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介護の基礎知識

介護保険のオーバー分はどう振り分ける?計算方法を解説

  • 公開日:2026年09月03日
  • 更新日:2026年09月03日

介護保険サービスでは、要介護度ごとに1か月あたりの区分支給限度基準額が決められています。利用者は、この限度額の範囲内であれば、原則として1割〜3割の自己負担でサービスを利用できます。しかし、訪問介護や通所介護、福祉用具貸与などを組み合わせて利用していると、サービス回数の追加や利用時間の変更によって、限度額を超えてしまうことがあります。このような状態が、いわゆる「限度額オーバー」です。

限度額を超えた分は介護保険の給付対象外となり、原則として利用者の全額自己負担になります。そのため、ケアマネジャーや請求担当者は、オーバー分をどのサービスに振り分けるのか、利用者負担額をどのように計算するのかを正しく理解しておく必要があります。特に、複数のサービス事業所を利用している場合は、限度額内に収める単位数と、オーバー分として扱う単位数の整理が重要です。振り分け方によって、各事業所の請求額や利用者への請求額にも影響するため、事前の確認と説明が欠かせません。この記事では、ケアマネジャーが知っておきたい介護保険の限度額オーバー分の考え方や、振り分け方法を解説します。

介護保険の区分支給限度額を超えるとオーバーが発生する

介護保険では、要支援1~要介護5の認定区分によって、月ごとの利用上限額が設けられています。これを「区分支給限度基準額」といいます。区分支給限度基準額とは、介護保険の要介護度別に1か月間で利用できる介護サービスの費用上限を「単位数」で定めたものです。区分支給限度基準額の上限を超えた分は保険が効かず、全額自己負担(オーバー)となります。認定区分ごとの区分支給限度額の単位数の表は以下の通りです。

認定区分 区分支給限度基準額(単位)
要支援1 5,032単位
要支援2 10,531単位
要介護1 16,765単位
要介護2 19,705単位
要介護3 27,048単位
要介護4 30,938単位
要介護5 36,217単位

表の通り、要支援1と要介護5との間では区分支給限度額に31,185単位もの違いがあります。介護度が高い方が介護にかかる手間が大きく、その分必要とされるサービス量が増えるためです。介護度に合った適切なサービスを介護保険で利用できるように、区分支給限度額が段階的に設定されています。

介護保険でオーバーが発生した場合の計算方法

介護保険サービスで区分支給限度基準額を超えた場合、限度額内の部分と、限度額を超えた部分を分けて計算する必要があります。ここでは、介護保険で限度額オーバーが発生した場合の基本的な計算方法について、具体例を交えながら解説します。

オーバーが発生した場合の単位数の計算

通常、介護保険サービスでは1~3割が利用者の負担金として請求され、残りの7~9割が国保連に請求されます。

ですが、利用者の区分支給限度額を超えて介護サービスを提供すると、そのオーバー分は利用者に10割を請求することになります。

例えば、要介護2の区分支給限度基準額の単位数が19,705単位で、月に利用した単位数が合計20,000単位の場合、20,000-19,705=295単位が利用者の自己負担の対象となる計算です。この295単位は「限度額を超えたサービス提供」として、通常の1割〜3割負担とは別に請求されます。

オーバーが発生した場合の金額の計算

単位を金額に直すには、サービス提供にて発生した単位数に、サービス種類や地域区分によって変わる1単位あたりの単価(10円~11.40円)を掛けることで、金額への換算が行えます。1単位あたりの単価は、サービスごとの人件費割合と地域区分によって決まっており、自宅を訪問して行うサービスは人件費の割合が高くなる傾向があります。地域区分は、1級地~7級地とその他の8つの区分に分かれています。1単位あたりの単価表は以下の通りですので、こちらを参考に金額に直すことができます。(表内の地域単価は1級地となります(東京都特別区))

例えば先ほどの295単位のオーバー単位数を訪問介護のサービスに割り振る場合は、295×11.40=3,363となり、オーバーする金額は3,363円となります。

人件費割合 サービス 地域単価(1級地)
70% 居宅介護支援、訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護 11.40円
55% 小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、通所リハビリテーション、訪問リハビリテーション、認知症対応型通所介護、短期入所生活介護 11.10円
45% 通所介護、短期入所療養介護、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、特定施設入居者生活介護、介護療養型医療施設、認知症対応型共同生活介護、地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、地域密着型通所介護、介護医療院 10.90円
0% 居宅療養管理指導、福祉用具貸与 10円

1単位あたりの単価について詳しくは以下のブログをご参照ください。

【2024年最新版】介護報酬の地域区分一覧|1単位あたりの単価について

【ケアマネジャー向け】オーバー分の割り振り方法

介護保険の区分支給限度基準額をオーバーした場合、その超過分をどのサービスで自己負担にするかをケアマネジャーが割り振る必要があります。

この割振り作業は、ケアマネジャーが毎月行う、給付管理の一環として行われ、サービス提供票別表にその内訳が記載されます。対象となった事業所は、自己負担の発生するサービスについて、通常であれば介護保険で国保連に請求する点数分を、全額自己負担分として利用者に請求することになります。

区分支給限度基準額をオーバーした場合、どのサービスに自己負担が発生するの?

ケアマネジャーが割り振りを行う際、「どのサービスの分を自己負担にするか」の判断は、利用者の負担額が最も少なくなるように割り振るのが原則です。割り振るサービスによって自己負担が変わる理由は、先述の通り、サービスごとに1単位あたりの単価が異なるためです。

同じ100単位のサービスが全額自己負担となった場合も、福祉用具であれば1,000円、訪問介護であれば1,140円となります。このようにサービス種別ごとに金額が異なることから、限度額をオーバーした際には、同じケアプラン内のサービスでも、自己負担金額の安いサービス種別の事業所にオーバー分を配分し、自己負担とします。

そのため、「福祉用具貸与が全額自己負担になる」ケースが多く見られます。福祉用具貸与は全国一律10.00円と固定されており、他のサービスより単価が低いため、超過分の“受け皿”にされやすいのです。

※地域区分が「その他」の場合、いずれのサービスも1単位10.00円なので、サービス種別による単価の違いはありません。そのため、地域区分が「その他」の場合は支払いやすい事業所・もっともサービスを多く利用している事業所などが割り当てられます。

「区分支給限度基準額オーバー」が発生するケース

「区分支給限度基準額オーバー」はどういった場合に発生するのでしょうか。例えば以下のようなケースが当てはまります。

  • 複数のサービスを組み合わせた結果、1か月の利用単位数が限度額を超えた場合
  • 月の途中でサービス回数を追加した場合
  • サービス種類を追加したことで、他のサービスと合わせた合計単位数が限度額を超えた場合
  • 予定では限度額内に収まっていたが、実績入力時にサービス利用回数が増え、限度額を超えた場合
  • 利用者の体調不良や家族の都合により、急きょ訪問回数や利用時間を増やした場合
  • サービス事業所が新たに加算を取得した
  • 介護報酬改定を考慮していなかった
  • 介護度が前回と変更があった
  • サービス事業所から提出された実績が予定より多く、給付管理時に限度額を超えていることが分かった場合
  • ケアマネジャーの認識不足

介護保険で区分支給限度基準額オーバーにならないための注意点

区分支給限度基準額オーバーを防ぐためには、ケアプラン作成時だけでなく、サービス提供中や実績確認時にもサービスの利用状況を確認することが大切です。ここでは、限度額オーバーを防ぐために注意したいポイントをご紹介します。

ケアプラン作成時に限度額の利用状況を確認する

まず大切なのは、ケアプラン作成時点で、サービスの合計単位数が区分支給限度基準額内に収まっているかを確認することです。訪問介護、通所介護、福祉用具貸与など、複数のサービスを組み合わせている場合、それぞれの単位数は少なく見えても、合計すると限度額に近づいていることがあります。サービスごとではなく、利用者単位で1か月の合計単位数を確認することが重要です。

また、限度額いっぱいまでサービスを組み込む場合は、月の途中でサービス追加が発生した際に、限度オーバーになりやすくなります。必要なサービス量を確保しつつ、変更が起きた場合の余裕も意識しておくと安心です。

サービス追加時は必ず残りの枠を確認する

月の途中でサービス回数を追加したり、利用時間を延長したりする場合は、必ず限度額の残りを確認しましょう。

たとえば、利用者の体調変化により訪問回数を増やす場合や、家族の都合で通所回数を追加する場合、当初の予定より単位数が増えることがあります。その結果、ケアプラン作成時点では限度額内だったとしても、実績時点で限度オーバーになる可能性があります。サービスを追加する際は、「追加しても限度額内に収まるのか」「超えた場合はいくら自己負担になるのか」を確認したうえで調整することが大切です。

福祉用具貸与の追加に注意する

福祉用具貸与を追加した場合も、限度額オーバーにつながることがあります。福祉用具貸与は毎月継続して単位数が発生するため、訪問介護や通所介護などのサービスと組み合わせると、合計単位数が限度額に近づきやすくなります。特に、月の途中で新たに福祉用具を追加した場合や、複数の福祉用具を利用している場合は注意が必要です。福祉用具の追加や変更がある場合は、他のサービスと合わせた合計単位数を確認し、限度額内に収まるかを事前に確認しておきましょう。

利用者や家族へ事前に説明しておく

区分支給限度基準額を超える可能性がある場合は、利用者や家族へ事前に説明しておくことも大切です。限度額を超えた分は、原則として利用者の全額自己負担になります。請求時になって初めて「オーバー分が発生しています」と伝えると、利用者や家族とのトラブルにつながる可能性があります。

特に、限度額いっぱいまでサービスを利用している場合や、今後サービス追加の可能性がある場合は、「限度額を超えると自己負担が増えること」「追加サービスを利用する前に確認が必要なこと」をあらかじめ説明し、理解を得ておくことが重要です。

サービス事業所との連携を密にする

限度額オーバーを防ぐためには、サービス事業所との連携も欠かせません。サービス提供回数の変更や追加、予定外の利用が発生した場合は、早めにケアマネジャーへ共有してもらう必要があります。実績が予定と異なる場合に情報共有が遅れると、限度額オーバーへの対応も遅れてしまいます。サービス事業所とは、予定変更や追加サービスが発生した際の連絡方法をあらかじめ確認しておくと安心です。早めに情報を把握できれば、利用者や家族への説明、サービス調整、請求処理もスムーズに行いやすくなります。

介護ソフトで限度額の利用状況を確認する

手作業で単位数を集計していると、限度額の残りやオーバー分を把握するのに手間がかかります。特に、複数のサービスを利用している場合や、月の途中で変更が多い場合は、確認漏れが起きやすくなります。介護ソフトを活用すれば、予定や実績の入力内容をもとに、限度額の利用状況を確認しやすくなります。現在どれくらいの枠を使っているのか、限度額を超える可能性があるのかを把握しながら入力できるため、限度オーバーの早期発見につながります。

介護ソフトを使用したオーバー分の割り振り操作

ケアマネジャー・サービス事業所向けの介護ソフトを使用した実際のオーバー分の割り振り操作をご案内します。例として介護ソフトのトリケアトプスを利用しています。

【ケアマネジャー向け】介護ソフトを使用したオーバー分の割り振り操作

①計画実績上のオーバー単位数の「割り振り」ボタンをクリックする

②割り振りを行いたい事業所の「割振単位数」に、割り振りを行いたい単位数を入力して「確定」をクリックする

【サービス事業所向け】介護ソフトを使用したオーバー分の割り振り計算

①計画単位数を入力する

左下のオーバー単位数を入力するために、空欄の「計画単位数」を入力します。単位数総合計(実績)-計画単位数 =オーバー単位数となるため、単位数総合計(実績)から区分支給限度基準額を引いた単位数を計画単位数に入力します。

今回の場合だと16,765を計画単位数に入力することで、17,178-16,765=1,022となり、オーバー単位数に1,022が入ります。

介護保険のオーバーに関するよくある質問

Q1. 介護保険の限度額を超えた分は誰が負担しますか?

介護保険の区分支給限度基準額を超えた分は、原則として利用者の全額自己負担になります。限度額内のサービスは利用者の負担割合に応じて1割〜3割負担となりますが、限度額を超えた部分は介護保険の給付対象外となるため、全額を利用者に請求する形になります。

Q2. 限度額オーバー分はどのように計算しますか?

基本的には、まず1か月のサービス利用単位数を合計し、区分支給限度基準額を超えているか確認します。限度額内の分は利用者の負担割合に応じて計算し、限度額を超えた分は全額自己負担として計算します。たとえば、限度額内の自己負担額に、限度額を超えたサービス費用を加えた金額が、利用者の負担額になります。

Q3. 予定では限度額内だったのに、実績でオーバーすることはありますか?

あります。

ケアプラン作成時点では限度額内に収まっていても、月の途中でサービス回数を追加したり、利用時間が増えたりすると、実績時点で限度額を超えることがあります。特に、利用者の体調変化や家族の都合により急きょサービスを追加した場合は、限度オーバーが発生しやすくなります。

Q4. 限度額オーバーが発生しそうな場合、ケアマネは何をすべきですか?

まず、現在どれくらい限度額を使っているのか、追加サービスによって限度額を超える可能性があるのかを確認します。そのうえで、利用者や家族に対して、限度額を超えた分は全額自己負担になることを事前に説明し、理解を得ておくことが大切です。

請求時に突然自己負担額が増えるとトラブルにつながる可能性があるため、早めの説明と同意が重要です。

まとめ

介護保険の区分支給限度基準額は、利用者が介護保険内でサービスを利用できる毎月の「枠」です。この枠を超えてサービスを利用した場合、限度額を超えた分は介護保険の給付対象外となり、原則として利用者の全額自己負担になります。限度額オーバーが発生した場合は、まず1か月のサービス利用単位数を確認し、限度額内に収まる部分と、限度額を超えた部分を分けて考える必要があります。複数のサービス事業所を利用している場合は、どのサービスを限度額内に含め、どのサービスをオーバー分として扱うのかを整理することが重要です。また、ケアプラン作成時点では限度額内に収まっていても、利用者の状態変化や家族の都合により、月の途中でサービス回数や利用時間が増えることがあります。その結果、実績時点で限度オーバーとなるケースも少なくありません。

限度額を超えた分は利用者負担に直結するため、ケアマネジャーは事前に利用者や家族へ、限度オーバーが発生する可能性や、その場合の自己負担について説明しておくことが大切です。請求時に突然負担額が増えるとトラブルにつながる可能性があるため、早めの説明と理解を得ておくことが重要です。

介護ソフト「トリケアトプス」なら区分支給限度基準額の利用状況を確認しやすくなります

介護保険の限度額オーバーを防ぐためには、ケアプラン作成時や実績入力時に、現在どれくらい限度額を使っているのかを把握しておくことが大切です。

しかし、訪問介護、通所介護、福祉用具貸与など複数のサービスを組み合わせている場合、手作業で単位数を集計し、限度額内に収まっているかを確認するのは手間がかかります。月の途中でサービス回数が増えたり、実績が予定と変わったりすると、気づかないうちに限度額を超えてしまうこともあります。

介護ソフト「トリケアトプス」では、予定や実績の入力内容をもとに単位数総合計が確認できるため、区分支給限度基準額に対してどれくらい利用しているかを確認しやすくなっており、限度額オーバーが発生しそうな場合にも早めに気づきやすくなります。

限度額オーバーが発生した場合でも、利用している単位数が最も多い事業所に自動で振り分けられるため、割り振り忘れが無くなります。手動で割り振りした単位数に変更することももちろん可能です。

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