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介護の基礎知識

障がい福祉サービス2024年度報酬改定ポイントまとめ|居宅介護・重度訪問介護・同行援護・行動援護

  • 公開日:2025年01月30日
  • 更新日:2025年12月12日

障害福祉サービス事業では、毎年の小規模な改定に加え、3年ごとに大きな改定が行われます。令和6年度は、その大改定の年にあたります。

障がい福祉サービスの報酬改定は令和6年4月1日より報酬改定が施行されました。今回の改定では、大きく変更されたサービスもあれば、ほとんど変わらなかったサービスもあります。本記事では、報酬改定により、障がい福祉サービス(居宅介護・重度訪問介護・同行援護・行動援護)がどのように改定されたのかを解説していきます。

参照:令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要|厚生労働省

居宅介護

基本報酬(点数)

居宅介護の基本報酬は、以下の表の通り全区分で増加しています。

居宅における身体介護が中心である場合

通院等介助(身体介護を伴う場合)が中心である場合

家事援助が中心である場合

通院等介助(身体介護を伴わない場合)が中心の場合

通院等のための乗車または降車の介助が中心である場合

居宅介護の特定事業所加算の加算要件の見直し

特定事業所加算の算定にあたり、専門的な支援技術を必要とする重度障害児への支援が評価できるように、加算要件の「重度障害者への対応」、「中度障害者への対応」の中に、「重度障害児(重症心身障害児、医療的ケア)への対応」が追加されました。

算定要件
① サービス提供体制の整備(研修の計画的実施、情報の的確な伝達等)
② 良質な人材の確保(介護福祉士の割合が30%以上等)
③ 重度障害者への対応(区分5以である者、喀痰吸引等を必要とする者並びに重症心身障害児及び医療的ケア児の占める割合が30%以上)
④ 中重度障害者への対応(区分4以上である者、喀痰吸引等を必要とする者並びに重症心身障害児及び医療的ケア児の占める割合が50%以上)
※ 令和6年3月31日時点で、特定事業所加算加算を受けている事業所については、3年間の経過措置を設ける。
区分
特定事業所加算(Ⅰ):①~③の全てに適合 所定単位数の20%を加算
特定事業所加算(Ⅱ):①及び②に適合 所定単位数の10%を加算
特定事業所加算(Ⅲ):①及び③に適合 所定単位数の10%を加算
特定事業所加算(Ⅳ):①及び④に適合 所定単位数の5%を加算

サービス提供責任者についての暫定措置の廃止

これまで、居宅介護のサービス提供責任者については、指定基準の解釈通知により、「居宅介護職員初任者研修を修了し、3年以上介護業務に従事した者」を対象とする暫定措置が設けられていましたが、サービスの質を向上させる観点から、この暫定措置が廃止されます。

※ あわせて、「初任者研修修了者をサービス提供責任者として配置し、その者が作成した居宅介護計画に基づいてサービスを提供した場合、所定単位数を30%減算する」という規定も廃止されます。

通院等介助等の対象要件の見直し

通院等介助の対象条件の見直しとして、通知を改正しました。

これにより、自宅が出発地または帰宅地となる場合に限り、障害福祉サービスの通所系事業所や地域活動支援センターなどから病院などの目的地への移動支援も、同じ事業所が行うことを条件に支援の対象とします。

重度訪問介護

基本報酬

重度訪問介護の基本報酬も、以下の表の通り全区分増加しております。

病院等に入院または入所中以外の場合

病院等に入院または入所中の場合

入院中の重度訪問介護利用の対象拡大

入院中に特別なコミュニケーション支援を行うための重度訪問介護の利用について、特別なコミュニケーション支援を必要とする障害支援区分が、改定前は障害支援区分6のみでしたが、改定により障がい支援区分 4・5・6の障がい者に拡大されます。

入院時支援連携加算の新設

入院前から重度訪問介護を受けていた利用者が入院する際、重度訪問介護事業所の職員が病院を訪問し、必要な情報を提供したり、病院と事業所が連携して入院時の支援を調整した場合、1回に限り所定の単位数を加算できます

単位数
1回につき300単位※1回を限度

熟練従業者による同行支援の見直し

重度訪問介護における熟練従業者の同行支援をより高く評価するため、報酬の見直しが行われました。

これまで、医療的ケアなどの専門的な支援が必要な「重度訪問介護加算対象者(15%加算対象者)」への支援は、採用から6ヶ月以内の新任従業者のみが同行支援の対象でした。しかし今回の改定により、 この対象が拡大され、初めて15%加算対象者の支援に従事する従業者も、熟練従業者の同行支援を受けられる ようになりました。

また、各従業者が行う重度訪問介護のうち 120時間以内 の支援については、報酬単位数が 従来の85%から90%に引き上げられ ます。

同行援護

基本報酬

同行援護の基本報酬についても、以下の表の通り、全ての区分で増加しています。

同行援護の特定事業所加算の加算要件の見直し

専門的な支援技術を持つ人材を配置する事業所を適切に評価するため、加算要件の「良質な人材の確保」に関する選択肢が追加されました。新たに、「盲ろう者向け通訳・介助員であり、同行援護従業者の要件を満たしている者」の配置割合が、要件の一つとして認められるようになりました。

算定要件
① サービス提供体制の整備(研修の計画的実施、情報の的確な伝達等)
② 良質な人材の確保
・介護福祉士の割合が 30%以上
・実務者研修修了者や介護職員基礎研修課程修了者等の割合が 40%以上
・常勤の同行援護従事者によるサービス提供 40%以上
・同行援護従事者養成研修及び国立リハビリテーションセンター学院視覚障害学科修了者等 30%以上
・盲ろう者向け通訳・介助員で、同行援護従業者の要件を満たしている者 20%以上
③ 重度障害者への対応(区分5以である者、喀痰吸引等を必要とする者並びに重症心身障害児及び医療的ケア児の占める割合が30%以上)
④ 中重度障害者への対応(区分4以上である者、喀痰吸引等を必要とする者並びに重症心身障害児及び医療的ケア児の占める割合が50%以上)
区分
特定事業所加算(Ⅰ):①~③の全てに適合 所定単位数の20%を加算
特定事業所加算(Ⅱ):①及び②に適合 所定単位数の10%を加算
特定事業所加算(Ⅲ):①及び③に適合 所定単位数の10%を加算
特定事業所加算(Ⅳ):①及び④に適合 所定単位数の5%を加算

行動援護

基本報酬

行動援護では、強度行動障害のある方のニーズに応じた専門的な支援を強化するため、短時間の支援に対する評価が新たに導入され、長時間の支援の内容が見直されました。

3時間未満までの支援は単位数が増加しており、3時間30分以上の支援については単位数が減少しています。

行動援護の特定事業所加算の加算要件の見直し

加算要件に以下の見直しが行われました。

  • 「サービスの提供体制の整備」において、強度行動障害のある方への支援強化のため、 医療機関や教育機関など関係機関との連携に関する要件 が追加されました。
  • 「良質な人材の確保」 の要件の選択肢として、 「中核的人材養成研修を修了したサービス提供責任者の人数」 が新たに加わりました。
  • 「重度障害者への対応」 の選択肢として、特に専門的な支援技術が求められる 「行動関連項目18点以上の者」 が対象に追加されました。

行動援護のサービス提供責任者等の要件に係る経過措置の延長

行動援護のサービス提供責任者及び従業者の要件における、「介護福祉士や実務者研修修了者等を行動援護従業者養成研修修了者とみなす」という経過措置が、令和9年3月31日まで延長し、その後廃止することが決定しました。

訪問系サービスの国庫負担基準の見直し

  • 居宅介護の国庫負担基準に、介護保険対象者の区分が追加されました。
  • 重度訪問介護の国庫負担基準に、重度障害者の単位の見直しや介護保険対象者の区分の細分化が行われました。

<居宅介護利用者>
・障害支援区分1 3,040 単位( 6,280 単位)
・障害支援区分2 3,930 単位( 7,130 単位)
・障害支援区分3 5,770 単位( 9,010 単位)
・障害支援区分4 10,850 単位(14,040 単位)
・障害支援区分5 17,380 単位(20,570 単位)
・障害支援区分6 25,000 単位(28,230 単位)
・障害児 9,750 単位(13,010 単位)
※カッコ内は通院等(乗降)介助あり

↓ 改定後

・障害支援区分1 3,100 単位( 6,410 単位)
・障害支援区分2 4,010 単位( 7,270 単位)
・障害支援区分3 5,890 単位( 9,190 単位)
・障害支援区分4 11,070 単位(14,320 単位)
・障害支援区分5 17,730 単位(20,980 単位)
・障害支援区分6 25,500 単位(28,800 単位)
・障害児 9,950 単位(13,270 単位)
※カッコ内は通院等(乗降)介助あり

他サービス共通の改定事項(訪問系サービス関連項目抜粋)

福祉・介護職員処遇改善加算

令和5年度までは、処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算の3つに分かれていましたが、令和6年6月から「福祉・介護職員処遇改善加算」として4段階に統一 され、加算率も引き上げられます。

この新しい加算では、「加算(Ⅳ)」が基礎 となり、加算額の1/2以上を職員の月額賃金の改善(ベースアップ)に充てることが必須要件となります。

障がい者の意思決定の推進

相談支援専門員やサービス提供責任者が行う「サービス担当者会議」や「個別支援会議」では、利用者本人が必ず参加することとなり、会議の中で利用者の生活に対する意向などを再確認することが求められます。

同性介助

本人の意思に反する異性介助が行われないよう、サービス提供責任者はサービス提供に関する本人の意向をしっかり把握し、その意向を踏まえて適切なサービス提供体制を整えるよう努めることが求められます。

虐待防止措置未実施減算の新設

令和4年度から義務化された障がい者虐待防止措置が未実施の障がい福祉サービス事業所等に対して、減算が適用されることとなりました。

以下の項目を1つでも満たしていない場合減算となります。

単位数
所定単位数から1%減算
算定要件
・虐待防止委員会を定期的に開催するとともにその結果について職員に周知徹底を図る
・職員に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施する
・上記措置を適切に実施するための担当者を置く

その他、虐待防止委員会(身体拘束適正化委員会を含む)において、外部の第三者や専門家の活用に努めることや、都道府県の実施する虐待防止研修を管理者および虐待防止責任者が受講することが望ましいとされています。

身体拘束等の適正化の推進

身体拘束等の適正化を徹底するため、減算額が引き上げられました。

現行では、基準を満たしていない場合、1日につき5単位が基本報酬から減算されていましたが、改定後は基準を満たしていない場合、所定単位数の1%が減算されることになりました。

個別支援計画の共有

個別支援計画を指定特定(障害児)相談支援事業所にも交付することが義務付けられました。

人員基準における両立支援への配慮

現行では、「育児・介護休業法等」に基づく短時間勤務制度を利用する場合、週30時間以上の勤務でも常勤として取り扱うことができました。これに加えて、今後は「治療と仕事の両立ガイドライン」に沿って事業所が設ける短時間勤務制度を利用する場合にも、週30時間以上の勤務で「常勤」として取り扱うことが認められます。

管理者の働き方について

一定の条件を満たせば、管理者は 同一敷地内に限らず、同一事業者が運営する他の事業所などの 管理者や従業者として勤務 できるようになります。

また、管理者の テレワークの取り扱いが明確化され、一定の条件を満たす場合に テレワークでの勤務が可能 となります。

業務継続計画未策定減算の新設

感染症や災害が発生した場合であっても、必要な障害福祉サービス等を継続的に提供できる体制を構築するため、業務継続に向けた計画の策定の徹底を求める観点から、感染症又は非常災害のいずれか又は両方の業務継続計画が未策定の場合、基本報酬が減算されます。

単位数
所定単位数から1%減算
算定要件
感染症や非常災害の発生時において、利用者に対するサービスの提供を継続的に実施するための、及び非常時の体制で早期の業務再開を図るための計画(業務継続計画)を策定すること
・ 当該業務継続計画に従い必要な措置を講ずること

情報公表未報告減算の新設

障害者総合支援法第76条の3に基づく情報公表の報告がされていない場合、所定単位数を減算する新たな規定が設けられました。また、都道府県(指定権者)は、指定の更新申請を受けた際に、申請事業者が情報公表を行っているか確認すること が義務付けられました。

WAM NETへの公表がまだの事業所は、忘れずに対応 してください。

単位数
所定単位数の5%

感染症対策の強化にかかる取組み

  • 感染対策委員会の設置と委員会の定期開催
  • 委員会での検討結果を全従業員に周知徹底すること
  • 指針の整備
  • 定期的な研修・訓練の実施

感染症・非常災害発生時の業務継続に向けた取組の強化

  • BCP計画(新型コロナ・非常災害)の策定と周知
  • 研修及び訓練の定期的な実施
  • BCP計画の定期的な見直しと必要に応じた計画の変更

最後に

本記事は、以下の最新資料を基に作成されています。

参照:令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要|厚生労働省

具体的な解釈や申請手続きについては、その都度、最新の情報をご確認のうえ、ご判断ください。

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