介護の基礎知識
【2024年改定対応】定期巡回・随時対応型訪問介護看護の加算・減算の種類を一覧で解説
- 公開日:2025年01月22日
- 更新日:2025年12月12日
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の運営を安定させるには、加算の取得が重要です。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所では、さまざまな加算を申請することが可能ですが、「どの加算を申請できるのか?」「算定条件が分からない」といった悩みが生じることも少なくありません。
本記事では、定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所で申請できる加算・減算の種類や単位数・算定要件について解説します。また、令和6年度の介護報酬改定によって、変更のある加算もありますので、併せて解説していきます。
加算・減算とは
介護保険における加算および減算とは、特定の要件を満たした場合に、基本単位数に対してプラスまたはマイナスを加えて算定する仕組みを指します。
加算は、国が推進したい方向性や均衡を保つための施策、また定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所として整えるべき仕組みや制度を基に設けられています。一方、減算は国が廃止したい、あるいは評価ができないものについての仕組みや制度に基づいて設けられています。
今後、国の施策の方向性を理解するためにも、加算や減算の要件を把握することは非常に重要です。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護で申請できる加算一覧
定期巡回・随時対応型訪問介護看護では、以下の加算を申請することが可能です。
- 特別地域定期巡回・随時対応型訪問介護看護加算
- 中山間地域等における小規模事業所加算
- 中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算
- 緊急時訪問看護加算
- 特別管理加算
- ターミナルケア加算
- 初期加算
- 退院時共同指導加算
- 総合マネジメント体制強化加算
- 口腔連携強化加算
- 生活機能向上連携加算
- サービス提供体制強化加算
- 介護職員処遇改善加算
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護市町村独自加算
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の減算一覧
定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所で減算となるものは以下の通りです。
- 通所利用減算
- 同一建物減算
それぞれの加算・減算について、以下にて詳しく解説していきます。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の加算
以下では定期巡回・随時対応型訪問介護看護の各加算について解説していきます。
特別地域定期巡回・随時対応型訪問介護看護加算
特別地域定期巡回・随時対応型訪問介護看護加算は、厚生労働省が指定する地域でサービスを提供した場合に申請できる加算です。
指定地域には、交通の利便性が低い地域や高齢者の多い地域などが含まれます。
算定単位数:15/100
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・厚生労働大臣が定める地域(平成24年厚生労働省告示第120号)に所在する
特別地域定期巡回・随時対応型訪問介護看護加算を適用するには、対象地域の条件を満たしているか確認する必要があります。
適用される地域は限られているため、事業所の所在地が対象地域に該当するかを正確に確認しましょう。
中山間地域等における小規模事業所加算
小規模事業加算は、山間部や離島など、介護サービスの提供が困難な地域でその促進を目的とした加算です。
算定単位数:1回につき10/100
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・厚生労働大臣が定める地域(平成21年厚生労働省告示第83号1)に所在している
・厚生労働大臣が定める施設基準(平成27年厚生労働省告示第96号46)に適合する
中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算
サービス提供加算は、サービス提供時に発生する交通費や移動費に対して申請できる加算です。
算定単位数:1回につき5/100
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・厚生労働大臣が定める地域(平成21年厚生労働省告示第83号2)に居住している利用者に対して、サービスを提供する
- 令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
- 特別地域加算、中山間地域等の小規模事業所加算及び中山間地域に居住する者へのサービス提供加算の対象地域は、令和6年度の介護報酬改定にて対象地域が明確化されました。報酬改定による変更点は以下の通りです。
過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法(令和三年法律第十九号)第二条第一項に規定する過疎地域
↓ 変更後
過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法(令和三年法律第十九号)第二条第二項により公示された過疎地域
過疎地域その他の地域で、人口密度が希薄、交通が不便等の理由によりサービスの確保が著しく困難であると認められる地域であって、特別地域加算の対象として告示で定めるものについて、前回の改正以降、新たに加除する必要が生じた地域において、都道府県及び市町村から加除の必要性等を聴取した上で、見直しが行われました。
緊急時訪問看護加算
算定単位数:1ヶ月あたり325単位
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・利用者又はその家族等から電話等により看護に関する意見を求められた場合に常時対応できる体制にあること
・緊急時訪問における看護業務の負担の軽減に資する十分な業務管理等の体制の整備が行われていること
- 緊急時訪問看護加算(Ⅱ)
算定単位数:1ヶ月あたり315単位
算定要件:利用者又はその家族等から電話等により看護に関する意見を求められた場合に常時対応できる体制にあること
- 令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
- 緊急時訪問看護加算加算は、令和6年度の介護報酬改定にて区分と単位数が一部見直されました。報酬改定による変更点は以下の通りです。
緊急時訪問看護加算 315単位/月
↓ 改定後
緊急時訪問看護加算(Ⅰ)(新設)
指定訪問看護ステーションの場合 600単位/月
病院又は診療所の場合 325単位/月
一体型定期巡回・随時対応型訪問
介護看護事業所の場合 325単位/月
緊急時訪問看護加算(Ⅱ)
指定訪問看護ステーションの場合 574単位/月
病院又は診療所の場合 315単位/月
一体型定期巡回・随時対応型訪問
介護看護事業所の場合 315単位/月
特別管理加算
特別管理加算は、利用者の処置の難しさに応じて「特別管理加算Ⅰ」と「特別管理加算Ⅱ」の2種類の評価に分かれます。
算定要件:
・利用者が特別管理加算Ⅰ・特別管理加算Ⅱに該当するだけでは適用されません
・利用者が特別管理加算Ⅰ・特別管理加算Ⅱの状態であることに加えて、計画的な管理(ケア)を行っていること
・絶対条件として24時間対応体制加算・24時間連絡体制加算を算定できる体制であること
- 特別管理加算Ⅰ
算定単位数:1ヶ月500単位
対象者:以下のいずれかに該当する方
・在宅悪性腫瘍患者指導管理を受けている
・在宅気管切開患者指導管理を受けている
・気管カニューレを使用している
・留置カテーテルを使用している
- 特別管理加算Ⅱ
算定単位数:1ヶ月250単位
対象者:以下のいずれかに該当する方
・下記指導管理を受けている
・在宅自己腹膜灌流
・在宅血液透析
・在宅酸素療法
・在宅中心静脈栄養法
・在宅成分栄養経管栄養
・在宅自己導尿
・在宅持続陽圧呼吸療法
・在宅自己疼痛管理
・在宅肺高血圧症患者指導管理を受けている状態、人工肛門又は人工膀胱を留置している状態
・人工肛門又は人工膀胱を留置している状態
・真皮を超える褥瘡の状態
・点滴注射を週3日以上行う必要があると認められる状態
ターミナルケア加算
末期がんなど終末期にある利用者に対して、特別なケアマネジメントを提供する場合に申請できる加算です。
算定単位数:2,500単位/死亡月
算定要件:以下のいずれも満たした場合
・24時間連絡できる体制を確保し、必要に応じて訪問できる体制を整備していること
・体制の届出を行っていること
・主治医との連携の下に、ターミナルケアに係る計画、支援体制について利用者とその家族に説明し、同意を得てターミナルケアを行っていること
・死亡日、死亡日前14日以内に2日(末期の悪性腫瘍等の特定の利用者については1日)以上ターミナルケアを行っていること
・ターミナルケアの提供について必要な事項(以下の事項)が適切に訪問看護記録書に記録されていること
・終末期の身体状症状の変化、それに対する看護に関する記録
・療養や死別に関する利用者とその家族の精神的な状態の変化、それに対するケアの経過についての記録
・看取りを含めたターミナルケアの各プロセスにおいて利用者とその家族の意向を把握し、それに基づくアセスメントと対応の経過の記録
・ターミナルケアの実施にあたっては、他の医療関係者や介護関係者と十分な連携を図るよう努めること
- 令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
- ターミナルケアマネジメント加算は、令和6年度の介護報酬改定にて単位数が見直されました。報酬改定による変更点は以下の通りです。
- ターミナルケア加算 2,000単位/死亡月→ターミナルケア加算 2,500単位/死亡月
初期加算
初期加算は、サービスを開始した利用者について、サービスの導入期における手厚い支援や調整に対する評価として算定できる加算です。
算定単位数:1日につき30単位
算定要件
・新規に定期巡回・随時対応型訪問介護看護を利用開始した場合
・適切なアセスメントやケアプラン作成が行われていること
退院時共同指導加算
退院時共同指導加算は地域の訪問看護ステーションと医療機関との連携強化を評価するために作られた加算です。
算定単位数:1ヶ月につき600単位
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・病院等の医療機関や介護老人保健施設など入所系施設から退院(もしくは退所)する利用者に対して、病院等の医師もしくはその施設の従業者と共同して療養上の指導を行う。
・退院時共同指導の内容を文書によって提供する。
・退院(もしくは退所)後に訪問看護サービスを実施する。
・退院時共同指導の内容を訪問看護記録書に記録する。
- 令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
- 退院時共同指導加算は令和6年度介護報酬改定にて新設されました。
総合マネジメント体制強化加算
総合マネジメント体制強化加算は、地域と連携しながら認知症対応など幅広い役割を果たし、地域全体で利用者を支える仕組みづくりを進めるための加算です。
- 総合マネジメント体制強化加算(Ⅰ)
算定単位数:1ヶ月につき1200単位
算定要件
(1)個別サービス計画について、利用者の心身の状況や家族を取り巻く環境の変化を踏まえ、
介護職員(計画作成責任者)や看護職員等の多職種協働により、随時適切に見直しを行っていること
(2)地域の病院、診療所、介護老人保健施設等に対し、事業所が提供することのできるサービスの
具体的な内容に関する情報提供を行っていること
(3)日常的に利用者と関わりのある地域住民等の相談に対応する体制を確保していること
(4)地域住民等との連携により、地域資源を効果的に活用し、利用者の状態に応じた支援を行っていること
以下(5)~(8)について、事業所の特性に応じて1つ以上実施
(5)障害福祉サービス事業所、児童福祉施設等と協働し、地域において世代間の交流の場の拠点となっていること
※「障害福祉サービス事業所、児童福祉施設等と協働し、地域において世代間の交流を行っていること。」が要件
(6)地域住民等、他事業所等と共同で事例検討会、研修会等を実施していること
(7)市町村が実施する通いの場や在宅医療・介護連携推進事業等の地域支援事業等に参加していること
(8)地域住民及び利用者の住まいに関する相談に応じ、必要な支援を行っていること
- 総合マネジメント体制強化加算(Ⅱ)
算定単位数:1ヶ月につき800単位
算定要件
(1)個別サービス計画について、利用者の心身の状況や家族を取り巻く環境の変化を踏まえ、
介護職員(計画作成責任者)や看護職員等の多職種協働により、随時適切に見直しを行っていること
(2)地域の病院、診療所、介護老人保健施設等に対し、事業所が提供することのできるサービスの
具体的な内容に関する情報提供を行っていること
- 令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
- 介護職員等処遇改善加算は、地域包括ケアシステムの担い手として、より地域に開かれた拠点となり、認知症対応を含む様々な機能を発揮することにより、地域の多様な主体とともに利用者を支える仕組みづくりを促進する観点から、令和6年度の介護報酬改定にて一部変更が行われました。変更点は以下の通りです。
<単位数>
総合マネジメント体制強化加算 1,000単位/月
↓ 改定後
総合マネジメント体制強化加算(Ⅰ) 1,200単位/月
総合マネジメント体制強化加算(Ⅱ) 800単位/月
<算定要件>
以下の表の通りです。
口腔連携強化加算
口腔連携強化加算は、介護施設と歯科医院が情報を共有することで算定可能な加算です。歯科医療機関から提供される専門的な情報を活用し、利用者に適切な口腔ケアを行うことを目的としています。令和6年度の介護報酬改定により新設されました。
算定単位数:1ヶ月につき50単位
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・事業所の従業者が、口腔の健康状態の評価を実施した場合において、利用者の同意を得て、歯科医療機関及び介護支援専門員に対し、当該評価の結果を状況提供した場合に、1ヶ月に1回に限り所定単位数を加算する。
・事業所は利用者の口腔の健康状態に係る評価を行うに当たって、診療報酬の歯科点数表区分番号にC000に掲げる歯科訪問診療料の算定の実績がある歯科医療機関の歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、当該従業者からの相談等に対応する体制を確保し、その旨を文書等で取り決めていること。
- 令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
- 口腔連携強化加算は職員による利用者の口腔の状態の確認によって、歯科専門職による適切な口腔管理の実施につなげる観点から、令和6年度介護報酬改定にて新設されました。
生活機能向上連携加算
生活機能向上連携加算とは、事業所の職員と外部のリハビリ専門職が連携し、機能訓練に関するマネジメントを提供することを評価する加算です。
(Ⅰ)と(Ⅱ)の区分に分かれており、併算定はできません。
- 生活機能向上連携加算(Ⅰ)
算定単位数:1ヶ月100単位
算定要件
・訪問・通所リハビリテーションを実施している事業所又はリハビリテーションを実施している医療機関のリハビリ専門職や医師からの助言(アセスメント・カンファレンス)を受けることができる体制を構築する。
・助言を受けた上で、機能訓練指導員などが生活機能の向上を目的とした計画を作成する。
・リハビリ専門職は、通所リハビリテーションなどのサービス提供の場又はICTを活用した動画などにより、利用者の状態を把握した上で、助言をおこなう。
・個別機能訓練計画の進捗状況を3ヶ月に1回以上評価し、利用者・家族へ説明する。必要に応じて訓練内容の見直しをおこなう。
・3ヶ月に1回を限度に算定可能
・(Ⅰ)と(Ⅱ)の併算定不可
- 生活機能向上連携加算(Ⅱ)
算定単位数:1ヶ月200単位(個別機能訓練加算を算定している場合は1ヶ月100単位)
算定要件
・訪問・通所リハビリテーションを実施している事業所又はリハビリテーションを実施している医療機関のリハビリ専門職や医師からの助言(アセスメント・カンファレンス)を受けることができる体制を構築する。
・助言を受けた上で、機能訓練指導員などが生活機能の向上を目的とした個別機能訓練計画を作成する。
・リハビリ専門職は、施設やサービス事業所を訪問し、機能訓練指導員などと共同して、利用者の身体状況の評価、個別機能訓練計画を作成する。
・個別機能訓練計画の進捗状況を3ヶ月に1回以上評価し、利用者・家族へ説明する。必要に応じて訓練内容の見直しをおこなう。
・(Ⅰ)と(Ⅱ)の併算定不可
サービス提供体制強化加算
サービス提供体制強化加算は、介護職員の資格(介護福祉士など)の有無や勤続年数などを基準に、質の高いサービスを提供できる体制を整えている事業所を評価するために設けられた加算です。
- サービス提供体制強化加算(Ⅰ)
算定単位数:1ヶ月につき750単位
算定要件:以下のいずれかに該当すること。
①介護福祉士60%以上
②勤続10年以上介護福祉士25%以上
- サービス提供体制強化加算(Ⅱ)
算定単位数:1ヶ月につき640単位
算定要件:介護福祉士40%以上又は介護福祉士、実務者研
修修了者、基礎研修修了者の合計が60%以上
- サービス提供体制強化加算(Ⅲ)
算定単位数:1ヶ月につき350単位
算定要件:以下のいずれかに該当すること。
①介護福祉士30%以上又は介護福祉士、実務者研修修了者、基礎研修修了者の合計が50%以上
② 常勤職員60%以上
③ 勤続7年以上の者が30%以上
介護職員処遇改善加算
介護職員等処遇改善加算は、介護職員の処遇改善を目的に設けられた加算です。2023年度までは、処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算の3つに分かれていましたが、2024年度より一本化され、改めて介護職員等処遇改善加算が創設されました。
<算定単位数の計算>
単位数
処遇改善加算の計算をするためには、まず1ヶ月あたりの総単位数を求めます。
1ヶ月あたりの総単位数を求める計算式は、以下のとおりです。
1ヶ月あたりの総単位数 = 前年度1~12月の介護報酬総単位数 ÷ 12
計算方法
1ヶ月あたりの総単位数が算出できたら、次の計算式で処遇改善加算の加算単位数を求めます。
加算単位数=1ヶ月あたりの総単位数×サービス類型別加算率
小規模多機能型居宅介護の加算率は、以下のとおりです。
算定要件は以下の表の通りです。
- キャリアパス要件
(Ⅰ) 介護職員について、職位、職責、職務内容等に応じた任用等の要件を定め、それらに応じた賃金体系を整備する
(Ⅱ) 介護職員の資質向上の目標や以下のいずれかに関する具体的な計画を策定し、当該計画に係る研修の実施または研修の機会を確保する
a:研修機会の提供又は技術指導等の実施、介護職員の能力評価
b:資格取得のための支援(勤務シフトの調整、休暇の付与、費用の援助等)
(Ⅲ) 介護職員について以下のいずれかの仕組みを整備する
a 経験に応じて昇給する仕組み
b 資格等に応じて昇給する仕組み
c 一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み
(Ⅳ) 経験・技能のある介護職員のうち1人以上は、賃金改善後の賃金額が年額440万円以上であること
(Ⅴ) サービス類型ごとに一定割合以上の介護福祉士等を配置していること - 月額賃金改善要件
(Ⅰ) 新加算Ⅳ相当の加算額の2分の1以上を、月給(基本給または決まって毎月支払われる手当)の改善に充てる
(Ⅱ) 前年度と比較して、現行のベースアップ等加算相当の加算額の3分の2以上の新たな基本給等の改善(月給の引上げ)を行う
- 職場環境等要件
| 入職促進に向 けた取組 |
・法人や事業所の経営理念やケア方針・人材育成方針、その実現のための施策・仕組みなどの明確化 ・事業者の共同による採用・人事ローテーション・研修のための制度構築 ・他産業からの転職者・主婦層・中高年齢者等・経験者・有資格者等にこだわらない幅広い採用の仕組みの構築 ・職業体験の受入れや地域行事への参加や主催等による職業魅力度向上の取組の実施 |
| 資質の向上やキャリアアップに向けた支援 | ・働きながら介護福祉士取得を目指す者に対する実務者研修受講支援や、より専門性の高い介護技術を取得しようとする者に対するユニットリーダー研修、ファーストステップ研修、喀痰吸引、認知症ケア、サービス提供責任者研修、中堅職員に対するマネジメント研修の受講支援等 ・研修の受講やキャリア段位制度と人事考課との連動 ・エルダー・メンター制度等導入 ・上位者・担当者等によるキャリア面談など、キャリアアップ・働き方等に関する定期的な相談の機会の確保 |
| 両立支援・多様な働き方の推進 | ・子育てや家族等の介護等と仕事の両立を目指す者のための休業制度等の充実、事業所内託児施設の整備 ・職員の事情等の状況に応じた勤務シフトや短時間正規職員制度の導入、職員の希望に即した非正規職員から正規職員への転換の制度等の整備 ・有給休暇を取得しやすい雰囲気・意識作りのため、具体的な取得目標を定めた上で、取得状況を定期的に確認し、身近な上司等からの積極的な声かけを行っている ・有給休暇の取得促進のため、情報共有や複数担当制等により、業務の属人化の解消、業務配分の偏りの解消を行っている |
| 腰痛を含む心身の健康管理 | ・業務や福利厚生制度、メンタルヘルス等の職員相談窓口の設置等相談体制の充実 ・短時間勤務労働者等も受診可能な健康診断・ストレスチェックや、従業員のための休憩室の設置等健康管理対策の実施 ・介護職員の身体の負担軽減のための介護技術の修得支援、職員に対する腰痛対策の研修、管理者に対する雇用管理改善の研修等の実施 ・事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成等の体制の整備 |
| 生産性向上のための業務改善の取組 | ・厚生労働省が示している「生産性向上ガイドライン」に基づき、業務改善活動の体制構築(委員会やプロジェクトチームの立ち上げ、外部の研修会 の活用等)を行っている ・現場の課題の見える化(課題の抽出、課題の構造化、業務時間調査の実施等)を実施している ・5S活動(業務管理の手法の1つ。整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字をとったもの)等の実践による職場環境の整備を行っている ・業務手順書の作成や、記録・報告様式の工夫等による情報共有や作業負担の軽減を行っている ・介護ソフトおよび情報端末の導入 ・介護ロボットの導入 ・業務内容の明確化と役割分担を行った上で、間接業務については、いわゆる介護助手等の活用や外注等で担い、介護職員がケアに集中できる環境を整備 ・各種委員会の共同設置、各種指針・計画の共同策定、物品の共同購入等の事務処理部門の集約、共同で行うICTインフラの整備、人事管理システムや福利厚生システム等の共通化等、協働化を通じた職場環境の改善に向けた取組の実施 |
| やりがい・働きがいの醸成 | ・ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の介護職員の気づきを踏まえた勤務環境やケア内容の改善 ・地域包括ケアの一員としてのモチベーション向上に資する、地域の児童・生徒や住民との交流の実施 ・利用者本位のケア方針など介護保険や法人の理念等を定期的に学ぶ機会の提供 ・ケアの好事例や、利用者やその家族からの謝意等の情報を共有する機会の提供 |
- 令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
- 介護職員等処遇改善加算は、令和6年度の介護報酬改定にて一部見直されました。報酬改定による変更点は以下の通りです。
介護現場で働く方々にとって、令和6年度に2.5%、令和7年度に2.0%のベースアップへと確実につながるよう加算率の引上げを行いました。また、介護職員等の確保に向けて、介護職員の処遇改善のための措置ができるだけ多くの事業所に活用されるよう推進する観点から、介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算について、現行の各加算・各区分の要件及び加算率を組み合わせた4段階の「介護職員等処遇改善加算」に一本化を行いました。
※ 一本化後の加算については、事業所内での柔軟な職種間配分を認める。また、人材確保に向けてより効果的な要件とする等の観点から、月額賃金の改善に関する要件及び職場環境等要件を見直します。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護市町村独自加算
算定単位数:単位数は市町村にて設定
算定要件:各市町村が独自に設定
例:練馬区…独居の利用者に対してサービスを提供した場合、1ヶ月につき所定単位数を加算
認知症専門ケア加算
認知症専門ケア加算とは、認知症に関する専門的な研修を修了した職員が介護サービスを提供した場合に算定できる加算です。
- 認知症専門ケア加算(Ⅰ)
算定単位数:1ヶ月につき90単位
算定要件:以下のいずれも満たす場合
1.日常生活自立度Ⅲ以上の認知症高齢者が利用者の50%以上であること
2.認知症介護実践リーダー研修等修了者を配置している
・日常生活自立度Ⅲ以上の認知症高齢者が20人未満の場合
→研修等修了者を1人以上配置する
・日常生活自立度Ⅲ以上の認知症高齢者が20人以上の場合
→研修修了者を1人+対象者が10人または端数を増すごとに1人ずつ追加して配置する
3.日常生活自立度Ⅲ以上の認知症高齢者に対して、専門的な認知症ケアを実施する
4.当該事業所の従業者に対して、認知症ケアに関する留意事項の伝達または技術的指導に係る会議を定期的に開催する
- 認知症専門ケア加算(Ⅱ)
算定単位数:1ヶ月につき120単位
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・認知症専門ケア加算(Ⅰ)の2と4を満たすこと
・日常生活自立度Ⅲ以上の高齢者が利用者の50%以上であること
・日常生活自立度Ⅲ以上の高齢者に対して、専門的な認知症ケアを実施する
・認知症介護指導者研修修了者を1名以上配置し、事業所全体の認知症ケアの指導などを実施する
・介護職員、看護職員ごとの認知症ケアに関する研修計画を作成し、研修または実施を予定する
- 令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
- 認知症専門ケア加算は、令和6年度の介護報酬改定にて基準が一部見直されました。報酬改定による変更点は以下の太字の箇所です。
- <認知症専門ケア加算(Ⅰ)>
ア 認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上の者が利用者の2分の1以上
イ 認知症介護実践リーダー研修等修了者を認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上の者が20人未満の場合は1以上、
20人以上の場合は1に、当該対象者の数が19を超えて10又は端数を増すごとに1を加えて得た数以上配置
ウ 認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上の者に対して、専門的な認知症ケアを実施した場合
エ 当該事業所の従業者に対して、認知症ケアに関する留意事項の伝達又は技術的指導に係る会議を定期的に開催
<認知症専門ケア加算(Ⅱ)>
ア 認知症専門ケア加算(Ⅰ)のイ・エの要件を満たすこと
イ 認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の者が利用者の100分の20以上
ウ 認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の者に対して、専門的な認知症ケアを実施した場合
エ 認知症介護指導者研修修了者を1名以上配置し、事業所全体の認知症ケアの指導等を実施
オ 介護職員、看護職員ごとの認知症ケアに関する研修計画を作成し、研修を実施又は実施を予定
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の減算
以下では定期巡回・随時対応型訪問介護看護の各減算について解説していきます。
定期巡回通所利用減算
通所利用減算は、利用者がデイサービスやデイケア、地域密着型通所介護、または認知症対応型通所介護を利用した際に適用される減算制度です。
これは、デイサービスやデイケアで日中一定時間を過ごすことで、定期巡回サービスを利用しない時間が一定時間発生するため、その間の単位を減算する仕組みです。
通所利用減算は、実際に通所型サービスやリハビリを利用した時間数に関わらず、1日あたりの減算単位が固定されています。
減算は、定められた1日あたりの減算単位に通所日数を乗じ、その合計を1ヶ月の定期巡回サービスの総単位数から差し引いて計算されます。
以下は、減算される単位数です。
一体型の事業所を訪問看護ありで利用している場合
要介護1:91単位
要介護2:141単位
要介護3:216単位
要介護4:266単位
要介護5:322単位
訪問看護なしで利用している場合
要介護1:62単位
要介護2:111単位
要介護3:184単位
要介護4:233単位
要介護5:281単位
同一建物減算
単位数:基本コードにより異なります
同一建物減算1…-600
同一建物減算2…-900
同一建物減算3…10%減算
同一建物減算4…15%減算
適用要件:以下のいずれかに該当した場合
- 事業所と同一敷地内建物等に居住する利用者にサービスを提供した場合
- 事業所と同一建物から事業所に通う者にサービスを提供した場合
まとめ
本記事では定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所で申請できる加算・減算の種類や単位数、算定要件について解説しました。事業所の運営を安定させるためにも、加算や減算への理解を深めて、申請を行うことが重要です。
また、令和6年度の介護報酬改定による変更点を把握しておくことも大切です。
本記事が定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所様のお役に立ちますと幸いです。