介護の基礎知識
【2024年度介護報酬改定】訪問介護の同一建物減算とは?
- 公開日:2025年02月19日
- 更新日:2025年11月06日
訪問介護における同一建物減算とは、利用者が事業所と同じ建物などに住む場合、移動時間が少ないことで効率的なサービスを提供が行えることを考慮して設けられた減算制度です。
令和6年度の介護報酬改定では、訪問介護において、同一建物等居住者へのサービス提供割合が多くなるにつれて、訪問件数は増加し、移動時間や移動距離は短くなっている実態を踏まえ、同一建物減算について、事業所の利用者のうち、一定割合以上が同一建物等に居住する者への提供である場合に、報酬の適正化を行う新たな区分が設けられました。
本記事では、同一建物減算の単位数や要件について詳しく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
2024年度(令和6年)介護報酬改定による変更点
これまで、同一建物の利用者数が20人以上・50人以下にサービスを行う場合は減算率10%が適応されてきました。しかし、「訪問介護同一建物減算3」が新設されたことで、同一建物の利用者数が20人以上・50人以下であっても、同一敷地内建物等の利用者の割合が90/100以上の場合は減算率12%が適応されることになります。
例えば、利用者合計が54人、同一建物等に居住する利用者人数が49人の事業所の場合、報酬改定前の減算率は10%でしたが、同一敷地内建物等の利用者の割合が9割以上となる(49/54=9割以上)ため、報酬改定後は減算率12%が適応されることとなります。
訪問介護の同一建物減算の種類と単位数
- ●訪問介護同一建物減算1:10%減算
- 同一敷地内建物等の利用者又はこれ以外の同一建物の利用者20人以上にサービスを行う場合
- ●訪問介護同一建物減算2:15%減算
- 同一敷地内建物等の利用者50人以上にサービスを行う場合
- ●【新設】訪問介護同一建物減算3:12%減算
- 同一敷地内建物等の利用者の割合が90/100以上の場合(同一建物減算2を除く)
- ●訪問型独自サービス同一建物減算1:10%減算
- 事業所と同一建物の利用者又はこれ以外の同一建物の利用者20人以上にサービスを行う場合
- ●【新設】訪問型独自サービス同一建物減算2:15%減算
- 事業所と同一建物の利用者50人以上にサービスを行う場合
- ●【新設】訪問型独自サービス同一建物減算3:12%減算
- 同一の建物等に居住する利用者の割合が100分の90以上の場合
同一敷地内建物等の定義
同一敷地内建物等とは、「事業所と構造上または外観上、一体となっている建物」、または「同一敷地内や隣接する敷地にあり、効率的なサービス提供が可能な建物」を指します。具体的には、事業所が同じ建物内の別フロアにある場合や、渡り廊下でつながっている建物、同じ敷地内の別棟、狭い道路を挟んで隣接している建物などが該当します。
同一建物に20人以上が居住する場合の定義
「同一の建物に20人以上が居住する場合」とは、「同一敷地内建物等には該当しないが、その建物内に事業所の利用者が20人以上居住している建物」を指します。
同一敷地内建物等に50人以上が居住する場合の計算方法
「同一敷地内建物等に50人以上が居住するかどうか」は、1か月間の利用者数の平均で判断されます。この平均は、該当する建物に居住する利用者の1日ごとの合計を当月の日数で割ることで算出され、小数点以下は切り捨てとなります。
同一敷地内建物等の利用者の割合が90/100以上の場合とは
判定期間と減算適用期間
- 前期の場合:判定期間(3月1日から8月31日)、減算適用期間(10月1日から3月31日)
- 後期の場合:判定期間(9月1日から2月末日)、減算適用期間(4月1日から9月30日)
※令和6年度については、前期の判定期間を4月1日から9月30日、減算適用期間を11月1日から3月31日までとし、後期の判定期間を10月1日から2月末日、減算適用期間を令和7年度の4月1日から9月30日までとなっています。
判定方法
事業所ごとに、判定期間内に指定訪問介護を提供した利用者(実人員)のうち、同一敷地内建物等に居住する利用者の割合を算出し、「90%以上に該当するかどうか」を確認します。
「90%以上に該当した場合」に取るべき手続き
利用者の割合が90%以上となった場合、前期の判定期間であれば9月15日まで、後期の判定期間であれば3月15日までに、都道府県知事へ届出を提出する必要があります。
なお、90%以上に該当する場合でも「正当な理由」がある場合は、その理由を記載し、あわせて都道府県知事に提出する必要があります。
正当な理由の例
正当な理由の例は以下のように示されています。
- 特別地域訪問介護加算を受けている事業所である場合。
- 判定期間の1月当たりの延べ訪問回数が200回以下であるなど事業所が小規模である場合
- その他正当な理由と都道府県知事が認めた場合
訪問介護の同一建物等減算の留意点
- 訪問介護事業所と同じ建物内にある場合、その建物の管理・運営が訪問介護事業所の運営法人と異なっていても、「同一建物」として扱われます。
- 「同一敷地内建物等」に50人以上の利用者が居住しているかどうかの判断は、1か月間の利用者数の平均を用いて行います。この平均は、当月の1日ごとの該当建物に居住する利用者の合計を、当月の日数で除して算出し(小数点以下切り捨て)、適用の可否を判断します。
- 「同一の建物に20人以上居住する建物」に該当するかどうかも、1か月間の利用者数の平均を用いて計算されます。なお、第1号訪問事業と一体的に運営されている場合は、第1号訪問事業の利用者も含めて算出します。
- 同一敷地内であっても、広大な敷地内に複数の建物が点在している場合や、隣接する敷地であっても、道路や河川で隔てられ横断時に迂回が必要な場合など、効率的なサービス提供が難しいケースでは、減算の適用対象外となります。
- 同一建物等減算が適用される場合、支給限度基準額の算定においては、減算前の単位数が算入される点にも留意が必要です。
訪問介護の同一建物減算についてのQ&A
「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)」より、同一建物減算についてのQ&Aを抜き出しました。
令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)①適用期間について 問9
Q.同一建物減算についての新しい基準は、令和6年 11 月1日から適用とあるが、現在 90%を超えている事業所が、減算適用されることになるのは、令和5年度後(令和5年 9 月から令和6年 2 月末まで)の実績で判断するのではなく、令和6年度前期(令和6年4月から9月末まで)の実績で判断するということでよいか。
A.貴見のとおりである、令和6年度前期の実績を元に判断し、減算適用期間は令和6年 11月1日から令和7年3月 31 日までとなる。この場合、令和6年 10 月 15 日までに体制等状況一覧表を用いて適用の有無の届出が必要となる。
また、令和6年度後期(10 月から令和7年2月末)に 90%を超えた事業所については、減算適用期間は令和7年度の4月1日から9月 30 日までとなる。
なお、令和7年度以降は判定期間が前期(3月1日から8月 31 日)の場合は、減算適用期間を 10 月1日から3月 31 日までとし、判定期間が後期(9月1日から2月末日)の場合は、減算適用期間を4月1日から9月 30 日までとする。
令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)②減算の適用範囲 問10
Q.今般の改定により、訪問介護事業所における指定訪問介護の提供総数のうち、同一敷地内建物等に居住する利用者の占める割合が 90%以上である場合に減算適用することとされたが、90%以上となった場合は全利用者について半年間減算と考えてよいか。
A.同一敷地内建物等に居住する利用者のみが減算の適用となる。
令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)③正当な理由の範囲 問11
Q.ケアマネジャーからの紹介があった時点で、既に同一敷地内建物等に居住する利用者であることが多く、これにより同一敷地内建物等に居住する利用者の占める割合が90%以上となった場合については、正当な理由に該当すると考えてよいか。
A.訪問介護事業所は「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成 11 年厚生省令第 37 号)」第 36 条の2において、訪問介護事業所の所在する建物と同一の建物に居住する利用者に対して指定訪問介護を提供する場合には、当該建物に居住する利用者以外の者に対しても指定訪問介護の提供を行うよう努めなければならないこととされており、単にケアマネジャーから地域の要介護者の紹介がないことを理由として、同一敷地内建物等に居住する利用者の占める割合が 90%以上となった場合は、正当な理由には該当しない。
令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)④正当な理由の範囲 問12
Q.通常の事業の実施地域内に同一敷地内建物等以外に居住する要介護高齢者が少数である場合について、これにより同一敷地内建物等に居住する利用者の占める割合が90%以上となった場合については、正当な理由に該当すると考えてよいか。
A.正当な理由とみなして差し支えない。ただし、訪問介護事業所は「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成 11 年厚生省令第 37 号)」第 36 条の2において、訪問介護事業所の所在する建物と同一の建物に居住する利用者に対して指定訪問介護を提供する場合には、当該建物に居住する利用者以外の者に対しても指定訪問介護の提供を行うよう努めなければならないこととされており、お問い合わせのケースについては、通常の事業の実施地域の範囲が適正かどうかも含め、同一敷地内建物等以外に居住する要介護高齢者へも指定訪問介護の提供を行うよう努めているかどうか確認を行うこと。
令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)⑤正当な理由の範囲 問13
Q.中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算を算定する場合は、正当な理由に該当すると考えてよいか。
A.正当な理由には該当しない。
最後に
令和6年度の介護報酬改定では、訪問介護において、同一建物等居住者へのサービス提供割合が多くなるにつれて、訪問件数は増加し、移動時間や移動距離は短くなっている実態を踏まえ、同一建物減算について、事業所の利用者のうち、一定割合以上が同一建物等に居住する者への提供である場合に、報酬の適正化を行う新たな区分が設けられました。新たな区分の要件を理解し、もし自事業所の同一建物等に居住する利用者割合が90%以上に該当した場合は期限までに届出を提出するようにしましょう。
本記事は、作成時点での最新の資料・情報に基づいています。具体的な解釈や申請手続きについては、最新の情報をご確認のうえ、必要に応じて自治体などの関係機関へお問い合わせください。