介護の基礎知識
【介護施設のBCPが義務化】BCP研修や訓練は必須?減算についても解説
- 公開日:2025年06月05日
- 更新日:2025年06月05日

近年、地震や台風といった自然災害の頻発に加え、新型コロナウイルスの流行など、介護現場を取り巻くリスクはますます多様化しています。こうした背景を受け、介護施設においても「業務継続計画(BCP)」の策定が義務化され、あわせて定期的な研修・訓練の実施が求められるようになりました。
「BCPって具体的に何をするの?」「研修や訓練はどこまで必要?」「やっていないと減算されるの?」といった疑問を抱える事業者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、BCPの義務化の背景や目的、研修・訓練で求められる内容、そして未実施による減算の詳細まで、わかりやすく解説します。事業所として適切な対応を進めるためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。
介護のBCP(業務継続計画)とは?
介護のBCP(Business Continuity Plan)とは、業務継続計画のことで、自然災害や感染症の流行などの緊急事態が発生した際にも、介護サービスの提供を中断せず、または速やかに再開できるようにするための具体的な指針や行動計画をまとめたものです。
介護施設におけるBCPは2021年度の介護報酬改定より義務化されました。
なぜ介護施設にBCPが必要なのか
介護施設では、高齢者や持病を抱える方など、日常生活に支援が必要な利用者が暮らしています。もし災害や感染症の拡大などの緊急事態が起きた場合、通常のようにサービスが提供できなくなると、利用者の健康や命に重大な影響を与える可能性があります。そのため、あらかじめ「非常時にも必要なケアを継続できる体制」を整えておくことが重要です。
BCPを策定することで、災害時や感染症の発生時にも混乱を最小限に抑え、迅速かつ適切な対応が可能になります。また、職員の安全を守りながら事業の継続を支える体制を築くことは、利用者やご家族に対する「安心」の提供にもつながります。介護施設におけるBCPは、単なる書類作成ではなく、利用者の命を守るための備えとして、今や欠かせない取り組みとなっています。
介護サービス事業者に求められる3つの重要な役割
介護サービス事業者は災害時や感染症などが発生した際どのようなことが求められるのでしょうか。ここでは、介護事業者が果たすべき3つの主要な役割について解説します。
1. サービスの継続
介護サービス事業者は、入所者・利用者の健康・身体・生命を守る責任を負っています。自然災害や感染症の拡大といった非常時でも、サービスを中断せずに継続できるよう、事前に綿密な準備を行うことが求められます。
特に入所施設においては、そこが利用者の「生活の場」であるため、たとえ被災したとしても、サービスをただちに停止することはできません。最低限のケアや支援を継続できるよう、人員配置や物資の備蓄、代替手段などの検討・準備が不可欠です。
仮に、やむを得ず業務の縮小や事業所の一時閉鎖が必要となる場合でも、利用者への影響を最小限に抑える対応策を、平常時から検討しておくことが重要です。
2. 利用者の安全確保
介護サービスの利用者は、65歳以上の高齢者や、40歳以上で特定疾患を持つ方々です。加齢や疾患により免疫力が低下しているため、感染症にかかると重症化するリスクが高いです。
特に施設内で集団感染が発生した場合には、深刻な人的被害につながる可能性があり、介護サービス事業者としても最大限の注意が求められます。そのため、感染拡大を防ぐためのルールやマニュアルをあらかじめ整備し、非常時には速やかに確実に実行できる体制づくりが必要です。
3. 職員の安全確保
自然災害や感染症の流行時に業務を継続することは、職員自身の感染リスクや精神的負担の増加を招く可能性があります。また、欠勤が増えれば人手不足となり、残った職員の業務が過重になる懸念もあります。利用者だけではなく、職員への適切な措置を講じる必要があります。
BCPには災害対策と感染対策がある
BCPには災害対策と感染対策BCPがあり、どちらも作成する必要があります。以下ではそれぞれについて説明していきます。
災害対策BCP

災害対策BCP(業務継続計画)とは、地震・台風・豪雨・土砂災害など、自然災害が発生した際にも、介護サービスの提供を可能な限り継続するための計画です。
介護施設は「生活の場」でもあるため、災害が起きたからといってサービスを止めるわけにはいきません。災害時にはライフラインが途絶えることや、建物・設備の被害、職員の出勤困難などが想定されるため、次のような内容を計画に盛り込みます。
- 避難経路や避難方法の明確化
- 備蓄品(食料・水・医薬品など)の管理
- 職員・利用者の安否確認体制
- 緊急連絡網と情報共有手段の確保
- 他機関・医療機関との連携方法
- 建物や設備の点検・復旧計画
これらの準備をしておくことで、災害発生時でも混乱を最小限に抑え、利用者の安全とサービスの継続性を守ることができます。
感染対策BCP

感染対策BCPは、新型コロナウイルスやインフルエンザなど、感染症の発生・拡大時に、施設内での感染拡大を防ぎつつ介護サービスを継続するための計画です。
介護施設では、高齢者や基礎疾患を持つ方が多いため、感染症が広がると重篤化のリスクが非常に高くなります。そのため、次のような内容が盛り込まれます。
- 感染拡大防止のためのゾーニング(区域分け)
- 発熱や体調不良時の対応フロー(隔離・報告・医療連携)
- 感染者・濃厚接触者への対応マニュアル
- 防護具(マスク・手袋・ガウンなど)の確保と使用手順
- 出勤制限・職員の代替体制の検討
- 外部との接触制限と面会ルールの整備
- 保健所・医療機関との連携体制の明確化
感染対策BCPは、平時からのマニュアル整備と物資確保、そして職員への教育が鍵となります。
BCPを策定する5つのメリット

BCPの策定は、「もしものため」の備えであると同時に、日頃の運営を見直すチャンスでもあります。利用者の安心、職員の安全、そして事業の持続性を守るためにも、BCPは今や「必要だからやる」のではなく、「あってよかった」と言える備えです。
1. 利用者の命と生活を守れる
BCPを整えておくことで、自然災害や感染症の発生時にも、必要最低限のサービスを継続的に提供できる体制を確保できます。
これは、高齢者や医療的ケアを必要とする利用者の健康・命・生活の維持につながります。
2. 職員の安全と安心を確保できる
災害時や感染症流行時、混乱の中で「どう動けばいいのか」が明確になっていれば、職員の不安を軽減し、冷静な行動がとれるようになります。
また、出勤判断の基準や防護体制が明文化されていれば、職員の感染リスクや負担も抑えられます。
3. 事業の継続と早期復旧につながる
BCPは「サービスを止めない」だけでなく、「止まったときにどう立て直すか」までを含む計画です。
万が一被災・閉鎖などの事態に直面しても、再開の優先順位や代替手段が明確であれば、迅速な復旧が可能になります。
4. 利用者・家族・地域からの信頼が高まる
BCPを策定し、研修や訓練を実施している事業所は、「安心して任せられる施設」として信頼されやすくなります。
特に、災害リスクが高い地域や感染対策に敏感なご家族にとっては、大きな選定基準のひとつになります。
5. 減算リスクを回避できる(制度対応)
2024年度(令和6年度)以降、BCPの策定と定期的な研修・訓練が義務化され、未実施の事業所は介護報酬の減算対象となります。
制度への適切な対応は、経営面での安定にも直結します。
介護施設におけるBCPの義務化に伴う罰則(減算)

2024年度の介護報酬改定では、BCPを策定していない事業所に対して「業務継続計画未策定減算」が導入されました。具体的には、BCP未策定の事業所は基本報酬が減算される対象となります。減算幅はサービスの種類によって異なり、施設・居住系サービスでは所定単位数の3%相当、その他のサービスでは1%相当が減算されます。
業務継続計画未策定減算とは?
「業務継続計画未策定減算」とは、感染症や災害に対応するための業務継続計画(BCP)が策定されていない介護施設に対し、基本報酬を減算する制度です。
厚生労働省の資料「業務継続に向けた取組の強化等(改定の方向性)」によると、令和5年度改定検証調査において、感染症や自然災害に対する業務継続計画を策定していない事業所が全体の8割に上ることが明らかになりました。この実態を踏まえ、介護施設における業務継続計画の策定を促進するために、「業務継続計画未策定減算」が導入されることとなりました。
業務継続計画未策定減算の算定要件と単位数
■算定要件
業務継続計画未策定減算の算定要件は「感染症若しくは災害のいずれか又は両方の業務継続計画が策定されていない場合」です。感染症と自然災害のどちらかが未策定の場合でも、減算の対象となるため注意しましょう。
■単位数
業務継続計画未策定減算の単位数は以下の通りです。
サービス種別 | 単位数 |
---|---|
施設、居住系サービス | 所定単位数の100分の3に相当する単位数を減算 |
その他のサービス | 所定単位数の100分の1に相当する単位数を減算 |
業務継続計画未策定減算の介護サービスごとの施行時期
介護施設によっては、減算の適用時期が異なります。2025年4月1日より全ての介護サービスが減算対象となりましたので、介護サービスを提供する際は必ず対応するようにしましょう。
対象サービス | 施行時期 |
---|---|
通所介護、短期入所生活介護、短期入所療養介護、特定施設入居者生活介護、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護、小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、看護小規模多機能型居宅介護、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、介護予防短期入所生活護、介護予防短期入所療養介護、介護予防特定施設入居者生活介護、介護予防認知症対応型通所介護、介護予防小規模多機能型居宅介護、介護予防認知症対応型共同生活介護 | 令和6年4月 ※ただし、令和7年3 月31日までの間、感染症の予防及びまん延の防止のための指針の整備及び非常災害に関する具体的計画の策定を行っている場合には、減算を適用しない。 |
通所リハビリテーション、介護予防通所リハビリテーショ ン | 令和6年6月 ※上記①の※と同じ |
訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、福祉用具貸与、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、居宅介護支援、介護予防訪問入浴介護、介護予防訪問看護、介護予防訪問リハビリテーション、介護予防福祉用具貸与、介護予防支援 | 令和7年4月 |
BCPの義務化において、具体的に取り組むべき内容
令和3年度の介護報酬改定で、以下の取組が義務付けられました。
- 委員会の開催
- 指針の整備
- 研修の実施
- 訓練の実施
なお、「委員会の開催」「研修の実施」「訓練の実施」に関しては、「業務継続計画の周知、研修、訓練及び定期的な業務継続計画の見直しの実施の有無は、業務継続計画未策定減算の算定要件ではない」とあるため、行わなくても業務継続計画未策定減算の対象になりません。しかし、それらの項目は義務になるため、減算対象にならなくても必ず対応するようにしましょう。
以下では4つの項目をそれぞれ見ていきます。
委員会の開催

介護事業所におけるBCPの運用は、単に計画を作成するだけでなく、組織全体で継続的に取り組む体制づくりが重要です。そのためには、BCPに関する委員会を定期的に開催し、計画の見直しや課題の共有、対応方針の確認を行うことが必要です。
委員会では、災害時や感染症発生時の対応体制、備蓄品の管理状況、連携体制などについて話し合い、全職員が共通認識を持てるように調整を行います。関係部署を横断するメンバーで構成することで、現場の実情に即した実効性のあるBCP運営が可能になります。
指針の整備
BCPの基本方針や具体的な対応手順を示す「指針」の整備は、緊急時の混乱を防ぐための土台となります。例えば、自然災害や感染症が発生した際に、どのような順序で誰が何をするのかを明確にしておくことで、迅速かつ的確な初動対応が可能になります。
この指針は、施設の特性や地域のリスクに合わせて策定する必要があります。また、平時のうちから職員全員が内容を理解しておくことが大前提です。定期的な見直しと更新も重要です。
研修の実施

BCPの実効性を高めるためには、「作成して終わり」ではなく、それを現場で実際に活かせる状態にすることが欠かせません。そのための第一歩が「研修(教育)」です。研修は、職員一人ひとりが災害や感染症のリスクを理解し、事前にどのように備え、どのように行動すべきかを学ぶ機会です。
研修では、災害時や感染症対応時の役割分担、緊急連絡体制、避難誘導、感染対策の具体的方法などについて、実務に即した内容で教育を行います。新しく入職した職員に対しても、早期に研修を実施し、事業所としての対応方針を共有することが重要です。
「研修の実施内容は記録をすること」と定められているため、研修を実施するだけでなく、記録を取ることが必須です。
■研修で行うべき具体的な内容
研修は「知識の共有」と「判断力の向上」を目的に、以下のような内容を実施します。
1.防災意識の啓発
- 過去の災害事例を紹介し、施設で起こりうる影響を共有「自分は関係ない」と思わない意識改革を促す
- 自宅の防災対策(備蓄・家具の固定)にも目を向ける
2.BCPのルールやマニュアルの理解
- 災害時・感染症発生時の行動フローを説明
- 「いつ・誰が・何をするか」を明確に
- 参集基準(出勤判断の基準)、行動基準(避難誘導の判断)などを周知
3.安否確認方法の習得
- 利用者や職員の安否確認方法(名簿・部屋配置図の確認など)
- 連絡手段が使えない場合の代替策(SNS、伝言ダイヤル等)
4.感染対策の基本教育
- 手指衛生、マスク・ガウンの着脱手順
- 感染症発生時の対応手順(ゾーニング、隔離、報告)
訓練の実施

研修で知識やルールを学んだだけでは、いざという時に確実に行動できるとは限りません。緊急時の対応には、反射的に体が動くような準備=訓練が必要です。訓練は、BCPで定めた行動計画をもとに、実際の動きや対応の流れを確認・実践する場として非常に重要です。
訓練は、BCP(業務継続計画)に基づき、施設内での役割分担の確認や、非常時のケアに関する演習などを目的として実施します。机上訓練(シミュレーション)と実地訓練を組み合わせて行うことで、より実践的な備えとなります。
たとえば、自然災害を想定したBCP訓練では、災害発生から復旧までの流れを机上訓練でシミュレーションし、対応の全体像を確認します。そのうえで、職員の安否確認や避難誘導、機器の操作などを実際に行う実地訓練によって、マニュアル通りに動けるかを検証します。
なお、自然災害に関するBCP訓練は「非常災害対策に係る訓練と一体的に実施することも差し支えない」とされており、感染症に関するBCP訓練についても、「感染症の予防及びまん延の防止のための訓練と一体的に実施することも差し支えない」ため、既存の訓練と合わせて効率的に実施することも可能です。
研修内容は、以下のようなポイントをカバーする必要があります。
研修項目 | 内容例 |
---|---|
初動対応の流れ | 通報、避難誘導、連絡体制 |
役割分担 | 指揮系統、班ごとの任務 |
利用者対応 | 移動支援、健康管理、安否確認 |
感染症対応 | 感染拡大防止策、ゾーニング |
事業継続体制 | 代替事業所活用、外部支援依頼方法 |
■訓練で行うべき具体的な内容
訓練は、研修で学んだ知識を実際に「行動に移す」練習です。シミュレーションと実践を組み合わせて行います。
1.机上訓練(シミュレーション)
例:「夜10時、地震発生。施設は停電。電話は不通」
職員はそれぞれの役割で「何をすべきか」を考えて発表します。想像ではなく、実際の施設・職員体制をもとに具体的に検討します。
<その他シミュレーション例>
- 地震発生時にどう身を守るか
- 利用者の安否確認をどう進めるか
- 負傷者がいた場合の応急対応
- 施設の被災状況をどのように確認・共有するか
2.実地訓練(実働訓練)
実際に体を動かして行う訓練です。マニュアル通りに対応できるか確認します。
<訓練例>
- 非常口・避難経路を使った避難誘導訓練
- 非常用電源・発電機の起動
- 食事・水・医療的ケアの継続ができるかの確認
- 実際の職員の安否確認(連絡網の確認・出勤状況の把握)
- 感染症対応を想定した動線・ゾーニングの設営
3.総合訓練
机上訓練+実地訓練を連動させて一連の対応を流れで確認します。地域住民・関係機関(消防、行政)との連携訓練を含めることもあります。
【補足】訓練後の振り返りとBCPの改善も必須
訓練後には以下の点をもとに振り返りと評価を行い、BCPを見直します。
- 想定通りに行動できたか(達成度)
- 対応にかかった時間は適切だったか(迅速性)
- 状況を正しく整理できたか(正確性)
- 想定外への対応力があったか(柔軟性)
ここで出た反省点や改善案を次回の研修・訓練、そしてBCP文書へ反映させることが重要です。
BCPの雛形ダウンロード
厚生労働省が提供するBCPの雛形ダウンロードは以下より行えます。介護サービス別に雛形が用意されているため、自事業所の介護サービスに合わせた雛形ダウンロードが可能です。雛形の他にも、BCPの作り方の解説動画やガイドラインも掲載されているため、以下のリンクよりご確認ください。
介護施設でBCPを策定する際のポイント

体制と役割分担を明確にする
災害発生時や感染拡大時に「誰が何をするか」が不明だと、現場は混乱します。
BCPでは、対策本部の設置、班ごとの分担、代替要員の配置などを具体的に決めておく必要があります。
- 対策本部長、情報班、物資班などの設置
- 職員不在時の交代体制
- 夜間・休日の対応フロー
などを定めておくことで、非常時の動きがスムーズになります。
物資・連絡手段の備えを具体的に記載する
いざというときに物資が足りない、連絡がつかない――では意味がありません。
BCPでは、以下のような具体的な備えを明文化することが大切です。
- 備蓄食料、水、簡易トイレ、感染防護具などの管理方法
- 連絡手段の複数化(電話、メール、SNS、伝言ダイヤルなど)
- 停電・断水時の対応手順(発電機、ランタン等の使用方法)
定期的な研修・訓練と見直しを組み込む
BCPは「作って終わり」ではなく、定期的に見直してアップデートすることが前提です。
年1〜2回の研修や訓練を通して、計画が現場に定着しているか確認し、課題があれば改善していくサイクルが必要です。
- 机上訓練(シミュレーション)
- 実地訓練(避難、感染対応、安否確認など)
- 振り返りによるBCPの更新
このPDCA(計画→実行→評価→改善)を回すことが、「使えるBCP」への近道です。
介護のBPCに関するよくある質問

1つの法人本部に複数の事業所あります。BCPを作成するにあたり事業所単位での作成で良いのか、法人全体を考えた方が良いのか?
基本は、事業所単位・サービス単位です。サービスが異なれば、法人で共通化は難しいと考えられます。一方、法人本部はBCP作成の義務はありませんが、事業所支援についてBCP作成することが望まれています。具体的には、自然災害のガイドラインの1ページを参考にしてください。
1事業所で複数のサービスを行っていますが、BCPを共通に作成しても構わないでしょうか?
推進体制、備蓄品等は共通化しても問題ありませんが、優先業務の相違には、留意して作成することが必要です。
自然災害BCPと感染症BCPを別々に策定しなければならないのでしょうか?共通する部分もあるため、一本化できるのでしょうか?
推進体制や連絡網と言った一部の様式については、様式の番号も共通化してあり、共通化可能です。ただし、災害発生時の初動対応等は、共通化でできないので、感染症と自然災害のBCPは別に作成した方が良いと思われます。
災害の種類ごとに別にBCPを作成するのでしょうか?
地震、洪水の例を示したように、災害によって対応方法が異なる場合は、1つのBCPの中で、災害別に記述するのが良いと思われます。
まとめ

介護施設におけるBCPは、単なる「書類の整備」ではなく、利用者の命を守るための“現場で機能する備え”であることが重要です。自然災害や感染症の発生時にも、いかにサービスを継続し、利用者と職員の安全を守るか。BCPはその具体的な答えを示すツールです。
令和6年度からは、BCPの策定や研修・訓練が行われていない場合、介護報酬の減算対象となるなど、制度上の位置づけも大きく変わりました。今こそ、事業所としてBCPの見直しと運用を進めるタイミングです。
この記事を参考に、実効性のあるBCPを整備し、いざという時に強い施設運営を実現しましょう。