介護の基礎知識
介護予防・日常生活支援総合事業とは?サービス内容などをわかりやすく解説
- 公開日:2026年08月21日
- 更新日:2026年08月21日
高齢者が住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けるためには、介護が必要になってからの支援だけでなく、元気なうちからの介護予防や、日常生活を支える仕組みが重要です。
そのために設けられているのが、「介護予防・日常生活支援総合事業」です。総合事業は、市町村が中心となって、地域の実情に合わせた介護予防や生活支援サービスを提供する仕組みです。
この記事では、介護予防・日常生活支援総合事業の概要や対象者、主なサービス内容、利用の流れ、事業所が知っておきたいポイントについてわかりやすく解説します。
介護予防・日常生活支援総合事業とは
介護予防・日常生活支援総合事業とは、市町村が中心となって、高齢者の介護予防と日常生活の支援を行う事業です。一般的には「総合事業」と呼ばれます。
総合事業は、高齢者ができる限り住み慣れた地域で自立した生活を続けられるよう、地域の実情に応じて必要な支援を提供する仕組みです。訪問型サービス、通所型サービス、見守り、配食、買い物支援、介護予防活動、地域の通いの場など、さまざまな取り組みが含まれます。
これまでの介護保険サービスは、介護が必要になった人への支援が中心でした。しかし、高齢化が進む中では、介護が必要になる前の段階から、健康づくりや生活支援に取り組むことが重要になっています。
総合事業の目的は、高齢者ができるだけ要介護状態になることを防ぎ、支援が必要になった場合でも、地域の中で自分らしい暮らしを続けられるようにすることです。そのため、総合事業では、介護サービス事業者だけでなく、NPO、民間企業、ボランティア、地域住民など、さまざまな主体が高齢者の暮らしを支える仕組みが重視されています。
介護予防・日常生活支援総合事業は、介護保険制度の大きな枠組みの中にある事業ではありますが、要介護者や要支援者に対する全国一律の介護保険サービスとは異なり、各市区町村が主体となって行う事業の1つです。そのため、サービスの運営基準や単価、利用料などは各市区町村が独自に設定することができます。
介護予防・日常生活支援総合事業が必要とされる背景
総合事業が必要とされる背景には、高齢化の進展と地域の担い手不足があります。
今後、85歳以上の高齢者が増加する一方で、現役世代は減少していくと見込まれています。医療や介護の専門職だけで高齢者の生活を支え続けることは、ますます難しくなると考えられます。
また、高齢者の生活は、介護サービスだけで成り立つものではありません。買い物、掃除、食事、外出、趣味、地域活動、人との交流など、日常生活のさまざまな場面で支援やつながりが必要になることがあります。
たとえば、専門的な介護までは必要ないものの、「買い物に行くのが大変になってきた」「一人暮らしで見守りがあると安心」「外出の機会が減って体力が落ちてきた」といった高齢者もいます。こうした人たちを早い段階で支えることで、心身の機能低下を防ぎ、要介護状態になるリスクを減らすことが期待されます。
総合事業は、こうした地域の課題に対応するために、市町村が中心となって、地域の実情に合った介護予防や生活支援を行う仕組みです。
在宅生活を前提とした総合事業は、誰もが住み慣れた地域での生活を継続するための、医療・介護・予防・すまい・生活支援を柔軟に組み合わせて提供する「地域包括ケアシステム」の具体的な事業の1つとして位置づけられています。
介護予防・日常生活支援総合事業の平成27年4月からの介護保険改正での変更点
介護予防・日常生活支援総合事業は、平成27年4月の介護保険制度改正により見直しが進められました。大きく変わった点は、主に次の3つです。
①介護サービス事業者以外の多様な主体がサービス提供に関われるようになった
総合事業では、介護サービス事業者による従来型のサービスに加えて、ボランティア、NPO、民間企業、協同組合、地域住民など、地域の多様な主体がサービス提供に関われるようになりました。
これにより、専門的な介護サービスだけでなく、地域の実情に合わせた生活支援や介護予防活動を組み合わせやすくなっています。
たとえば、掃除や買い物などの生活支援、配食、見守り、外出支援、体操教室、地域サロン、通いの場づくりなどが考えられます。専門職による支援が必要な人には介護サービス事業者が対応し、比較的軽い支援でよい人には地域の支え合いや住民主体の活動を活用するなど、高齢者の状態に応じた支援を行いやすくなった点が特徴です。
このように、総合事業では「介護事業所だけで高齢者を支える」のではなく、「地域全体で高齢者の生活を支える」ことが重視されています。
②要介護認定を受けなくても利用につながる場合がある
介護予防・日常生活支援総合事業では、要介護認定を受けなくても、基本チェックリストにより事業対象者と判定されれば、介護予防・生活支援サービス事業の利用につながる場合があります。
従来は、介護予防のサービスを利用するために、要支援認定などの手続きが必要になるケースが多くありました。しかし、総合事業では、市町村や地域包括支援センターへの相談をきっかけに、基本チェックリストを活用して、必要な支援へつなげる仕組みが設けられています。
これにより、明らかに要介護認定が必要な状態ではないものの、生活機能の低下が見られる高齢者に対して、早い段階で介護予防や生活支援を行いやすくなりました。
③要支援者向けの訪問介護と通所介護が総合事業に移行された
2015年の介護保険制度改正により、要支援者向けの訪問介護と通所介護は、介護予防給付から市町村が実施する総合事業へ移行されました。
訪問型サービスでは、掃除や洗濯、買い物などの日常生活上の支援が行われます。通所型サービスでは、機能訓練、交流の場、閉じこもり予防、生活機能の維持向上などを目的とした支援が行われます。
総合事業は、従来の要支援者向けの訪問介護・通所介護に、市町村が行っていた介護予防事業や地域の生活支援を組み合わせて、地域の実情に合わせて再編した仕組みといえます。
介護予防・日常生活支援総合事業の主なサービス内容
総合事業には、主に「介護予防・生活支援サービス事業」と「一般介護予防事業」があります。それぞれのサービスの特徴は以下の通りです。
| 介護予防・生活支援事業 | 一般介護予防事業 | |
|---|---|---|
| 対象 | 要支援1・2の人または、基本チェックリストで生活機能の低下があると判断された事業対象者 | 65歳以上のすべての高齢者 |
| 受けられるサービス | 訪問型サービス|通所型サービス|その他の介護支援サービス|介護予防ケアマネジメント | 体力づくり教室|講演会|介護予防教室|高齢者サロン|サークル活動など |
「基本チェックリスト」とは「要介護者認定」を受けなくても、必要なサービスが利用できるよう、現状を確認するための質問リストです。このチェックリストは、日常生活の様子や健康状態について把握するための25項目の質問で構成され、結果から心身機能の衰えによる生活機能が低下がみられると判断された場合、「事業対象者」と判定されます。判定までの期間は、即日~3日程度です。
※40歳から64歳までの方(第2号被保険者)が介護予防・日常生活支援総合事業サービスを利用するためには、「要支援1・2」の認定を受ける必要があります。
介護予防・生活支援サービス事業
「介護予防・生活支援サービス事業」とは、要支援者の訪問介護と通所介護、介護支援や介護予防を必要とする高齢者のための訪問型と通所型のサービスです。 要支援者への訪問介護と通所介護は、従来の介護保険制度から移行されたものです。
訪問型サービス
訪問型サービスは、利用者様の自宅を訪問して、掃除や洗濯などの日常生活上の支援や介護予防の支援を行うサービスです。
介護の専門職が提供する、これまでの介護予防訪問介護の内容にあたるサービスでは、要支援者は身体介護と生活援助、事業対象者は生活援助が利用できます。
サービス類型は複数あり、市町村によって異なります。以下の表は訪問型サービスの典型的な例です。
| サービス種別 | サービス内容 | サービス提供者(例) |
|---|---|---|
| 訪問介護 | 訪問介護員による身体介護、生活援助 | 訪問介護員(訪問介護事業者) |
|
訪問型サービスA (緩和した基準によるサービス) |
生活援助等 | 主に雇用労働者 |
|
訪問型サービスB (住民主体による支援) |
住民主体の自主活動として行う生活援助等 | ボランティア主体 |
|
訪問型サービスC (短期集中予防サービス) |
保健師等による居宅での相談指導等 | 保健・医療の専門職(市町村) |
|
訪問型サービスD (移動支援) |
移送前後の生活支援 | 訪問型サービスBに準じる |
通所型サービス
通所型サービスは、要支援者等に対して、機能訓練や集いの場などを提供するサービスです。
デイサービスに近い形で運営されるものもあれば、地域住民が主体となる体操教室や交流の場など、地域に根ざした取り組みもあります。以下の表は通所型サービスの典型的な例です。
| サービス種別 | サービス内容 | サービス提供者(例) |
|---|---|---|
| 通所介護 |
通所介護と同様のサービス 生活機能の向上のための機能訓練 |
通所介護事業者の従事者 |
|
通所型サービスA (緩和した基準によるサービス) |
ミニデイサービス 運動・レクリエーション 等 |
主に雇用労働者+ボランティア |
|
通所型サービスB (住民主体による支援) |
体操、運動等の活動など、自主的な通いの場 | ボランティア主体 |
|
通所型サービスC (短期集中予防サービス) |
生活機能を改善するための運動器の機能向上や栄養改善等のプログラム | 保健・医療の専門職(市町村) |
その他生活支援サービス
その他生活支援サービスは以下の3つからなります。
①栄養改善を目的とした配食
②住民ボランティア等が行う見守り
③訪問型サービス、通所型サービスに準じる自立支援に資する生活支援(訪問型サービス・通所型サービスの一体的提供等)
介護予防ケアマネジメント
介護予防ケアマネジメントは、総合事業の利用者に必要なサービスが適切に提供されるように支援する仕組みです。
地域包括支援センターなどが、利用者の心身の状態や生活上の課題を確認し、必要なサービスを検討します。そのうえで、介護予防ケアプランを作成し、訪問型サービス、通所型サービス、生活支援サービスなどにつなげていきます。
一般介護予防事業とは
一般介護予防事業は、65歳以上の高齢者を広く対象に、市区町村が住民の互助や民間サービスと連携し、高齢者の生活機能の改善や生きがい作りを重視した介護予防の取り組みを行う事業です。
市区町村によって異なりますが、たとえば、介護予防教室の開催、体操教室、地域サロン、健康づくり活動、住民主体の通いの場づくり、体力作り教室、介護予防をテーマとした各種講演会、栄養改善・口腔機能向上・認知症予防などについて学ぶ介護予防教室、生きがい作りを目的としたサークル活動、介護予防ボランティア養成講座などが考えられます。
介護予防・日常生活支援総合事業サービス利用の流れ
介護予防・日常生活支援総合事業のサービスを受ける流れは以下の通りです。
①市区町村の相談窓口または地域包括支援センターに相談
まずは、市区町村の相談窓口や地域包括支援センターに相談します。本人の状態や困りごとを伝えたうえで、基本チェックリストの実施や、必要に応じて要支援・要介護認定の申請につなげます。
②基本チェックリストで心身の状況を確認する
基本チェックリストで生活機能を確認します。結果によって、総合事業の対象となる場合もあれば、要支援・要介護認定の申請を勧められる場合もあります。なお、40〜64歳の第2号被保険者が利用する場合は、要支援1・2の認定が必要です。判定までの期間は、即日~3日程度です。すでに要支援1・2の認定を受けている人は、基本チェックリストを受けなくても総合事業を利用できます。
③介護予防・生活支援サービス事業の対象者となる
基本チェックリストの結果、要支援または基本チェックリスト該当者になると支援が必要と判断され、介護予防・生活支援サービス事業の対象者となります。対象者になると、訪問型サービスや通所型サービスなど、本人の状態に合ったサービスの利用を検討できます。
④地域包括支援センターにケアプランを作成してもらう
サービスを利用する際は、地域包括支援センターなどが本人の状態や希望を確認し、介護予防ケアプランを作成します。どのサービスをどのように利用するかを整理し、自立した生活を続けられるよう支援内容を決めます。
⑤介護予防・日常生活支援総合事業の利用を開始する
ケアプランに基づき、訪問型サービスや通所型サービスなどの利用を開始します。サービス開始後も、本人の状態に応じて内容を見直しながら、介護予防・日常生活支援総合事業の支援を行います。
事業所が介護ソフトで介護予防・日常生活支援総合事業を使用するには?
事業所が介護ソフトで介護予防・日常生活支援総合事業を使用するには、まず、お使いの介護ソフトが総合事業に対応しているかどうかを確認する必要があります。介護ソフトによっては総合事業に対応していなかったり、オプション費用がかかったりする場合があります。
介護ソフトが総合事業に対応している場合は、市区町村の総合事業のマスタデータを介護ソフトにアップロードすることで市区町村の総合事業のサービスを選べるようになります。
総合事業は市区町村が実施する事業のため、サービス内容や単価、サービスコードなどが自治体によって異なります。自治体のホームページを確認すると、「介護予防・日常生活支援総合事業単位数表マスタ」と呼ばれるCSVのマスタデータが掲載されているので、最新のマスタをアップロードすることで市区町村の総合事業のサービスを介護ソフトから請求ができるようになります。
CSVのマスタデータは、自治体のホームページの総合事業に関するページ内を探したり、「○○市 総合事業 マスタ」などで検索して出てきたページに掲載されている可能性が高いです。
介護予防・日常生活支援総合事業に関するよくあるご質問
Q1.誰が総合事業を利用できますか?
主な対象者は、要支援1・2の認定を受けた人、基本チェックリストで生活機能の低下があると判断された事業対象者などです。また、一般介護予防事業は、65歳以上の高齢者を広く対象としています。
Q2.総合事業ではどのようなサービスを利用できますか?
主に、訪問型サービス、通所型サービス、その他の生活支援サービス、介護予防ケアマネジメントがあります。訪問型サービスでは掃除や洗濯などの生活支援、通所型サービスでは運動機能訓練や交流の場などが提供されます。配食や見守りなどを行う市区町村もあります。
Q3.介護予防サービスと総合事業は同じですか?
同じではありません。介護予防サービスのうち、要支援者向けの訪問介護と通所介護に相当するサービスが、総合事業へ移行されました。一方で、介護予防訪問看護、介護予防福祉用具貸与、介護予防訪問リハビリなどは、現在も介護予防サービスとして提供されています。
Q4.総合事業のサービス内容は全国どこでも同じですか?
同じではありません。総合事業は市区町村が地域の実情に応じて実施するため、利用できるサービス内容、利用条件、単価、サービスコードなどが自治体によって異なる場合があります。詳しくは住所地の市区町村や地域包括支援センターに確認する必要があります。
Q5.介護事業所が総合事業を請求する際に注意することはありますか?
総合事業は市区町村ごとにサービスコードや単価、運用ルールが異なる場合があります。そのため、事業所は提供するサービスの区分や市区町村のサービスコードを確認し、介護ソフトなどに正しく登録したうえで、予定・実績・請求を管理することが重要です。
まとめ
介護予防・日常生活支援総合事業は、市区町村が中心となって、高齢者の介護予防と日常生活を支援する仕組みです。一般的には「総合事業」と呼ばれ、要支援者や基本チェックリストで支援が必要と判断された人などを対象に、訪問型サービスや通所型サービス、配食、見守りなどの支援が行われます。
総合事業の大きな特徴は、介護サービス事業者だけでなく、NPO、民間企業、ボランティア、地域住民など、地域の多様な主体が高齢者の支援に関われる点です。専門的な介護サービスだけでなく、地域の実情に応じた生活支援や介護予防活動を組み合わせることで、高齢者が住み慣れた地域で自立した生活を続けられるよう支えます。
介護事業所にとっても、総合事業は今後ますます重要なサービスの一つです。市区町村ごとのルールを確認し、利用者の状態に合った支援を提供できるよう、サービス内容や請求方法を正しく理解しておきましょう。
介護予防・日常生活支援総合事業の請求には介護ソフト「トリケアトプス」がおすすめ
介護事業所が介護予防・日常生活支援総合事業の請求を行う際は、介護ソフトを活用するのがおすすめです。
総合事業は、市区町村が地域の実情に応じて実施する事業のため、サービス内容や単価、サービスコードなどが自治体によって異なる場合があります。そのため、通常の介護保険サービスと比べて、請求時に使用するマスタやサービスコードの確認が重要になります。
手作業で管理していると、サービスコードの選択ミスや単位数の確認漏れ、実績入力の誤りが起こりやすくなります。特に、複数の市区町村の利用者にサービスを提供している事業所では、市区町村ごとのマスタ管理が煩雑になりやすいため注意が必要です。
介護ソフト「トリケアトプス」では、介護予防・日常生活支援総合事業の請求にもオプション費用無しで対応しています。市区町村のマスタを取り込むことができるため、各自治体のサービスコードや単価に基づいて、予定・実績入力や請求処理を進めやすくなります。
総合事業は市区町村ごとに取り扱いが異なるため、正確な請求を行うには、最新のマスタを確認し、介護ソフトに正しく反映しておくことが大切です。介護予防・日常生活支援総合事業の請求を効率化したい事業所は、市区町村マスタの取り込みに対応した介護ソフトを活用し、実績管理から請求までスムーズに行える体制を整えておきましょう。
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