無料体験お申込み 資料請求・お問い合わせ

介護の基礎知識

介護保険請求の過誤申立の流れを解説|未然に防ぐための対策とは?

  • 公開日:2025年07月03日
  • 更新日:2025年07月03日

介護保険請求において避けて通れないのが「過誤(かご)」の対応です。「請求した内容に間違いがあった」「実際には提供していないサービスだった」──そんなときに必要なのが「過誤申立て」という手続きです。

過誤が発生すると、再請求が必要になったり、報酬の支払いが1ヶ月以上遅れてしまうこともあり、事務負担や資金繰りに大きな影響を及ぼします。介護サービス事業所は正しい流れとリスクを理解しておくことが重要です。

このブログでは、「過誤申立て」の基本的な流れから、同月過誤と通常過誤の違い、よくある誤りの例、そして過誤を未然に防ぐための対策までを、実務に沿ってわかりやすく解説します。

介護保険請求における「過誤」とは?

介護保険の請求業務において、避けて通れないのが「過誤(かご)」という手続きです。現場では「過誤申立て」や「過誤処理」といった言葉で使われることも多く、特に事務担当者や管理者にとっては、日々の業務で頻出するキーワードのひとつと言えるでしょう。

介護保険制度における「過誤」とは、国保連(国民健康保険団体連合会)に提出した介護給付費請求の内容に誤りがあった場合の訂正手続きのことです。内容に誤りがあるまま国保連に請求が通ってしまうと、そのままでは正確な給付管理ができません。そのため、いったん請求を取り下げて、正しい内容で再請求することを「過誤処理」といいます。

過誤が必要になるケース

たとえば、以下のような状況が発生した際に、過誤の手続きを行います。

  • 実際には提供していなかったサービスを誤って請求してしまった
  • 提供年月日を間違えていた
  • 単位数や回数を誤入力していた
  • 保険者・事業所共に利用者の負担割合が誤っていた
  • サービス提供日をずらしたつもりが、元の日付で請求してしまった
  • サービスをキャンセルしたのに、請求データに残っていた
  • 保険者・事業所共に利用者の資格が失効した状態(転居・死亡など)で請求してしまった

「過誤」と「返戻」「保留」の違いとは

「過誤」とよく似た言葉に、「返戻」や「保留」がありますが、それぞれ別の意味になります。以下では「返戻」「保留」とは何かを解説します。

返戻

返戻とは、一度請求を送った後に、保険者や審査機関から請求内容に不備や誤りがあるとして差し戻されることを指します。返戻になると、再度請求内容を修正・確認してから再請求しなければなりません。返戻は、請求情報の不一致や記載ミス、サービス提供実績の不足などが原因で起こることが多いです。

「過誤」は誤った内容で申請してしまい、取り下げることですが、「返戻」は請求内容に不備があり差し戻されることをいいます。

返戻について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
介護保険請求の返戻とは?再請求のやり方やエラーコード

保留

「保留」とは、国保連に提出した請求データに一部不明点や確認が必要な点があった場合に、支払いが一時的に留保され、国保連から市区町村へ確認が回される状態のことです。つまり、「明らかに間違いがある」とまでは判断されなかったものの、「このまま支払っていいか確認中」といった扱いになります。

保留になった場合は基本的には、事業所側での積極的な再請求や修正は不要です。

介護報酬の過誤申立ての流れ

請求して入金された介護報酬に誤りが見つかった場合、保険者である市町村に過誤申立てを行い、正しい金額で再請求します。詳しい流れは以下の通りです。

① 事業所が保険者(市区町村)へ過誤申立てを行う

請求後に誤りが判明した場合、まずは介護サービスを提供した事業所が、保険者に対して「過誤申立書」を提出します。保険者によって異なりますが、書類は保険者のホームページなどにあるため、ダウンロードして記入します。「○月○日の訪問介護を請求したが、実際には提供していなかった」のように、申立書には、「いつ、どのような誤りがあったのか」といった具体的な情報を記載します。「気づいた時点で早めに申請」することが、支払いの遅れを防ぐために重要です。

② 保険者が国保連合会へ過誤のデータを送信する

申立書を受け取った保険者(市区町村)は、内容を確認したうえで、過誤処理の依頼データを国保連に送信します。毎月16日頃に送信を行うため、それ以降に事業所が過誤申立てを行っても、その月の受付は終了しているため翌月のデータ送信となります。

③ 国保連合会において過誤の決定を行い、事業所と保険者へ通知する

国保連合会は、送られてきた過誤情報に基づいて、該当する請求の取り消し(支払保留)処理を行います。過誤決定後、以下の書類が届きます。

  • 事業所向け:過誤決定通知書
  • 保険者向け:過誤決定報告

④ 過誤決定通知を受けた事業所が正しい請求を行う

通知を受け取ったら、事業所は正しい内容で請求データを作成し、原則翌月以降の請求で再提出します。事業所が請求を忘れてしまうと正しい請求分の介護報酬は支払われないため注意が必要です。

⑤ 国保連合会で再審査を行い、事業所へ介護報酬が支払われる

正しい内容で再提出された請求は、国保連で通常どおり審査され、問題がなければ翌月の支払いに含まれて報酬が支払われます。

過誤の種類

過誤の手続きには、通常過誤と同月過誤の2種類があります。

通常過誤

「通常過誤(つうじょうかご)」とは、請求を行った月の翌月以降に、誤りが見つかって過誤申立てを行うことです。請求の支払い処理がすでに確定しているため、いったん該当の請求を取り消して、翌月以降の請求で正しい内容を提出して再請求を行う必要があります。たとえば、5月に請求を行い、6月に誤りに気づいた場合は、6月に通常過誤として申立てを行い、7月以降に再請求を行う、という流れになります。

支払いが1ヶ月以上遅れることがあるため、事業所の資金繰りに影響する可能性がある点は注意が必要です。

同月過誤

同月過誤とは、介護給付費の請求を行った“その同じ月のうち”に、過誤申立てを行うことをいいます。たとえば、5月10日に国保連へ請求を行い、その月の15日までに請求ミスに気づいて過誤を申請する場合、それは「同月過誤」に該当します。同月過誤が認められれば、一度取り消した請求を、月をまたがずに再提出できる可能性があるため、事業所としては支払いの遅延を最小限に抑えることができます。

ここで注意したいのが、「月内であればいつでも同月過誤ができるわけではない」という点です。なぜなら、国保連では毎月16日頃から支払い処理がスタートするため、介護報酬が支払われる前であっても、支払い処理以降の申立ては同月扱いにならないためです。同月過誤としたい場合は10日頃までを目安に過誤申立てを行います。同月処理となるか確認したい場合は、同月処理ができるかどうか、自治体に事前確認するようにしましょう。

誤りがあったのに過誤を行わなかった場合はどうなる?

介護保険請求で誤りが発覚した場合、基本的には「過誤申立て」によって訂正する必要があります。では、明らかに誤りがあるにもかかわらず、事業所が過誤を行わなかった場合、どのような影響があるのでしょうか?

実は、「気づかなかったふり」でやり過ごすのは、後々大きなリスクを招く可能性があります。

1. 実地指導や監査で指摘されるリスク

介護保険サービスは、後日行われる「実地指導」や「監査」で、サービス提供記録や請求内容が細かく確認されます。もし記録と請求が食い違っていた場合、不正請求または返還対象として扱われる可能性があります。

この場合、事後的に返金命令や加算金が発生することもあり、悪質と判断されれば行政処分の対象になることもあります。

2. 返還請求・過誤依頼が行政から届くことも

過誤申立てを行っていない場合でも、市区町村や国保連が後日誤りに気づけば、返還請求・過誤依頼の通知が届くことがあります。その際は、自主的な申請ではなく、行政からの指導として処理する形となり、手間が増えるうえに信頼性にも影響を与える可能性があります。

3. 利用者との信頼関係にヒビが入る可能性も

もし利用者や家族から「この月は来てもらってないのに、なぜ請求が?」と気づかれた場合、事業所の信用問題に直結します。介護保険の請求内容は、利用者本人が後日「給付費通知書」で確認できるようになっているため、万が一にも不審に思われるような請求は避けなければなりません。

過誤のリスクを軽減するための対策とは?

介護保険請求における過誤は、発生してしまうと報酬の支払いが1ヶ月以上遅れる可能性があるため、事業所運営に少なからず影響を与えます。特に月末や年度末の資金繰りに影響が出ると、現場へのしわ寄せにもつながりかねません。

では、こうした過誤を少しでも減らすには、どのような対策が有効なのでしょうか?以下に、実務上すぐに取り入れやすいポイントをまとめました。

二重チェック体制の確立

まず大前提として、「1人の担当者だけで請求処理を完結させない」ことが重要です。入力内容や請求データに関して、別のスタッフや管理者がチェックするルールを作ることで、ケアレスミスや入力漏れを防ぎやすくなります。

特にチェックすべき項目は以下の通りです。

  • 利用者情報(性別、生年月日、保険者番号、被保険者番号、負担割合など)
  • サービス提供日と内容
  • 単位数・回数の正確性
  • キャンセルされたサービスの反映漏れ

過去の過誤の傾向を振り返る

過誤の発生には、ある程度の「パターン」があります。たとえば以下のような例です。

  • 新規利用者の初回請求に多いミス
  • 祝日・月末の入力ミス
  • 多忙な月に見落としが増える
  • 特定スタッフの入力に偏りがある

こうした過去の傾向を洗い出しておくことで、重点的に注意すべき時期やケースが見えてきます。月次で「過誤・返戻報告書」をファイリングし、チームで共有する運用も効果的です。

請求スケジュールに余裕を持つ

請求作業を月末ギリギリに詰め込むと、確認不足や焦りによるミスが増える傾向があります。そのため、実績入力→チェック→請求データ作成までを少なくとも5日以上前倒しで進めることが理想です。

さらに、「いつまでなら同月過誤ができるか」という締切ラインも把握しておくと、万一の際にも柔軟に対応できます。

過誤対応マニュアルを整備する

万が一過誤が発生した際の対応手順も、事業所内で明文化されたマニュアルとして整備しておくと安心です。マニュアルに含めたい内容は以下の通りです。

  • 過誤申立書の様式・提出先
  • 提出期限と目安日(毎月○日頃まで)
  • 再請求の時期・操作方法
  • 保険者や国保連への連絡手順

担当者が変わってもスムーズに対応できる体制づくりが、継続的なリスク軽減につながります。

ソフトのエラーチェック機能を活用する

現在、多くの介護ソフトにはエラーチェック機能警告メッセージの表示機能が搭載されています。「提供日と予定日が一致していない」「認定期間外のサービスが含まれている」などの自動チェックを面倒がらずに活用することが、過誤防止につながります。

また、請求直前に一括チェックできる「請求前エラーチェック」や「実績入力確認画面」などの機能がある場合は、必ず確認ステップとして取り入れることをおすすめします。

まとめ

介護保険請求における過誤は、誰にでも起こりうるものです。しかし、その後の対応を誤ると、再請求の遅れや返還指導、さらには実地指導での指摘につながることもあります。

大切なのは、「過誤に気づいたらすぐに申立てを行う」という意識と、そもそも過誤を発生させない体制づくりです。介護ソフトの活用や、チェック体制を整えるなどの仕組み作りで、ヒューマンエラーの多くは防げます。正しい知識と対策で、安心して介護保険請求を進めていきましょう。

過誤への対策なら介護ソフトのトリケアトプスがおすすめ

過誤は、忙しい現場で日々の業務をこなす中で、どうしても起こりうるものです。特に入力ミスや計算違い、予定変更の反映漏れなどは、人的なチェックだけでは限界があります。こうしたヒューマンエラーのリスクを減らすために、多くの事業所で導入が進んでいるのが「介護ソフト」です。請求業務に特化した介護ソフトには、自動計算・警告表示・エラーチェック機能などが備わっており、過誤につながるミスを早期に発見・防止できるしくみが整っています。

トリケアトプスは、介護記録から書類作成、国保連請求まで一気通貫で効率化できるクラウド型介護ソフトです。トリケアトプスなら記録と実績が連携していることで、転記ミスなく簡単に実績に「1」を立てることができます。請求処理は入力チェック機能が備わっており、ミスがあるとエラーが表示されます。エラーが出た場合も、事由の分類コード、備考のエラーコード、審査増減単位数通知書の内容をクリックするとQ&Aサポートが理由を解説。事前に過誤や返戻を防ぐ設計です。繋がりやすい電話サポートもあるため、困った時はいつでも問い合わせていただけます。

トリケアトプスが6,000以上の事業所様に選ばれる理由は以下の通りです。

01 お得な料金体系
トリケアトプスは従量課金制を採用しており、ご請求は使った分のみ。

最低220円/人~使用可能で、従量課金制の介護ソフトの中でも業界最安値です。上限価格もあるため、事業所の規模が大きくなって、思ったより負担が大きくなってしまった…なんてこともなく安心です。オプションによる追加費用も無しで、全ての機能を標準装備で使用可能です。
02 パソコンが苦手な人でも使いやすい画面
ケアマネジャーやヘルパーさん、どんな人でも使いやすいよう、直感的にどこに何があるか、分かりやすい操作画面を設計しました。
iOS/Androidのスマホアプリも対応しており、スマホからでも簡単に実績入力が行えます。

イメージキャラクターのトリケアちゃんが見守ってくれる、女性に人気の可愛い操作画面です♪
03 ご利用いただいている事業者様の92%が「サポートに満足」と回答
介護ソフトの使い方で分からないことがあれば、お電話頂ければ、専任のオペレーターが丁寧に対応致します。
開発元が運営も行っているため、わからないことは丁寧にしっかりとご説明することができます。
電話もつながりやすく、困っている時にすぐ頼っていただけます。
04 お客様のお声から機能を開発
お客様から多くの声を寄せられた「こんな機能がほしい!」という機能を、他社では対応できないスピードでの実装を実現。ほぼ標準機能としてアップデートしているため、追加費用はいただきません。開発元がサポートも行っているため、ダイレクトに機能を反映することができます。

トリケアトプスは、最大3ヶ月間の無料体験を実施中。 体験期間中も国保連請求やサポートを含む全ての機能をお試しいただけます。 この機会にトリケアトプスをぜひお試しください。

介護の基礎知識一覧へ