介護の基礎知識
介護保険外サービスの起業について解説!ポイントや混合介護について
- 公開日:2025年02月18日
- 更新日:2025年11月06日
介護保険サービスは提供できる内容に制限があり、高齢化が進む中で多様化するニーズに十分対応できないこともあります。そうした背景から、介護保険の枠を超えて支援を行う保険外サービスに関心を持つ人が増えています。
本記事では、保険外サービスの概要や、そのメリット・デメリット、開業までの流れについて詳しく解説します。
介護保険サービスとは?
介護保険サービスは、要支援または要介護認定を受けた介護保険の被保険者が利用できるサービスです。これらのサービスは介護保険を活用して提供されるため、利用者は利用時に発生する費用の一部を負担します。利用者の所得に応じて、負担額は1~3割となり、残りの7~9割は税金や保険料で賄われています。
介護保険サービスは、主に「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」「居宅介護支援」の4つのカテゴリーに分けられます。
介護保険サービス
- 居宅サービス
・訪問介護
・訪問入浴介護
・訪問看護
・訪問リハビリテーション
・居宅療養管理指導
・通所介護
・通所リハビリテーション
・短期入所生活介護
・短期入所療養介護
・特定施設入居者生活介護
・福祉用具貸与 - 施設サービス
・介護老人福祉施設
・介護老人保健施設
・介護医療院 - 地域密着型サービス
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
・夜間対応型訪問介護
・地域密着型通所介護
・認知症対応型通所介護
・小規模多機能型居宅介護
・認知症対応型共同生活介護
・地域密着型特定施設入居者生活介護
・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
・看護小規模多機能型居宅介護 - 居宅介護支援
・居宅介護支援
保険外サービスとは?
保険外サービスとは、介護保険が適用されない介護サービス全般を指します。介護保険サービスは、年齢や要介護認定の有無に基づいて利用資格が決まりますが、保険外サービスは基本的に誰でも利用可能です。また、保険外サービスは介護保険の適用外であるため、利用料金は事業者が自由に設定でき、料金は全額利用者が負担する点が、介護保険サービスとの主な違いです。
保険外サービスの例としては、以下のようなものがあります。
保険外サービスの例
- 配食サービス
- 家事代行サービス
- お泊りデイサービス
- 外出・旅行の支援サービス
- 訪問理美容サービス
混合介護とは?
混合介護とは、介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせた形のサービスを指します。例えば、日中に介護保険サービスである通所介護を利用した後、保険外サービスであるお泊りデイサービスを提供するようなケースが、混合介護に該当します。
混合介護(介護保険サービスと保険外サービスの両方)を提供するメリットとデメリット
混合介護を提供する際のメリットとデメリットは以下の通りです。
- メリット
- 保険外サービスの提供には、収益の増加という大きなメリットがあります。特に、事業所の設備や備品、車両などの空き時間や人的リソースを有効活用することで、コストを抑えながら収益を増やすことが可能です。さらに、利用者やその家族の困りごとを解決できるため、サービスが提供されることで事業所の継続的な利用が促進されるという利点もあります。
- デメリット
- 介護保険サービスと保険外サービスを併用して事業所を運営することになるため、それぞれのサービスの線引きや管理が煩雑になることがデメリットとなります。また、保険外サービスの提供に伴い、現場の業務量が増加するため、従業員の負担が増える可能性も考えられます。
介護保険外サービスで起業するまでの流れ
それでは、保険外サービスで起業する場合の流れについて説明していきます。
- 1.ニーズの把握
- まず最初に、市場のニーズをしっかりと把握することが重要です。保険外サービスは多岐にわたるため、需要のないサービスを提供しても利用者は増えません。事前に利用者が直面している問題や、まだ十分に提供されていないサービスを調査し、ニーズを明確にしましょう。
- 2.提供サービスの検討
- 集めた情報をもとに、どのようなサービスを提供するかを具体的に決定します。サービスを提供するために必要な人数、資格・スキル、設備なども考慮し、提供体制を整えるために必要な準備を進めましょう。
- 3.事業計画立案
- 事業計画書を作成し、保険外サービスを運営するための基本方針を策定します。料金設定やコスト、利益、事業規模の予測を行い、事業が成立するかどうかを確認しながら調整していきます。
- 4.開業準備
- 人材の確保や設備の契約、必要な手続きなど、開業に向けた準備を進めます。加えて、事業運営に必要な運転資金の調達も行い、スムーズな事業開始に備えましょう。
- 5.営業・プロモーション
- 開業後すぐにサービスを提供できるよう、広報活動を行います。開業予定の地域の居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)や地域包括支援センター、老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、地域住民などに向けて積極的に宣伝を行い、認知度を高めましょう。
介護保険サービスで起業するまでの流れ
介護保険サービスで起業するまでの一般的な流れは以下の通りです。
- 1.法人の設立
- まずは、株式会社やNPO法人などの法人を設立しましょう。
- 2.事業計画書の作成
- 事業運営の指針を定めたり融資を受けるためにも事業計画を作成します。
- 3.開業資金の調達
- 介護保険サービス開業の際の資金の調達方法は、以下の3つに分けられます。
1.銀行や日本政策金融公庫、信用保証協会からの融資
2.ファクタリング
3.助成金や補助金 - 4.物件と設備の手配
- 設備基準を満たす建物や設備・備品の手配を行います。
- 5.人員の確保
- 人員基準を満たすかに注意して、一緒に働く職員を声掛けや求人掲載などで採用しましょう。
- 6.運営規定の整備や書類の用意
- 運営規定などの整備や、各種書類の用意を行い、運営基準を満たすための準備を進めます。
- 7.指定申請
- 指定申請とは、介護事業を運営するために指定権者から事業の許認可を受けるための手続きです。原則として、各市区町村が指定権者となります。
介護保険外・介護保険内サービスを開業する際に活用できる助成金・補助金の一覧
介護保険外・介護保険内サービス開業の際の資金調達方法はいくつかありますが、何かと費用がかかる事業所立ち上げ時期には、できれば返済義務の無い補助金や助成金を受給したいという事業所様も多くいらっしゃるかと思います。以下では起業の際に活用できる助成金・補助金の一覧をご紹介します。
<開業時に活用できる助成金・補助金>
- 中小企業新事業進出補助金
- 創業助成金(東京都)
- 若手・女性リーダー応援プログラム助成事業(東京都)
- 創業者支援事業助成金(富山県魚津市)
- 泉大津市創業支援事業補助金
<開業後に活用できる助成金・補助金>
- 特定求職者雇用開発助成金
- トライアル雇用助成金
- 人材確保等支援助成金(介護福祉機器助成コース)
- 働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)
- 介護ロボット導入支援事業費補助金(北海道)
- IT導入補助金
- ICT導入補助金(ICT導入支援事業)
など
上記以外にも、各自治体が独自に用意している助成金・補助金がある場合もございます。お住まいの自治体に開業を支援する助成金・補助金がないか確認することをおすすめします。
まとめ
介護保険サービスは、要介護認定を受けた人が利用できるもので、費用の一部が保険で賄われます。一方で、保険外サービスは誰でも利用でき、事業者が自由に料金を設定できるため、収益の幅が広がるのが特徴です。
また、介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせた「混合介護」は、柔軟なサービス提供が可能になり、利用者の利便性を高める一方で、管理が複雑になりやすいという課題もあります。そのため、事業を成功させるためには、事前に市場のニーズを把握し、提供するサービスの方向性を明確にすることが欠かせません。
さらに、開業や運営を支援する助成金や補助金の活用も重要です。国や自治体によっては、創業助成金や介護関連の補助金が用意されているため、事業計画の段階で確認し、活用できる制度を最大限利用しましょう。