介護の基礎知識
【2024年度報酬改定ポイントまとめ】特定施設入居者生活介護(サ高住・住宅型有料老人ホーム)
- 公開日:2025年01月30日
- 更新日:2025年12月12日
2024年度(令和6年度)の介護報酬改定では、人口構造や社会経済状況の変化を踏まえ、「地域包括ケアシステムの推進」、「自立支援・重度化防止への対応」、「働きやすい職場環境を整備し、良質な介護サービスの効率的提供を目指す」、「制度の安定性・持続可能性の確保」といった視点が重視されました。この結果、本体改定率は「1.59%」のプラス改定となっています。本記事では、2024年度介護報酬改定の中から、特定施設入居者生活介護(サ高住・住宅型有料老人ホーム)に関する改定内容について解説します。
2024年度介護報酬改定の施行日
厚生労働省の実施した「第236回介護給付費分科会」において、介護報酬改定の施行日がサービス種別によって、2024年4月と2024年6月に分かれることが示され、特定施設入居者生活介護の介護報酬改定は、「2024年4月1日」より施行されました。
2024年6月に施行されたサービスは、「居宅療養管理指導」、「通所リハビリテーション」、「訪問看護」、「訪問リハビリテーション」となります。それ以外のサービス種別は、2024年4月に施行されました。
介護報酬改定のポイント①基本報酬(点数)
特定施設入居者生活介護の1日あたりの基本報酬は以下の通りです。介護報酬改定による単位数の変化は以下の表の通りで、全体的に増加しています。
介護報酬改定のポイント②人員配置基準における両立支援への配慮
介護現場で治療と仕事の両立が可能な環境を整備し、職員の離職防止や定着促進を図るため、各サービスにおける人員配置基準や報酬算定の見直しが行われました。
- 「常勤」の計算にあたって、職員が育児・介護休業法等による育児・介護等の短時間勤務制度を利用する場合に加え、「治療と仕事の両立ガイドライン」に沿って事業者が設ける短時間勤務制度等を利用する場合にも、週30時間以上の勤務で「常勤」として扱う
- 「常勤換算方法」の計算に当たり、職員が「治療と仕事の両立ガイドライン」に沿って事業者が設ける短時間勤務制度等を利用する場合、週30時間以上の勤務で常勤換算での計算上も「常勤換算数:1」と扱う
※改定前は、「母性健康管理措置による短時間勤務」と「育児・介護休業法による短時間勤務制度」に該当する職員が、常勤1・常勤換算数1として計算することが認められていました。
介護報酬改定のポイント③管理者の責務及び兼務範囲の明確化等
介護サービスの質を確保しながら事業所を効率的に運営するため、管理者の責務が明確化されました。管理者は、サービス提供の場面などで発生する事象を適切かつ迅速に把握し、職員や業務を一元的に管理・指揮することが求められます。
また、管理者が兼務できる事業所の範囲についても見直しが行われ、責務を果たせる場合であれば、必ずしも同一敷地内の事業所や施設でなくても問題ないことが明示されました。
介護報酬改定のポイント④いわゆるローカルルールについて
都道府県や市町村に対して、人員配置基準に関する「ローカルルール」については、厚生労働省令の範囲内で、地域の実情に合った内容とすることが求められています。また、事業者から説明を求められた場合には、そのルールが地域で必要とされる理由を説明できるようにすることが求められます。
介護報酬改定のポイント⑤「書面掲示」規制の見直し
運営基準省令において、事業所の運営規程の概要などの重要事項について、「書面掲示」に加え、インターネット上で情報を閲覧できるようにすることが求められます。これにより、介護サービス事業者は重要事項をウェブサイトに掲載・公表することが原則必須となりました。この制度は2025年度(令和7年度)から義務化されます。
介護報酬改定のポイント⑥夜間看護体制加算の見直し
夜間の看護体制を強化し、医療的ケアが必要な方を積極的に受け入れやすくするために、特定施設入居者生活介護などにおける「夜間看護体制加算」を見直します。具体的には、「夜勤または宿直の看護職員を配置する場合」を評価する新たな区分を設けます。あわせて、現行の加算区分についても、新たな区分の導入を促進する観点から評価の見直しを行います。
- 単位数
- 夜間看護体制加算:10単位/日
↓ 改定後
夜間看護体制加算(Ⅰ):18単位/日(新設)
夜間看護体制加算(Ⅱ):9単位/日(変更) - 算定要件
- 以下の太字の箇所が介護報酬改定による変更点となります。
<夜間看護体制加算(Ⅰ)>(新設)
(1) 常勤の看護師を1名以上配置し、看護に係る責任者を定めていること。
(2)夜勤又は宿直を行う看護職員の数が1名以上であって、かつ、必要に応じて健康上の管理等を行う体制を
確保していること。
(3)重度化した場合における対応に係る指針を定め、入居の際に、利用者又はその家族等に対して、当該指針
の内容を説明し、同意を得ていること。
<夜間看護体制加算(Ⅱ)> (変更なし)
(1) 夜間看護体制加算(Ⅰ)の(1)及び(3)に該当すること。
(2) 看護職員により、又は病院若しくは診療所若しくは指定訪問看護ステーションとの連携により、利用者に対
して、24時間連絡できる体制を確保し、かつ、必要に応じて健康上の管理等を行う体制を確保していること。
介護報酬改定のポイント⑦医療的ケアの推進に向けた入居継続支援加算の見直し
医療的ケアが必要な入居者が一定数いる特定施設入居者生活介護などにおいて、入居者の医療ニーズに対応できるよう看護職員によるケアを強化します。そのため、医療的ケアが必要とされる対象者の範囲に、新たに「尿道カテーテル留置」「在宅酸素療法」「インスリン注射を実施している方」を追加する見直しを行います。
- 単位数(変更なし)
- 入居継続支援加算(Ⅰ):1日につき36単位
入居継続支援加算(Ⅱ):1日につき22単位 - 算定要件
- 以下の太字の箇所が介護報酬改定による変更点となります。
<入居継続支援加算(Ⅰ)>
(1)または(2)のいずれかに適合し、かつ、(3)および(4)のいずれにも適合すること。
(1)社会福祉士及び介護福祉士法施行規則第1条各号に掲げる行為(※1)を必要とする者の占める割合が、入居者の15%以上であること。
(2)社会福祉士及び介護福祉士法施行規則第1条各号に掲げる行為(※1)を必要とする者および次のいずれかに該当する状態(※2)の者の占める割合が入居者の15%以上であり、かつ、常勤の看護師を1名以上配置し、看護に係る責任者を定めていること。
※1 ①口腔内の喀痰吸引 ②鼻腔内の喀痰吸引 ③気管カニューレ内部の喀痰吸引 ④胃ろうまたは腸ろうによる経管栄養 ⑤経鼻経管栄養
※2 ①尿道カテーテル留置を実施している状態 ②在宅酸素療法を実施している状態 ③インスリン注射を実施している状態
(3)介護福祉士の数が、常勤換算方法で、入居者の数が6またはその端数を増すごとに1以上(※3)であること。
※3 テクノロジーを活用した複数の機器(見守り機器、インカム、記録ソフト等のICT、移乗支援機器等)を活用し、利用者に対するケアのアセスメント・評価や人員体制の見直しを行い、かつ安全体制およびケアの質の確保並びに職員の負担軽減に関する事項を実施し、機器を安全かつ有効に活用するための委員会を設置し必要な検討等を行う場合は、当該加算の介護福祉士の配置要件を「7またはその端数を増すごとに1以上」とする。
(4)人員基準欠如に該当していないこと。
<入居継続支援加算(Ⅱ)>
入居継続支援加算(Ⅰ)の(1)または(2)のいずれかに適合し(※4)、かつ、(3)および(4)のいずれにも適合すること。
※4 ただし、(1)または(2)に掲げる割合は、それぞれ5%以上15%未満であること。
介護報酬改定のポイント⑧協力医療機関との連携体制の構築
高齢者施設等内で対応可能な医療の範囲を超えた場合に、協力医療機関との連携の下で適切な対応が行われるよう、在宅医療を担う医療機関や在宅医療を支援する地域の医療機関等と実効性のある連携体制を構築するために、以下の見直しを行う。
- 協力医療機関を定めるに当たっては、以下の要件を満たす協力医療機関を定めるように努めることとする。
① 利用者の病状の急変が生じた場合等において、医師又は看護職員が相談対応を行う体制を常時確保していること。
② 診療の求めがあった場合に、診療を行う体制を常時確保していること。 - 1年に1回以上、協力医療機関との間で、利用者の病状の急変が生じた場合等の対応を確認するとともに、当該協力医療機関の名称等について、当該事業所の指定を行った自治体に提出しなければならないこととする。
- 利用者が協力医療機関等に入院した後に、病状が軽快し、退院が可能となった場合においては、速やかに再入居させることができるように努めることとする。
介護報酬改定のポイント⑨協力医療機関連携体制加算の見直し
特定施設における医療機関連携加算について、定期的な会議において入居者の現病歴等の情報共有を行うよう見直しが行われました。
- 協力医療機関の要件
- 協力医療機関の要件は以下の通りです。
① 入所者等の病状が急変した場合等において、医師又は看護職員が相談対応を行う体制を常時確保していること。
② 高齢者施設等からの診療の求めがあった場合において、診療を行う体制を常時確保していること。 - 単位数
- 医療機関連携加算:1ヶ月につき80単位
↓ 改定後
協力医療機関連携加算
協力医療機関が(1)協力医療機関の要件の①、②の要件を満たす場合:1ヶ月につき100単位
(2)それ以外の場合:1ヶ月につき40単位 - 算定要件
- 協力医療機関との間で、入所者等の同意を得て、当該入所者等の病歴等の情報を共有する会議を定期的に開催していること。
介護報酬改定のポイント⑩退所時情報提供加算の新設
入居者が医療機関へ退所した際、生活支援上の留意点等の情報提供を行うことを評価する新たな加算が新設されました。
- 単位数
- 1回につき250単位
- 算定要件
- 医療機関へ退所する入所者等について、退所後の医療機関に対して入所者等を紹介する際、入所者等の同意を得て、当該入所者等の心身の状況、生活歴等を示す情報を提供した場合に、入所者等1人につき1回に限り算定する。
介護報酬改定のポイント⑪高齢者施設等感染対策向上加算の新設
高齢者施設等感染対策向上加算は、施設内で感染者が発生した場合に、感染者の対応を行う医療機関との連携の上で施設内で感染者の療養を行うことや、他の入所者等への感染拡大を防止することが求められることから、その対応を評価する加算が新設されました。
- 単位数
- 高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅰ):1ヶ月につき10単位
高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅱ):1ヶ月につき5単位 - 算定要件
- 算定要件は以下の通りです。
<高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅰ)>
- 感染症法第6条第17 項に規定する第二種協定指定医療機関との間で、新興感染症の発生時等の対応を行う体制を確保していること。
- 協力医療機関等との間で新興感染症以外の一般的な感染症の発生時等の対応を取り決めるとともに、感染症の発生時等に協力医療機関等と連携し適切に対応していること。
- 診療報酬における感染対策向上加算又は外来感染対策向上加算に係る届出を行った医療機関又は地域の医師会が定期的に行う院内感染対策に関する研修又は訓練に1年に1回以上参加していること。
<高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅱ)>
- 診療報酬における感染対策向上加算に係る届出を行った医療機関から、3年に1回以上施設内で感染者が発生した場合の感染制御等に係る実地指導を受けていること。
介護報酬改定のポイント⑫新興感染症等施設療養費の新設
新興感染症のパンデミック発生時等において、施設内で感染した高齢者に対して必要な医療やケアを提供する観点や、感染拡大に伴う病床ひっ迫を避ける観点から、必要な感染対策や医療機関との連携体制を確保した上で感染した高齢者を施設内で療養を行うことを新たに評価します。対象の感染症については、今後のパンデミック発生時に必要に応じて指定されます。
- 単位数
- 1日につき240単位
- 算定要件
- 入所者等が別に厚生労働大臣が定める感染症に感染した場合に相談対応、診療、入院調整等を行う医療機関を確保し、かつ、当該感染症に感染した入所者等に対し、適切な感染対策を行った上で、該当する介護サービスを行った場合に、1月に1回、連続する5日を限度として算定する。
※ 現時点において指定されている感染症はない。
介護報酬改定のポイント⑬新興感染症発生時等の対応を行う医療機関との連携
施設系サービス及び居住系サービスについて、利用者及び入所者における新興感染症の発生時等に、感染者の診療等を迅速に対応できる体制を平時から構築しておくため、感染者の診療等を行う協定締結医療機関と連携し、新興感染症発生時における対応を取り決めるよう努めることとします。
また、協力医療機関が協定締結医療機関である場合には、当該協力医療機関との間で、新興感染症の発生時等の対応について協議を行うことを義務づけます。
介護報酬改定のポイント⑭業務継続計画未策定減算の新設
感染症や災害が発生した場合であっても、必要な介護サービスを継続的に提供できる体制を構築するため、業務継続に向けた計画の策定の徹底を求める観点から、感染症若しくは災害のいずれか又は両方の業務継続計画が未策定の場合の減算が新設されました。
- 単位数
- 所定単位数の-3/100
- 算定要件
- 業務継続計画未策定減算は、感染症や非常災害に備えた業務継続計画(BCP)が策定されていない場合に適用されます。詳しくは以下の通りです。
- 感染症や非常災害の発生時において、利用者に対するサービスの提供を継続的に実施するための、及び非常時の体制で早期の業務再開を図るための計画(業務継続計画)を策定すること
- 当該業務継続計画に従い必要な措置を講ずること
※ 2025年3月31日までの間、感染症の予防およびまん延の防止のための指針の整備および非常災害に関する具体的計画の策定を行っている場合には、減算を適用しない
介護報酬改定のポイント⑮高齢者虐待防止の推進
利用者の人権の擁護、虐待の防止等をより推進する観点から、虐待の発生又はその再発を防止するための措置が講じられていない場合の減算が新設されました。
- 単位数
- 所定単位数の-1/100
- 算定要件
- 以下の措置が行われていない場合、基本報酬が減額されます。
- 虐待防止委員会の開催
- 防止方針(指針)の作成
- 職員向け研修の実施
- 担当者の指定
介護報酬改定のポイント⑯特定施設入居者生活介護における口腔衛生管理の強化
すべての特定施設入居者生活介護において口腔衛生管理体制の確保を促し、入居者の状態に応じた適切な口腔ケアを実施できるようにするため、「口腔衛生管理体制加算」を廃止します。これに伴い、同加算の算定要件の取り組みを一部緩和したうえで、基本サービスとして提供することとします。なお、円滑な移行のために3年間の経過措置期間を設けます。
介護報酬改定のポイント⑰科学的介護推進体制加算の見直し
科学的介護推進体制加算とは、LIFE(科学的介護情報システム)に関係する加算です。質の高い情報の収集・分析を可能とし、入力負担を軽減し科学的介護を推進する観点から、介護報酬改定にて算定要件が一部見直されました。
- 単位数(変更なし)
- 1ヶ月40単位
- 算定要件
- 科学的介護推進体制加算は介護報酬改定にて算定要件が一部見直されました。報酬改定による変更点は以下の太字の箇所です。
- LIFEへのデータ提出頻度について、他のLIFE関連加算と合わせ、少なくとも「3月に1回」に見直す。
- その他、LIFE関連加算に共通した見直しを実施。
<入力負担軽減に向けたLIFE関連加算に共通する見直し>
・入力項目の定義の明確化や、他の加算と共通する項目の選択肢を統一化する
・同一の利用者に複数の加算を算定する場合に、一定の条件下でデータ提出のタイミングを統一できるようにする
介護報酬改定のポイント⑱アウトカム評価の充実のためのADL維持等加算の見直し
ADL維持等加算とは、利用者のADLの機能を維持・改善しているかを評価するための加算です。介護報酬改定では算定要件が一部見直されました。
ADL維持等加算について、自立支援・重度化防止に向けた取組をより一層推進する観点から、ADL維持等加算(Ⅱ)におけるADL利得の要件について、「2以上」を「3以上」と見直しを行い、ADL利得の計算方法の簡素化を行いました。
- 単位数(変更なし)
- ADL維持等加算(Ⅰ):1ヶ月30単位
ADL維持等加算(Ⅱ):1ヶ月60単位 - 算定要件
- ADL維持等加算は介護報酬改定にて算定要件が一部見直されました。報酬改定による変更点は以下の太字の箇所です。
< ADL維持等加算(Ⅰ) >
- 以下の要件を満たすこと
イ 利用者等(当該施設等の評価対象利用期間が6月を超える者)の総数が10人以上であること。
ロ 利用者等全員について、利用開始月と、当該月の翌月から起算して6月目(6月目にサービスの利用がない場合はサービスの利用があった最終月)において、Barthel Indexを適切に評価できる者がADL値を測定し、測定した日が属する月ごとに厚生労働省に提出していること。
ハ 利用開始月の翌月から起算して6月目の月に測定したADL値から利用開始月に測定したADL値を控除し、初月のADL値や要介護認定の状況等に応じた値を加えて得た値(調整済ADL利得)について、利用者等から調整済ADL利得の上位及び下位それぞれ1割の者を除いた者を評価対象利用者等とし、評価対象利用者等の調整済ADL利得を平均して得た値が1以上であること。
< ADL維持等加算(Ⅱ) >
- ADL維持等加算(Ⅰ)のイとロの要件を満たすこと。
- 評価対象利用者等の調整済ADL利得を平均して得た値が3以上であること。
<ADL維持等加算(Ⅰ)(Ⅱ)について>
- 初回の要介護認定があった月から起算して12月以内である者の場合や他の施設や事業所が提供するリハビリテーションを併用している利用者の場合のADL維持等加算利得の計算方法を簡素化。
介護報酬改定のポイント⑲介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算・介護職員等ベースアップ等支援加算の一本化(介護職員等処遇改善加算の新設)
介護職員等処遇改善加算は、介護職員の処遇改善を目的に設けられた加算です。介護報酬改定では介護現場で働く方々にとって、令和6年度に2.5%、令和7年度に2.0%のベースアップへと確実につながるよう加算率の引上げが行われました。また、2023年度までは、処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算の3つに分かれていましたが、2024年度より一本化され、改めて介護職員等処遇改善加算が新設されました。
- 単位数
- 特定施設入居者生活介護における単位数は以下の通りです。
- 算定要件
- 算定要件は以下の通りです。
- 一本化後の新加算全体について、職種に着目した配分ルールは設けず、事業所内で柔軟な配分を認める。
- 新加算のいずれの区分を取得している事業所においても、新加算Ⅳの加算額の1/2以上を月額賃金の改善に充てることを要件とする。
※ それまでベースアップ等支援加算を取得していない事業所が、一本化後の新加算を新たに取得する場合には、収入として新たに増加するベースアップ等支援加算相当分の加算額については、その2/3以上を月額賃金の改善として新たに配分することを求める。
介護報酬改定のポイント⑳テレワークの取扱い
人員配置基準等で具体的な必要数を定めて配置を求めている職種のテレワークに関して、以下の基準を満たしていることを前提に、取扱いの明確化を行い、厚生労働省から職種や業務ごとに具体的な考え方が示されることになりました。
- 個人情報を適切に管理していること
- 利用者の処遇に支障が生じないこと
介護報酬改定のポイント㉑利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策 を検討するための委員会の設置の義務付け
介護現場における生産性の向上の取組の促進を図る観点から、現場における課題を抽出及び分析した上で、事業所の状況に応じて、利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会の設置が義務付けられました。その際、3年間の経過措置期間を設けます。
介護報酬改定のポイント㉒生産性向上推進体制加算の新設
生産性向上推進体制加算は、介護現場における生産性の向上の取組の促進を図る観点から、介護ロボットやICT等の導入後の継続的なテクノロジー活用を支援するための加算です。
介護現場における生産性の向上に資する取組の促進を図る観点から新設されました。
- 単位数
- 生産性向上推進体制加算(Ⅰ):1ヶ月につき100単位
生産性向上推進体制加算(Ⅱ):1ヶ月につき10単位 - 算定要件
- 算定要件は以下の通りです。
<生産性向上推進体制加算(Ⅰ)>
- (Ⅱ)の要件を満たし、(Ⅱ)のデータにより業務改善の取組による成果が確認されていること。
- 見守り機器等のテクノロジーを複数導入していること。
- 職員間の適切な役割分担(いわゆる介護助手の活用等)の取組等を行っていること。
- 1年以内ごとに1回、業務改善の取組による効果を示すデータの提供(オンラインによる提出)を行うこと。
注:生産性向上に資する取組を従来より進めている施設等においては、(Ⅱ)のデータによる業務改善の取組による成果と同等以上のデータを示す等の場合には、(Ⅱ)の加算を取得せず、(Ⅰ)の加算を取得することも可能である。
<生産性向上推進体制加算(Ⅱ)>
- 利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会の開催や必要な安全対策を講じた上で、生産性向上ガイドラインに基づいた改善活動を継続的に行っていること。
- 見守り機器等のテクノロジーを1つ以上導入していること。
- 1年以内ごとに1回、業務改善の取組による効果を示すデータの提供(オンラインによる提出)を行うこと。
介護報酬改定のポイント㉓生産性向上に先進的に取り組む特定施設における人員配置基準の特例的な柔軟化
テクノロジーの活用を通じて介護サービスの質を向上させ、職員の負担を軽減するため、令和4年度および令和5年度に実施された「介護ロボット等による生産性向上の取組」に関する効果測定事業の結果を踏まえ、適切な対策を検討します。具体的には、利用者の安全確保や介護サービスの質向上、職員の負担軽減に貢献する方策を検討する委員会において、生産性向上に必要な安全対策を議論します。その上で、見守り機器などのテクノロジーを複数活用し、職員間の適切な役割分担を行うことで、介護サービスの質の確保と職員の負担軽減が実現できている特定施設について、見直しを行います。
- 特定施設ごとに置くべき看護職員及び介護職員の合計数について、要件を満たす場合は、「常勤換算方法で、要介護者である利用者の数が3(要支援者の場合は10)又はその端数を増すごとに0.9以上であること」とすることとする。
- 介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減が行われていることの確認については、試行前後を比較することに
より、以下の事項が確認される必要があるものとする。
・介護職員の総業務時間に占める利用者のケアに当てる時間の割合が増加していること
・利用者の満足度等に係る指標において、本取組による悪化が見られないこと
・総業務時間及び当該時間に含まれる超過勤務時間が短縮していること
・介護職員の心理的負担等に係る指標において、本取組による悪化が見られないこと - 柔軟化された人員配置基準の適用後、一定期間ごとに、上記i~ⅳの事項について、指定権者に状況の報告を行うものとすること。また、届け出た人員配置より少ない人員配置を行う場合には、改めて試行を行い、必要な届出をするものとする。なお、過去一定の期間の間に行政指導等を受けている場合は、当該指導等に係る事項について改善している旨を指定権者に届け出ることとする。
介護報酬改定のポイント㉔外国人介護人材に係る人員配置基準上の取扱いの見直し
次のいずれかに該当するものについては、職員等の配置の基準を定める法令の適用について職員等とみなしても差し支えないこととしました。
- 受入れ施設において就労を開始した日から6月を経過した外国人介護職員
- 受入れ施設において就労を開始した日から6月を経過していない外国人介護職員であって、受入れ施設(適切な研修体制及び安全管理体制が整備されているものに限る。)に係る事業を行う者が当該外国人介護職員の日本語の能力及び研修の実施状況並びに当該受入れ施設の管理者、研修責任者その他の職員の意見等を勘案し、当該外国人介護職員を職員等の配置の基準を定める法令の適用について職員等とみなすこととしたもの
- 日本語能力試験N1又はN2に合格した者
最後に
本記事は、以下の最新資料を基に作成されています。
具体的な解釈や申請手続きについては、その都度、最新の情報をご確認のうえ、ご判断ください。