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介護の基礎知識

介護のSPDCAサイクルとは?具体例を交えてわかりやすく解説

  • 公開日:2025年03月10日
  • 更新日:2025年03月18日

品質や生産管理の現場で広く使用されているPDCAサイクル。このフレームワークを活用することで、業務の継続的な改善が可能になります。最近ではサービス業をはじめ、さまざまな分野で導入が進んでおり、リハビリマネジメントにも応用されたものがSPDCAサイクルです。今回は、介護現場におけるSPDCAサイクルの活用方法と実践例についてご紹介します。

SPDCAサイクルとは?

SPDCAサイクルは、業務改善で活用されるPDCAサイクルを改良し、リハビリテーションマネジメントで活用されているフレームワークの手法です。通常のPDCAサイクルは、「P(Plan)」で計画を立て、「D(Do)」で実行し、「C(Check)」で評価して、「A(Action)」で改善を行うサイクルを繰り返すことで業務を改善していきます。それに対して、SPDCAサイクルは、「S(Survey)」の調査の段階を前に置き、計画を立てる前にしっかりと調査を行うことを重要視しています。

ケアマネジャーがケアプランを作成した後、各事業所は利用者やそのご家族の様々なご意向を汲んでケアを提供します。このような事前調査の部分が、「S(Survey)」の調査にあたるため、介護サービスはそもそも調査が手順に組み込まれているといえます。しかし、手順の一つであるからこそ作業の一環になってしまっていないでしょうか?利用者の疾患、疾病、障害、精神、社会参加状況に加え、家族の希望や住宅環境がしっかり反映された介護サービスが提供されているかどうかは利用者の人生を左右します。利用者に適切な介護サービスを提供するためにもSPDCAを意識することが重要です。

SPDCAサイクルの流れ

SPDCAサイクルは以下のような流れになります。

S:Survey(調査)

Survey(調査)の目的は、利用者やご家族の希望など、十分な情報収集を行った上で次のPlan(計画)に繋げることです。具体的に調査が必要な情報は以下の通りです。

利用者のニーズや状態の調査
・身体的・精神的な状態を調査(例:歩行能力、認知症の症状、食事や排泄の自立度など)
・介護を受けている本人の生活状況や満足度、家族のニーズの調査
介護環境の調査
・施設内や家庭での生活環境(バリアフリーの状況、居住環境の安全性など)
・介護スタッフや家族の負担状況、介護の実施状況の調査
過去のケアの効果の調査
・以前に行ったケアがどのような結果をもたらしたか
・改善が進んだ部分や、問題が残っている部分の確認
他のケア方法やリソースの調査
・他の介護サービスや方法、リソース(例えば、福祉用具やサポートシステムなど)の調査

情報を把握するためには、利用者本人やご家族からの情報収集、かかりつけ医や医師からの診療情報、また関連職種からの情報聴取が重要な手段となります。利用者やご家族の希望を確認する際、特に利用者の興味や関心のある生活行為を把握するためには、リハビリテーション評価でも使用される「興味・関心チェックシート」を活用することが効果的です。この情報を把握する際には、「こういうことをしてみたい」といった目標を利用者が自ら意識できるように働きかけ、利用者の意欲を引き出すことも大切です。

参考:厚生労働省 別紙様式3-1(興味・関心チェックシート)

P:Plan(計画)

Plan(計画)とは、支援に関する目標設定、解決すべき課題の把握(アセスメント)、およびそれらに基づく対応方法の検討を含む支援計画の作成を指します。課題の把握は、Survey(調査)の結果を元に行います。複数の課題がある場合には、利用者の希望を考慮し、活動・参加の向上や生活の質の向上に繋がる課題に優先的に介入します。

課題に対しては、利用者の心身状態や周囲の環境因子、ケア方法、支援者間での情報共有・連携など、どの要因が課題を引き起こしているのか(どの部分を改善すれば課題を解決できるのか)を検討し、それぞれに対する具体的な対応を策定します。改善を目指すには、支援による変化の予測を明確にし、定期的に確認を行うことが必要です。介護サービスの提供時間内だけでなく、日常生活においても、ご家族や利用者本人に確認を行っていただくことが重要です。

D:Do(実行)

Do(実行)とは、Plan(計画)で作成した支援計画に基づき、実際に介護サービスを提供することです。これには、直接的な支援だけでなく、計画に基づいた環境調整や、多職種間での情報共有、ご家族への支援方法の伝達なども含まれます。

実行した支援については、記録を残しておくことで、後のCheck(評価)やAction(改善)の際に振り返りができ、今後の改善に活用できます。

C:Check(評価)

Check(評価)とは、支援計画に基づき提供されたサービス(Do:実行)の結果、利用者の生活にどのような変化があったか、課題が解決されたか、目標の達成状況を評価することです。実行の結果、利用者の生活がどのように変化したのか、課題が解決されたのか、支援方法や課題設定が適切だったかを慎重に検討する必要があります。

A:Action(改善)

Action(改善)では、Check(評価)の結果、課題が解決されていない場合に、実施した介護サービスの内容を見直し、次の計画に繋げていきます。

介護のSPDCAサイクルの具体例

課題に対するSPDCAサイクルの回し方について、具体的な例は以下の通りです。

例①:利用者が歩行困難な場合

S:Survey(調査)
利用者へのアセスメントによって、利用者が歩行が困難で、認知症の初期段階にあることを確認。
P:Plan(計画)
利用者が2ヶ月以内に家の中での歩行をサポートなしで行えるように、理学療法士とともに、週3回の歩行訓練を行うことを計画する。
D:Do(実行)
理学療法士とともに、週3回の歩行訓練を実施。
C:Check(評価)
利用者が2ヶ月後にサポートなしで10分間歩けるかを評価。
A:Action(改善)
もし目標未達成の場合、訓練方法や頻度を見直し、さらにサポートを強化する。

例②:家族の介護負担軽減が目的の場合

S:Survey(調査)
自宅の環境調査によって、住居に手すりが不足しており、家族の介護負担が大きいことが判明。
P:Plan(計画)
週に3回、理学療法士によるリハビリを行うこと、家の中に手すりを追加設置することを計画する。
D:Do(実行)
家の中に手すりを設置後、週に3回の理学療法士によるリハビリを実施。
C:Check(評価)
家族へのヒアリングを行い、手すり設置の効果や、家族の負担が軽減したかの確認を行う。
A:Action(改善)
もし改善がされていない場合、訓練方法や頻度を見直す。

SPDCAサイクルのメリット

SPDCAサイクルを行うメリットには、以下のようなものがあります。

目標や計画が明確になる

目標が不明確なままでは、計画の立案や実施する支援にばらつきが生じる可能性があります。SPDCAサイクルでは、Survey(調査)に基づいて明確なPlan(計画)を立てるため、支援を実施する際に何をすべきかが明確になり、実行しやすくなります。

継続的な改善が可能

SPDCAを繰り返すことで、一時的なケアに留まらず、継続的な支援が可能になります。長期的に支援が行えることにより、利用者の状態が改善に向かう可能性があります。

多職種連携がスムーズになる

調査を通じて、利用者本人・家族・医師・介護職員など関係者間の情報共有が強化されます。また、連携がスムーズになることで、支援の質が向上しやすくなります。

問題点を客観的に把握できる

SPDCAサイクルを意識した数値や具体例による記録を残すことで、問題点を客観的に把握することができます。

SPDCAサイクルのデメリット

SPDCAサイクルのデメリットとしては、以下のようなことがあげられます。

SPDCAサイクルを回すこと自体が目的になってしまう可能性がある

SPDCAサイクルを実践する中でよく見られるのは、サイクル自体を回すことが目的になってしまうことです。取り組み始めの頃は目的を強く意識しやすいですが、時間が経過するにつれて、本来の目的を忘れ、ただサイクルを回すことや実行すること自体が目的になってしまうことがあります。

そのため、SPDCAサイクルを回す理由を常に意識し続けることが大切です。利用者の状態を改善するためなのか、支援の質を向上させるためなのか、本来の目的を定期的に振り返ることが必要です。例えば、評価の段階で目的を再確認し、それが達成されているかどうかを見直すことが重要です。

また、課題解決のためにはSPDCAサイクル以外の方法も存在することを理解し、あくまでSPDCAサイクルは改善を進めるための一つの手段であることを意識するようにしましょう。

改善に時間がかかる

SPDCAサイクルを活用するためには、各ステップを順番にこなす必要があります。具体的には、Survey(調査)を行い、Plan(計画)を立て、Do(実行)し、Check(評価)し、最後にAction(改善)を実施します。この一連の流れを着実に進めていくことは可能ですが、その分、時間がかかることもデメリットとして挙げられます。そのため、急な対応が求められる場面では、柔軟な対応が必要です。

調査が不十分だと効果が薄れる

Survey(調査)を適切に行わないと、その後の計画や実行が不十分になり、期待した結果が得られないため、事前の情報収集を丁寧に行うことが重要です。

業務負担が増える可能性がある

記録や評価の工程が増えることで、現場のスタッフにとって負担になることがあります。効率的に運用するための仕組み作りが求められます。

精度の高いSPDCAサイクルを回すにはLIFEの活用がおすすめ

SPDCAサイクルを回す際、介護職員の業務負担が増えることが課題として挙げられますが、LIFE(科学的介護情報システム)を使用することで、データの記録・分析の効率化が可能となり、負担軽減につながります。LIFEは、介護現場で蓄積された情報をデジタル化し、一元管理するシステムです。これにより、利用者の状態変化やケアの結果をリアルタイムで記録し、必要な情報を迅速に共有できるようになります。従来、紙ベースでの記録や個別の報告に時間を要していた作業をLIFEが補助することで、職員の手間を削減しながらも、質の高い情報管理が可能となります。

さらに、LIFEのデータを活用することで、調査(Survey)の精度向上計画(Plan)の立案をより的確に行うことができます。例えば、LIFEが提供する統計情報や分析結果を基に、科学的根拠のある介護計画を作成することで、職員が試行錯誤しながら個別の対応を検討する手間を減らすことができます。また、Check(評価)やAction(改善)の際にもLIFEが有効です。記録されたデータをもとに、利用者ごとの改善点や課題を客観的に評価できるため、職員間での認識のズレを防ぎ、よりスムーズにケアの方向性を決定できます。このように、LIFEを活用することで、SPDCAサイクルを効率的に回しながらも、介護職員の業務負担を軽減し、より質の高い介護サービスの提供につなげることができます。今後、LIFEとSPDCAサイクルの相乗効果を活かし、負担を減らしつつ継続的な業務改善を目指すことが重要となるでしょう。また、LIFEの活用は科学的介護推進体制加算やLIFE関連加算を算定できるため、事業所の収益向上にも繋がります。

まとめ

SPDCAサイクルは、業務改善で活用されるPDCAサイクルを改良し、リハビリテーションマネジメントで活用されているフレームワークの手法で、「S(Survey)」の調査の段階を前に置き、計画を立てる前にしっかりと調査を行うことを重要視しています。SPDCAサイクルには目標や計画が明確になったり、継続的な改善が可能などのメリットがありますが、SPDCAサイクルを回すこと自体が目的になってしまわないよう、本来の目的を忘れないことが大切です。精度の高いSPDCAサイクルを回すにはLIFEの活用がおすすめで、データの記録・分析の効率化が可能になったり、調査(Survey)の精度向上や計画(Plan)の立案をより的確に行うことができます。

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