介護の基礎知識
【2024年度新設】協力医療機関連携加算とは?算定要件や義務化について解説
- 公開日:2025年02月28日
- 更新日:2025年11月06日
協力医療機関連携加算とは?
協力医療機関連携加算とは、介護老人福祉施設(特養)、介護老人保健施設(老健)、介護医療院、認知症対応型共同生活介護(グループホーム) において、協力医療機関との実効性のある連携体制を構築することを目的とした加算です。具体的には、入所者・入居者の現病歴などの情報共有を行う会議を定期的に開催することが評価の対象となります。
令和5年11月に開催された社会保障審議会 介護給付費分科会(第231回)では、高齢者施設と医療機関の連携強化について議論が行われました。この審議では、以下のような課題や対応策が取り上げられています。
- 協力医療機関の指定はされているが、十分に機能していない現状
- 新型コロナウイルス感染症の教訓を活かした連携のあり方
- 地域包括ケアの観点からの関係構築
- DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進
こうした背景を踏まえ、介護施設と協力医療機関との平時からの連携体制の強化を目的として、「協力医療機関連携加算」が新設されました。
協力医療機関連携加算の単位数
算定要件と協力医療機関の条件を全て満たしていれば、加算単位数は多くなり、満たしていなければ少なくなります。また、対象サービスによっても単位数は変わります。詳しくは以下の表の通りです
対象となる介護サービス
協力医療機関連携加算の算定対象となるのは具体的に以下のサービスです。
- 介護老人福祉施設
- 地域密着型介護老人福祉施設
- 介護老人保健施設
- 介護医療院
- 特定施設入居者生活介護
- 地域密着型特定施設入居者生活介護
- 認知症対応型共同生活介護
協力医療機関連携加算の算定要件
協力医療機関連携加算の算定要件は以下の通りです。
- 協力医療機関との間で、入所者等の同意を得て、当該入所者等の病歴等の情報を共有する会議を定期的に開催していること。
また、会議の概要は以下の通りです。
- 介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、認知症対応型共同生活介護について、協力医療機関との実効性のある連携体制を構築するため、入所者または入居者の現病歴等の情報共有を行う
- 特定施設における医療機関連携加算について、定期的な会議において入居者の現病歴等の情報共有を行う
算定要件自体は一見シンプルに思えますが、会議の概要を確認すると、「実効性のある連携体制を整える」ことが決して容易ではない ことが分かります。また、指定医療機関としての加算要件も満たす必要があるため、それらを合わせてクリアしなければなりません。
そのため、「地域の利用者の主治医になっていることが多い」「距離が近い」「職員が親切だから」といった理由で単純に協力医療機関を選定することはできません。協力医療機関との会議には明確なルールがあり、加算要件を満たすためには協定の締結も必要です。したがって、体制構築の準備には相応の労力と時間がかかる 点が重要なポイントとなります。
協力医療機関の加算要件を満たす医療機関の条件
協力医療機関連携加算を算定するには、以下の協力医療機関の加算要件を満たす必要があります。また、加算を多く取得するためには以下の3つの条件を満たした医療機関を指定権者(市区町村)に届け出ることが必要となります。
- 常時対応体制の確保:入所者等の病状が急変時などに、医師や看護職員が相談対応する体制が常時確保されていること
- 診療体制の確保:高齢者施設等からの診療の求めがあった場合、診療を行う体制を常時確保していること
- 入院受け入れ体制の確保:入居者等の病状が急変時などに、入院を要すると認められた入所者等を受け入れる体制を原則として確保していること。施設入所者専用の病床を確保する必要はなく、一般的に地域で在宅療養を行う者を受け入れる体制があればよい
※3つの条件は複数の医療機関と連携を確保することで条件を満たすことも認められています。
この要件を満たした協力医療機関との協定書などについては、年に1回以上、協力医療機関と連携し、入所者の急変時対応などを確認する必要があります。さらに、協力医療機関の名称などの情報を指定権者へ届け出ることが義務付けられています。
届け出の様式は厚生労働省が公開しております。以下のリンクよりダウンロードが可能です。
協力医療機関連携加算の注意点
対象となる介護サービスに限り算定可能
協力医療機関連携加算は、対象となる介護サービスに限り算定可能です。同一の施設内で異なる介護サービスを提供している場合は、施設内の利用者の中でも対象外となる方がいる点には注意が必要です。
<算定時に混同しやすい対象外の利用者>
- ショートステイ(短期入所生活介護)のみを利用している方
- 要支援2(総合事業)のグループホーム利用者
算定要件の解釈
一言で「会議」や「連携」と言ってもなにをもってしてそのように認められるかについては難しい判断となります。以下にて厚生労働省の解釈通知を掲載いたしますので参考にしてください。
2027年から介護施設の医療機関との連携が義務化
2027年からの医療機関との連携で義務化される要件
2027年からの介護施設と医療機関の連携の義務化により、次の要件を満たす義務が課されます。
- 常時対応体制の確保:入所者の病状が急変した場合、医師または看護職員が相談対応を行う体制を常時確保すること。
- 診療体制の確保:診療の求めがあった場合に診療を行う体制を常時確保すること。
- 入院受け入れ体制の確保:入所者の病状の急変が生じた場合、施設の医師または協力医療機関等の医師が診療を行い、必要に応じ入所者の入院を原則受け入れる体制を確保すること(病院に限る)。
これらの要件を満たすために、介護施設は要件を満たせる医療機関と協力体制を構築することが求められています。
医療機関との連携における課題
義務化される介護施設と協力医療機関との連携構築には、医療機関側からの多くの課題も指摘されています。以下は、「介護施設の協力医療機関に関する会員向けアンケート調査」で寄せられた実際の医療機関の声です。
- 医療と介護の間に温度差を感じる場面が多く、医療はエビデンスに基づき対応する一方、介護は哲学に基づく対応をしていると感じる。共通パスを活用しても、病状急変時にはその項目の意味を確認しないと困惑する。
- 入院治療後、医療依存度が高い患者を施設がどこまで対応できるかが問題であり、病院と施設の間で具体的な対応策が不足していた。そのため、受け入れが難しい患者は療養型病院に転院する現状がある。地域包括ケアシステムの推進には、病院側が施設に必要な処置や対応方法を伝え、施設側も積極的に受け入れる姿勢が求められる。
- 月1回の会議実施が現実的ではなく、医師の通常診療との調整が難しい。
- カンファレンスは有意義だが、手間や時間を考えると、介護報酬に比べて診療報酬が少ないと感じる。
- 介護報酬側に加算がついたが、医療機関側にはIT連携以外の報酬加算がなく、不公平に感じる。
- 施設と病院間の情報共有におけるICT活用が難しく、コストや既存システムとの重複が現場での大きな障害となっている。
- 感染症対策の連携に関しては、医師会等の研修・訓練への参加が必要と考えている。
- 急変時に往診が困難な場合がある。
- 全ての介護施設との連携は、通常診療の合間に行うため、現実的に困難である。
- 日常的に外来診療、病状相談、入院対応が行われており、今後は早期入院・受診の対応について検討する余地があると考えている。
- 介護施設に問い合わせたところ、既に協力医療機関と契約しているため、新たな連携契約を考えていないとの声が多い。指定基準のために協力医療機関と契約している施設が多く、地域における機能的な連携には課題がある。
- 法人内の施設の場合の対応に関する情報が不足しており、法人外の施設とは会議などを行うのが難しい。
これらの課題を解決するためには、介護施設と医療機関の対話と連携体制の構築が不可欠です。協力医療機関連携加算を効果的に活用するためにも、早期に積極的な取り組みが求められています。
特養における協力医療機関連携の構築状況
令和4年度発表の「特別養護老人ホームと医療機関の協力体制に関する調査研究」にて、「特養における協力医療機関数」「協力医療機関の種別」「協力医療機関の連携内容」などのアンケート結果が公開されております。
協力医療機関数
特養における協力医療機関数は、「1機関」が36.4%が最も多く、次いで「2機関」が24.1%という結果になりました。
協力医療機関の種別
協力医療機関の種別は、「その他の病院」が 50.6%で最も多く、次いで「地域医療支援病院」が33.4%と続いています。協力医療機関の緊急対応ありは、特養全体では23.2%でした。
協力医療機関の連携内容
協力医療機関の連携内容は、入所者の診療(外来)の受入が最も高く78.8%、次いで入所者の入院の受入れが 60.6%でした。緊急の場合の対応(配置医師に代わりオンコール対応)は17.4%でした。
出典:特別養護老人ホームと医療機関の協力体制に関する調査研究
協力医療機関連携加算に関するQ&A
厚生労働省の「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.3)(令和6年3月29 日)」の協力医療機関連携加算に関する質問・回答を一部抜粋します。
協力医療機関連携加算について 問3
Q.協力医療機関連携加算について、「電子的システムにより当該協力医療機関において、当該施設の入居者の情報が随時確認できる体制が確保されている場合には、定期的に年3回以上開催することで差し支えない」とあるが、随時確認できる体制とは具体的にどのような場合が該当するか。
A.例えば、都道府県が構築する地域医療介護総合確保基金の「ICTを活用した地域医療ネットワーク基盤の整備」事業を活用した、地域医療情報連携ネットワーク(以下「地連NW」という。)に参加し、当該介護保険施設等の医師等が記録した当該介護保険施設等の入所者の診療情報及び急変時の対応方針等の情報について当該地連NWにアクセスして確認可能な場合が該当する。
この場合、当該介護保険施設等の医師等が、介護保険施設等の入所者の診療情報及び急変時の対応方針等についてそれぞれの患者について1ヶ月に1回以上記録すること。
なお、入所者の状況等に変化がない場合は記録を省略しても差し支えないが、その旨を書等により介護保険施設等から協力医療機関に、少なくとも月1回の頻度で提供すること。
まとめ
「協力医療機関連携加算」は、2024年の介護報酬改定によりが新設されました。この加算は、介護施設における入所者の緊急時対応において、医療体制が十分でない現状を踏まえ、医療機関との連携強化を促進することを目的としています。
介護サービス事業所は加算の算定要件を正しく理解し、事業所運営に活用するようにしましょう。
本記事は、作成時点での最新の資料・情報に基づいています。具体的な解釈や申請手続きについては、最新の情報をご確認のうえ、必要に応じて自治体などの関係機関へお問い合わせください。