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介護の基礎知識

デイサービス(通所介護)の運営基準をわかりやすく 人員や建物・設備基準についても解説

  • 公開日:2025年09月17日
  • 更新日:2025年09月17日

デイサービス事業所を運営するには、介護保険法に基づいて定められたルールを守る必要があり、遵守することで利用者に安心・安全な介護サービスを提供することができます。デイサービスの運営基準を守らなかった場合、行政から指導や勧告を受けることがあり、改善が見られない場合には業務停止や指定取り消しといった処分につながる可能性があるため、基準の遵守は事業所の存続に直結する重要なポイントと言えます。

本ブログでは、デイサービスの運営基準や人員・建物基準、運営基準を守らなかった場合の処分についてもわかりやすく解説します。

デイサービスの運営基準

デイサービスの運営基準は、第92条から第104条までで規定されており、事業所の運営に必要な職員体制や設備、サービス提供の方法、記録の管理、苦情対応、職員研修などについて定められています。詳しい内容は以下の通りです。

第92条 基本方針

通所介護は、利用者が要介護状態になった場合でも、できる限り自宅で自立した生活を営むことができるよう、日常生活の支援や機能訓練を通して社会的孤立感の解消や心身機能の維持、利用者家族の介護負担の軽減にも寄与することが求められています。

第93条 従業者の員数

生活相談員、看護職員、介護職員、機能訓練指導員をそれぞれ配置する必要があります。介護職員については、利用者15人ごとに1人を配置し、15人を超える場合は5人増すごとにさらに1人を追加しなければなりません。

第94条 管理者

管理者を置くことが義務づけられています。管理者は原則として常勤専従であることが求められますが、管理上支障がない場合は他の職務を兼務することが認められています。

第95条 設備及び備品等

事業所には、食堂、機能訓練室、静養室、相談室、事務室を備えなければなりません。食堂と機能訓練室の合計面積は、利用定員に応じて1人あたり3平方メートル以上を確保する必要があります。また、相談室は利用者やその家族のプライバシーが確保できる構造でなければなりません。

第96条 利用料等の受領

通所介護事業者は、利用者に対してサービスを提供した際、介護給付費の自己負担分を受領することができます。また、食費やおむつ代など介護給付の対象とならない費用についても、あらかじめ説明し、利用者や家族の同意を得たうえで受領することが認められています。

第97条 通所介護の基本取扱方針

通所介護では、利用者の要介護状態を改善または悪化を防止するために、目標設定と計画的なサービス提供が必要です。また、事業者自身が提供サービスの質を評価し、常に向上を図ることが求められています。

第98条 通所介護の具体的取扱方針

通所介護のサービスは、以下のような具体的方針のもとで提供されなければなりません。

  1. 通所介護計画に基づき、利用者が日常生活を送るための機能訓練や支援を行うこと。
  2. 通所介護従業者は、懇切丁寧な対応を心がけ、利用者や家族にサービス内容を分かりやすく説明すること。
  3. 利用者又は他の利用者等の生命維持や身体保護のためやむを得ない場合を除いて、身体的拘束等を行ってはならない。
  4. やむを得ず身体的拘束等を行う場合には、その様子や時間、その際の利用者の心身の状況並びにやむを得ない理由を記録こと。
  5. 介護技術の進歩に応じて、適切な技術でサービス提供を行うこと。
  6. 利用者の心身状態を的確に把握しつつ、相談援助や機能訓練などニーズに合った支援を提供し、認知症の要介護者には特性に応じた体制整備が必要であること。

第99条 通所介護計画の作成

管理者は、利用者の心身の状況や希望、その環境を踏まえて、機能訓練などの目的や具体的なサービス内容を記載した「通所介護計画」を作成しなければなりません。この計画は、既存の居宅サービス計画がある場合にはそれに沿って作成され、利用者または家族への説明と同意取得、計画の交付が義務付けられています。また、従業者は個別の実施状況や目標達成の状況を記録する必要があります。

第100条 運営規程

事業所の重要事項を定めた以下のような運営規程を作成する必要があります。

  1. 事業の目的及び運営の方針
  2. 従業者の職種、員数及び職務の内容
  3. 営業日及び営業時間
  4. 指定通所介護の利用定員
  5. 指定通所介護の内容及び利用料その他の費用の額
  6. 通常の事業の実施地域
  7. サービス利用に当たっての留意事項
  8. 緊急時等における対応方法
  9. 非常災害対策
  10. 虐待の防止のための措置に関する事項(令和6年4月1日より義務化)
  11. その他運営に関する重要事項

第101条 勤務体制の確保等

適切な通所介護サービスを提供するために、「事業所ごとに従業者の勤務体制を定めておかなければならないこと」、「事業所の通所介護員等によって通所介護サービスを提供しなければならないこと」、「通所介護員等の資質向上のために、研修の機会を確保しなければならないこと」、「職場におけるハラスメント等の防止のための措置を講じなければならないこと」などが求められます。

第102条 定員の遵守

通所介護事業者は、利用定員を超えて通所介護の提供を行ってはなりません。ただし、災害その他のやむを得ない事情がある場合は、この限りではありません。

第103条 非常災害対策

感染症や非常災害の発生時において、利用者に対する通所介護の提供を継続的に実施するため・非常時の体制で早期の業務再開を図るための業務継続計画を策定し、研修及び訓練の実施、従業員への周知を行う必要があります。また、訓練の実施にあたり、近隣住民への参加が得られるよう連携する必要があります。

第104条 衛生管理等

事業所の施設や食器、設備や飲料水の衛生管理を行います。

また、感染症の発生・まん延を予防するために、委員会の定期的な開催、指針の整備、研修・訓練の定期的な実施などを行うことが求められます。

第104条の2 地域との連携等

利用者からの苦情に関する市町村などが提供する相談援助事業への協力や、同じ建物居住者へのサービス提供努力が求められます。

第104条の3 事故発生時の対応

事故の際には市町村や利用者家族、居宅介護支援事業者などへ連絡し、必要な対応を行うことが求められます。また、対応内容を記録し、賠償が必要な場合は速やかに処理します。

第104条の4 記録の整備

職員、設備、備品、会計に関する記録や、提供サービス記録などを整理し、2年間保存しなければなりません。サービス提供に関する書類は以下の通りです。

  1. 通所介護計画書
  2. 提供した具体的なサービスの内容等の記録
  3. 身体的拘束を行った際の様子及び時間、心身の状況及びにやむを得ない理由の記録
  4. 市町村への通知に係る記録
  5. 苦情の内容等の記録
  6. 事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録
参考:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準|厚生労働省

デイサービスの運営基準を守るために気を付けるべきポイント

通所介護の運営基準を守るために気を付けるべきポイントは以下の通りです。

運営基準は定期的に見直す

通所介護の運営基準は、法改正やガイドラインの更新により内容が変わることがあります。そのため、事業所は開業後も定期的に基準を確認し、必要に応じて運営ルールを見直すことが大切です。これにより、常に適切で安全なサービス提供が可能になり、実地指導や監査にも対応することができます。

職員に運営基準を周知する

運営基準を守るためには、職員全員がその内容を理解していることが重要です。基準に沿ったサービス提供、記録の作成、個人情報の管理、苦情対応など、日常業務で必要な対応を職員に周知することで、サービスの質を一定に保つことができます。研修やマニュアルを活用して、日々の業務で意識できる体制を整えることも効果的です。

運営基準の遵守などが定期的に確認される「運営指導(実地指導)」とは?

運営指導とは行政の担当者が事業所を訪れ、適正な介護保険サービスが運営されているかを定期的に調査するもので、事業所の指定有効期間内に少なくとも1回は実施されます。

運営指導の結果、違反が見つかると指定取消や効力の停止などの処罰が下される場合があります。介護事業所は、都道府県知事から指定を受けて介護保険法に基づく介護事業を運営しています。つまり、この指定が取り消されるか、効力が停止されると、介護事業所は介護保険法に基づく介護事業運営を行うことができなくなります。運営指導で引っかからないためにも、日頃から運営基準を守り、健全な運営を行うことが重要です。

デイサービスの運営指導(実地指導)で確認される標準確認文書一覧

デイサービスの実地指導で確認される書類は以下の通りです。サービスの質や適切なサービス提供のために必要な帳票類が整備されているかを確認するためにこれらの書類が確認されます。

  • 平面図(行政機関側が保存しているもの)
  • 重要事項説明書(利用申込者の同意があったことがわかるもの)
  • サービス担当者会議の記録
  • 居宅サービス計画
  • 通所介護計画(利用者の同意があったことがわかるもの)
  • サービス提供記録
  • 送迎記録がわかるもの
  • 身体的拘束等の記録(身体的拘束等がある場合)
  • アセスメントの結果がわかるもの
  • モニタリングの結果がわかるもの
  • 従業者の勤務体制及び勤務実績がわかるもの(例:勤務体制一覧表、勤務実績表)
  • 従業者の勤怠状況がわかるもの(例:タイムカード、勤怠管理システム)
  • 資格要件に合致していることがわかるもの(例:資格証の写し)
  • 管理者の雇用形態が分かるもの
  • 管理者の勤務体制及び勤務実績がわかるもの(例:勤務体制一覧表、勤務実績表)
  • 管理者の勤怠状況がわかるもの(例:タイムカード、勤怠管理システム)
  • 介護保険番号、有効期限等を確認している記録等
  • 請求書
  • 領収書
  • 運営規程
  • 雇用の形態(常勤・非常勤)がわかるもの
  • 研修の計画及び実績がわかるもの
  • 職場におけるハラスメントによる就業環境悪化防止のための方針
  • 業務継続計画
  • 訓練の計画及び実績がわかるもの
  • 国保連への請求書控え
  • 非常災害時の対応計画(管轄消防署へ届け出た消防計画(風水害、地震対策含む)又はこれに準ずる計画
  • 避難・救出等訓練の実施状況がわかるもの
  • 通報、連絡体制がわかるもの
  • 感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会の開催状況・結果がわかるもの
  • 感染症の予防及びまん延の防止のための指針
  • 感染症の予防及びまん延の防止のための研修及び訓練の実施状況・結果がわかるもの
  • 個人情報の利用に関する同意書
  • 従業者の秘密保持誓約書
  • パンフレット/チラシ
  • web広告
  • 苦情の受付簿
  • 苦情への対応記録
  • 市町村、利用者家族、居宅介護支援事業者等への連絡状況がわかるもの
  • 事故に際して採った処置の記録
  • 損害賠償の実施状況がわかるもの
  • 虐待の防止のための対策を検討する委員会の開催状況及び結果がわかるもの
  • 虐待の防止のための指針
  • 虐待の防止のための研修の計画及び実績がわかるもの
  • 担当者を置いていることがわかるもの
参考:厚生労働省 確認項目及び確認文書

デイサービスの運営基準を守らなかった場合の処分

運営基準を満たしておらず、運営基準違反となった場合、指定取消・指定の効力停止処分の対象となります。以下では、指定取消・指定の効力停止処分とはどのような措置なのかを詳しく解説していきます。

効力の一部停止とは

介護事業所が、運営基準に違反していたり、利用者の人格を尊重する義務に違反していた場合など、介護保険法第77条に該当する重大な問題があると認められた場合、指定権者(都道府県などの行政機関)は、効力の一部停止を行うことができます。効力の一部停止とは、新規利用者の受入停止、介護報酬請求額の上限設定(期間を限定して報酬額を通常の 70%とする)などの制限が挙げられます。

このような処分を行う場合、行政手続法に基づき、次のようなルールが定められています。

  • 処分の前に、事業所に「弁明の機会(意見を述べる機会)」を与える必要があります(第13条)
  • 処分の基準をあらかじめ設定・公表する努力義務があります(第12条)
  • 処分を行う際には、その理由を明示しなければなりません(第14条)

なお、指定効力の一部停止は、事業所にとって深刻な影響を与える一方で、利用者のサービス継続にも関わるため、処分内容の検討にあたっては、利用者保護の観点も十分に考慮されるべきです。

効力の全部停止とは

効力の全部停止とは、事業所が一定期間、介護サービスを提供できなくなる重大な措置です(介護保険法第77条第1項など)。このような処分を行う際には、以下の条件を満たす必要があります。

  • 弁明の機会の付与:事前に、事業所に対して「説明や反論の機会」を設けることが法律で義務付けられています(行政手続法第13条)。
  • 処分基準の設定・公表の努力:処分の判断基準をあらかじめ整備し、公表するよう努めることが求められています(行政手続法第12条)。
  • 処分理由の明示:実際に効力停止を命じる場合は、その理由を文書でしっかりと伝える義務があります(行政手続法第14条)。

また、効力を停止する期間や内容の決定にあたっては、利用者への影響を最小限に抑えることが大切です。特にサービスの継続性が損なわれないよう、各自治体が丁寧に検討し対応する必要があります。

指定取消とは

介護事業所が重大な法令違反などを犯した場合、都道府県などの指定権者は「指定取消し」という最も重い行政処分を行うことができます(介護保険法第77条第1項など)。この「指定取消し」は、介護保険制度に基づくサービス提供そのものができなくなるため、事業の継続が不可能になります。

指定取消しの手続きで必要なこと

  • 必ず「聴聞」を行う必要がある
    指定取消しを行う際は、事業所に対し「正式な意見陳述の機会(聴聞)」を設けることが法律で義務づけられています。
    ※この場合、「弁明の機会」では代用できません(行政手続法第13条第1項第1号)。
  • 処分基準の整備・公表が求められる
    処分を行う際の判断基準を明確にし、公表するよう努めることが求められています(行政手続法第12条第1項)。
  • 処分理由の提示が必要
    指定取消しを通知する際には、その理由を明示する必要があります(行政手続法第14条第1項)。

 

指定を取り消し、又は指定の全部若しくは一部の効力を停止したときは、指定権者は介護保険法第 78 条第3項等に基づいて、事業所名、処分の内容及びその期間など介護保険法施行規則第 131 条の2等に定められた事項を公示します。

まとめ

デイサービスの運営基準は、事業所を適正に運営し、利用者が安心してサービスを受けられるようにするために定められたルールです。各基準をしっかり理解し、開設後も運営基準を定期的に見直す・職員への運営基準を周知するなど、継続的な取り組みが必要です。今回紹介した内容を参考に、安心して選ばれるデイサービス事業所の運営を目指しましょう。

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