介護の基礎知識
【介護業界特化】給与計算におすすめのツール・介護ソフトをご紹介
- 公開日:2024年11月26日
- 更新日:2025年06月09日

介護業界では、夜勤やシフト勤務に加え、処遇改善加算・特定処遇改善加算などの手当が複雑に絡むため、給与計算の難易度が高くなりがちです。一般的な給与計算ソフトでは対応が難しいケースもあり、介護業界ならではの制度や運用に対応できる「介護業界特化型の給与計算ソフト」へのニーズが高まっています。
この記事では、介護業界に特化した給与計算ソフトの特徴や、給与計算機能を備えた介護ソフトのメリットについて解説します。「加算手当の計算に毎月悩んでいる」「業界に合った給与計算ソフトを探している」という方は、ぜひ参考にしてください。
介護の給与計算における課題

介護業界では、他業界と比べて勤務形態や働き方が複雑なため、勤怠管理や給与計算、シフト作成において以下のような課題が発生しやすい状況にあります。
処遇改善加算への対応が複雑
介護の給与計算には、処遇改善加算など複数の制度があり、支給要件や配分ルールに基づいた計算が必要です。制度改正も多く、正確な対応が求められます。
手当の種類が多い
夜勤手当、資格手当、早番・遅番手当、オンコール手当など、手当の種類が多く、それぞれに支給条件や金額が異なるため、管理が煩雑になります。
勤怠データとの連動がうまくいかない
シフトや打刻データと給与計算が連動していない場合、手作業で確認・入力する必要があり、ミスのリスクが高くなります。
割増賃金の計算が複雑
法定労働時間を超える残業や深夜勤務の割増など、正しく計算するためには就業規則や労働基準法の知識が不可欠です。
介護業界特有の給与計算の課題は、従来の紙やExcelなどのアナログ手法では対応が難しく、介護業界以外の一般的な給与計算ソフトでも対応しきれない場合があります。
介護の給与計算をスムーズに行うポイント

正確かつ効率的に給与を計算するには、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。以下では給与計算の手間を減らしつつ、ミスやトラブルを防ぐために意識すべき実務上のコツやシステム活用の工夫について、わかりやすく解説していきます。
1. 勤怠データを正確に管理する
正しい給与計算の基礎となるのは勤怠情報です。出退勤の打刻漏れや、シフトと実績のズレを防ぐために、タイムカードやIC打刻のデジタル化、勤怠管理ソフトの導入を検討しましょう。
2. 加算制度の要件を正しく把握する
処遇改善加算には支給対象や配分方法にルールがあります。最新の制度内容を常に確認し、要件に沿った支給額を算出することが重要です。
2024(令和6)年度の報酬改定では、従来の「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」が統合され、新たに「介護職員等処遇改善加算」が創設されました。この報酬改定により、令和6年度に2.5%、令和7年度に2.0%のベースアップへと確実につながるよう加算率の引上げが行われました。2024年度の介護報酬改定で見直された処遇改善加算について詳しく知りたい方は以下の記事をご参考にしてください。
3. 給与項目を明確に分ける
基本給、各種手当、時間外割増などを分かりやすく区分けしておくと、計算や確認がしやすくなり、ミスを減らせます。給与明細も見やすくなるため、職員の納得感も高まります。
4. 自動計算システムを活用する
エクセルや手計算はミスの温床になりやすいため、介護業界に対応した給与計算ソフトの導入がおすすめです。勤怠データと連携することで、計算ミスや二重入力のリスクが大幅に減ります。
5. チェック体制を整える
計算後は必ずダブルチェックを行う体制を整えましょう。担当者以外の第三者が確認することで、入力ミスや計算漏れを早期に発見できます。
6. 法改正や就業規則の更新に対応する
介護業界は法改正が多いため、労働基準法や加算制度の変更に応じて、就業規則や給与計算ルールを見直すことが大切です。定期的な確認を習慣づけましょう。
介護の給与計算を行う方法6選

介護の給与計算を行う方法は主に以下の6つです。
① 介護業界に特化した勤怠管理・給与計算ソフトを使用する場合

勤怠も給与も介護業界向けに特化した一体型ソフトを使う方法です。勤怠から給与へデータ連携しやすく、処遇改善加算の分配管理まで一元化できるため効率が良いです。特に規模が大きい法人や複数拠点を管理している事業所に多いケースです。
② 勤怠管理は介護業界特化のツール、給与計算は汎用的なソフトを使用する場合
勤怠管理は介護業界向けソフト、給与計算は一般的な給与ソフトを連携して使う方法です。勤怠管理は「シフト」「夜勤」「常勤換算」など業界特有の管理が必要なため、介護業界向けの専用ツールを導入するケースが多いです。給与計算は弥生、freee、マネーフォワードなどの汎用的な給与ソフトでも十分対応できる事業所が多く、費用対効果の観点から一般ソフトを使うケースがあります。勤怠管理ソフト・給与計算ソフトどちらも介護業界に特化したものを導入するよりも安く導入できるため、多くの事業所で採用されている方法です。
③ 勤怠管理も給与計算も汎用的なソフトを使用する場合
勤怠や給与に業界特有の要件が少ないサービス種別(訪問介護など)で、比較的小規模の事業所では、勤怠管理も給与計算も汎用的なソフトを使用している場合もあります。その場合、処遇改善手当やシフト手当の按分管理はエクセルで別途管理する場合があります。
④ ExcelやGoogleスプレッドシートなどの汎用ツールを使用する場合

ExcelやGoogleスプレッドシートを使って、自作の給与計算フォーマットを構築する方法です。手作業や簡易的な関数・マクロで処理を行います。自由度が非常に高く、導入コストがかからない点が魅力です。また、Googleスプレッドシートの場合はクラウド上で共有できます。
職員数が少ない小規模事業所で、コストをかけずに最低限の給与処理をしたい事業所に向いている方法です。
デメリットとしては、手動管理が多く、ヒューマンエラーが発生しやすい点や、法改正や加算制度の対応が必要な点、年末調整や法定調書などが手間になる点です。
⑤ 社労士・外部業者への委託(アウトソーシング)を使用する場合
給与計算そのものを社労士事務所や専門業者に依頼してアウトソーシングする方法です。勤怠・実績情報を共有することで、処遇改善加算などの対応も含めて丸投げ可能な場合もあります。
毎月の外注コストがかかりますが、法令・制度に精通した社労士や業者が対応するため、法改正対応や手続きミスのリスクが減り、給与計算だけでなく、労務相談や助成金申請の支援も受けられます。
事務負担を軽減して介護現場に集中したい小〜中規模法人向けの方法です。
⑥ 給与計算機能の付いた介護ソフトを使用する場合

介護記録、書類作成、レセプト業務、シフト管理、勤怠などの業務と連動して、給与計算も同一システム内で行えるオールインワン型のソフトを活用する方法です。小~中規模の事業所で介護業務と給与を一括管理したい場合に向いています。
介護ソフトに給与計算機能が付いているものを選ぶことで、給与計算ソフトを別途契約する利用料がかからず、その分の固定費が削減できる点も魅力です。また、スタッフスケジュール・シフト作成・勤怠管理・給与計算が一元化していることで、転記ミスが発生しない点や、介護記録や書類作成、レセプト業務の効率化も行える点は大きなメリットです。
介護の給与計算に対応している介護ソフト・給与計算ソフト・勤怠管理ソフト

以下では、介護業界の複雑な給与計算に対応できる、介護業界に特化した、「給与計算機能の付いた介護ソフト」「介護業界特化の給与計算ソフト」「介護業界特化の勤怠管理ソフト(一般的な給与計算ソフトと連携可能)」のメーカーをそれぞれご紹介します。
給与計算に対応している介護ソフト
給与計算に対応している介護ソフトを提供するメーカーは現在、あまり多くはありません。訪問介護に特化したソフトであれば、シフト作成から給与計算まで対応しているものもありますが、入所系施設に対応したソフトは非常に少ないため、導入前に自事業所のサービスに対応しているか確認が必要です。
介護ソフトとしての機能に加えてシフト作成や給与計算が同一システムで行える介護ソフトは以下の通りです。
トリケアトプス(岡谷システム株式会社)

トリケアトプスは訪問系サービスに給与計算機能の付いた総合型クラウド型介護ソフトです。介護記録や書類作成、レセプト機能に加えて、シフト作成や実績集計、給与計算を一元管理できるため、転記が不要。ミスの防止や効率化が行えます。
トリケアトプスでは土日、祝日、夜間・深夜・早朝の割増設定や事業所単位の休日設定や、交通費、各種手当の登録も可能。自費サービスや障がい福祉サービス、社内業務の給与計算にも対応します。給与一覧表、明細書はCSV形式にてデータ出力も行えます。
対応サービスは訪問介護・訪問介護(障がい福祉)・訪問看護の3種類で、訪問系のサービスでのみ給与計算に対応しています。訪問系サービスは最低440円と従量課金制のソフトでも最安値で使用でき、金額の上限金額もあるので安心。初期費用無し、オプション費用無しで介護記録からレセプト、給与計算まで全ての機能が使用できます。訪問系の事業所様で、コスパの良い給与計算機能付き介護ソフトをお探しの方には非常におすすめの介護ソフトです。
福祉見聞録(東経システム社)

福祉見聞録では、介護ソフト・勤怠管理ソフト・給与計算ソフトを提供しており、それぞれの連携がスムーズです。福祉見聞録の給与計算ソフトは、給与規定に合わせた計算情報を予め登録しているので、納品後即稼働が可能です。勤怠データを入力したら一括計算ボタンを押すだけで給与支給処理が行えます。支給控除一覧表、給与明細書、振込処理もスムーズに行えます。保険料率改正時にはマスタ変更をするだけでOKです。
正職員・パート・特養施設職員・通所施設職員など複数部門の管理が可能です。年末調整まで行える高機能な給与計算ソフトです。
カイポケ(エス・エム・エス社)

カイポケは給与計算ソフトの「Money Forward クラウド」と連携することで給与計算を行えます。月額基本料金が通常なら5,980円のところを、カイポケ会員なら月額基本料金0円~で利用可能です。(従業員数が6名以上から従量課金あり)
Money Forward クラウドでは、勤怠ソフトで作成したデータを給与ソフトにスムーズに連携できます。さらに、給与ソフトから従業員の口座へ直接給与振込も可能です。全ての業務を一元管理できるため、作業負担を大幅に軽減し、業務効率の向上につながります。給与から所得税、社会保険まで自動計算が可能です。
介護業界特化の給与計算ソフト
介護・福祉業界向けの給与計算ソフトには、「遡及差額計算」や「常勤換算」など、介護業界ならではの給与計算に対応しているソフトがあります。おすすめのメーカーを以下にてご紹介します。
SWING給与計算システム(福祉会計支援機構)
SWING給与計算システムは社会福祉法人向けに特化した給与計算システムです。正規職員だけでなく臨時雇用職員や短時間パートなど、雇用形態に応じた給与計算式を設定することが可能です。さらには人事院勧告に伴う「遡及差額計算」のような社会福祉法人ならではの計算処理にも対応しており、年末調整・社会保険算定・賞与計算などすべての給与計算業務を表計算ソフトや手計算を行うことなく完結できます。
WIS給与システム(和幸情報システム株式会社)
WIS給与システムの社会福祉協議会様向けの給与システムは、多数支給・控除項目を設定でき給与、賞与、差額計算利用可能です。各職員毎に事業所配分率を設定した給与按分集計計算、事業所毎に勤怠を入力した出来高集計も可能です。
アイテックス 人事労務・給与・就業パッケージ(アイテックス株式会社)
社会福祉法人に特化した人事労務・給与・就業パッケージです。給与計算は人事や就業・労務管理システムとシームレスに連携しており、データの有効活用と業務効率化を促進します。「常勤換算」の算出や複雑な勤務形態の管理と給与業務など、介護特有の勤怠管理・給与計算にも対応しています。
介護業界特化の勤怠管理ソフト(一般的な給与計算ソフトと連携可能)
多くの介護系勤怠ソフトは、CSV出力などを通じて汎用的な給与計算ソフトとの連携にも対応しており、既存の給与体制を変更せずに導入できます。勤怠管理ソフト・給与計算ソフトどちらも介護業界に特化したものを導入するよりも安く導入できるため、多くの事業所で採用されている方法です。
快勤くん(キタムラコンピュータ社)
病院や介護福祉施設様向けに、様々なルールや様式に対応している勤務割作成ソフトです。
毎月のシフト管理を大幅に時間短縮し、管理者の負担を軽減します。 常勤換算表をエクセルシートにして指定された場所に保存可能。また、シフト入力画面に夜勤職員配置加算情報を表示できますので、都度確認しながらシフト作成ができます。
クロノスPerformance(クロノス株式会社)
医療・介護業で必要となる常勤換算表、夜勤職員配置加算定表の作成を作成することが可能です。転記作業が多く、計算方法も複雑で時間のかかっていた作業時間を大幅に削減できます。対応する給与連携ソフトは、20製品以上の実績があり、CSV出力からインポートすることができるため、基本的にどの給与ソフトとも連携することが可能です。
CAERU勤怠 介護(CAERU株式会社)
入居型から在宅型まで介護職・ケアマネ・ヘルパーの複雑な勤怠管理をシンプルにする、介護業界に特化した勤怠管理ソフトです。複雑なシフトの管理、2暦日勤務の管理、食事・入浴など手当に関する業務回数のカウントなどに対応しています。24時間体制の入所介護や夜間対応の訪問介護など日をまたぐ勤務も柔軟に管理可能です。
給与計算やシフト作成機能の付いた介護ソフトはトリケアトプスがおすすめ

トリケアトプスは訪問系サービスの給与計算やシフト作成の付いた介護ソフトです。以下では具体的にどのような機能が付いているかをご紹介します。
基準給与
以下のように基準給与を設定することが可能で、時給計算か1回ごとに計算を行うかを選択できます。独自サービスの追加の設定も行うことができます。

シフト管理・給与計算まで1つのソフトで一元管理が可能
トリケアトプスはシフト管理・給与計算機能まで一元管理できる総合型介護ソフトのため、勤怠管理から給与計算への転記や他ソフト間のやり取りが不要で、効率化に繋がります。

サービス計画表との連携
サービス計画表の「スタッフ割当」より、スタッフを割り当てることで、スタッフスケジュールにも自動的に反映され、シフト作成が楽になります。急なスケジュール変更の際も、ドラック&ドロップで楽々変更。また、訪問の予定だけでなく、自費サービス・会議・研修・移動・待機など、事業所で独自に作成した予定を割り当てることも可能です。また、スタッフへのメールでのシフト送付機能もありますので、スタッフごとに送付する手間が省けます。

まとめ

介護業界の給与計算には、法定の割増賃金だけでなく、各種加算や支給要件への対応が必要なため、業界に特化したソフトの導入が業務の正確性と効率化につながります。給与計算機能が組み込まれた介護ソフトであれば、勤怠情報や加算実績と連携しながら、コストを抑えて、業界に特化した給与計算が可能です。
制度変更への対応や、加算の支給漏れ・誤支給を防ぐためにも、介護業界に合った給与計算システムの導入は現場の安心と信頼につながります。事業所の規模や使い方に応じて、自社にぴったりのソフトを検討してみてください。
トリケアトプスは、介護のシフト作成・管理について、一部限定的な部分もありますが、条件が合致すれば、最低440円~使用できる、コスパの良いシフト作成機能の付いた介護ソフトです。
最大3ヶ月間の無料体験を行っておりますので、ぜひこの機会に使用感をお試しください。