介護の基礎知識
デイサービスの連絡帳は廃止すべき?法的義務や電子化の方法について解説
- 公開日:2026年05月28日
- 更新日:2026年06月05日
デイサービスでは、利用者の様子や体調、食事・入浴状況などを家族へ伝えるために、連絡帳を活用している事業所が多くあります。しかし近年では、毎日の記入負担の大きさや人員不足から廃止を検討する事業所も増えてきました。
この記事では、デイサービスの連絡帳に法的義務があるのかをはじめ、連絡帳の役割や紙運用の課題、電子化について分かりやすく解説します。
デイサービスの連絡帳とは?役割と必要性
デイサービスの連絡帳は、事業所と家族をつなぐ大切な情報共有ツールです。連絡帳の主な役割について以下にて解説します。
利用者のご家族との情報共有
連絡帳は、利用者のご家族に対して、日中の様子や健康状態、食事内容、レクリエーションへの参加状況などを分かりやすく伝える手段です。ご家族は、施設での過ごし方や体調の変化を把握できるため、安心してサービスを利用できます。また、家庭での様子を施設に伝える場としても機能し、双方向のコミュニケーションが可能になります。
職員間での情報共有
シフト勤務が多いデイサービスでは、複数の職員が交代でケアを担当します。連絡帳に記録された内容は、職員間のスムーズな情報共有・引き継ぎに役立ちます。前日の利用状況や特記事項を把握することで、個々の利用者に適切な対応ができ、継続的かつ質の高いケアの提供につながります。
ケアマネージャーがケアプランを作成する際に活用する場合もある
連絡帳は、ケアマネージャーが利用者の生活状況や体調の変化を把握し、ケアプランの見直しや作成に役立てる重要な資料となります。日々の記録をもとに、どのような支援が必要かを的確に判断し、より適切なサービス提供へとつなげることができます。
紙の連絡帳でよくある課題
手書きによる連絡帳の運用は、職員の負担増加や情報共有のしづらさにつながる場合があります。以下ではよくある課題について解説します。
記入や確認に時間がかかる
紙の連絡帳は、利用者ごとに毎日手書きで記入する必要があります。利用人数が多い事業所では、連絡帳の記入だけでも大きな業務負担になりやすく、送迎前後や業務終了前の忙しい時間帯に作業が集中することも少なくありません。
また、同じ内容を介護記録と連絡帳の両方へ転記しているケースもあり、二重入力によって業務効率が低下する原因になることもあります。
記入漏れや伝達ミスが発生しやすい
忙しい業務の中で連絡帳を記入していると、記入漏れや伝達ミスが起こることがあります。
たとえば、「食事量を書き忘れた」「家族からの伝言を職員間で共有できていなかった」といったケースです。紙の連絡帳はリアルタイムで情報共有しづらいため、職員同士の連携にタイムラグが生まれる場合もあります。
紛失や破損のリスクがある
紙の連絡帳は、送迎時の持ち運びや利用者宅での保管中に、紛失や破損が発生する可能性があります。
特に、連絡帳には利用者の体調や個人情報が記載されているため、紛失時には情報管理上のリスクにもつながります。また、水濡れや破れによって記録が読めなくなってしまうケースもあります。
保管や管理に手間がかかる
紙の連絡帳は、過去の記録を確認したい場合に探す手間がかかります。
事業所によっては控えを保管しているケースもありますが、利用者数が増えるほど保管スペースも必要になります。さらに、必要な記録をすぐに見つけられず、確認作業に時間がかかることもあります。
手書きの文字が読みにくく伝わりづらいことがある
紙の連絡帳は手書きで作成することが多いため、文字の読みやすさに差が出やすい点も課題です。
特に、忙しい時間帯に急いで記入すると文字が崩れてしまい、「何と書いてあるか分からない」「家族に内容が正しく伝わらない」といったケースが発生することがあります。
また、職員によって書き方や表現が異なるため、記録内容にばらつきが出やすい点も課題です。利用者の様子を詳しく伝えたい場合でも、限られたスペースの中で手書きする必要があるため、十分に記載できないこともあります。
さらに、高齢の家族の場合、小さな文字や薄い文字が読みづらいこともあります。電子化によってテンプレート化や印字対応を行うことで、誰でも読みやすい連絡帳を作成しやすくなります。
連絡帳は不要?廃止するデイサービスがある理由
連絡帳の必要性については近年見直されつつあり、「連絡帳は不要では?」という声があがることもあります。その背景には、記入にかかる時間や手間の負担、また家族とスタッフの双方が十分に内容を確認できていないといった課題が存在します。このような理由から、連絡帳の廃止を検討する施設も出てきています。
また、中にはご利用者様やご家族から「連絡帳は不要」と伝えられるケースもあります。しかし、現時点で代わりとなる連絡手段がない場合、完全に廃止するのは難しいというのが現状です。
こうした課題を解決し、双方が効率よく情報を共有するためには、デジタル化の導入など、よりスムーズに確認・記録できる仕組みづくりが有効です。
デイサービスの連絡帳に法的義務はあるの?
デイサービスの連絡帳について、「作成しなければならない」という明確な法的義務はありません。介護保険制度では、デイサービス(通所介護)に対して、サービス提供記録や介護記録などの作成・保存は求められています。しかし、「紙の連絡帳を毎日家族へ渡さなければならない」といった決まりが定められているわけではありません。
そのため、連絡帳の運用方法は事業所ごとに異なります。紙の連絡帳を使用している事業所もあれば、介護ソフトで作成した記録を印刷して渡している事業所、アプリやメールを活用している事業所もあります。
ただし、法的義務がないからといって不要というわけではありません。連絡帳は、利用者の様子を家族へ伝えたり、家族からの連絡事項を共有したりする大切なコミュニケーション手段です。特に、利用者本人から状況説明が難しいケースでは、家族との情報共有手段として重要な役割を果たします。
近年では、業務効率化の観点から、紙にこだわらず電子化を進める事業所も増えています。大切なのは、「連絡帳を紙で運用すること」ではなく、利用者や家族へ必要な情報を適切に共有できる体制を整えることといえるでしょう。
デイサービスの連絡帳作成を電子化する主な方法
デイサービスの連絡帳作成を電子化する方法は様々です。事業所によって適した方法は異なるため、自施設に合った運用方法を選ぶことが大切です。
介護ソフトで連絡帳を自動作成する
デイサービスで連絡帳作成を効率化する方法として、まず多く導入されているのが介護ソフトの活用です。
介護ソフトでは、バイタル・食事・入浴・活動内容などの介護記録を入力すると、その内容を連絡帳へ連動して反映できる製品があります。これにより、同じ内容を何度も手書きする必要がなくなり、転記作業の負担軽減につながります。
また、テンプレートや定型文を活用できるソフトも多く、記録作成時間の短縮や記入漏れ防止にも役立ちます。
ただし、介護ソフトを利用した場合でも、連絡帳自体は印刷して紙で渡す運用が一般的です。そのため、「連絡帳の作成業務」を電子化・効率化するイメージに近く、家族とのやり取りそのものを完全にデジタル化するわけではありません。その分家族によってITリテラシーに差があり、専用アプリのダウンロードや利用が難しい場合でも、ご家族への負担は手書きの場合と変わらない点は魅力です。
専用の連絡アプリを導入する
近年では、介護業界向けの連絡アプリを導入する事業所も増えています。
専用アプリでは、連絡事項の配信、写真共有、欠席連絡、家族とのメッセージ機能などをまとめて管理できる場合があります。紙の受け渡しが不要になるため、情報共有をよりスムーズに行いやすくなります。また、既読確認機能があるアプリであれば、「家族が連絡を確認したか」を把握しやすい点もメリットです。
簡単に情報共有ができ、便利な分、家族によってはアプリのダウンロードや閲覧がハードルが高い場合があります。家族のITリテラシーに合わせて、事前の説明やマニュアル配布を行う必要があります。
LINEやメールで家族へ連絡する
家族への情報共有をデジタル化したい場合は、LINEやメールを活用する方法もあります。
たとえば、当日の様子や連絡事項を文章で送信したり、レクリエーション中の写真を共有したりすることで、紙よりもスピーディーに情報を伝えられます。家族側もスマートフォンですぐ確認できるため、利便性の向上につながります。
一方で、個人情報の管理や誤送信対策には注意が必要です。職員個人のアカウントを使用しない、運用ルールを決めるなど、事業所として適切な管理体制を整えることが重要です。
デイサービスで連絡帳を電子化する流れ
連絡帳の電子化を進める際は、いきなり導入するのではなく、現在の運用状況を整理しながら段階的に進めることが重要です。また、職員だけでなく家族への説明や運用ルールの整備も必要になるため、事前準備をしっかり行うことでスムーズに導入しやすくなります。
①現在の連絡帳運用を整理する
まずは、現在どのように連絡帳を運用しているかを整理しましょう。
たとえば、「誰が記入しているのか」「どのタイミングで作成しているのか」「どの内容を家族へ伝えているのか」を確認することで、電子化したい業務範囲が明確になります。
また、紙の連絡帳で発生している課題を洗い出しておくことも重要です。記入時間の負担、転記作業、情報共有の遅れなど、現場の困りごとを整理しておくことで、導入する仕組みを選びやすくなります。
②電子化の方法を決める
連絡帳の電子化といっても、方法はさまざまです。
介護ソフトを使って連絡帳作成を効率化するのか、LINEや専用アプリを活用して家族とのやり取りまでデジタル化するのかによって、必要な環境や運用方法も変わります。
事業所の抱えている課題や、かけられる予算、職員や利用者家族のITリテラシーを考慮して、事業所に合った最適な方法を選択しましょう。
③家族への説明と同意を行う
連絡帳の運用方法が変わる場合は、事前に家族へ説明を行いましょう。
特に、LINEやアプリを利用する場合は、確認手順やどのような情報を送るのか、写真共有はあるのか、個人情報をどのように管理するのかを分かりやすく説明することが大切です。
また、スマートフォンの操作に不安がある家族もいるため、利用方法を簡単に案内できる資料を用意しておくと安心です。
④職員への操作研修を行う
新しい仕組みを導入する際は、職員への操作研修も欠かせません。
入力方法や送信ルールが統一されていないと、記録漏れや誤送信につながる可能性があります。そのため、操作方法だけでなく、「誰が確認するのか」「どのタイミングで送るのか」といった運用ルールも事前に決めておくことが重要です。
また、実際の利用場面を想定しながら練習しておくことで、導入後の混乱を減らしやすくなります。
⑤一部利用者から段階的に導入する
連絡帳の電子化は、最初から全利用者へ一斉導入するよりも、まずは一部利用者から試験的に始める方法がおすすめです。
小規模で運用を始めることで、「操作しづらい点はないか」「家族への説明は十分か」「現場負担は減っているか」を確認しやすくなります。
実際に運用しながら課題を改善していくことで、事業所全体へスムーズに展開しやすくなります。
デイサービスで連絡帳の電子化を進める際の注意点
連絡帳の電子化は、業務効率化や情報共有の改善につながる一方で、導入時には注意しておきたいポイントもあります。
個人情報の取り扱いに注意する
連絡帳には、利用者の体調や生活状況などの個人情報が含まれています。そのため、電子化を進める際は情報管理をこれまで以上に意識する必要があります。
特に、LINEやメール、連絡アプリを利用する場合は、誤送信や端末紛失による情報漏えいリスクに注意が必要です。職員個人の端末を使用しない、パスワード管理を徹底するなど、事業所内でルールを決めておくことが重要です。
また、写真共有を行う場合は、事前に家族から同意を得ておくと安心です。
家族のITリテラシーに配慮する
家族によっては、スマートフォンやアプリ操作に慣れていない場合があります。
「アプリの登録方法が分からない」「通知に気づけない」といったケースもあるため、導入時はできるだけ分かりやすい説明を心がけましょう。簡単なマニュアルを配布したり、初回設定を一緒に行ったりすることで、スムーズに利用してもらいやすくなります。
また、すべての家族が電子化を希望するとは限らないため、必要に応じて紙との併用も検討すると安心です。
現場の負担が増えないようにする
電子化は業務効率化につながる一方で、運用方法によっては逆に現場負担が増えてしまう場合があります。
たとえば、「介護記録とは別にアプリ入力が必要になる」「紙と電子の二重管理になっている」といった状況では、かえって作業量が増えてしまいます。
そのため、できるだけ既存の介護記録と連動できる仕組みを選び、入力作業を増やさないことが重要です。導入前には、実際の業務フローに合っているか確認しておきましょう。
通信トラブルや機器故障に備える
電子化を進める場合は、インターネット障害や端末故障への備えも必要です。
通信環境が不安定だと記録入力や情報共有ができなくなることがあり、業務へ影響が出る可能性があります。また、タブレットやパソコンが故障した際の対応方法も事前に決めておくと安心です。
必要に応じてバックアップ体制を整えたり、一時的に紙運用へ切り替えられるよう準備しておくと、万が一の際も対応しやすくなります。
一気に完全電子化しようとしない
連絡帳の電子化は、すべてを一度に切り替えようとすると現場が混乱しやすくなります。
特に、職員や家族が新しい運用に慣れるまでは、操作方法の確認や問い合わせ対応が増えることもあります。そのため、まずは一部利用者から試験的に始めたり、紙と併用しながら段階的に進めたりする方法がおすすめです。
無理なく運用を定着させることで、長期的な業務効率化につながります。
まとめ:デイサービスの連絡帳に法的義務はないが、情報共有を行う大切な手段です
デイサービスの連絡帳は、必ず作成しなければならないという法的義務はありません。しかし、利用者の様子を家族へ伝えたり、家族との情報共有を行ったりする大切な役割があります。
そのため、いかに効率的に家族との情報共有を行うかを考えることが重要です。近年では、介護ソフトを活用して連絡帳作成を効率化したり、電子上で家族と情報共有している事業所も増えています。
特に、介護記録と連動して連絡帳を作成できる仕組みを導入することで、現場負担を軽減しながら、これまで通り家族への情報共有を続けやすくなります。事業所の状況や利用者・家族に合った方法を選びながら、事業所負担を減らしつつ情報共有ができる方法を検討しましょう。
デイサービスの連絡帳作成の電子化なら介護ソフトのトリケアトプスがおすすめ
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トリケアトプスでは、デイサービスの日々の介護記録をもとに連絡帳を作成できます。
バイタル・食事・入浴・レクリエーション内容など、入力した記録を連絡帳へ反映できるため、同じ内容を何度も手書きする必要がなく、転記作業の負担軽減につながります。連絡帳作成を効率化することで、送迎前後や業務終了前など、忙しい時間帯の負担軽減にも役立ちます。
また、介護記録は実績とも連動しているため、介護記録からボタン一つで実績に1立てを行うことができ、転記ミスを予防し、効率化が行えます。
また、トリケアトプスでは介護記録をもとに電子的に連絡帳を作成しながら、最終的には印刷して紙で渡せるため、スマートフォンやアプリ操作が苦手な家族でも問題なく利用できます。「完全なアプリ化はハードルが高い」「家族によってITへの慣れに差がある」という事業所でも導入しやすい点が特徴です。
さらに、書類作成や請求など一気通貫で行えるため、連絡帳以外にも介護の事務作業の効率化を行いたい事業所にもおすすめです。