介護の基礎知識
2025年 ケアプランデータ連携システム対応の介護ソフト一覧をご紹介

ケアプランデータ連携システムは2023年4月に本稼働した、介護業務の効率化を目的としたシステムです。
本記事では、ケアプランデータ連携導入をお考えの事業所様向けに、ケアプランデータ連携の導入手順やメリット、料金や対応する介護ソフト一覧をご紹介します。
ケアプランデータ連携システムとは?

ケアプランデータ連携システムとは、居宅介護支援事業所と居宅サービス事業所間での効率的な情報共有を目的としたシステムです。
導入することで、居宅介護支援事業所と居宅サービス事業所間で毎月やりとりされる居宅サービス計画書やサービス利用票などのケアプランデータを、デジタル形式で安全にやり取りすることが可能になります。これにより、従来の手書きや印刷された書類をFAXで送る手間を省くことができ、業務の効率化が行えます。
ケアプランデータ連携システムを導入することで、介護職の人材不足の解消や、事務作業の負担軽減、介護サービスの質の向上が期待されています。
ケアプランデータ連携システムにできること
これまで、事業所間のケアプラン(提供票・計画書)やサービス利用票(予定・実績)のやり取りは、FAXや郵送、手渡しなどの方法が一般的でした。しかし、これらの方法には「送受信に時間がかかる」「介護ソフトへの再入力が必要」「入力ミスが発生しやすい」「情報漏洩のリスクがある」といった課題がありました。
ケアプランデータ連携システムを活用すれば、送り手と受け手が同じプラットフォーム上でスムーズかつ安全にケアプランやサービス利用票を共有できます。
ケアプランデータ連携システムで連携できる様式は?
ケアプランデータ連携システムで連携できる様式は以下の通りです。
- 居宅サービス計画(第1表)
- 居宅サービス計画(第2表)
- サービス利用票(第6表)
- サービス利用票別表(第7表)
ケアプランデータ連携システムの仕組み
ケアプランデータ連携システムを導入するために、現在利用している介護ソフトを変更する必要はありません。介護ソフトから必要データ(予定や実績)を出力し、それをケアプランデータ連携システムにアップロードすれば送信が完了します。受け手はケアプランデータ連携システムからデータをダウンロードし、その後、利用する介護ソフトに取り込めばOKです。
居宅介護支援事業所とサービス事業所が異なる介護ソフトを使用していても、ケアプランデータ連携が可能なので、現状利用している介護ソフトにケアプランデータ連携機能が付いている場合は、使い慣れた介護ソフトをそのまま使用することが可能です。

ケアプランデータ連携システムを導入するメリットとは?
ケアプランデータ連携システムの導入のメリットとして、以下のポイントが挙げられます。
- ■書類作成時間の削減
- デジタルでのやり取りにより、手書きや印刷の時間が大幅に短縮されます。
業務効率化が進むことによって、利用者を支援するための時間を増やすことができ、ケアの質の向上にも繋がります。 - ■転記などの手間やミスの削減
- 手動でのデータ転記が不要になるため、人為的なミスを減少させることができます。
- ■コスト削減
- 郵送やFAX通信にかかる費用や、事務作業分の人件費を削減することができます。厚生労働省の調査研究のアンケート結果から試算した見込額は、『人件費削減を考慮した場合、1年間に約81万6千円の削減』、『人件費削減を考慮しない場合でも、1年間に約7万2千円の削減』となっており、大幅な費用削減が予想されています。
- ■データ管理の効率化
- デジタル化により、情報を簡単に整理・管理できるようになります。
- ■情報の再利用
- 介護ソフトに入力している情報をそのまま利用することができ、二重入力を行わなくて済みます。
このように、手間やコストが削減されることで、利用者への支援にかける時間が増加し、サービスの質が向上します。また、事務作業の削減により人件費が軽減され、浮いた費用を他のサービスや改善策に回すことが可能になります。結果として、全体の業務効率が向上し、介護現場における生産性の向上が期待されます。
ケアプランデータ連携システムのデメリット(注意点)
ケアプランデータ連携システムを利用するには、送信者・受信者の双方が登録を完了している必要があります。片方のみが登録している場合、システムを利用することはできません。
事業所の利用状況(申込状況)は、総合情報サイト「WAM NET」でエリア別に確認可能です。データ連携システムの導入を検討する際は、周辺の居宅介護支援事業所や介護サービス事業所の利用状況を必ず確認しておきましょう。
相手によって「データ連携を利用する」「従来通りFAXや郵送でやり取りする」といった使い分けも可能ですが、対応件数が増えると業務が煩雑になる恐れがあります。システムを活用する際は、できるだけ相手方にも登録を促し、互いの利便性を高めるよう努めましょう。
ケアプランデータ連携システムは義務化されるの?

ケアプランデータ連携システムは2023年4月に本稼働しましたが、現状は義務化されていません。
今後は義務化される可能性もありますが、現在は各団体・企業の自由としております。
現状は導入が推奨されている状態で、無理にケアプランデータ連携システムを導入する必要はありません。
将来的にはケアプランデータ連携システムが必須になる可能性も
現在、ケアプランデータ連携システムの導入は義務化されていませんが、将来的には義務化される可能性があります。
介護業界ではペーパーレス化や、人材不足解消のための業務効率化、デジタル化が推進されているため、ケアプランデータ連携システムについても流れを受けて義務化が予想されます。今のうちに、ケアプランデータ連携システムを取り入れて、義務化された際に困らないように慣れておく・現状使用している介護ソフトがケアプランデータ連携非対応であれば、対応している介護ソフトに乗り換えるなどの準備をしておくと良いでしょう。
ケアプランデータ連携システムの費用・料金
ケアプランデータ連携システムを導入するためには、『ケアプランデータ連携クライアントの利用料』、『電子証明書発行手数料』、『ケアプランデータ連携に対応した介護ソフトの利用料金』が必要になります。
詳しい料金表は以下の通りです。

※「事業所より伝送を行っており、既に電子証明書をお持ちの場合」、「伝送を委任している事業所の場合」は、ケアプランデータ連携システム専用の電子証明書の発行が必要となりますが、その発行手数料はかかりません。
ケアプランデータ連携システムに利用できる補助金
ケアプランデータ連携システムの導入は、経済産業省が実施する「IT導入補助金」や、厚生労働省および地方公共団体が支援する「ICT導入支援事業」の対象となる可能性があります。条件を満たせば、ライセンス料金だけでなく、介護ソフトの導入費用も補助を受けられるため、事前に適用条件を確認しておきましょう。
ケアプランデータ連携の使用方法
ケアプランデータ連携システムの使用方法について詳しく説明します。
- ①データの準備
- まずは介護ソフトなどを使用して、送りたいデータをフォーマットに沿って準備します。ケアプランデータ連携では、以下の情報を正確に準備する必要があります。
・利用者情報(氏名、住所、連絡先、保険証情報など)
・ケアプラン内容(サービス内容、提供スケジュール、担当者など)
CSVやXMLなど、各ソフトウェアやシステムで指定されている形式にデータを整える必要があります。また、個人情報を含むデータを扱うため、データファイルにパスワードを設定するなどセキュリティには注意します。 - ②ファイル転送サービスを利用してデータを転送
- ファイル転送サービスやメール、専用システムを使用してファイル転送を行います。データの転送には電子証明書が必要となります。
また、1事業所あたり年間21,000円(税込)の有料サービスにはなりますが、ケアマネもサービス事業所もお互いに国保中央会の提供する、「ケアプランデータ連携クライアント」というシステムを使用することで、ドラッグ&ドロップで、簡単にデータのやり取りが可能となります。 - ③データの取り込み
- 使用している介護ソフトにデータを取り込みます。居宅介護支援事業所とサービス事業所が異なる介護ソフトを使用していても、データの取り込みが可能です。
ケアプランデータ連携には介護ソフトがあると便利

ケアプランデータ連携を行うためには、まずケアプランがデータ化されている必要があります。介護ソフトを利用することで、簡単な操作でケアプランを作成でき、データ化された状態でケアプランを作成することができるので断然便利です。
ケアプランデータ連携に介護ソフトを使用するメリットは、介護ソフトに入力している情報をそのまま利用することができ、二重入力を行わなくて済むことです。また、手書きする必要がないため、転記や複製が容易に行えます。また、毎月同じ予定を立てる場合には、一から作成する必要がなくなり、非常に効率的です。
介護ソフトの種類は、居宅介護支援事業所とサービス事業所が異なる介護ソフトを使用していても、ケアプランデータ連携が可能なので、ケアプランデータ連携機能が付いている介護ソフトであれば、使い慣れた介護ソフトをそのまま使用することが可能です。
介護ソフトを使用してのケアプランデータ連携の方法
介護ソフトを使用してのケアプランデータ連携の方法についてご説明いたします。
ここでは介護ソフトトリケアトプスでの連携方法を解説します。
- データの出力
- 「実績表出力」にて、データの出力が行えます。
例としてサービス事業所をあげておりますが、居宅介護支援事業所の場合は、「計画書出力」「利用票出力」からそれぞれデータ出力が行えるようになります。

- 各種取り込み
- 各種取り込みからデータをアップロードすることで、送られてきたデータを介護ソフトに取り込むことができます。

トリケアトプスではこのように、データの準備・取り込みの作業を簡単に行うことができ、業務の効率化が行えます。
ケアプランデータ連携を導入する際はケアプランデータ連携に対応した介護ソフトを併せて使用することがおすすめです。
ケアプランデータ連携対応の介護ソフト一覧
ケアプランデータ連携に対応している、おすすめの介護ソフトを5社、ピックアップしてご紹介いたします。国民健康保険中央会が実施するベンダ試験に合格したものを中心に紹介しますので、条件に応じて事業所に合った介護ソフトを選んでみてください。
トリケアトプス(岡谷システム株式会社)

料金:月額220円~(従量課金制・上限5,500円)
トリケアトプスは介護・看護・障がいに対応した総合型クラウドソフトです。
作成したケアプランや提供票は、ケアプランデータ連携システムを利用した連携に加えて、標準仕様のCSVファイルとして出力することができます。そのため、他の介護ソフトを使用している事業所ともスムーズに連携が可能です。月額220円~使用できる値段の安さも中規模事業者様や事業立ち上げの際にぴったりです。
ケアプランデータ連携だけでなく、実績入力や国保連請求、利用者請求はもちろん、シフト作成やアプリ連携、LIFEなど、低価格帯の介護ソフトながら、多くの機能が付いたコスパの良い介護ソフトです。
トリケアトプス(岡谷システム株式会社)まもる君クラウド(株式会社インタートラスト)

料金:月額7,800円~
「ケアプランデータ連携システム」や「科学的介護情報システム(LIFE)」などの行政の取組にも完全対応しているので、業務ごとにソフトを分ける必要がなく、一気通貫で運用していただけます。
まもる君クラウド(株式会社インタートラスト)ケア樹(株式会社グッドツリー)

料金:要問い合わせ
標準仕様データのCSV出力・取込に対応しているので、異なる介護ソフトを使っている事業所間のデータ連携が可能です。
「ケア樹」を利用する事業所間なら、システム内でより簡単に「提供票データ(予定・実績)の送信・受信・取込による登録」が行えます。また、介護保険請求の実績データのインターネット伝送・システム上での請求結果確認にも対応しています。
福祉見聞録(株式会社東経システム)

料金:要問い合わせ
毎月の介護保険請求も、ケアプランを作成した利用者を検索して集計ボタンをクリックするだけで、介護度や限度額、単位数など必要な情報がすべて表示されるので、手早く完了させられます。
福祉見聞録(株式会社東経システム)ナーシングネットプラスワン(プラスワンソリューションズ株式会社)

料金:月額5,000円〜
標準仕様のCSV出力・取込に対応しているため、仮に相手方がケアプランデータ連携に対応していなかったとしても、電子証明書や伝送ソフトの購入なしでインターネット請求も可能です。
ナーシングネットプラスワン(プラスワンソリューションズ株式会社)ケアカルテ(株式会社ケアコネクトジャパン)

料金:要問い合わせ
作成したケアプランや提供票はケアプランデータ連携システムによる連携のほか、厚労省の標準仕様のCSVファイルとして出力できるので、他の介護ソフトを使っている事業所との連携も可能です。同様に、他事業部から受信したCSVファイルも取り込むことができます。
ケアカルテ(株式会社ケアコネクトジャパン)ケアプランデータを転送する方法4選

データをやり取りする方法について、主な4つをご紹介します。
①国保中央会が提供する「ケアプランデータ連携システム」を使用する
1事業所あたり年間21,000円(税込)の有料サービスにはなりますが、ケアマネもサービス事業所もお互いに国保中央会の提供する、「ケアプランデータ連携クライアント」というシステムを使用することで、ドラッグ&ドロップで、簡単にデータのやり取りが可能となります。
国民健康保険中央会ケアプランデータ連携クライアント②データ連携基盤を備えた民間のケアプランデータ連携システムを使用する
国保中央会のシステムではなく、民間のシステム会社が提供する連携基盤システムを活用する方法もあります。
たとえば、「ケアぽす」は、ケアプランや提供票データのやり取りをクラウド上で一括管理できるシステムです。双方の事業所が「ケアぽす」を利用する必要がありますが、無料で利用できるため導入のハードルは比較的低いといえます。このシステムはCSVファイルの送受信を行う仕組みを採用しており、使用する介護ソフトの種類に関係なく利用可能です。
「カイポケケア連携」も基本的に会員同士のデータやり取りを前提としています。ただし、居宅サービス事業所がカイポケ会員でない場合でも、居宅介護支援事業所からのデータ受信は可能です。
③同一の介護ソフトを利用する
居宅介護支援事業所と居宅サービス事業所の双方が同じ介護ソフトを利用することで、そのソフト内の連携機能を活用してデータを共有できるソフトもあります。
たとえば、カナミックの「居宅介護支援システム」は、サービス事業所向けのID・パスワードを無料で発行し、Web上でのケアプランデータ(予定/実績)の授受を可能にします。
④介護ソフトのCSV機能を利用
4つ目は、介護ソフトのCSV入出力(インポート・エクスポート)機能を利用する方法です。
具体的な手順としては、利用中の介護ソフトからケアプランデータをCSV形式で出力し、それをメールやファイル転送サービスなどを介して相手方に送付します。受け取ったデータは、相手方の介護ソフトにインポートすることで情報を共有します。この方法は、印刷して手渡しや郵送する場合に比べて手間を削減できるうえ、異なる介護ソフト間でもデータをやり取りできるというメリットがあります。
ただし、メール送信時には宛先や添付ファイルを毎回確認する必要があります。また、誤送信や情報漏えいのリスクがあるため、送信時にはパスワード付きファイルの送付や暗号化された通信手段の利用などのセキュリティ対策を徹底する必要があります。
データ連携基盤を備えたケアプランデータ連携システム一覧
国保中央会以外の、データ連携基盤を備えた民間のケアプランデータ連携システムを2つご紹介します。
ケアぽす(株式会社グッドツリー)

料金:0円
ケアポスは無料で利用できるケアプラン・提供票データ連携システムです。このシステムを活用してケアプランや提供票のやり取りを電子化することで、業務の効率化やコスト削減に加え、誤送信による個人情報漏えいリスクの低減が期待できます。
データをまとめてクラウドシステムにアップロードするだけで、設定した宛先への一括送信が可能です。また、受信したファイルやメッセージなどもクラウド上で管理・保存できるため、ファイル紛失や連絡の見落としを防ぐことができます。さらに、複数人での運用にも対応しており、チーム全体で効率的に利用できます。
なお、このシステムを利用するには、介護支援事業所とサービス提供事業所の双方が「ケアぽす」に登録する必要があります。ただし、無料で利用できるうえ、ブラウザから簡単にアクセスできるため、導入も簡単です。
ケアぽす(株式会社グッドツリー)カイポケケア連携(株式会社エス・エム・エス)

料金:月額15,000円〜
カイポケで作成した提供票はワンクリックでサービス事業所へ送信できます。さらに、居宅介護支援事業所がカイポケ会員であれば、サービス事業所が非会員の場合でも提供票の受信が可能です(ただし、非会員の場合は受信のみ対応)。ケアプランデータのやり取りだけでなく、ケアマネージャーとのメッセージ送受信にも対応しています。
カイポケケア連携同一の介護ソフトを利用してデータ転送する介護ソフト
居宅介護支援システム(株式会社カナミックネットワーク)

地域包括ケアやコンプライアンス管理、業務効率化など、ケアマネジメント業務を幅広くサポートする機能が充実した居宅介護支援システムです。ケアマネージャー用の介護ソフトを契約すると、無料でIDとパスワードが発行され、他職種間での情報共有システムが利用可能になります。
この情報共有システムを活用することで、Web上で提供票(予定・実績)の送受信が可能となります。また、ケアマネジメントの流れに沿ったシステム構成が特徴で、居宅サービス計画書やサービス提供票などのケアプラン作成に対応しています。
居宅介護支援システム(株式会社カナミックネットワーク)まとめ
いかがでしたでしょうか?
ケアプランデータ連携システムは、居宅介護支援事業所と居宅サービス事業所間の効率的な情報共有を目的としたシステムです。システムの導入によって、ケアプランやサービス利用票などをデジタル形式で効率的にやり取りすることが可能になりました。ケアプランデータ連携の活用をお考えの際は、ケアプランデータ連携に対応した介護ソフトも合わせて導入を行うことで、より効率的に運用が行えます。ケアプランデータ連携に対応した介護ソフトを未導入の事業所様はこの機会に介護ソフトの乗り換えもしくは新規導入の検討をおすすめします。
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