介護の基礎知識
デイサービス(通所介護)の生活相談員の資格要件|ケアマネとの違いとは?
- 公開日:2025年12月17日
- 更新日:2025年12月17日
デイサービス(通所介護)に欠かせない職種のひとつが「生活相談員」です。利用者や家族からの相談対応や関係機関との連絡・調整を担い、利用者やご家族、ケアマネジャー、事業所内の職員をつなぐ“調整役”として、現場の要となる存在でもあります。
本ブログでは、デイサービスの生活相談員の役割や仕事内容、生活相談員と認められるための資格要件、ケアマネジャーとの違いなどを詳しく解説していきます。
デイサービスの生活相談員とは
生活相談員とは、デイサービスにおいて利用者・家族・ケアマネジャー・事業所職員をつなぐ調整役を担う職種です。利用相談や契約、関係機関との連携、苦情対応などを通じて、適切なサービス提供が行われるよう支援します。介護職員のように常に直接介助に入るわけではありませんが、現場の状況と制度の両方を理解し、運営と利用者支援の橋渡しを行う役割を担う点が、生活相談員の大きな特徴です。
生活相談員の役割や仕事内容とは?
生活相談員の役割や仕事内容は、一般的には介護保険法に基づいて定められており、法令を踏まえた対応が求められる職種です。一方で、実際の現場では業務範囲が明確に線引きされていないことも多く、幅広い業務を担うケースも少なくありません。
具体的な業務内容や職務範囲は、勤務する事業所の規模や運営方針、提供しているサービスの特性によって大きく異なります。そのため、生活相談員として働く際には、自分の職場で求められる役割や業務内容を事前にしっかり確認することが重要です。
以下では、デイサービスにおける一般的な生活相談員の役割や仕事内容について解説します。
利用者本人・家族への相談援助
利用者や家族との面接を通じて、生活状況や心身の状態、希望や不安を丁寧に聞き取り、ニーズを把握します。収集した情報は、利用者にとって最適な介護サービスの提案や支援内容の検討に活かされます。
利用者の受け入れ・更新に伴う契約手続き
デイサービス利用に関する相談を受け、自宅訪問などを行いながら具体的な課題や要望を把握します。そのうえで、契約内容や重要事項について説明し、利用者・家族から同意を得ます。
他職種との連絡・調整
サービス担当者会議や事業所内の連携会議に参加し、ケアマネジャーや介護職、看護職など多職種と情報共有を行います。利用者の状況やニーズを適切に伝え、職員間の意見調整を行いながら、より良いケアの提供につなげます。
通所介護計画書などの書類作成
利用者の状態やニーズを評価・アセスメントし、その結果をもとに通所介護計画書の原案を作成します。計画書の内容は利用者・家族に説明し、同意を得たうえで関係機関や職員間で共有します。また、個別目標の管理や計画書の変更・更新を行い、利用者の状態変化に柔軟に対応します。
モニタリング関連業務
カンファレンスや定期的な評価を通じて、ケアプランや個別目標の達成状況を確認し、課題を整理します。モニタリング報告書を作成し、関係機関と共有することで、サービスの質の向上や支援内容の見直しにつなげます。
地域関係機関との連絡・調整
地域ケア会議への参加や地域貢献事業の企画・運営、事業所の広報活動などを行います。地域の関係機関と情報交換を行いながら、地域包括ケアシステムの一員として連携を深めていく役割も担います。
ボランティアの受け入れ対応
ボランティアの募集・受付から、オリエンテーションの実施、活動後のモニタリングまでを担当します。活動内容の説明やルールの共有を行い、安心して活動できる環境づくりを支援します。
介護請求業務
基本情報や実績の入力、介護給付費明細書の作成、返戻・過誤請求の確認、国保連合会への伝送業務などを行います。あわせて、利用者への請求書作成や入金確認、領収書の発行なども担当し、事業所運営を支えます。
個別機能訓練計画書の作成
機能訓練指導員を兼務している場合には、個別機能訓練計画書の作成を行うこともあります。利用者の身体機能の維持・向上を目的とした計画づくりに関与します。
生活相談員と認められるための要件
厚生労働省令第46号(平成11年3月31日)の「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準」によると、生活相談員と認められるための要件は以下の通りです。
- 社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者
- これと同等以上の能力を有する者
「社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者」については以下のように規定されています。
1.大学又は専門学校で厚生労働大臣の指定する社会福祉に関する科目を修めて卒業した者
2.厚生労働大臣指定養成機関又は講習会の修了者
3.社会福祉士
4.厚生労働大臣指定資格合格者
5.同等以上の者として厚生労働省令で定めるもの
「同等以上の者として厚生労働省令で定めるもの」については「社会福祉法施行規則第1条の2」で以下のように規定されています。
1.精神保健福祉士
2.大学において法第19条第1項第1号に規定する厚生労働大臣の指定する社会福祉に関する科目を修めて、大学院への入学を認められた者
生活相談員の資格要件
上記の内容から、少なくとも「社会福祉士」「精神保健福祉士」の資格があれば生活相談員として認められることとなります。また、社会福祉法第19条によると、「厚生労働大臣の指定する社会福祉に関する科目を修めて卒業した者」は社会福祉主事任用資格が与えられるため、以下のいずれかの資格があれば生活相談員として認められるといえます。
- 社会福祉主事任用資格
- 社会福祉士
- 精神保健福祉士
それぞれの資格については以下にて詳しく解説します。
社会福祉主事任用資格
社会福祉主事とは、福祉事務所現業員として働く際に必要となる資格(任用資格)となり、社会福祉施設職員等の資格に準用されています。社会福祉主事任用資格の取得方法は以下の通りです。
- 社会福祉に関する科目を3科目以上修め、大学等を卒業する
- 指定の学校の通信課程で1年間学習する
- 指定の養成機関で22科目(1,500時間)を修了する
- 都道府県講習会において19科目(279時間)を履修する
- 社会福祉士・精神保健福祉士等の資格を取得する
社会福祉主事は通信課程の修了や通学を行うことで取得できますが、実際に介護施設で働いているといった要件が定められている場合もあります。
社会福祉士
社会福祉士は、身体上もしくは精神上の障害がある方や環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある方から相談を受け、必要な助言や指導を行います。
また、福祉サービスの紹介や調整を行ったり、医師や医療機関、介護・福祉関係者と連携しながら、安心して生活を続けられるようサポートすることが社会福祉士の主な役割です。
社会福祉士になるためには、決められた受験資格を満たしたうえで国家試験に合格し、登録を行う必要があります。厚生労働省の第36回社会福祉士国家試験合格発表によると、2024年の社会福祉士国家試験の合格率は、58.1%でした。近年は比較的合格率が高いものの、合格率が30%を切る年もあります。社会福祉士は、取得難易度が高い資格といえるでしょう。国家試験では、社会福祉士として働くために必要な知識や考え方について、筆記試験で確認されます。
精神保健福祉士
精神保健福祉士とは、精神障がいのある方や、心の健康に関する課題を抱える方を専門的に支援する国家資格の専門職です。精神科病院などの医療機関や、社会復帰を目的とした施設を利用している方に対し、地域で生活するための相談支援や、社会復帰に関する相談対応を行います。
精神保健福祉士になるには、定められた受験資格を満たしたうえで国家試験に合格し、登録を行う必要があります。国家試験では、精神保健福祉士として業務を行うために必要な知識や技能について、筆記試験で確認されます。
厚生労働省の「第26回精神保健福祉士国家試験合格結果を公表します」によると、2024年に行われた精神保健福祉士国家試験の合格率は70.4%でした。精神保健福祉士国家試験の合格率は60%を超えている年が多く、社会福祉士と比較すると合格率が高いため、比較的取得しやすい資格といえます。
デイサービスの生活相談員になるには「社会福祉主事任用資格」「社会福祉士」「精神保健福祉士」ただし、他の資格も要件として認められる可能性があります。厚生労働省令では、正確に生活相談員の資格要件を定めていません。資格要件については以下のように規定されています。
1.学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学、旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)に基づく大学、旧高等学校令(大正七年勅令第三百八十九号)に基づく高等学校又は旧専門学校令(明治三十六年勅令第六十一号)に基づく専門学校において、厚生労働大臣の指定する社会福祉に関する科目を修めて卒業した者(当該科目を修めて同法に基づく専門職大学の前期課程を修了した者を含む。)
2.都道府県知事の指定する養成機関又は講習会の課程を修了した者
3.社会福祉士
4.厚生労働大臣の指定する社会福祉事業従事者試験に合格した者
5.前各号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認められる者として厚生労働省令で定めるもの
さらに5.に記載のある、「厚生労働省令で定めるもの」については以下のように定められています。
1.精神保健福祉士
2.学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学において、法第十九条第一項第一号に規定する厚生労働大臣の指定する社会福祉に関する科目を修めて、学校教育法第百二条第二項の規定により大学院への入学を認められた者
つまり、上記の厚生労働省令を満たしていれば、生活相談員の資格要件を満たすことになります。以下の資格も自治体によっては生活相談員の資格要件を満たす場合があるのでご参考にしてください。
- 介護支援専門員
- 介護福祉士
- 保育士
自治体ごとの「同等以上の能力を有すると認められる者」の条件
自治体によって資格要件が異なる要因は「同等以上の能力を有すると認められる者」の部分です。「同等以上の能力を有すると認められる者」について、各自治体は以下のように規定しています。
東京都
- 介護支援専門員
- 特別養護老人ホームにおいて、介護の提供に係る計画の作成に関し、1年以上(勤務日数180日以上)の実務経験を有する者
- 老人福祉施設の施設長経験者
- 通所介護事業所、通所リハビリテーション 事業所、短期入所生活介護事業所、短期入所 療養介護事業所、特定施設入居者生活介護 (外部サービス利用型を除く)の特定施設、 地域密着型通所介護事業所、認知症対応型通 所介護事業所、小規模多機能型居宅介護事業 所(訪問サービスに係る実務経験は除く)、 認知症対応型共同生活介護事業所、地域密着 型特定施設入居者生活介護の地域密着型特 定施設、地域密着型介護老人福祉施設、介護 老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養 型医療施設及び介護予防・日常生活支援総合 事業における通所型サービスにおいて、当該 事業所又は施設における介護に関する実務 経験が通算で1年以上(勤務日数180日以 上)あり、介護福祉士の資格を有する者
大阪府
- 社会福祉主事
- 社会福祉士
- 精神保健福祉士
- 介護福祉士
- 介護支援専門員
愛知県
- 社会福祉主事
- 社会福祉主事任用資格
- 社会福祉士
- 精神保健福祉士
- 介護福祉士
- 介護支援専門員として都道府県の登録を受けた者
- 保育士
- その他、保健・医療・福祉に係る資格又は実務経験から同等の能力を有すると知事が認める者
上記のように生活相談員の資格要件は自治体によって異なります。
東京都のように「特別養護老人ホームにおいて、介護の提供に係る計画の作成に関し、1年以上(勤務日数180日以上)の実務経験を有する者」という要件があることから、自治体によっては実務経験のみで条件を満たせる場合もあります。
生活相談員とケアマネジャーの違い
生活相談員とケアマネジャーは、いずれも利用者や家族の相談に対応し、安心して介護サービスを利用できるよう支援する立場にあります。そのため、業務内容が似ていると感じられることも少なくありません。しかし、両者は役割や立ち位置が異なる職種です。
生活相談員は、利用者や家族からの相談対応を中心に、契約手続きや各種書類作成、関係機関との連絡調整などを行います。事業所の窓口として、日常的な支援を担う存在です。
一方、ケアマネジャーは、利用者の心身状況や生活環境を踏まえてケアプランを作成し、必要な介護サービスの組み合わせや利用調整を行う専門職です。サービス全体を設計し、継続的に見直す役割を担います。
このように、生活相談員は「事業所内で利用者を支える役割」、ケアマネジャーは「介護サービス全体を計画・調整する役割」として、それぞれ異なる立場から利用者を支援しています。
違いを整理するため、以下の表にまとめましたので参考にしてください。
| 生活相談員 | ケアマネジャー | |
|---|---|---|
| 名称 |
・生活相談員 ・ソーシャルワーカー |
・ケアマネ ・ケアマネジャー ・介護支援専門員 |
| 資格 | 社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者 これと同等以上の能力を有する者 | 介護支援専門員 |
| 仕事内容 | 利用者本人・家族への相談援助、利用者の受け入れ・更新に伴う契約手続き、他職種との連絡・調整、通所介護計画書などの原案作成、モニタリング関連業務、地域関係機関との連絡・調整、ボランティアの受け入れ対応、介護請求業務、個別機能訓練計画書の作成など | ケアプラン作成、介護サービスの組み合わせや利用調整 |
通所介護(デイサービス)における生活相談員の配置基準
生活相談員の人員基準は「事業所ごとにサービス提供時間に応じて専従で1以上(常勤換算方式)」とされています。また、生活相談員の勤務時間数としてサービス担当者会議、地域ケア会議等も含めることが可能です。
配置基準の計算は以下のとおりです。
(サービス提供日ごとに確保すべき勤務延時間)≧(サービス提供時間)
「サービス提供日ごとに」という点が生活相談員の配置のポイントになります。
また、生活相談員を配置する際には以下の点に注意しましょう。
- 営業日の配置…営業日は毎日配置する必要がある
- 通勤時間の計算…計算の際は、サービス提供時間中の勤務時間のみを算入する
- 常勤職員の必要性…生活相談員または介護職員の内1人以上は常勤職員が必要
- 勤務時間の制限…1人の生活相談員の勤務時間は、原則として週40時間まで
上記は一般的な生活相談員の配置基準ですが、市町村によって細かな基準が異なることもあるため、各自治体に確認するようにしましょう。
生活相談員が兼務できる職種
生活相談員は、事業所の体制や人員配置の状況によって、他の職種を兼務するケースも少なくありません。特に小規模デイサービスでは、業務の効率化や利用者の状況把握を目的として、兼務体制が取られることがあります。
ただし、兼務の可否や条件は、運営方針、自治体の指定基準によって異なります。あくまで一般的な例として、参考にしてください。
介護職員
生活相談員は、介護職員との兼務が可能です。介護職員は、利用者と直接関わり、食事・入浴・排せつなどの日常生活の介助や、レクリエーションの支援を行います。基本的には、無資格・未経験からでも始められる職種です。人員確保や、利用者の様子をより深く把握する目的で、生活相談員が介護職員を兼務する事業所もあります。
ケアマネジャー(介護支援専門員)
業務に支障がなく、利用者支援に影響が出ない範囲であれば、生活相談員とケアマネジャーを兼務できる場合があります。なお、ケアマネジャーとして従事するには、介護支援専門員の資格取得が必要です。
管理者
生活相談員は、要件を満たしていれば管理者を兼務することも可能です。管理者は、施設の運営全般や職員のマネジメントなどを担う職種です。デイサービスでは、特定の資格要件が設けられていないケースが多く、生活相談員が兼務しやすい傾向にあります。
看護職員
看護師または准看護師の資格を持ち、かつ生活相談員の配置要件を満たしていれば、兼務が可能です。介護施設における看護職員は、利用者の健康管理や医療的ケアを担う役割があり、医療面と相談業務を兼ねる体制が取られることもあります。
機能訓練指導員
生活相談員と機能訓練指導員も、双方の要件を満たしていれば兼務が可能です。
機能訓練指導員の主な資格要件には、以下があります。
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士
- 看護師・准看護師
- 柔道整復師
- あん摩マッサージ指圧師
- 一定の実務経験を有するはり師・きゅう師
ただし、兼務することで機能訓練加算などの算定ができなくなる場合があります。
必ず自治体の指定基準や算定要件を確認しましょう。
生活相談員が他職種を兼務する場合は、それぞれの職種に定められた配置基準をすべて満たす必要があります。また、業務過多によって利用者支援の質が低下しないよう、役割分担や業務量の調整も重要です。
まとめ
デイサービス(通所介護)における生活相談員は、利用者や家族の相談対応から、契約・調整業務、多職種連携までを担う重要な職種です。配置にあたっては、社会福祉士や精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格など、介護保険制度で定められた資格要件を満たす必要があり、自治体ごとの指定基準を確認することが欠かせません。
また、生活相談員とケアマネジャーは、どちらも利用者支援に関わる職種であるため混同されやすいものの、役割や立ち位置は大きく異なります。生活相談員は介護サービス事業所の一員として、日常的な相談対応や事業所内外の調整を行うのに対し、ケアマネジャーは介護サービス全体を設計するケアプラン作成の専門職です。両者の違いや役割を正しく理解することで、適切な人員配置や業務分担につながります。
デイサービス運営においては、資格要件・業務内容・他職種との役割の違いを整理したうえで、無理のない体制づくりを行うことが重要です。