介護の基礎知識
介護の「ジェノグラム」とは?書き方やおすすめ作成ツールをご紹介
- 公開日:2025年05月27日
- 更新日:2025年05月27日

介護の現場では、利用者本人だけでなく、家族や支援者との関係性を把握することがとても重要です。しかし、高齢者の家族関係は複雑で、口頭や文章だけでは全体像をつかみにくいこともあります。そこで役立つのが「ジェノグラム」です。
ジェノグラムは、家族構成や関係性を図で視覚的に表現するツールで、アセスメントやケアプラン作成の場面でも活用されています。この記事では、ジェノグラムの基本的な意味や書き方や活用するメリット、作成に役立つツールについて、わかりやすくご紹介します。
介護サービスで活用される「ジェノグラム」とは?
ジェノグラム(Genogram)は、利用者(本人)を中心に、その家族構成や血縁関係、同居・別居などの情報を家系図のように図で表したものです。3世代以上にわたる情報を記すことが多く、誰が誰とどういう関係か、どのような家庭背景があるかを一目で把握できます。家族構成や支援体制の把握や、家族間の関係性(支援的・対立的など)の視覚化、意思決定のキーパーソンの特定、介護負担がかかっている人の理解に活用されます。
ジェノグラムは、医療や福祉の分野で広く活用されているツールであり、介護の現場においても重要な役割を果たしています。介護施設への入所時に作成されるフェイスシートや、ケアプラン作成のためのアセスメントシートなどにも、ジェノグラムが用いられることがあります。
その理由は、適切な介護サービスを提供するためには、介護を受ける本人の基本情報だけでなく、家族構成や関係性といった背景を正確に把握することが欠かせないからです。特に高齢者の場合、家族関係が複雑であることも多く、こうした情報を文章のみで説明すると煩雑になり、把握しにくくなってしまいます。また、介護は多職種・多機関による連携が必要とされる分野であるため、関係者全員が情報を迅速かつ的確に共有できることが求められます。そこで、誰が見てもひと目で理解できる家族関係の「見える化」の手段として、ジェノグラムの活用が推奨されているのです。
ジェノグラムは、介護を受ける本人を中心に家族構成を図で表現するもので、記号を使って家族のつながりや立ち位置をフラットに整理します。この図式化により、家族内の関係性やそれぞれの役割が視覚的に把握しやすくなり、どの家族が介護に関与できそうか、在宅介護が可能か、また介護に対して家族が抱えている問題などを明らかにすることができます。
さらに、ジェノグラムは現在の介護状況の整理だけでなく、将来的な看取りの場面における家族関係の予測や支援体制の構築にも活用できます。高齢者が残された人生を安心して過ごすために、生活環境を整える上で、ジェノグラムは非常に有用なツールといえます。
ジェノグラムとソシオグラム・エコマップとの違い
介護サービスで利用者を取り巻く環境の理解のために活用される図はジェノグラム以外にも「ソシオグラム」「エコマップ」などがあります。ジェノグラムは家族関係の構造を表すのに対し、ソシオグラムは人間関係の構造、エコマップは社会的なネットワークを表します。
ジェノグラム

ジェノグラムは、家族構成を図で表すことで、同居・別居、婚姻状況、死亡、支援の有無など、介護支援に関わる重要な情報を一目で把握できる図式です。文章や会話では複雑になりがちな家族関係も、図にすることで一目で全体像を把握できます。
ソシオグラム

ソシオグラム(Sociogram)は、人間関係や社会的つながりの構造や流れを図で示すツールです。主に集団内での人間関係の質やつながりの強弱を分析するために用いられます。簡単に言えば、ソシオグラムはドラマの登場人物の人間関係を図で表す「相関図」のようなものです。小規模な集団の中で、個人を記号で示し、それぞれが誰に対してどのような感情(たとえば「好き」や「信頼」など)を持っているのかを、矢印で視覚的に表現します。
エコマップ

エコマップ(Ecomap)は、利用者本人と家族の関係だけでなく、その人とつながる社会的資源・関係機関・人間関係を線でつなぎ図示したものです。家族以外も含めて、地域・医療・介護・近隣住民・ボランティアなど、生活を支える要素を網羅的に示します。
ジェノグラムの作り方
ジェノグラムは、作成ルールに則って、家族の関係性に合わせて図形同士を繋ぐことで作成します。以下では基本図形と図形の繋ぎ方を解説します。
基本図形
性別
男性は四角、女性丸で表します。性別が不明・中立・非公開などの場合、三角や別の記号を使うこともありますが、介護の実務では基本的に男女で記号を使い分けます。
本人
ジェノグラムの中心となる人物(介護を受ける本人)には、二重の記号(◯や☐の中にもう一つの円や四角を描く)や太線の枠で強調します。これにより、誰を中心にした家族構成かがひと目でわかります。
死亡者
亡くなっている家族は、記号(☐や◯)の上に「×」を重ねて表します。どちらの方法で表現するかは地域によって大きく分かれます。
キーパーソン
キーパーソン(介護や意思決定の中心となる家族)は、星マークで表します。わかりやすく表現できますが、男女どちらなのか判別できないデメリットもあります。
養子
養子の場合は、「四角や丸に縦線を引いた図形」を使用する場合があります。
図形の繋ぎ方
結婚
結婚は図形同士を「実線」または「二重線」で繋ぎます。子供がいる場合は、結婚線より下に子供をぶら下げます。
離婚
離婚している場合は、結婚線を斜め二重線で区切ります。実線の斜め線を引くこともありますが、地域によっては実線の斜め線は「別居」で使用することもあります。
何度か離婚歴がある場合
何度か離婚歴がある場合は複数の線で婚姻関係を表します。
内縁関係
内縁関係は男女を「波線で結ぶ」ことによって表現します。地域によっては点線で結ぶこともあります。
同居
同居関係は線で囲うことで表現します。線は実線や破線どちらも用いることがあります。例えば、以下は母と息子が同居していることを表しています。
子どもの親権
離婚線を境に子供をぶら下げることによってどちらの親に親権があるかを表現します。以下の図の場合は、子供と線で断ち切られていない女性が親権を持っています。
介護現場でジェノグラムを活用するメリット
ジェノグラムは単なる家系図だけでなく、「どう関わっているか」「どう支援につなげるか」を視覚的に整理することができるようになり、介護の支援の質を高められるため、事業所にとっても利用者にとってもメリットの大きいツールです。具体的なメリットは以下の通りです。
一目で家族構成がわかる
文章や会話では複雑になりがちな家族関係も、図にすることで一目で全体像を把握できます。誰が誰とどのような関係にあるか、支援者は誰か、同居しているのか別居なのか、といった情報が瞬時に伝わります。
家族の関係値や背景まで示せる
ジェノグラムは単なる家系図ではなく、家族間の関係性の強さや距離感といった情報も記号や線の種類で表現できます。たとえば「支援的関係」「疎遠関係」なども示せるため、支援上のリスクやキーパーソンの特定に役立ちます。
多職種間での情報共有がしやすい
介護現場では、ケアマネジャー、訪問介護員、看護師、医師など複数の専門職が連携します。ジェノグラムを使えば、誰が支援に関与していて、どのような家族背景があるかをスムーズに共有できます。言葉の行き違いや誤解を防ぎ、チーム支援が効率化します。
本人・家族とのコミュニケーションにも使える
ジェノグラムは支援者側だけでなく、本人や家族との話し合いにも有効です。関係図を見ながら説明することで、家族も「自分たちの関係」を客観的に見ることができ、将来の介護体制や役割分担を話しやすくなります。
将来のリスク予測や意思決定支援にも活用できる
家族構成や関係性の変化(例:死別、離婚、介護疲れによる支援困難)を見据えて、将来のケア方針や看取り期の準備も検討できます。長期的な視点での支援計画の策定への活用は言葉だけの説明では家族関係のイメージが難しいため、ジェノグラムが役立ちます。
まとめ:ジェノグラムの正しい書き方を覚えて、より良い介護サービスの提供に活かしましょう
ジェノグラムは、介護支援に欠かせない家族関係の「見える化」を実現するための有効なツールです。複雑な家族関係も一目で整理でき、チーム内での情報共有や支援方針の検討にも大いに役立ちます。ジェノグラムの正しい書き方を覚えて、ぜひ現場で取り入れてみてください。より良い介護サービスの提供のためにも、家族関係の理解から始まる支援体制を築いていきましょう。
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