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介護の基礎知識

令和7年度 介護のICT補助金(ICT導入支援事業)活用で介護ソフト導入費が1/4に

令和7年度も各自治体ごとにICT導入補助金の申請受付が開始されます。2025年2月3日現在ではICT導入補助金の受付をしている自治体はほとんど無いようですが、令和3年度の実施自治体は47都道府県にのぼるため、令和7年度も同様に、ほとんどの自治体はICT導入補助金を実施すると思われます。補助金を活用して介護ソフトの導入を検討されている場合は早めに情報収集を行いましょう。 申請時期や、受付期間は各自治体により異なりますので予めご確認ください。

介護施設のICT化では「ICT支援事業費補助金」と「IT導入補助金」を受けられる可能性があります。 将来的にICTの導入をお考えであれば、補助金の活用がおすすめです。 本記事では、より補助割合の多い、ICT導入支援事業の概要を解説します。

ICT支援事業費補助金とは?

ICT支援事業費補助金とは、介護現場でのICT(情報通信技術)導入を支援するための補助金です。機器やソフトウェアの導入を支援し、介護サービスの品質向上や、介護現場の生産性向上を図る目的で設定されています。 補助対象は、介護ソフトの導入や介護ソフト、タブレット端末、インカム、クラウドサービスの導入にかかる経費などが対象です。 介護施設のICT化を進めることで、業務のデジタル化やペーパーレス化が進み、介護従事者の負担軽減や業務の効率化に役立ちます。

ICT支援事業費補助金は、「地域医療介護総合確保基金」を財源として各都道府県に設置されており、これを活用して補助金が交付されます。 交付を受けるには介護事業所からの申請が必要で、自治体ごとに申請受付が行われています。

令和7年度ICT導入支援事業の変更点

令和6年度と令和7年度のICT支援事業費補助金には、補助内容や申請要件で一部変更点が見られます。特に、令和7年度は介護事業者のデジタル化をさらに進めるための支援が強化され、申請要件の具体化や対象範囲が調整される可能性があります。令和6年度に適用されていた「一気通貫の介護ソフト」の要件が強化され、複数のソフトウェア間のデータ連携による業務効率化も認められるケースが増えてきました。また、都道府県によっては補助率や上限額が異なり、令和7年度はこれにさらに柔軟性を持たせる形が検討されています。

詳しい変更点は以下にてご確認ください。

下線…令和7年度にて拡充された箇所
太字…令和7年度に新たに変更された箇所

補助対象

<令和6年度>

  • 介護ロボット
    ・移乗支援、移動支援、排泄支援、見守り、入浴支援など、厚生労働省・経済産業省で定める「ロボット技術の介護利用における重点分野」に該当する介護ロボット
  • ICT
    ・介護ソフト、タブレット端末、スマートフォン、インカム、クラウドサービス、他事業者からの照会経費 等
    ・Wi-Fi機器の購入設置、業務効率化に資するバックオフィスソフト(勤怠管理、シフト管理等)
  • 介護現場の生産性向上に係る環境づくり
    ・介護ロボット・ICT等の導入やその連携に係る費用
  • 見守りセンサーの導入に伴う通信環境整備
    ・Wi-Fi環境の整備、インカム、見守りセンサー等の情報を介護記録にシステム連動させる情報連携のネットワーク構築経費 等
  • その他
    ・上記の介護ロボットやICT等を活用するためのICTリテラシー習得に必要な経費

<令和7年度>

  • 介護ロボット
    ・「介護テクノロジー利用における重点分野」(令和7年度より改定)に該当する介護ロボット
  • ICT
    ・介護ソフト、タブレット端末、インカム、クラウドサービス 業務効率化に資するバックオフィスソフト(転記等の業務が発生しないことの環境が実現できている場合に限る)
  • パッケージ型導入
    介護ロボット・ICT等の導入やその連携に係る費用
    見守りセンサーの導入に伴う通信環境整備
    上記の介護ロボットやICT等を活用するためのICTリテラシー習得に必要な経費

補助額

令和6年度のICT補助金と令和7年度のICT補助金の補助額に変更はありません。

補助要件

補助率は以下の要件を満たす場合は3/4を下限となります(これ以外の場合は1/2を下限とします)

  • 共通要件
    ・職場環境の改善を図り、収支が改善がされた場合、職員賃金への還元することを導入効果報告に明記
    第三者による業務改善支援を受けること
  • 介護ロボット
    ・見守り・インカム・スマートフォン等のICT機器、介護記録ソフトの3点を活用すること(入所・泊まり・居住系に限る)
    ・従前の介護職員等の人員体制の効率化を行うこと
    ・利用者のケアの質の維持・向上や職員の負担軽減に資する取組を行うことを予定していること
  • ICT
    在宅系…ケアプランデータ連携システムを利用し、かつデータ連携を行う相手となる事業所が決定していること
    それ以外…以下のいずれか
    ・LIFE にデータを提供している又は提供を予定していること
    ・文書量半減を実現させる導入計画となっていること
  • パッケージ型導入
    介護ロボット・ICTの要件をいずれも満たすこと。ただし、ICT(それ以外)に記載の要件は全て満たすこと

 

参考:令和6年度概算要求の概要(老健局)の参考資料 参考:令和7年度概算要求の概要(老健局)の参考資料

ICT支援事業費補助金の要件

ICT導入支援事業の補助対象となる機器・ソフト

ICT導入支援事業では、以下のような機器やソフトウェアが補助対象となります。

  • 介護ソフト
  • タブレット端末
  • インカム
  • クラウドサービス
  • 業務効率化に資するバックオフィスソフト

令和6年度と比較して、ICT導入補助金の補助対象から、スマートフォンWi-Fi機器の購入設置他事業者からの照会経費の項目が削除されました。
代わりに、「業務効率化に資するバックオフィスソフト(転記等の業務が発生しないことの環境が実現できている場合に限る)」の項目が追加されています。
トリケアトプスを含む、介護ソフトは引き続きICT導入支援事業の補助対象となります

ICT導入補助金の目的は、介護ソフト・電子端末の整備によって、業務の効率化・介護サービスの向上を図ることです。
そのため、自治体によっては、タブレット端末の購入・使用に介護ソフトのインストールを義務付け、私用しないことが条件に定められている場合もあります。

また、補助対象となる介護ソフトには、下記の条件が定められています。
以下いずれかを満たすものが対象です。

  • 記録、情報共有、請求業務で転記が不要
  • ケアプラン連携標準仕様
  • 入退院時情報標準仕様
  • 看護情報標準仕様
  • 財務諸表のCSV出力機能を有するもの

介護報酬請求に特化したタイプのソフトには、上記機能が含まれない場合があります。介護ソフト導入を申請する際には、上記の条件を選定基準に含めるようにしましょう。

ICT導入補助金の対象要件

補助対象となるのは、おおむね「指定を受けている介護サービス事業者」または「都道府県内の介護サービス事業者」です。

また、ICT導入補助金の申請には、以下の3つの主な要件があります。

  • 導入計画の作成および導入効果の報告(2年間)
    ・ICT導入の計画を立て、導入後2年間にわたり効果を報告する必要があります。
  • 「SECURITY ACTION」の宣言
    ・独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」において、「★一つ星」または「★★二つ星」のいずれかを自己宣言することが求められます。
    ・「SECURITY ACTION」は、中小企業が主体的に情報セキュリティ対策へ取り組むことを宣言する制度です。
  • 以下の事項への積極的な協力
    ・ICT活用により収支状況が改善された場合、職員の賃金へ還元する(導入効果報告で確認)。
    ・厚生労働省の科学的介護情報システム「LIFE」による情報収集・フィードバックを実施する。
    ・他事業所からの照会に対応すること。

この補助金を申請する際は、「★一つ星」または「★★二つ星」のいずれかを宣言すれば要件を満たすことができます。

ICT導入補助金の補助上限額と補助割合

補助上限額と補助割合は以下の表の通りです。ICT導入による補助金の上限額は、介護施設の職員数によって変わります。

ICT導入補助金の補助割合は、1/2又は、3/4を下限に地方自治体の裁量によって設定されています。
補助割合の詳細は各自治体のホームページをご確認ください。

【1/2から3/4へ拡充】介護ソフトの補助金割合を拡充する3つの要件

介護ソフトの導入にあたり、一定の条件を満たすことで、通常の補助割合1/2から、最大3/4まで引き上げることが可能になりました。この拡充が適用されるには、以下の3つの要件を満たす必要があります。

  • ICT導入計画で文書量の半減が実現されていること
  • LIFEのCSV連携使用を実装した介護ソフトを使用し、LIFEへデータ提供していること
  • 「ケアプランデータ連携システム」を利用し、外部とのデータ連携をとっていること

上記の要件を満たした介護ソフトは、補助割合3/4を下限として、都道府県の裁量で補助割合が決められます。
補助割合の詳細は、各都道府県で定められている内容をホームページなどで確認してください。

要件を満たしていることで、ICT支援事業費補助金を使用して、最小1/4の費用負担で導入できます。

トリケアトプスは通常の補助割合1/2から、最大3/4の補助金割合引き上げに対応した介護ソフトです
トリケアトプスはケアプランデータ連携などの拡充の要件を満たす介護ソフトのため、通常の補助額の1/2から3/4への拡充が可能です。
ICT支援事業費補助金を使用したトリケアトプスの導入につきましては、お問い合わせフォームまたはお電話から、お気軽にご相談ください!

ICT導入補助金申請の流れ

ICT導入補助金の申請は、以下の流れで進めます。

1.業務分析
まずは自施設が抱える課題を洗い出します。特に、介護施設におけるICT導入には、現場スタッフの協力が欠かせません。業務分析の段階では、現場スタッフへのヒアリングを行い、業務の実態や抱えている課題を詳細に把握します。その結果に基づき、ICT化導入の具体的な目標を設定していきましょう。
2.導入計画の策定 / 交付申請
ICT補助金への申請には、「導入計画の策定」が必須となります。この計画では、どのようにICTを導入し、業務の効率化や負担軽減を実現するかを具体的に示します。特に、業務の文書量を半減できる計画を作成することが重要です。この取り組みを通じて、補助金の補助割合が拡充される可能性が高くなりますので、計画段階で目標を明確に設定し、実現可能な具体策を盛り込んでいきましょう。
3.ICT導入・活用
交付決定後、実際にICTシステムや機器を導入し、業務の中で活用を開始します。導入に際しては、現場スタッフへの研修やサポートを行い、スムーズな運用ができるようにします。導入したICTシステムが業務効率化や負担軽減に効果的に活用されるよう、スタッフのフィードバックをもとに運用の改善を続けることが大切です。

さらに、導入したシステムが目標通りに機能するかを定期的に評価し、必要に応じて活用方法の見直しを行うことで、より効果的なICT活用を実現します。
4.導入効果の報告
ICT導入後の効果については、各都道府県が定める様式に従い、厚生労働省へ報告します。この報告は、導入したICTシステムの効果を示すための重要なプロセスです。また、交付を受けた事業者には、導入から2年間の間、定期的な報告義務が課されています。報告には業務効率の向上や改善点、課題などを詳細に記載し、導入の効果を検証することが求められます。
実際の補助金の交付は「導入効果の報告」の後に行われます。つまり、ICT導入による支出を事前に補填してもらえるわけではなく、導入後に報告を行った上で、その効果を証明した後に補助金が交付される流れです。この報告が承認されると、補助金が支払われ、導入にかかった費用を後から補填してもらうことができます。
※一部の自治体では交付決定後に一部先払いが可能です。

また、「機器等と連携し、生産性向上に資する取り組みであること」という要件を満たしている場合には、補助金の上限が1,000万円となります。このため、導入計画には、生産性向上や業務効率化に貢献する具体的な内容を明確に盛り込むことが重要です。

まとめ

厚生労働省は、今後さらに深刻化する人材不足や要介護者の増加を見据え、ICTの活用を推進し、業務の効率化を図る取り組みを進めています。自施設の業務改善やサービスの向上を目指すのであれば、ICT化の導入を検討し、補助金を活用することでコストを抑えながら導入を進めることをおすすめします。

また、介護ソフトの導入によるICT化は、スタッフの業務負担を軽減し、より円滑な運営を実現する助けとなるでしょう。

本記事がICT導入補助金の活用を検討する事業所様のお役に立ちますと幸いです。

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