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介護の基礎知識

介護保険請求の返戻とは?よくある返戻の理由と対処方法

  • 公開日:2025年07月30日
  • 更新日:2025年07月30日

介護保険請求を行う際、提出した請求内容に誤りや不備があると、国保連合会から支払いが保留され、返戻(へんれい)されることがあります。返戻とは、請求が受理されずに差し戻されることを指し、修正して再提出しなければ報酬を受け取ることができません。

この記事では、返戻の主な原因や対応方法について詳しく解説し、スムーズな請求手続きのポイントをご紹介します。

介護保険請求の返戻とは

「返戻」とは、介護保険報酬を請求した際に、介護給付費明細書の内容に不備(エラー)があり、国保連合会から書類が差し戻されることを指します。返戻となった事業所には、「請求明細書・給付管理票返戻(保留)一覧表」が送付されます。返戻になった請求分は、一度取り下げて修正した上で、再度翌月以降に請求し直す必要があります。

返戻になると何が困る?介護保険請求の重要性

介護保険請求が重要なのは、レセプト業務を正確に行わなければ、介護事業所の収益が減少してしまうためです。そもそも介護保険請求とは、介護事業所が利用者にサービスを提供した際の費用を利用者が一部負担し、残りを国民健康保険団体連合会(国保連)に請求する仕組みを指します。介護サービスでは、利用者が費用の1~3割を自己負担し、残りの金額を 介護事業者がいったん立て替えたうえで、国保連へ請求します。この介護保険請求(レセプト業務)を適切に行わないと、立て替えた費用が事業所の負担となり、収益の減少に直結します。

事業所の経営を安定させるためにも、介護保険請求の仕組みと手順を正確に把握し、ミスのない請求を心がけることが重要です。

請求明細書・給付管理票返戻(保留)一覧表とは

請求明細書・給付管理票返戻(保留)一覧表には、「種別」や「事由」、「エラーコード」が記載されており、その内容を確認することで、どの部分にエラーがあったのかを特定できます。以下ではそれぞれの用語について解説します。

種別

「種別」欄では、返戻(保留)となったものの種別が表示されます。

表記 種別
サービス計画費(ケアプラン料)
請求明細書(サービス計画費を除く)
給付管理票
介護予防ケアマネジメント費請求明細書(※総合事業の場合に限る)

サービス計画費が返戻となった場合は種別欄に「サ」と記載されるので、確認して正しい内容で再提出します。

事由

「事由」とは、返戻(または保留)となった請求明細書等の事由に対する大まかな分類コードです。事由記号の表す内容は以下の表の通りです。

事由記号 内容
A 請求明細書等の基本的な項目に対する入力(記入)誤り、入力(記入)漏れ等で、審査処理で一次チェックエラーとなったもの。
B 本会の審査システムに保険者が登録する“受給者台帳”や県が登録する“事業所台帳”と請求明細書等を突合し、不一致として エラーとなったもの。また、当月以前に請求又は登録のあった請求明細書や給付管理票に対して、再請求または登録しようと してエラーとなったもの。登録の無い給付管理票に対して修正をしようとしてエラーとなったもの等、審査処理で資格チェック エラーとなったもの。
C 請求明細書に対する給付管理票との突合不一致のもの。この場合、一覧表の備考欄は「保留」のものと「返戻」となるものがあります。
D サービス計画費に対する給付管理票が未提出のもの。この場合、一覧表の備考欄は「返戻」となります。
E 介護給付費等審査委員会で返戻となったもの。

エラーコード

エラーコードは「請求明細書・給付管理票返戻(保留)一覧表」の備考欄に記載されるコードです。エラーコードは、以下のカテゴリと、カテゴリ内の詳細コードの組み合わせによって表されます。例えば、「AAAO」は、AA(形式誤り)のカテゴリに分類されており、「レコードフォーマットの誤り」を表すエラーコードとなります。

エラーコードカテゴリ エラー内容
AA 形式誤り
AB 項目属性誤り
AC 二重登録(一次)
AD 台帳突合誤り(一次)
AE サービス提供年月誤り
AG 緊急情報関連
AH 特定情報関連
AN 二重登録(資格)
AR 償還系誤り
AS 計算誤り
AT 数値不正(一次)
AU 数値不正(資格)
Y 医療
ZZ その他
10 事業所基本台帳またはサービス台帳
12 受給者台帳
13 法別管理台帳/公費負担者台帳
14 介護給付費単位数表/サービスコード管理/給付単価表/特定診療・特別療養・特別診療表
15 種類別市町村固有台帳
16 市町村特別給付台帳/地域密着型サービスコード台帳
20 介護予防・日常生活支援総合事業サービスコード台帳
参考:介護保険審査チェックエラーコード一覧|佐賀県国民健康保険団体連合会

返戻のよくあるケース

介護報酬の請求において、よくある返戻のケースは以下のとおりです。

エラーメッセージ:「査定でエラーがあるもの」

エラーコード:返戻

介護報酬を請求する際に、「請求明細書」と、ケアマネが提出する「給付管理票」の内容が一致していないと、エラーになり、請求が返戻されてしまうことがあります。

特に、地域加算(特別地域加算・小規模事業所加算・中山間地域加算など)が含まれている場合は、より厳しくチェックされるため注意が必要です。

主な原因は以下の3つです。

  • 請求したサービスが、ケアマネの給付管理票に入っていない
  • 明細書の事業所番号と、給付管理票に書かれている事業所番号が違う
  • 明細書の単位数と、給付管理票に書かれている単位数が合っていない

 

エラーメッセージ:「支援事業所に請求明細書に対応した給付管理票の提出依頼が必要」

エラーコード:保留

介護報酬の請求で、「給付管理票」が未提出だったり、内容に誤りがある場合、それに関連するサービス事業所の請求明細書は審査が一時的に保留されることになります。

対応としては、居宅支援事業所に連絡し、該当のサービスに関する給付管理票の提出状況を確認しましょう。給付管理票が返戻になっていた場合は、ケアマネが修正して再提出するとともに、その月の居宅介護支援費も再請求が必要です。

エラーメッセージ:「無効もしくは事業所基本台帳に未登録」

エラーコード:ADD0

事業所番号、サービス種類コードの入力誤りを確認してください。

エラーメッセージ:「無効もしくはサービス台帳に未登録」

エラーコード:ADD1

  1. サービスの「指定有効期間」が切れていないか確認しましょう。
  2. 利用者が「住所地特例」の対象かどうかを確認しましょう。
    給付費明細書の「住所地特例対象者」の欄に、該当するサービス内容を正しく記入してください。住所地特例でない場合は施設所在地保険者と利用者の保険者にご相談ください。
  3. その他のサービスの場合、該当サービスの届出の有無、指定の有効期間終了年月日等をご確認ください。

エラーメッセージ:「指定・基準該当サービス区分コード誤り」

エラーコード:ADD3

事業所区分に対応した「指定/基準該当/地域密着型/総合事業識別」の設定については、サービス事業所へご確認ください。

エラーメッセージ:「同月に同じ請求明細書を提出済」

エラーコード:ANN2

介護報酬の請求で、同じ利用者に対して同じ月の請求明細書を2枚以上出してしまうと、「重複請求」として返戻になることがあります。このような場合、1枚は審査対象として処理され、もう1枚は自動的に返戻扱いとなります。まずは、審査されたほうの明細書が正しいかどうかを確認してください。審査された明細書が正しい場合は何もする必要はありません。返戻エラーになった請求明細書が正しいのであれば、過誤再請求が必要となります。

エラーメッセージ:「過去に同じ請求明細書を提出済」

エラーコード:ANN4

介護報酬の請求において、すでに審査が完了している請求明細書を、誤ってもう一度提出してしまった場合、重複請求として返戻エラーとなります。単なる誤送信だった場合は特に何も対応する必要はありません。もし最初に提出して審査が完了した明細書の内容に修正が必要だった場合は、 「過誤申立(かごもうしたて)」を行って訂正を申請する必要があります。

エラーメッセージ:「同月に市町村等による過誤調整を実施済」

エラーコード:ANN7

介護報酬の請求手続きにおいて、サービス事業所がその月の請求明細書を「取り下げ」たにもかかわらず、同じ月に「修正区分」の給付管理票を提出してしまうと返戻になることがあります。この場合は、返戻されたデータを翌月に改めて提出してください。同じ月に取り下げと修正を重ねて出すことはできませんので、修正分の請求は次の月に行う必要があります。

エラーメッセージ:「給付管理票の作成区分(新規)での提出が必要」

エラーコード:ANN9

介護報酬の請求に関する手続きでは、給付管理票に「作成区分」を正しく設定することが重要です。このエラーが出た場合は改めて「作成区分:新規」として給付管理票を提出する必要があります。「修正」で出すには、まず「新規」のデータが審査決定されていることが前提条件です。

エラーメッセージ:「過去に同じ給付管理票(新規)を提出済」

エラーコード:ANNJ

国保連合会に以前提出した「作成区分:新規」の給付管理票が審査決定しているにも関わらず、再度、「作成区分:新規」の給付管理票を提出したため、重複の返戻エラーとなります。
審査決定している給付管理票の内容を変更したい場合は、「作成区分:修正」の給付管理票を提出してください。また、支援費の過誤を行い、支援費を再請求する場合は、給付管理票の再提出の必要はありません。

エラーメッセージ:「利用者負担額等の総額が再計算値を超過」「記載された値が計算値を超過」

エラーコード:ASSO・ASSA

ASS0・ASSAエラーは請求額集計欄の金額計算誤りだけでなく、給付費明細欄のサービスコードに対する単位数の誤りや回数と単位数の掛け算誤りなどがあります。計算誤りだけではなく、記載誤りのある項目を確認のうえ再請求してください。

参考:返戻に関するよくある問い合わせ|岐阜県国民健康保険団体連合会

返戻の際の再請求の仕方

提出書類に不備があると返戻となり、請求月の翌月上旬に 「請求明細・給付管理票返戻(保留)一覧表」 が届きます。この一覧表には、不備の内容が記載されているため、内容を確認し、訂正したうえで請求明細書などの書類を再提出しましょう。再提出は翌月以降に行い、その月の請求書類と合わせて 1日から10日までに提出します。なお、返戻後の対応は地域によって異なる場合があるため、事前に管轄の国保連合会のサイトを確認しておきましょう。

介護保険請求業務で返戻を減らすには?

介護保険請求の返戻がされると、請求分の審査が行われず、支払いが次回以降に持ち越されます。その場合事業所の資金繰りに影響したり、請求の再申請を行うために追加の事務作業が発生し、介護職員の負担になります。安定した事業所運営のためにも、できるだけ返戻がされないようにミスのないレセプト業務を行うことが重要です。

介護保険請求業務のミスを減らすためには、以下の対策が有効です。

ケアマネジャーとサービス提供事業所の適切な連携

給付管理票と介護給付費明細書の内容に差異が生じないよう、定期的に情報を共有し、確認作業を徹底します。

ダブルチェック体制の構築

請求業務における転記ミスを防ぐため、複数のスタッフによるダブルチェックを導入し、正確性を高めます。

介護ソフトの活用

記録と請求データが連動する介護ソフトを導入することで、記録から実績への転記が不要になり、転記ミスがなくなります。また、自動計算機能やアラート機能など、請求ミスを防ぐための機能が搭載されています。

 

以上の対策を行うことで、ミスを防ぎ、介護保険請求業務をより正確に進めることが可能です。

介護保険請求の返戻にお困りなら介護ソフトがおすすめ

介護ソフト導入のメリット

介護保険請求の際のミスを防ぐには介護ソフトの導入が効果的です。国保連請求の伝送機能の付いた介護ソフトを導入するメリットは以下の通りです。

入力ミスの防止
必須項目の入力チェック機能が備わっており、記載漏れや入力ミスを防ぎます。
エラーの解決
入力エラーが発生した際、分類コード、備考のエラーコード、審査増減単位数通知書の内容をクリックするとQ&Aサポートが理由を解説します。
転記ミスの防止
記録と実績が連携していることで、簡単に1立てが完了。転記作業が必要ないので、転記ミスも無くなり、効率化にもなります。
また、サービス提供実績から介護給付費明細書と請求書を作成する作業も転記不要で簡単に行えます。
基本情報の一元化
利用者情報や事業所情報を一元管理できるため、書類作成の度に手打ちする手間が不要。入力ミスも防ぐことができます。

まとめ:返戻の場合はエラーコードを確認して再請求を行いましょう

介護報酬請求に不備がある場合、返戻となり、書類を再提出する必要があります。返戻の理由はさまざまで、送付される「請求明細書・給付管理票返戻(保留)一覧表」に記載されたエラーコードで確認できます。

特に、利用者の要介護度の変更事業所の体制変更のタイミングでは、返戻が発生しやすくなります。そのため、利用者の状態や業務の変化があった際は、請求内容に十分注意することが重要です。また、安定した事業所運営のためにはミスを最小限に抑えるための対策を行うことも重要です。ケアマネジャーとの連携やタブルチェック体制の構築、介護ソフトの活用などの対策を行うようにしましょう。

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エラーが出た場合も、事由の分類コード、備考のエラーコード、審査増減単位数通知書の内容をクリックするとQ&Aサポートが理由を解説します。繋がりやすい電話サポートもあるため、困った時はいつでも問い合わせていただけます。

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