやラックで分類
- 毎日のシフトで「清掃担当」を決めて共用スペースを巡回清掃
- 排泄介助後のトイレの床や手すりをすぐに拭き上げる仕組みづくり
- 車いすや歩行器などの用具も定期的に拭き掃除するルールを設定
- 掃除後のチェックリストを掲示し、実施したら署名して可視化
- 物品棚に「戻す位置」がわかるように写真付きの表示をつける
- 定期的に整理整頓の時間を設け、全員で状態を確認する日を設定
- 朝礼で「今日の5S目標」などを共有し、意識づけを習慣化
②業務の明確化と役割分担
介護業務はチームで行っていても、特定の職員に負担が集中し、ムリ・ムダ・ムラが発生することがあります。業務の明確化と役割分担を行うには、「業務全体の流れに無駄がないか」や「IT化や外部委託で省ける業務はないか」を洗い出すことが大切です。
例えば、役割分担やシフトを適切に設定することで、誰が何の業務を担当するのかを明確にして、特定の職員への業務の偏りを無くし、業務を効率化します。例としては、介護助手が行う業務と介護職員が行う業務を明確にして、介護職員が専門的な業務で力を発揮できるようにします。
また、心理的負担の大きい夜間巡回や、身体的負担の大きい移乗介助や体位変換を見守りセンサーや介護ロボットなどのテクノロジーを活用し、業務負担を軽減します。介護ロボットや見守りセンサー導入に活用できる補助金を利用することで、費用負担を抑えることができる場合があるため、導入の際は自治体に相談すると良いでしょう。
業務の明確化と役割分担を行うには、まずは各職員の業務負担を見直すことが大切です。ある事業所では、職員の業務時間を可視化し、スケジュールを再構築した結果、業務に余裕を持たせ、適切な役割分担が可能になりました。課題を見つけるには、現場スタッフが「時間の無駄」と感じている作業を率直に挙げてもらうとヒントになります。
【業務の明確化と役割分担による改善例(1)業務全体の流れの再構築】
課題:役割分担やシフトが適切に設定されていないため、職員の負担増やケアの質の低下を招いている。
取組:作業分析を行い、役割分担の見直しやシフトの組み換えを行う。
成果:職員それぞれが従事する業務に向き合うことができる。

その他にも、こんな方法があります
- 入浴介助の担当者を日ごとに決める
- 申し送りの記録・伝達係を固定する
- 看護師と介護職の連携強化でバイタル測定のタイミングを調整
【業務の明確化と役割分担による改善例(2)テクノロジーの活用】
課題:職員の身体的負担や心理的負担が大きい。
取組:課題にあった介護ロボット・センサー等の導入を行う。
成果:職員の身体的負担と心理的負担が軽減。

その他にも、こんな方法があります
- 移乗支援ロボットを活用する
- 体位変換支援機器を活用する
- 歩行支援ロボットを活用する
- 入浴用リフト、昇降式バスタブ、天井走行リフトなどを活用する
- パワーアシストスーツを活用する
③マニュアルの作成
同じ業務でも、人によってその手順や方法が異なることは非常に多く見られる現象です。職員ごとに業務の進め方が異なると、サービスの質にムラが生じたり、業務遂行時にムリ・ムダが発生することがあります。手順書やマニュアルを作成し整理することで、業務の属人化を防ぎ、効率化を図ることができます。
マニュアル作成のポイントは、「誰が見ても同じように再現できる」ことです。新人・ベテランに関わらず誰がが見ても同じ業務が再現できるように作成しましょう。また、文字が多い手順書は読むのに時間がかかり、結果的に現場で活用されにくくなってしまいます。作成時には、できるだけ文字を減らし、一目で理解できる図などを取り入れるなど、わかりやすさを工夫することが重要です。
また、申し送り事項を標準化するなど、ルールを統一することで職員間のコミュニケーションが効率化され、業務の円滑な遂行が可能となります。
【手順書の作成による改善例】
課題:申し送り事項が決められておらず、人によって異なる引継ぎを行っているために時間がかかっている。
取組:適切な申し送り事項を検討の上、標準化する。
成果:申し送り等の時間が短縮。

その他にも、こんな方法があります
- 排泄介助マニュアルを作成する
- 入浴介助マニュアルを作成する
- 新人職員向けOJTマニュアルを作成する
- ICT機器の使い方マニュアルを作成する
④記録・報告様式の工夫
介護記録や報告書などに記入漏れや内容のバラつきが見られる場合、様式の項目を見直すことで業務の効率化が進みます。目標設定と達成状況を記載するなど、各職員の達成意欲を高める工夫するのも一つの方法です。例えば、目標達成状況は、「達成・ほぼ達成・未達成」の3段階で確認するとわかりやすいでしょう。
もし、現在既に何らかの様式がある場合には、項目の必要性のほか、使いやすさ・見やすさをもう一度検討してみましょう。例えば、書類の向きを縦から横に変更するだけで、時系列が把握しやすくなった事例もあるように、レイアウトの工夫は非常に重要です。さらに、勤怠管理システムなどのICT機器を活用して記録を電子化することで、作業時間の短縮が可能となり、ムリ・ムダの削減にもつながります。
新しい帳票が完成したら、まずは1週間ほど試験運用し、評価してみましょう。記載内容からどのような情報が得られるのかを確認し、職員同士で意見を出し合いながら、より使いやすくなるように帳票の内容を見直し、改善していきましょう。
【記録・報告様式の工夫による改善例】
課題:記録作成時に、何度も転記する必要がある。
取組:介護記録の電子化を行い、情報の一元管理を行う。
成果:記録作成の負担が軽減。また、写真や動画を活用した利用者情報の共有が可能。

その他にも、こんな方法があります
- 無駄な報告を削減する
- 無駄な記入欄を削減する
- 報告様式を分かりやすくする
- 記入ミスが起きやすい箇所を見直す
- 報告様式は記入しやすいか確認する
- 記入欄を選択式にする
⑤情報共有の工夫
チームケアの質を向上させるためには、ムダのない情報共有が欠かせません。情報共有の効率化にはICT機器の活用が非常に効果的です。タブレット端末で情報をデータ化することで転記作業の手間を削減でき、介護記録、情報共有、請求事務が一気通貫となったソフトを導入することで大幅な効率化が実現できます。
口頭での申し送りに時間がかかってしまう事業所も多いですが、記録を電子化することで、詳細な内容を簡単に入力でき、各職員のスマホやタブレットから確認することができるようになったことで、口頭での申し送り時間を大幅に削減できた事例もあります。
また、インカムを使えばリアルタイムで全員に情報を共有できます。インカムを導入した事業所では、伝達順や内容などの使用ルールを明確にすることで、スムーズな情報共有が実現しました。
【情報共有の工夫による改善例】
課題:管理者から現場職員に対してそれぞれ指示しており、タイムリーな指示ができていない。
取組:インカムを職員に配布して、業務に当たる。
成果:タイムリーな情報共有ができ、対応が迅速化。

情報共有をスムーズにするツール
介護現場の情報共有をスムーズにするツールは以下の通りです。
ツール | 主な機能 | メリット |
---|---|---|
介護記録ソフト |
・スマホ・タブレット・パソコンから利用者ごとの記録の入力・閲覧が行える ・バイタル記録、食事・排泄・入浴の状況などの記録管理を行える ・スタッフ間の情報共有にも活用できる |
・リアルタイムで情報共有ができる ・記録の書き漏れ・読み違いが減る ・離れたスタッフとも情報共有が可能 |
チャットツール |
・グループチャットでの情報共有が行える ・写真やPDFなどのファイルの送信が可能 ・既読かどうかが分かる |
・即時の伝達ができる ・言った・言わないの防止 ・スタッフごとに通知設定ができる |
Google Workspace等 |
・Googleドキュメント・スプレッドシートなどをリアルタイム編集できる ・チームカレンダーでスケジュール共有が可能 ・クラウド保存でどこでもアクセスが可能 |
・告様式や記録表の共有・更新が簡単 ・バックアップ機能でデータ紛失の心配が少ない ・無料〜低コストで導入可能なプランあり |
見守りセンサー |
・センサーで利用者の状態を把握できる(起床・離床・睡眠など) ・通知は介護記録ソフトやスマホに連動する |
・報告内容を「見る」「記録する」手間が減る ・スタッフの移動時間が減る |
インカム |
・職員間の連携を迅速かつスムーズに行う ・トランシーバー型やイヤホンマイク型など、現場に合った形状のものを選ぶことができる |
・移動せずに報告・応援要請ができる ・緊急時に迅速に対応できる |
⑥OJTの仕組みづくり
人材育成には、実務を通じてスキルや知識を伝えるOJT(On the Job Training)の仕組みづくりが不可欠です。これにより、新人だけでなく、中堅やベテラン職員の業務見直しや指導にも役立ちます。
ただし、指導する職員によって内容にバラつきがあると、ケアの質に悪影響を与える可能性があります。そのため、指導方法を統一するために、ある事業所では基本マニュアルを作成し、まず指導者側の教育を行いました。マニュアルをもとにOJT研修のリハーサルを実施し、その結果、質の高いOJTを実現しています。
【OJTの仕組みづくりによる改善例】
課題:教育担当の職員の教え方にブレが生じ、施設全体で業務の手順やケアの質が一定に保てない。
取組:「他職員に対して教える」ことを教育する。
成果:標準的な手順に則って指導できるリーダーが育成できる。

その他にも、こんな方法があります
- 教育担当への研修やグループワークを行う
- 外部講師を活用する
⑦理念・行動指針の徹底
質の高い介護サービスを提供するためには、事業所の理念や行動指針を職員にしっかりと浸透させる取り組みが欠かせません。これにより、マニュアルでは想定しきれないイレギュラーな状況が発生した際にも職員一人ひとりが自分で考えて行動でき、ムラのないサービス提供が実現します。普段から理念・行動指針を全職員に伝え、徹底したり、現場で判断に困った場面に直面した時に確認できるよう、名刺サイズのカード等に記載しておくことで、不測の事態にも焦ることなく、それらに即した判断や行動ができるようになります。
【理念・行動指針の徹底による改善例】
課題:手順書にないイレギュラーな事態への対応や優先順位が分からない。
取組:理念・行動指針を全職員に伝え、徹底する。
成果:イレギュラーな事態に対しても、理念や行動指針に即した判断や行動ができる。

例えば、こんな理念・行動指針がイレギュラーな事態への対応に役立ちます
- 「利用者本位・自立支援」の原則
- 「安全第一、でも制限しすぎない」バランス思考
- 「チームでフォローする」という連携意識
- 「相手の立場で考える」共感の視点
- 「迷ったら“本人らしさ”を大切に」
介護現場の業務効率化の流れ

業務効率化は以下の①~⑥の手順で示すことができます。以下の手順に沿ってPDCAサイクルを回し効率化を行いましょう。
手順①現場の現状把握・課題の見える化
業務効率化を始める前に、まずは現場の現状を正しく把握することが重要です。1日の業務をすべて洗い出し、どんな作業にどれくらい時間がかかっているか、手間やストレスを感じている業務はどこかを明確にしていきます。あわせて、職員へのアンケートやヒアリングを通じて「この作業は無駄に感じる」「ここが負担になっている」などの現場の声を集めます。これにより、業務の中で特に効率化の余地がある部分が見えてきます。
手順②改善の方向性・目標を定める
現状の課題が整理できたら、それをもとに改善の方向性や目標を設定します。「記録時間を30分短縮する」「申し送りの伝達ミスを減らす」など、具体的かつ現実的な目標を立てることがポイントです。また、すべての課題に一度に取り組むのではなく、すぐに取りかかれるものと時間がかかるものとに分けて優先順位を決めます。そのうえで、改善に関わる担当者やリーダーの役割分担を明確にし、計画的に進める体制を整えます。
手順③職員への説明・研修・トライアル準備
改善策を実施する前に、必ず職員全体に対して方針の説明を行いましょう。「なぜこの取り組みを行うのか」「どんな効果が期待できるのか」を丁寧に伝えることで、不安や反発を和らげることができます。また、ICT機器や介護ソフトの操作に慣れてもらうための研修も必要です。最初は全体導入ではなく、2週間などの短いトライアル期間を設けて、小さく試しながら進めていくとスムーズです。
手順④改善策を試行・導入
準備が整ったら、実際に改善策を現場で実施していきます。記録の電子化や、見守り機器・センサーの導入、業務フローの見直しなどを行い、どのように業務が変わるかを現場で体験してもらいます。改善策が現場にうまくなじむように、マニュアルの更新や申し送りの様式の変更もあわせて行います。導入後はリーダーが現場の反応や課題をこまめに拾い上げ、柔軟に対応していくことが求められます。
手順⑤効果検証と職員のフィードバック
一定期間改善策を試したら、その成果を振り返ります。例えば、記録時間がどれくらい短縮されたか、伝達ミスが減ったか、残業時間が改善されたかなど、導入前後での変化を数値や職員の声で比較します。また、職員へのアンケートやヒアリングで「やりやすくなった」「かえって手間になった」といったリアルな感想を集め、改善点を洗い出します。良かった点と課題をチーム全体で共有し、今後の方針を話し合います。
手順⑥仕組みとして根付かせる
改善策の効果が確認できたら、それを一時的な取り組みに終わらせず、施設全体の「標準的なやり方」として定着させていきます。改善内容をマニュアルに反映し、新しく入ってくる職員にも同じやり方で教育します。また、数か月に一度など定期的に業務内容を見直し、現場の変化に合わせて柔軟にアップデートできる体制を作ることも大切です。こうした継続的な取り組みによって、業務効率化は着実に現場に根づいていきます。
介護現場の業務効率化を行う上でのポイント

まずはやってみてPDCAを回す
業務効率化を進める際に重要なのは、「とにかくまずはやってみる」という姿勢です。後は走りながら試行錯誤を繰り返し、まずは小さな改善事例を作り出しましょう。大きな改善は小さな改善の積み重ねから生まれます。また、他の職員の取組に対する心理的ハードルが下がり、新たなアイデアや工夫につながっていきます。業務効率化はPDCAを回しながら、小さな成功事例を作り出し、継続することが非常に重要です。
目的を明確にして共有する
業務効率化を進める際には、まず「なぜそれを行うのか」という目的を全員で共有することが非常に重要です。単に「手間を減らしたい」「時間を短縮したい」といった理由だけでは、職員から「現場を知らずに楽をしようとしている」と誤解されることもあります。例えば「記録時間を短くして、その分利用者と関わる時間を増やす」「申し送りのミスを減らして安心できる介護を提供する」など、ケアの質を高めるという本質的な目的をしっかりと伝え、職員にもそのように意識付けしましょう。現場の納得感が高まることで、改善に前向きに取り組んでもらえる土台が整います。
現場の声を反映させる
業務改善や効率化の多くは、現場の気づきから始まります。上層部や外部の視点で改善策を導入するだけでなく、実際にその業務を担っている職員の声を丁寧に拾い上げることが欠かせません。たとえば、「記録が煩雑で時間がかかる」「物品の配置が使いにくい」など、日々の小さな不満や工夫こそが、大きな効率化につながるヒントになります。現場の職員が「自分たちの意見が反映されている」と感じられれば、取り組みに対する協力や意欲も自然と高まります。職員を巻き込む姿勢が、効率化の成否を分けるといっても過言ではありません。
小さく始めて、少しずつ広げる
業務効率化は、一気に大きな改革を進めようとすると現場に混乱が生じるリスクがあります。そのため、まずは負担の少ない範囲から始め、徐々に改善の幅を広げていく「スモールスタート」が効果的です。たとえば、まずは「申し送りの様式を簡略化する」や「トイレ誘導の時間を記録から見直す」といった小さな取り組みから始め、実際に効果が見えるようになってから、他の業務にも展開していきます。小さな成功体験を積み重ねることで、職員の中に「効率化はメリットがある」という意識が根づきやすくなり、自然と改善の輪が広がっていきます。
ICTや機器は「目的の手段」として活用する
ICTの導入や業務支援機器の活用は、介護業務の効率化において非常に有効な手段ですが、「導入すること」が目的になってしまうと本末転倒です。例えば、タブレット端末での記録や見守りセンサーの導入なども、現場の実情や職員のスキルに合っていないと、かえって負担になることもあります。重要なのは「この業務をどう改善したいのか」「そのためにICTをどう活かすか」という視点で選定・導入することです。導入後も現場からのフィードバックを継続的に受け取り、運用方法を柔軟に見直していくことが成功のポイントとなります。
定期的な振り返りと見直しを行う
業務効率化の取り組みは一度行えば終わりではなく、継続的に見直していく姿勢が欠かせません。導入後に「本当に効果が出ているのか」「現場で困っていることはないか」などを、数値や職員の声をもとに定期的に振り返ることで、取り組みの成果を明確にできます。たとえば「記録時間は短くなったが、新しい様式に慣れていない職員がいる」といった声があれば、フォロー体制やマニュアルの見直しを検討することができます。こうした振り返りを習慣化することで、業務改善は一過性のものではなく、施設全体の文化として根づいていきます。
職員の役割・分担を見直す
業務の効率化には、作業そのものの見直しに加えて、「誰がやるか」という視点も重要です。介護職員が掃除や記録整理など本来の専門外の業務に追われていないかを確認し、介護助手や事務スタッフといった他の職種との分担を見直すことで、専門職の負担軽減につながります。たとえば、バイタル測定や配膳などを助手が担うことで、介護職員はケアや観察に集中できるようになります。人員配置やシフト体制の工夫によっても、業務の平準化やミス防止が図れるため、効率化を進めるうえで非常に有効なアプローチです。
介護現場の業務効率化の成功事例

以下では介護現場の業務効率化に成功した実際の事例をご紹介します。自事業所で活用できる事例があればぜひ取り入れてみてください。
事例①タブレットによる介護記録の活用で1ヶ月1人あたりの記録作業時間が170.4分削減

社会福祉法人ライフ・タイム・福島では、タブレットを活用し、帳票数や二重入力の削減、転記の効率化を図り、記録時間を削減することに成功しました。
課題
記録する人によって、記録内容や単位が異なるなど、情報が登録されていなかった。メモから帳票、帳票から別の帳票(個人別記録用紙が月次報告書等)へ転記する中で転記ミスや記入漏れが発生していた。月の施設情報をまとめる月報作成の負担が重く、毎月末に残業時間が増えていた。
成果
- タブレットの活用により、「点在していた情報の集約」「写真の活用」「音声入力による情報量の増加」など、記録する情報が充実した。
- 記録業務の転記が削減され、1ヶ月1人当たりの記録作業時間が170.4分削減された。
- 必要な記録帳票を見直す機会になり、帳票が3つ減り、全体の約1割を削減できた。
事例②記録システムの情報を申し送りに活用し、残業時間を削減
SOMPOケア株式会社そんぽの家では、記録システムの情報を申し送りに活用し、残業時間の削減に成功しました。
課題
利用者に対する一日のケアの内容を全て手書きで記録し、全利用者分を印刷して紙で管理していたため、介護職員が申し送りを書く手間、整理する手間、情報を収集・分析する手間が大きかった。
成果
- 業務表と記録システムが連動していることで、ケアプランをタイムリーに改善できるようになり、介護職員のプランに対する意識が向上した。
- 記録システムへの記入内容を、申し送りにも活用することで、施設全体で月間83.5時間の残業時間を削減した。
事例③インカムを活用し、緊急時にすぐに助けが呼べるようになった

社会福祉法人考徳会では、インカムを活用し、リスク回避に繋げることに成功しました。
課題
SOSを出したい時や連絡事項がある時などPHSや内線などで職員を探すことに大きな時間を割いており、困っている時にすぐに対応できる職員が駆けつけることができないことがあった。また、申し送りなどの情報共有にかかる時間が全体の業務の20%と大きな割合を占めていた。
成果
- 常にリアルタイムで状況を確認し合えるため、職員間の連携が良くなり、すぐに助けが呼べるようになった。
- 申し送りなどの情報共有にかかる時間と職員を探す時間が大幅に減った。
介護現場の業務効率化の取り組みを進める上でのよくある質問

Q. 非協力的な職員がいる場合のアプローチは?
A.全員を一度に巻き込もうとせず、協力的な職員や前向きなユニットから小さく始めるのも一つの方法です。
まずは賛同してくれる職員と取り組みを進め、成果が見えてくると、最初は慎重だった職員も「それなら試してみようかな」と前向きな姿勢に変わることがよくあります。焦らず、じっくり待つことも大切です。
ネガティブな意見を口にする人は一定数いますが、「そんな考え方もあるかもしれないね」と軽く受け流し、必要以上に気にしすぎないことも重要です。関心を持ち、協力してくれる仲間は必ずいるので、前向きに進めていきましょう。
Q. 5Sの並び順には意味があるの?
A.環境整備の5Sは、作業の順番にも重要な意味があります。まずは「整理」。必要なものと不要なものを分け、不要なものは捨てます。次に「整頓」。必要なものを「整頓」の考え方で、三定(定位置・定量・定番)や手元化を活用して整え、使いやすさを工夫します。整えた状態を維持するために行うのが「清掃」。整理→整頓→清掃がきちんと保たれているかを点検します。それを維持するためのルールや体制づくりが「清潔」。最後に、ルールや仕組みをうまく活用できるように人材育成の機会を設けることが「しつけ」です。
Q. 現状維持を唱える声が多いけど、「決まりごと」として強く指示した方が良いの?
A.新しいチャレンジは、最初は負担に感じたり、取り掛かるまでに時間がかかることがあります。しかし、トップダウンで進めてしまうと、現場の職員は「やらされ感」や「押し付け感」を抱いてしまいます。
まずは「どんな事業所・施設にしたいか?」という視点で、ボトムアップのアプローチを取ります。現場の声に耳を傾け、「より良くしていくために一緒に取り組みましょう」といったポジティブな問いかけを行うことが大切です。
まとめ:業務効率化を行うことでより良いケアに繋がります
介護現場の業務効率化は、単に作業を減らすことが目的ではなく、「より良いケアを提供するための環境づくり」と言えます。今回ご紹介した7つのアイデアや改善手順を参考に、自施設に合った取り組みから少しずつ進めていくことで、現場の負担軽減やサービスの質向上が期待できます。
現場の声を大切にしながら、無理のない改善を積み重ねていくことが、働きやすさと利用者満足の両立につながります。まずは「できるところから一歩ずつ」取り組んでみてください。
業務効率化を行うなら介護ソフトの「トリケアトプス」がおすすめ

介護現場の業務効率化を進めるうえで、記録や情報共有の手間を大きく減らせるのが介護ソフトの活用です。なかでも「トリケアトプス」は、現場の声をもとに設計された操作性の高いソフトで、使いやすさに定評があります。介護記録、ケアプラン、請求業務まで一元管理できるため、バラバラだった情報をスムーズに整理・活用することが可能です。また、スマートフォンやタブレットからも簡単に入力できるため、移動中やケアの合間にも記録ができ、残業時間の削減にもつながります。介護記録を入力すると実績(請求)へ連動し、自動で実施記録票などを作成します。
最低220円と従量課金制のソフトでも最安値で使用でき、金額の上限金額もあるので安心。中規模事業者様や、事業立ち上げの際にも最適なソフトです。実績入力や国保連請求、利用者請求はもちろん、シフト作成やアプリ連携、LIFEやケアプランデータ連携など、低価格帯の介護ソフトながら、多くの機能が付いたコスパの良い介護ソフトです。現場の負担を軽減しながら、ケアの質も向上させられるツールとして、業務効率化を目指す施設にぜひ導入をおすすめしたいソフトです。
トリケアトプスが多くの事業所様に選ばれているポイントは以下の通りです。
- 01 業界最安値
- トリケアトプスは従量課金制を採用しており、ご請求は使った分のみ。
最低220円/人~使用可能で、従量課金制のソフトの中でも業界最安値です。上限価格もあるため、事業所の規模が大きくなって、思ったより負担が大きくなってしまった…なんてこともなく安心です。
オプションによる追加費用も無しで、全ての機能を標準装備で使用可能です。 - 02 パソコンが苦手な人でも使いやすい画面
- ケアマネジャーやヘルパーさん、どんな人でも使いやすいよう、直感的にどこに何があるか、分かりやすい操作画面を設計しました。iOS/Androidのスマホアプリも対応しており、スマホからでも簡単に実績入力が行えます。
イメージキャラクターのトリケアちゃんが見守ってくれる、女性に人気の可愛い操作画面です♪ - 03 ご利用いただいている事業者様の92%が「サポートに満足」と回答
- ソフトの使い方で分からないことがあれば、お電話頂ければ、専任のオペレーターが丁寧に対応致します。
開発元が運営も行っているため、わからないことは丁寧にしっかりとご説明することができます。電話もつながりやすく、困っている時にすぐ頼っていただけます。 - 04 お客様のお声から機能を開発
- お客様から多くの声を寄せられた「こんな機能がほしい!」という機能を、他社では対応できないスピードでの実装を実現。ほぼ標準機能としてアップデートしているため、追加費用はいただきません。開発元がサポートも行っているため、ダイレクトに機能を反映することができます。
トリケアトプスは、最大3ヶ月間の無料体験を実施しています。 この機会にトリケアトプスをぜひお試しください。