介護の基礎知識
介護のケアカンファレンスとは?目的や進め方、ポイントを解説
- 公開日:2025年08月27日
- 更新日:2025年08月27日

介護現場では、利用者一人ひとりの生活の質を向上させるために、多職種が協力して支援方針を検討することが欠かせません。その場として行われるのが「ケアカンファレンス」です。ケアカンファレンスでは、介護職や看護職、リハビリ職、ケアマネジャーなどが一堂に会し、利用者の現状や課題を共有しながら、最適なケアプランを作り上げます。しかし、ただ会議を開くだけでは十分な効果は得られません。事前準備の方法や議論の進め方、具体的なポイントを押さえることで、より有意義な会議にすることができます。本記事では、介護の現場で行われるケアカンファレンスの目的や進め方、実践的なポイントを詳しく解説します。
ケアカンファレンスとは?
ケアカンファレンスとは、介護や医療の現場で、利用者に関わる多職種(ケアマネジャー、介護職員、看護師、リハビリ職、医師、栄養士など)が集まり、支援内容や方針について話し合う会議のことです。目的は、利用者の状態や生活環境を共有し、今後のケア方針をより適切なものにしていくことです。
ケアカンファレンスは「サービス担当者会議」とは異なる
「ケアカンファレンス」と「サービス担当者会議」はどちらも他業種が集まって開催される会議のため混同されやすいですが、それぞれ目的が異なります。「サービス担当者会議」は介護保険制度においてケアプラン作成時や変更時に必ず開催が求められている会議となり、ケアプラン案を利用者や家族、関係事業者と共有したり、サービス内容・回数・担当事業所を確認することが目的です。「ケアカンファレンス」は法律で義務付けられているものではなく、より実務的かつ柔軟に行われる話し合いの場で、施設ごとに自発的に行う会議です。ひと言で表すと「現場での質向上のためのミーティング」と言えます。
ケアカンファレンスの目的

ケアカンファレンスの目的は以下の通りです。
1. 他職種との意見交換
介護はケアマネジャー、訪問介護員、看護師、リハビリ職、医師、栄養士など、多くの専門職が関わって成り立っています。ケアカンファレンスは、この多職種が一堂に会し、情報や意見を交換できる貴重な場です。
例えば、訪問介護員が「最近食欲が落ちている」と報告したことをきっかけに、栄養士が食事内容を見直し、看護師が健康チェックを強化するなど、職種を超えた連携が可能になります。日常業務の中ではなかなか顔を合わせる機会がない職種同士でも、カンファレンスを通じて直接話し合うことで、連携のスピードと精度が大きく向上します。
2. ケアサービスの品質向上
ケアカンファレンスの大きな役割は、現行サービスの「質」を高めることです。単にサービスを続けるだけではなく、常に利用者の状況に合わせて内容を改善していく必要があります。
例えば、利用者の足腰が弱くなってきた場合、リハビリ回数の増加や住宅改修の提案が出るかもしれません。逆に、体調が安定している場合は、サービス頻度を見直して自立支援を促す方向にシフトすることもあります。こうした改善案は、介護職だけでなく医療や福祉の視点を交えて検討することで、より効果的で安全なサービスへと進化します。
3. 介護スタッフの育成
ケアカンファレンスは、単なる会議にとどまらず、現場の学びの場としての役割も果たします。経験豊富なスタッフが具体的な支援方法や観察ポイントを共有することで、若手スタッフや経験の浅い職員のスキルアップにつながります。
例えば、利用者の転倒リスクをどのように見極めるか、入浴介助時に安全を確保するための工夫など、日常業務の中では学びにくいノウハウを直接吸収できます。また、他職種からの助言を受けることで、介護職員が医療面や栄養面の知識を広げられるのも大きなメリットです。
ケアカンファレンスの進め方

ケアカンファレンスは、事前準備から振り返りまでの流れをしっかり整えることで、より建設的な会議を行うことができます。ここでは、3つのステップで進め方を解説します。
1. 適切な資料の準備
参加者全員が同じ情報をもとに意見を交わせるよう、主催者が議題に合わせて必要な資料を事前に揃えておくことが重要です。準備物の例は以下の通りです。
- 最新のケアプラン
- サービス利用状況(利用回数・実施内容)
- 利用者の心身状態の記録(バイタル、ADLの変化など)
- 家族からの聞き取りメモ
- 事故やヒヤリハット報告
- 写真や動画(住宅環境や動作の様子が分かるもの)
資料は事前に配布できる場合は配布し、事前確認をしてもらうことで、会議中の説明に時間を取られることなく、本題である課題分析や改善策の議論に集中できるとともに、各職種が具体的な提案を持ち寄ることができます。
また、前回のカンファレンスからの変化がわかる数値やデータを用意しておき、カンファレンスにて結果を振り返ることも重要です。
2. 議論を行う
ケアカンファレンスでの話し合いの際には、まず議題を明確にし、参加者が意見を出し合いましょう。カンファレンス当日は、時間配分と進行を意識して議論を進めます。
- 前回の振り返り:前回のカンファレンスからの変化を報告
- 現状報告:ケアマネジャーまたは担当職員が利用者の現状を説明
- 議題の共有:課題や懸念点を発表
- 意見交換:課題解決に向けた具体的な提案を出し合う
- 方向性の決定:サービス内容の変更や新たな支援方法を合意
ここで重要なのは、「批判より建設的な提案」を重視することです。発言しやすい雰囲気を作ることで、より多様で実用的な意見が集まります。
3. 振り返りと改善点の実施
カンファレンス後は、決定事項を速やかに文書化し、関係者に共有します。さらに、改善策を具体的にどのように実施するかを検討しましょう。その際、誰が何をいつまでに行うのかを明確にすることが重要です。また、実施後は効果を確認する振り返りの場を持つことが大切です。
振り返りのポイント
- 実施した改善策が利用者の生活にどう影響したか
- 想定通りにいかなかった点は何か
- 次回に向けての改善策はあるか
こうした「PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)」を回すことで、ケアの質は着実に向上します。以上の3ステップを徹底することで、ケアカンファレンスは単なる形式的な会議ではなく、利用者の暮らしを変える行動計画づくりの場になります。
ケアカンファレンスの議事録の書き方のポイント

より正確で活用しやすいケアカンファレンスの議事録を作るためには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。ここでは、特に重要な3つのポイントを詳しく解説します。
5W1Hを明確にする
議事録には、「誰が」「いつ」「どこで」「何を」「なぜ」「どのように」を明確に書くことが重要です。
- Who(誰が):発言者の名前や職種を明記することで、意見の出どころが分かります。
- When(いつ):会議の日時、または決定事項の実施時期を記載します。
- Where(どこで):会議場所や利用者宅の環境情報も必要に応じて書くと、状況の理解が深まります。
- What(何を):話し合った内容や決定事項を具体的に記録します。
- Why(なぜ):その議題や意見が必要になった背景や理由を簡潔に補足します。
- How(どのように):実施方法や手順、担当者、期限などを明記し、次の行動につなげます。
5W1Hを意識することで、議事録は「読むだけで状況が理解できる」資料となり、関係者間の情報共有がスムーズになります。
内容を簡潔にまとめる
議事録は、発言そのままを書き写すのではなく、要点を整理することが重要です。簡潔にまとめることで、議事録は実務で活用しやすくなり、必要な情報をすぐに取り出せます。
- 主観的な表現は避け、客観的に記録する
- 長文でダラダラ書かず、箇条書きや短い文章でまとめる
- 「課題」「提案」「決定事項」の順で整理すると、後から確認しやすい
構成・テンプレートを活用
議事録は毎回ゼロから作ると時間がかかり、記載漏れの原因になります。そこで、あらかじめ決まった構成やテンプレートを使うことがおすすめです。
<基本構成の例>
- 会議名・日時・場所・出席者
- 利用者の現状報告
- 各職種の意見・提案
- 課題整理
- 決定事項・実施計画
- 次回開催予定
テンプレートを使うことで、書き方が統一され、誰が作っても分かりやすい議事録になり、会議後の情報共有や振り返りが効率的に行えます。また、項目に沿って書くことで記載漏れを防ぎ、必要な情報を網羅した議事録を作成することができます。テンプレートはExcelやWordで作成しておくと、毎回すぐに入力できるため、議事録作成の負担も軽減されます。
有意義なケアカンファレンスを行うポイント
ケアカンファレンスは、多職種が集まって利用者の支援方針を話し合う場ですが、形式だけで終わらせず、有意義な議論につなげることが大切です。以下では、具体的に意識すべきポイントを解説します。
事前に資料を確認しておく

事前に資料を用意するだけでなく、参加者全員が資料を確認しておくことも重要です。会議当日に初めて目を通す状況では、理解に時間がかかり、議論のスピードが落ちてしまいます。事前確認を促すことで、各職種は具体的な質問や提案を事前に考えておくことができ、会議中に深い意見交換が可能になります。また、資料を確認することで利用者の状態や家族の要望を正確に把握でき、実践的な改善策につなげやすくなります。
参加者全員が発言しやすい雰囲気を作る
会議の場では、職種による発言の偏りを防ぐことが重要です。経験豊富なスタッフだけが意見を述べる状態では、新しい視点や気づきが生まれにくくなります。そのため、ファシリテーター役のケアマネジャーは、発言の順番や時間配分を工夫し、全員が安心して意見を出せる雰囲気を作ることが求められます。質問形式で意見を引き出したり、利用者や家族の立場を想像させる発言を促すことで、多職種間の建設的な議論が進み、会議全体の価値が高まります。
課題を具体的に整理し、改善策につなげる
有意義なケアカンファレンスでは、単に課題を共有するだけでなく、具体的な改善策につなげることが不可欠です。利用者の状態や生活環境の変化に応じて、どのサービスをどのように調整すべきか、誰がいつまでに行動するかを明確にして記録します。例えば、入浴時の転倒リスクが懸念される場合は、訪問介護員の対応方法や回数を見直すだけでなく、リハビリ職や看護師の視点も取り入れた総合的な対応策を決定します。このプロセスを通して、議事録に書き残された改善策は、次のアクションへと確実につながります。
実際のケア経験や具体例を交えて話す

ケアカンファレンスでは、単に理論的な意見だけでなく、実際にケアに関わる中で気づいた点や改善提案を具体例とともに共有することが非常に有効です。例えば、入浴介助の際に利用者が特定の動作でつまずきやすいことに気づいた場合、その具体的な状況や改善策を共有すると、他職種も同じ課題を把握でき、実践的な対応策を検討しやすくなります。こうした具体例は、抽象的な議論に比べて理解が早く、会議の成果をより現場に反映させやすくします。
担当利用者以外の情報もメモする
カンファレンスで話される内容の中には、自分が直接担当していない利用者に関する情報も含まれることがあります。担当利用者以外の情報もメモしておくことで、チーム全体での利用者理解が深まり、後の支援に活かせます。また、他職種の視点や対応方法を知ることで、自身のケアの幅を広げる学びにもなります。こうした情報を議事録や個人メモとして残す習慣を持つことは、チーム全体の質の向上にもつながります。
ケアカンファレンスの効率化には介護ソフトがおすすめ

ケアカンファレンスにおける事前の資料作成は重要な半面、負担が大きい作業でもあります。介護ソフトでは資料があらかじめデータ化されているため、集計やグラフ作成を行わなくてもそのまま活用できます。
介護ソフトのトリケアトプスでは、介護記録を作成することで自動でバイタルグラフや食事チェック一覧、口腔・機能訓練・送迎一覧や時間帯別の排泄、水分摂取を出力することができ、ケアカンファレンスの資料に活用することができます。
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まとめ
ケアカンファレンスは、利用者の生活に直結する支援方針を多職種で共有し、改善策を具体化するための重要な場です。事前に資料を準備・確認し、参加者全員が発言しやすい雰囲気を作ること、実際のケア経験や具体例を交えて課題を整理すること、担当利用者以外の情報も把握することなどを意識することで、会議の質は大きく向上します。
また、議事録を作成し振り返りを行うことで、決定事項を確実に実践に反映させ、チーム全体のケアの質を継続的に高めることが可能です。これらのポイントを押さえてケアカンファレンスを実施すれば、より有意義で実践的な会議となり、利用者一人ひとりに寄り添ったケアを提供する力が高まります。