介護の基礎知識
【2024年改定対応】小規模多機能型居宅介護の加算・減算の種類を一覧で解説
- 公開日:2025年01月21日
- 更新日:2025年12月12日
小規模多機能型居宅介護の運営を安定させるには、加算の取得が重要です。
小規模多機能型居宅介護事業所では、さまざまな加算を申請することが可能ですが、「どの加算を申請できるのか?」「算定条件が分からない」といった悩みが生じることも少なくありません。
本記事では、小規模多機能型居宅介護事業所で申請できる加算・減算の種類や単位数・算定要件について解説します。また、令和6年度の介護報酬改定によって、変更のある加算もありますので、併せて解説していきます。
加算・減算とは
介護保険における加算および減算とは、特定の要件を満たした場合に、基本単位数に対してプラスまたはマイナスを加えて算定する仕組みを指します。
加算は、国が推進したい方向性や均衡を保つための施策、また小規模多機能型居宅介護事業所として整えるべき仕組みや制度を基に設けられています。一方、減算は国が廃止したい、あるいは評価ができないものについての仕組みや制度に基づいて設けられています。
今後、国の施策の方向性を理解するためにも、加算や減算の要件を把握することは非常に重要です。
小規模多機能型居宅介護で申請できる加算一覧
小規模多機能型居宅介護事業所では、以下の加算を申請することが可能です。
- 初期加算
- 認知症加算
- 若年性認知症利用者受入加算
- 看護職員配置加算
- 看取り連携体制加算
- 訪問体制強化加算
- 総合マネジメント体制強化加算
- 生活機能向上連携加算
- 口腔・栄養スクリーニング加算
- サービス提供体制強化加算
- 介護職員処遇改善加算
- 中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算
- 科学的介護推進体制加算(LIFE加算)
小規模多機能型居宅介護の減算一覧
小規模多機能型居宅介護事業所で減算となるものは以下の通りです。
- 過少サービスに対する減算
- 業務継続計画未策定減算
- 高齢者虐待防止措置未実施減算
それぞれの加算・減算について、以下にて詳しく解説していきます。
小規模多機能型居宅介護の加算
以下では小規模多機能型居宅介護の各加算について解説していきます。
初期加算
初期加算は、サービスを開始した利用者について、サービスの導入期における手厚い支援や調整に対する評価として算定できる加算です。
算定単位数:1日につき30単位
算定要件
・新規に小規模多機能型居宅介護を利用開始した場合
・適切なアセスメントやケアプラン作成が行われていること
認知症加算
認知症加算とは、認知症に関する研修を修了した職員を配置し、認知症の症状の進行の緩和につながるケアを提供することを評価する加算です。
(看護)小規模多機能型居宅介護では算定要件によって認知症加算(Ⅰ)~(Ⅳ)の区分に分けられます。
- 認知症加算(Ⅰ)
算定単位数:1ヶ月につき920単位
算定要件
・認知症介護実践リーダー研修等修了者を認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の者が20人未満の場合は1以上、20人以上の場合は1に、当該対象者の数が19を超えて10又は端数を増すごとに1を加えて得た数以上配置
・認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の者に対して、専門的な認知症ケアを実施した場合
・当該事業所の従業者に対して、認知症ケアに関する留意事項の伝達又は技術的指導に係る会議を定期的に開催
・認知症介護指導者研修修了者を1名以上配置し、事業所全体の認知症ケアの指導等を実施
・介護職員、看護職員ごとの認知症ケアに関する研修計画を作成し、研修を実施又は実施を予定
- 認知症加算(Ⅱ)
算定単位数:1ヶ月につき890単位
算定要件
・認知症介護実践リーダー研修等修了者を認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の者が20人未満の場合は1以上、20人以上の場合は1に、当該対象者の数が19を超えて10又は端数を増すごとに1を加えて得た数以上配置
・認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の者に対して、専門的な認知症ケアを実施した場合
・当該事業所の従業者に対して、認知症ケアに関する留意事項の伝達又は技術的指導に係る会議を定期的に開催
- 認知症加算(Ⅲ)
算定単位数:1ヶ月につき760単位
算定要件:認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の者に対して、(看護)小規模多機能型居宅介護を行った場合
- 認知症加算(Ⅳ)
算定単位数:1ヶ月につき460単位
算定要件:要介護状態区分が要介護2である者であって、認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱに該当する者に対して、(看護)小規模多機能型居宅介護行った場合
- 令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
- 認知症加算は、認知症対応力の更なる強化を図る観点から、令和6年度の介護報酬改定にて区分が新設されました。報酬改定による変更点は以下の通りです。
<単位数>
認知症加算(Ⅰ) 800単位/月 認知症加算(Ⅰ) 920単位/月(新設)
認知症加算(Ⅱ) 500単位/月
↓ 改定後
認知症加算(Ⅰ) 920単位/月(新設)
認知症加算(Ⅱ) 890単位/月(新設)
認知症加算(Ⅲ) 760単位/月(変更)
認知症加算(Ⅳ) 460単位/月(変更)
若年性認知症利用者受入加算
若年性認知症利用者受入加算は、若年性認知症の利用者を受け入れ、担当スタッフが適切なサービスを提供した場合に算定できる加算です。対象者は40歳以上65歳未満の若年性認知症の利用者で、特性やニーズに応じたサービスを提供することが求められます。
算定単位数:1ヶ月につき800単位
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・受け入れた若年性認知症入所者ごとに、施設や事業所の介護職員の中から個別の担当者を定めていること
※人数や資格等の要件はなし
・個別の担当者が中心となって、利用者のニーズに応じたサービスを提供していること
・利用者の要介護、要支援認定における主治医の意見書に、認知症という記載されていること
看護職員配置加算
看護職員配置加算とは、多様化する医療ニーズ等に柔軟に対応するため、常勤の看護師を配置している事業所を評価するために設けられている加算です。小規模多機能型居宅介護ではⅠ~Ⅲの区分に分けられます。
- 看護職員配置加算(Ⅰ)
算定単位数:1ヶ月につき900単位
算定要件:常勤専従の看護師を1人以上配置
- 看護職員配置加算(Ⅱ)
算定単位数:1ヶ月につき700単位
算定要件:常勤専従の准看護師を1人以上配置
- 看護職員配置加算(Ⅲ)
算定単位数:1ヶ月につき480単位
算定要件:常勤専従の准看護師を1人以上配置
看取り連携体制加算
看取り連携体制加算は、看取り期の対応方針を決定し、利用者およびその家族から同意を得た場合に算定可能な加算です。
算定単位数:1日につき64単位(死亡日及び死亡日以前30日以下において1回に限り算定可能)
算定要件
・看護師により24時間連絡できる体制を整えていること
・看取り期における対応方針を定めていること
・利用者や家族に内容を説明し、同意を得ていること
訪問体制強化加算
訪問体制強化加算とは、質の高い介護サービスを提供している事業所を評価する加算です。訪問サービスの常勤の従業者を一定数以上配置し、1ヶ月あたりの訪問回数を一定以上行うことで算定できます。
算定単位数:1ヶ月につき1000単位
算定要件
①訪問サービス(看護サービスを除く)の提供にあたる常勤の従業者(保健師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士を除く)を2人以上配置
②事業所における延べ訪問回数が1回あたり200回以上。ただし同一の建物に集合住宅を併設する場合は、登録者総数のうち同一建物居住者以外の者の占める割合が50%以上であること。また、同一建物居住者以外の者に対する訪問サービスの提供回数が合計で1月200回以上であること
※支給限度額管理の対象外
総合マネジメント体制強化加算
総合マネジメント体制強化加算は、地域と連携しながら認知症対応など幅広い役割を果たし、地域全体で利用者を支える仕組みづくりを進めるための加算です。
- 総合マネジメント体制強化加算(Ⅰ)
算定単位数:1ヶ月につき1200単位
算定要件
(1)個別サービス計画について、利用者の心身の状況や家族を取り巻く環境の変化を踏まえ、介護職員(計画作成責任者)や看護職員等の多職種協働により、随時適切に見直しを行っていること
(2)地域の病院、診療所、介護老人保健施設等に対し、事業所が提供することのできるサービスの具体的な内容に関する情報提供を行っていること
(3)日常的に利用者と関わりのある地域住民等の相談に対応する体制を確保していること
(4)地域住民等との連携により、地域資源を効果的に活用し、利用者の状態に応じた支援を行っていること
以下(5)~(8)について、事業所の特性に応じて1つ以上実施
(5)障害福祉サービス事業所、児童福祉施設等と協働し、地域において世代間の交流の場の拠点となっていること
※「障害福祉サービス事業所、児童福祉施設等と協働し、地域において世代間の交流を行っていること。」が要件
(6)地域住民等、他事業所等と共同で事例検討会、研修会等を実施していること
(7)市町村が実施する通いの場や在宅医療・介護連携推進事業等の地域支援事業等に参加していること
(8)地域住民及び利用者の住まいに関する相談に応じ、必要な支援を行っていること
- 総合マネジメント体制強化加算(Ⅱ)
算定単位数:1ヶ月につき800単位
算定要件
(1)個別サービス計画について、利用者の心身の状況や家族を取り巻く環境の変化を踏まえ、介護職員(計画作成責任者)や看護職員等の多職種協働により、随時適切に見直しを行っていること
(2)地域の病院、診療所、介護老人保健施設等に対し、事業所が提供することのできるサービスの具体的な内容に関する情報提供を行っていること
- 令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
- 介護職員等処遇改善加算は、地域包括ケアシステムの担い手として、より地域に開かれた拠点となり、認知症対応を含む様々な機能を発揮することにより、地域の多様な主体とともに利用者を支える仕組みづくりを促進する観点から、令和6年度の介護報酬改定にて一部変更が行われました。変更点は以下の通りです。
<単位数>
総合マネジメント体制強化加算 1,000単位/月
↓ 改定後
総合マネジメント体制強化加算(Ⅰ) 1,200単位/月
総合マネジメント体制強化加算(Ⅱ) 800単位/月
<算定要件>
以下の表の通りです。
生活機能向上連携加算
生活機能向上連携加算とは、事業所の職員と外部のリハビリ専門職が連携し、機能訓練に関するマネジメントを提供することを評価する加算です。
(Ⅰ)と(Ⅱ)の区分に分かれており、併算定はできません。
- 生活機能向上連携加算(Ⅰ)
算定単位数:1ヶ月100単位
算定要件
・訪問・通所リハビリテーションを実施している事業所又はリハビリテーションを実施している医療機関のリハビリ専門職や医師からの助言(アセスメント・カンファレンス)を受けることができる体制を構築する。
・助言を受けた上で、機能訓練指導員などが生活機能の向上を目的とした計画を作成する。
・リハビリ専門職は、通所リハビリテーションなどのサービス提供の場又はICTを活用した動画などにより、利用者の状態を把握した上で、助言をおこなう。
・個別機能訓練計画の進捗状況を3ヶ月に1回以上評価し、利用者・家族へ説明する。必要に応じて訓練内容の見直しをおこなう。
・3ヶ月に1回を限度に算定可能
・(Ⅰ)と(Ⅱ)の併算定不可
- 生活機能向上連携加算(Ⅱ)
算定単位数:1ヶ月200単位(個別機能訓練加算を算定している場合は1ヶ月100単位)
算定要件
・訪問・通所リハビリテーションを実施している事業所又はリハビリテーションを実施している医療機関のリハビリ専門職や医師からの助言(アセスメント・カンファレンス)を受けることができる体制を構築する。
・助言を受けた上で、機能訓練指導員などが生活機能の向上を目的とした個別機能訓練計画を作成する。
・リハビリ専門職は、施設やサービス事業所を訪問し、機能訓練指導員などと共同して、利用者の身体状況の評価、個別機能訓練計画を作成する。
・個別機能訓練計画の進捗状況を3ヶ月に1回以上評価し、利用者・家族へ説明する。必要に応じて訓練内容の見直しをおこなう。
・(Ⅰ)と(Ⅱ)の併算定不可
口腔・栄養スクリーニング加算
口腔・栄養スクリーニング加算は、口腔内の健康状態と栄養状態をスクリーニングすることで算定される加算です。定期的に口腔および栄養状態を確認し、利用者の健康管理や症状の悪化を予防することを目的としています。
算定単位数:1回20単位(6ヶ月に1回を限度)
算定要件:以下の1.2のいずれも満たすこと
1.サービス利用開始時および利用中の6か月ごとに、利用者の口腔の健康状態と栄養状態についてスクリーニングを行い、ケアマネージャーにその結果を情報提供していること
2.算定日がある月が、次の基準のどれにも当てはまらないこと
a.栄養アセスメント加算を加算している
b.利用者が栄養改善加算の算定のため栄養改善サービスを受けている間である
c.栄養改善サービスが終了した日がある月
d.利用者が口腔機能向上加算の算定のため口腔機能向上サービスを受けている間である
e.口腔機能向上サービスが終了した日がある月
サービス提供体制強化加算
サービス提供体制強化加算は、介護職員の資格(介護福祉士など)の有無や勤続年数などを基準に、質の高いサービスを提供できる体制を整えている事業所を評価するために設けられた加算です。
- サービス提供体制強化加算(Ⅰ)
算定単位数:1ヶ月につき750単位
算定要件
・従業者の個別の研修計画の作成、研修の実施等
・利用者の情報、サービス提供の留意事項の伝達、サービスを提供する従業者の技術指導を目的とした会議の定期的な開催
・定員超過利用、人員基準欠如に該当しないこと
・区分に応じた以下の資格・勤続年数要件を満たすこと
・介護福祉士70%以上
・勤続10年以上の介護福祉士25%以上
- サービス提供体制強化加算(Ⅱ)
算定単位数:1ヶ月につき640単位
算定要件
・従業者の個別の研修計画の作成、研修の実施等
・利用者の情報、サービス提供の留意事項の伝達、サービスを提供する従業者の技術指導を目的とした会議の定期的な開催
・定員超過利用、人員基準欠如に該当しないこと
・区分に応じた以下の資格・勤続年数要件を満たすこと
・介護福祉士50%以上
- サービス提供体制強化加算(Ⅲ)
算定単位数:1ヶ月につき350単位
算定要件
・従業者の個別の研修計画の作成、研修の実施等
・利用者の情報、サービス提供の留意事項の伝達、サービスを提供する従業者の技術指導を目的とした会議の定期的な開催
・定員超過利用、人員基準欠如に該当しないこと
・区分に応じた以下の資格・勤続年数要件を満たすこと
・介護福祉士40%以上
・常勤職員が60%以上
・勤続7年以上の者が30%以上
介護職員等処遇改善加算
介護職員等処遇改善加算は、介護職員の処遇改善を目的に設けられた加算です。2023年度までは、処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算の3つに分かれていましたが、2024年度より一本化され、改めて介護職員等処遇改善加算が創設されました。
<算定単位数の計算>
単位数
処遇改善加算の計算をするためには、まず1ヶ月あたりの総単位数を求めます。
1ヶ月あたりの総単位数を求める計算式は、以下のとおりです。
1ヶ月あたりの総単位数 = 前年度1~12月の介護報酬総単位数 ÷ 12
計算方法
1ヶ月あたりの総単位数が算出できたら、次の計算式で処遇改善加算の加算単位数を求めます。
加算単位数=1ヶ月あたりの総単位数×サービス類型別加算率
小規模多機能型居宅介護の加算率は、以下のとおりです。
算定要件は以下の表の通りです。
- キャリアパス要件
(Ⅰ) 介護職員について、職位、職責、職務内容等に応じた任用等の要件を定め、それらに応じた賃金体系を整備する
(Ⅱ) 介護職員の資質向上の目標や以下のいずれかに関する具体的な計画を策定し、当該計画に係る研修の実施または研修の機会を確保する
a:研修機会の提供又は技術指導等の実施、介護職員の能力評価
b:資格取得のための支援(勤務シフトの調整、休暇の付与、費用の援助等)
(Ⅲ) 介護職員について以下のいずれかの仕組みを整備する
a 経験に応じて昇給する仕組み
b 資格等に応じて昇給する仕組み
c 一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み
(Ⅳ) 経験・技能のある介護職員のうち1人以上は、賃金改善後の賃金額が年額440万円以上であること
(Ⅴ) サービス類型ごとに一定割合以上の介護福祉士等を配置していること - 月額賃金改善要件
(Ⅰ) 新加算Ⅳ相当の加算額の2分の1以上を、月給(基本給または決まって毎月支払われる手当)の改善に充てる
(Ⅱ) 前年度と比較して、現行のベースアップ等加算相当の加算額の3分の2以上の新たな基本給等の改善(月給の引上げ)を行う
- 職場環境等要件
| 入職促進に向 けた取組 |
・法人や事業所の経営理念やケア方針・人材育成方針、その実現のための施策・仕組みなどの明確化 ・事業者の共同による採用・人事ローテーション・研修のための制度構築 ・他産業からの転職者・主婦層・中高年齢者等・経験者・有資格者等にこだわらない幅広い採用の仕組みの構築 ・職業体験の受入れや地域行事への参加や主催等による職業魅力度向上の取組の実施 |
| 資質の向上やキャリアアップに向けた支援 |
・働きながら介護福祉士取得を目指す者に対する実務者研修受講支援や、より専門性の高い介護技術を取得しようとする者に対するユニットリーダー研修、ファーストステップ研修、喀痰吸引、認知症ケア、サービス提供責任者研修、中堅職員に対するマネジメント研修の受講支援等 ・研修の受講やキャリア段位制度と人事考課との連動 ・エルダー・メンター制度等導入 ・上位者・担当者等によるキャリア面談など、キャリアアップ・働き方等に関する定期的な相談の機会の確保 |
| 両立支援・多様な働き方の推進 |
・子育てや家族等の介護等と仕事の両立を目指す者のための休業制度等の充実、事業所内託児施設の整備 ・職員の事情等の状況に応じた勤務シフトや短時間正規職員制度の導入、職員の希望に即した非正規職員から正規職員への転換の制度等の整備 ・有給休暇を取得しやすい雰囲気・意識作りのため、具体的な取得目標を定めた上で、取得状況を定期的に確認し、身近な上司等からの積極的な声かけを行っている ・有給休暇の取得促進のため、情報共有や複数担当制等により、業務の属人化の解消、業務配分の偏りの解消を行っている |
| 腰痛を含む心身の健康管理 |
・業務や福利厚生制度、メンタルヘルス等の職員相談窓口の設置等相談体制の充実 ・短時間勤務労働者等も受診可能な健康診断・ストレスチェックや、従業員のための休憩室の設置等健康管理対策の実施 ・介護職員の身体の負担軽減のための介護技術の修得支援、職員に対する腰痛対策の研修、管理者に対する雇用管理改善の研修等の実施 ・事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成等の体制の整備 |
| 生産性向上のための業務改善の取組 |
・厚生労働省が示している「生産性向上ガイドライン」に基づき、業務改善活動の体制構築(委員会やプロジェクトチームの立ち上げ、外部の研修会
の活用等)を行っている ・現場の課題の見える化(課題の抽出、課題の構造化、業務時間調査の実施等)を実施している ・5S活動(業務管理の手法の1つ。整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字をとったもの)等の実践による職場環境の整備を行っている ・業務手順書の作成や、記録・報告様式の工夫等による情報共有や作業負担の軽減を行っている ・介護ソフトおよび情報端末の導入 ・介護ロボットの導入 ・業務内容の明確化と役割分担を行った上で、間接業務については、いわゆる介護助手等の活用や外注等で担い、介護職員がケアに集中できる環境を整備 ・各種委員会の共同設置、各種指針・計画の共同策定、物品の共同購入等の事務処理部門の集約、共同で行うICTインフラの整備、人事管理システムや福利厚生システム等の共通化等、協働化を通じた職場環境の改善に向けた取組の実施 |
| やりがい・働きがいの醸成 |
・ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の介護職員の気づきを踏まえた勤務環境やケア内容の改善 ・地域包括ケアの一員としてのモチベーション向上に資する、地域の児童・生徒や住民との交流の実施 ・利用者本位のケア方針など介護保険や法人の理念等を定期的に学ぶ機会の提供 ・ケアの好事例や、利用者やその家族からの謝意等の情報を共有する機会の提供 |
- 令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
- 介護職員等処遇改善加算は、令和6年度の介護報酬改定にて一部見直されました。報酬改定による変更点は以下の通りです。
介護現場で働く方々にとって、令和6年度に2.5%、令和7年度に2.0%のベースアップへと確実につながるよう加算率の引上げを行いました。また、介護職員等の確保に向けて、介護職員の処遇改善のための措置ができるだけ多くの事業所に活用されるよう推進する観点から、介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算について、現行の各加算・各区分の要件及び加算率を組み合わせた4段階の「介護職員等処遇改善加算」に一本化を行いました。
※ 一本化後の加算については、事業所内での柔軟な職種間配分を認める。また、人材確保に向けてより効果的な要件とする等の観点から、月額賃金の改善に関する要件及び職場環境等要件を見直します。
中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算
サービス提供加算は、サービス提供時に発生する交通費や移動費に対して申請できる加算です。
算定単位数:1回につき5/100
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・厚生労働大臣が定める地域(平成21年厚生労働省告示第83号2)に居住している利用者に対して、サービスを提供する
・通常の事業の実施地域を越えて、指定小規模多機能型居宅介護支援を行った場合
- 令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
- 中山間地域に居住する者へのサービス提供加算の対象地域は、令和6年度の介護報酬改定にて対象地域が明確化されました。報酬改定による変更点は以下の通りです。
- 過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法(令和三年法律第十九号)第二条第一項に規定する過疎地域
↓ 変更後
過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法(令和三年法律第十九号)第二条第二項により公示された過疎地域
過疎地域その他の地域で、人口密度が希薄、交通が不便等の理由によりサービスの確保が著しく困難であると認められる地域であって、特別地域加算の対象として告示で定めるものについて、前回の改正以降、新たに加除する必要が生じた地域において、都道府県及び市町村から加除の必要性等を聴取した上で、見直しが行われました。
科学的介護推進体制加算(LIFE加算)
科学的介護推進体制加算とは、LIFE(科学的介護情報システム)に関係する加算です。
算定単位数:1ヶ月40単位
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・利用者ごとの心身の状況をはじめとした基本情報を厚生労働省に提出している
・上記の情報、その他サービスを適切に提供するために必要な情報を活用している
- 令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
- 科学的介護推進体制加算は、令和6年度の介護報酬改定にて算定要件が見直されました。報酬改定による変更点は以下の太字の箇所となります。
LIFEへのデータ提出頻度について、他のLIFE関連加算と合わせ、少なくとも「3月に1回」に見直す。
○ その他、LIFE関連加算に共通した見直しを実施。
<入力負担軽減に向けたLIFE関連加算に共通する見直し>
・入力項目の定義の明確化や、他の加算と共通する項目の選択肢を統一化する
・同一の利用者に複数の加算を算定する場合に、一定の条件下でデータ提出のタイミングを統一できるようにする
小規模多機能型居宅介護の減算
以下では小規模多機能型居宅介護の各減算について解説していきます。
過少サービスに対する減算
サービス提供の適正化の観点から、サービスの提供が過少である事業所に対する評価を適正化するため減算規定が設けられています。
単位数:所定単位数×30%の減算
適用要件:事業所の登録者1人当たりの平均サービス提供内容が一週間に4回未満の事業所利用者全員に適用されます。(事業所全体で考えます)
業務継続計画未策定減算
業務継続計画未策定減算とは、運営基準で策定が義務付けられている業務継続計画(BCP)が未策定の場合に適用される減算です。近年の自然災害の増加や感染症の流行を受け、災害や感染症の発生時にも介護サービスを継続して提供できる体制を整えるため、業務継続計画の策定が義務化されました。
単位数:所定単位数×1%の減算
適用要件:業務継続計画(BCP)を策定し、業務継続計画に従い、必要な措置を講じている。
- 令和6年度介護報酬改定による変更ポイント
- 業務継続計画未策定減算は、感染症や災害が発生した場合であっても、必要な介護サービスを継続的に提供できる体制を構築するため、業務継続に向けた計画の策定の徹底を求める観点から、令和6年度の介護報酬改定にて新設されました。
高齢者虐待防止措置未実施減算
高齢者虐待防止措置未実施減算とは、虐待の発生や再発を防ぐための適切な措置が講じられていない場合に適用される減算です。
単位数:所定単位数より×1%の減算
適用要件:以下の対策等を講じていない場合
- 虐待の防止のための対策を検討する委員会の定期的な開催と職員への周知
- 虐待防止のための指針の整備
- 虐待防止のための研修の定期的な実施
- 虐待防止のための担当者の配置
- 令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
- 高齢者虐待防止措置未実施減算は、利用者の人権の擁護、虐待の防止等をより推進する観点から、令和6年度の介護報酬改定にて新設されました。
まとめ
本記事では小規模多機能型居宅介護事業所で申請できる加算・減算の種類や単位数、算定要件について解説しました。小規模多機能型居宅介護事業所の運営を安定させるためにも、加算や減算への理解を深めて、申請を行うことが重要です。
また、令和6年度の介護報酬改定による変更点を把握しておくことも大切です。
本記事が小規模多機能型居宅介護事業所様のお役に立ちますと幸いです。