介護の基礎知識
【2024年改定対応】福祉用具貸与の加算・減算の種類を一覧で解説
- 公開日:2025年01月23日
- 更新日:2025年12月12日
福祉用具貸与の運営を安定させるには、加算の取得が重要です。
福祉用具貸与事業所では、さまざまな加算を申請することが可能ですが、「どの加算を申請できるのか?」「算定条件が分からない」といった悩みが生じることも少なくありません。
本記事では、福祉用具貸与事業所で申請できる加算・減算の種類や単位数・算定要件について解説します。また、令和6年度の介護報酬改定によって、変更のある加算もありますので、併せて解説していきます。
加算・減算とは
介護保険における加算および減算とは、特定の要件を満たした場合に、基本単位数に対してプラスまたはマイナスを加えて算定する仕組みを指します。
加算は、国が推進したい方向性や均衡を保つための施策、また福祉用具貸与事業所として整えるべき仕組みや制度を基に設けられています。一方、減算は国が廃止したい、あるいは評価ができないものについての仕組みや制度に基づいて設けられています。
今後、国の施策の方向性を理解するためにも、加算や減算の要件を把握することは非常に重要です。
福祉用具貸与で申請できる加算一覧
福祉用具貸与では、以下の加算を申請することが可能です。
- 特別地域加算
- 中山間地域等における小規模事業所加算
- 中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算
福祉用具貸与の減算一覧
福祉用具貸与事業所で減算となるものは以下の通りです。
- 業務継続計画未策定減算
- 高齢者虐待防止措置未実施減算
それぞれの加算・減算について、以下にて詳しく解説していきます。
福祉用具貸与の加算
以下では福祉用具貸与の各加算について解説していきます。
特別地域加算
特別地域加算とは、介護サービスの確保が極めて困難とされる地域などで、介護サービスの提供に貢献している事業所を評価する加算です。
算定単位数:1回につき15/100
算定要件:事業所が厚生労働大臣の定める特別地域に所在すること
<厚生労働大臣の定める特別地域>
・離島振興法第二条第一項の規定により指定された離島振興対策実施地域
・奄美群島振興開発特別措置法第一条に規定する奄美群島
・山村振興法第七条第一項の規定により指定された振興山村
・小笠原諸島振興開発特別措置法第四条第一項に規定する小笠原諸島
・沖縄振興特別措置法第三条第三号に規定する離島
・以下の地域のうち、人口密度が希薄であること、交通が不便であること等の理由により、指定居宅サービス等の確保が著しく困難であると認められる地域であって、厚生労働大臣が別に定めるもの
・豪雪地帯対策特別措置法第二条第一項の規定により指定された豪雪地帯
・豪雪地帯対策特別措置法第二条第二項の規定により指定された特別豪雪地帯
・辺地に係る公共的施設の総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律第二条第一項に規定する辺地
・過疎地域自立促進特別措置法第二条第ニ項の規定により公示された過疎地域
・その他の地域
中山間地域等における小規模事業所加算
小規模事業加算は、山間部や離島など、介護サービスの提供が困難な地域でその促進を目的とした加算です。
算定単位数:1回につき10/100
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・厚生労働大臣が定める地域(平成21年厚生労働省告示第83号1)に所在している
・厚生労働大臣が定める施設基準(平成27年厚生労働省告示第96号46)に適合する
中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算
サービス提供加算は、サービス提供時に発生する交通費や移動費に対して申請できる加算です。
算定単位数:1回につき5/100
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・厚生労働大臣が定める地域(平成21年厚生労働省告示第83号2)に居住している利用者に対して、サービスを提供する
- 令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
- 特別地域加算、中山間地域等の小規模事業所加算及び中山間地域に居住する者へのサービス提供加算の対象地域は、令和6年度の介護報酬改定にて対象地域が明確化されました。報酬改定による変更点は以下の通りです。
- 過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法(令和三年法律第十九号)第二条第一項に規定する過疎地域
↓ 変更後
過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法(令和三年法律第十九号)第二条第二項により公示された過疎地域
過疎地域その他の地域で、人口密度が希薄、交通が不便等の理由によりサービスの確保が著しく困難であると認められる地域であって、特別地域加算の対象として告示で定めるものについて、前回の改正以降、新たに加除する必要が生じた地域において、都道府県及び市町村から加除の必要性等を聴取した上で、見直しが行われました。
福祉用具貸与の減算
以下では福祉用具貸与の各減算について解説していきます。
業務継続計画未策定減算
業務継続計画未策定減算とは、運営基準で策定が義務付けられている業務継続計画(BCP)が未策定の場合に適用される減算です。近年の自然災害の増加や感染症の流行を受け、災害や感染症の発生時にも介護サービスを継続して提供できる体制を整えるため、業務継続計画の策定が義務化されました。
単位数:所定単位数×1%の減算
適用要件:業務継続計画(BCP)を策定し、業務継続計画に従い、必要な措置を講じている。
- 令和6年度介護報酬改定による変更ポイント
- 業務継続計画未策定減算は、感染症や災害が発生した場合であっても、必要な介護サービスを継続的に提供できる体制を構築するため、業務継続に向けた計画の策定の徹底を求める観点から、令和6年度の介護報酬改定にて新設されました。
高齢者虐待防止措置未実施減算
高齢者虐待防止措置未実施減算とは、虐待の発生や再発を防ぐための適切な措置が講じられていない場合に適用される減算です。
単位数:所定単位数より×1%の減算
適用要件:以下の対策等を講じていない場合
- 虐待の防止のための対策を検討する委員会の定期的な開催と職員への周知
- 虐待防止のための指針の整備
- 虐待防止のための研修の定期的な実施
- 虐待防止のための担当者の配置
- 令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
- 高齢者虐待防止措置未実施減算は、利用者の人権の擁護、虐待の防止等をより推進する観点から、令和6年度の介護報酬改定にて新設されました。
まとめ
本記事では福祉用具貸与事業所で申請できる加算・減算の種類や単位数、算定要件について解説しました。事業所の運営を安定させるためにも、加算や減算への理解を深めて、申請を行うことが重要です。
また、令和6年度の介護報酬改定による変更点を把握しておくことも大切です。
本記事が福祉用具貸与事業所様のお役に立ちますと幸いです。