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介護の基礎知識

【2024年改定対応】居宅療養管理指導の基本報酬の単位数(点数)や加算一覧

  • 公開日:2025年01月21日
  • 更新日:2025年12月11日

居宅療養管理指導とは、通院が難しい要介護者の自宅を医療専門職が訪問し、療養に必要な指導や助言を行うサービスです。このサービスを提供する病院、診療所、薬局などの事業所は、居宅療養管理指導費を請求することが可能です。

この記事では、居宅療養管理指導費を算定するための算定要件や単位数、その他居宅療養管理指導で算定できる加算についてご紹介します。

居宅療養管理指導の報酬の仕組み

居宅療養管理指導事業所では、サービスの報酬として、居宅療養管理指導費や加算を請求することができます。居宅療養管理指導費は一定の条件を満たす場合に、定額として支払われ、職種や条件によって単位数が異なります。

また、居宅療養管理指導費とは別で以下の加算を申請することが可能です。

  • 医療用麻薬持続注射療法加算
  • 在宅中心静脈栄養法加算
  • 特別地域加算
  • 中山間地域等における小規模事業所加算
  • 中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算

居宅療養管理指導費とは

居宅療養管理指導費は通院が難しい要介護者の自宅に、医師、歯科医師、薬剤師、管理栄養士、歯科衛生士などの医療専門職が訪問し、在宅患者に対して管理や指導を行うことに対する報酬です。居宅療養管理指導費は職種や要介護者の居宅状況によって単位数が異なります。加算とは異なり、一定の条件を満たす場合に、定額として支払われます。

加算・減算とは

介護保険における加算および減算とは、特定の要件を満たした場合に、基本単位数に対してプラスまたはマイナスを加えて算定する仕組みを指します。

加算は、国が推進したい方向性や均衡を保つための施策、また訪問リハビリテーション事業所として整えるべき仕組みや制度を基に設けられています。一方、減算は国が廃止したい、あるいは評価ができないものについての仕組みや制度に基づいて設けられています。国の施策の方向性を理解するためにも、加算や減算の要件を把握することは非常に重要です。

居宅療養管理指導を行う職種

居宅療養管理指導を行うことができるのは、以下の5つの医療専門職です。

  •  医師
  •  歯科医師
  •  薬剤師
  •  管理栄養士
  •  歯科衛生士

 

まずは職種ごとのサービス内容を簡単に確認しておきましょう。

医師・歯科医師

医師や歯科医師は、要介護者の心身の状態や療養環境を把握し、居宅サービス利用時の注意点や、家族への介護方法について指導や助言を行います。さらに、ケアマネージャーなどの居宅介護支援事業者に対して、ケアプラン作成に必要な情報を提供することも、医師や歯科医師が行う管理指導の一環です。なお、居宅療養管理指導は“指導”を目的としており、医師や歯科医師が医療行為を行うことはありません。この点が訪問診療や往診との大きな違いとなっています。

薬剤師

薬剤師が提供するサービスは、主に服薬に関する管理・指導です。医師や歯科医師の指示に基づき、内服薬の重複を確認したり、副作用について説明したり、剤形について助言するなど、適切な服薬管理をサポートします。また、医師や歯科医師と同様に、居宅介護支援事業者に対し、ケアプラン作成に必要な情報を提供することも役割の一つです。

管理栄養士

管理栄養士は、医師の指示に基づき、栄養管理に関する助言や指導を行います。例えば、飲み込みやすい食事の提案、低栄養を改善するための栄養ケア計画書の作成、糖尿病や慢性腎疾患など疾患に応じた食事指導など、要介護者の状態に合わせた支援を行います。

さらに、家族に対して食事の介助方法や調理方法を指導することも重要な役割の一つです。

歯科衛生士

歯科衛生士は、歯科医師の指示のもと、口腔ケアや入れ歯の清掃を行います。また、自宅でできる口腔ケアとして、歯みがきや入れ歯の洗浄方法についてアドバイスを提供します。さらに、歯科医師が作成した訪問指導計画に基づき、嚥下機能(飲み込む機能)の維持や回復を目的に、食事時の姿勢や食事環境に関する指導も行います。

なお、5つの職種のうち、薬剤師、管理栄養士、歯科衛生士が居宅療養管理指導を実施するには、医師、歯科医師、またはケアマネージャーの指示が必要です。利用者本人や家族が希望しても、これらの指示がなければサービスを利用することはできません。

居宅療養管理指導の算定単位数・算定要件

居宅療養管理指導の基本報酬の点数

居宅療養管理指導の基本報酬の点数は、職種や要介護者の居宅状況によって異なります。職種ごとの点数は以下の表の通りです。

医師による居宅療養管理指導は、「在宅時医学総合管理料(在医総管)」および「特定施設入居時医学総合管理料(特医総管)」の算定状況に応じて、(Ⅰ)と(Ⅱ)に区分され、それぞれ報酬単位が異なります。在医総管は、在宅療養中の利用者に対し、特医総管は特定施設に入居する利用者に対して、通院が困難な場合に計画的な医学管理に基づく定期的な訪問診療を実施した際に算定される診療報酬です。これらを算定していない場合には居宅療養管理指導(Ⅰ)が適用され、算定している場合には(Ⅱ)が適用されます。

また、薬剤師がオンラインで服薬指導を行った場合には、月4回を限度に46単位の加算が可能です。

居宅療養管理指導の算定要件

居宅療養管理指導の算定要件として、以下の4つが挙げられます。

1.利用者が通院困難な状況であること
2.利用者やその家族に対し、療養に関する指導を行っていること
3.ケアマネージャーに対して、ケアプラン作成に必要な情報を提供していること
4.他の介護サービス事業所への情報提供や助言を行っていること

居宅療養管理指導を算定するためには、まず「1. 利用者が通院困難な状況であること」が基本的な前提となります。継続的な管理や指導が不要な場合や、家族や介護者の助けを借りずに通院が可能な場合は、居宅療養管理指導を算定することはできません。近年、居宅療養管理指導の利用者数は年々増加している状況があります。制度では、本来の要件を満たさない軽度者、すなわち自力で通院可能な人にまでサービスが提供されることのないよう、対象者が明確に定められています。

「2.利用者やその家族に対し、療養に関する指導を行っていること」や「3.ケアマネージャーに対して、ケアプラン作成に必要な情報を提供していること」は、居宅療養管理指導に含まれる基本的なサービス内容です。ケアマネージャーへの情報提供は、原則としてサービス担当者会議への参加を通じて行います。ただし、会議への参加が困難な場合や会議自体が開催されない場合は、文書による情報提供が求められます。

居宅療養管理指導の算定限度

算定できる回数は以下の表の通り職種ごとに限度が定められています。なお、がん末期患者および中心静脈栄養患者については、週2回かつ月8回の算定が可能です。

居宅療養管理指導の算定が行えない場合

算定要件を満たさない場合、居宅療養管理指導を算定することはできません。

たとえば、利用者が自力で通院可能と判断される場合や、ケアマネージャーにケアプラン作成に必要な情報提供を行っていない場合(担当ケアマネージャーがいない場合を除く)などは、算定の対象外となります。

さらに、居宅療養管理指導が算定できないケースとして、かかりつけ医師(歯科医師)が複数いる場合、それぞれの医師(歯科医師)が同時に居宅療養管理指導を算定することはできません。利用者1人につき、居宅療養管理指導を算定できる医師(歯科医師)は1人に限られます。薬剤師の場合も同様で、すでに他の薬剤師が居宅療養管理指導を算定している場合は対象外です。

また、薬剤師が居宅療養管理指導を月2回以上行う場合、算定する日と日との間隔を6日以上空ける必要があります(がん末期の利用者や中心静脈栄養を受けている利用者の場合を除く)。仮に月2回の投薬指導を行い、その間隔が6日以内だった場合、どちらか一方の日に実施した訪問は算定対象外となります。

居宅療養管理指導の2024年度介護報酬改定での変更点

介護報酬改定での変更点:基本報酬
2024年度介護報酬改定では、基本報酬の各単位数がそれぞれ+1増え、微増となりました。
介護報酬改定での変更点:薬剤師による情報通信機器を用いた服薬指導の評価の見直し
オンライン服薬指導に係る医薬品医療機器等法のルールの見直しを踏まえ、薬剤師による情報通信機器を用いた居宅療養管理指導について、以下の見直しが行われました。

ア 初回から情報通信機器を用いた居宅療養管理指導の算定を可能とする。
イ 訪問診療において交付された処方箋以外の処方箋に係る情報通信機器を用いた居宅療養管理指導についても算定可能とする。
ウ 居宅療養管理指導の上限である月4回まで算定可能とする。

  • 単位数

情報通信機器を用いた場合:1回につき45単位(月1回まで)→1回につき46単位(月4回まで)

  • 算定要件
    診療報酬における在宅時医学総合管理料に規定する訪問診療の実施に伴い、処方箋が交付された利用者であること。→削除
    指定居宅サービス介護給付費単位数表の居宅療養管理指導費のハ(2)を月に1回算定していること。→削除
介護報酬改定での変更点:居宅療養管理指導における管理栄養士及び歯科衛生士等の通所サービス利用者に対する介入の充実
通所サービス利用者に対する管理栄養士による栄養食事指導及び歯科衛生士等による歯科衛生指導を充実させる観点から、算定対象を通院又は通所が困難な者から通院困難な者に見直しが行われました。

■管理栄養士が行う場合
注1 在宅の利用者であって通院又は通所が困難なものに対して、(中略)1ヶ月に2回を限度として、所定単位数を算定する。

↓ 改定後

注1 在宅の利用者であって通院が困難なものに対して、(中略)1月に2回を限度として、所定単位数を算定する。

 

■歯科衛生士等が行う場合
注1 在宅の利用者であって通院又は通所が困難なものに対して、(中略)1ヶ月に4回を限度として、所定単位数を算定する。

↓ 改定後

注1 在宅の利用者であって通院が困難なものに対して、(中略)1月に4回を限度として、所定単位数を算定する。

介護報酬改定での変更点:居宅療養管理指導におけるがん末期の者に対する歯科衛生士等の介入の充実
歯科衛生士等が行う場合の居宅療養管理指導では、令和6年度介護報酬改定にて全身状態の悪化とともに口腔衛生管理の頻度が増加する終末期がん患者の歯科衛生士等による歯科衛生指導を充実させる観点から、終末期がん患者の利用者について居宅療養管理指導(歯科衛生士等が行う場合)の算定回数上限が緩和されました。

変更点は以下の太字の箇所となります。

利用者に対して訪問歯科診療を行った歯科医師の指示に基づき、当該利用者を訪問し、実地指導を行った場合に、単一建物居住者(当該利用者が居住する建物に居住する者のうち、当該指定居宅療養管理指導事業所の歯科衛生士等が、同一月に指定居宅療養管理指導を行っているものをいう。)の人数に従い、1月に4回(がん末期の利用者については、1月に6回)を限度として、所定単位数を算定する。

介護報酬改定での変更点:管理栄養士による居宅療養管理指導の算定回数の見直し
終末期等における、きめ細かな栄養管理等のニーズに応じる観点から、一時的に頻回な介入が必要と医師が判断した利用者について期間を設定したうえで追加訪問することを可能とする見直しが行われました。
見直しにより追加された算定要件は以下の通りです。
  • 計画的な医学的管理を行っている医師が、利用者の急性増悪等により一時的に頻回の栄養管理を行う必要がある旨の特別の指示を行う。
  • 利用者を訪問し、栄養管理に係る情報提供及び指導又は助言を行う。
  • 特別の指示に基づく管理栄養士による居宅療養管理指導は、その指示の日から30日間に限り、従来の居宅療養管理指導の限度回数(1月に2回)を超えて、2回を限度として行うことができる。
参考:令和6年度介護報酬改定における改定事項について|厚生労働省

居宅療養管理指導で算定できる加算

居宅療養管理指導の加算は、「特別地域加算」「中山間地域等における小規模事業所加算」「中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算」の3つに加えて、「医療用麻薬持続注射療法加算」「在宅中心静脈栄養法加算」が2024年介護報酬改定にて新設されました。それぞれの算定単位数と算定要件は以下の通りです。

医療用麻薬持続注射療法加算

医療用麻薬持続注射療法加算は、在宅で医療用麻薬持続注射療法を行っている患者に対して、注入ポンプによる麻薬の使用など在宅での療養の状況に応じた薬学的管理及び指導を行うことを評価する加算です。

算定単位数:1回につき250単位
算定要件
・在宅で医療用麻薬持続注射療法を行っている利用者に対して、その投与及び保管の状況、副作用の有無等について当該利用者又はその家族等に確認し、必要な薬学的管理指導を行った場合に、1回につき250単位を所定単位数に加算する。

※ 疼痛緩和のために厚生労働大臣が定める特別な薬剤の投薬が行われている利用者に対して、必要な薬学的管理指導を行っている場合に算定する加算(100単位)との併算定は不可。
・麻薬及び向精神薬取締法第3条の規定による麻薬小売業者の免許を受けていること。
・医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第39条第1項の規定による高度管理医療機器の販売業の許可を受けていること。

介護報酬改定での変更点:医療用麻薬持続注射療法加算の新設
医療用麻薬持続注射療法加算は、薬剤師が行う居宅療養管理指導について、在宅患者に対して適切な薬物療法を提供する観点から新設されました。

在宅中心静脈栄養法加算

在宅中心静脈栄養法加算は、在宅中心静脈栄養法が行われている患者に対して、輸液セットを用いた中心静脈栄養法用輸液等の薬剤の使用など在宅での療養の状況に応じた薬学的管理及び指導を行うことを評価する加算です。

算定単位数:1回につき150単位
算定要件
・在宅中心静脈栄養法を行っている利用者に対して、その投与及び保管の状況、配合変化の有無について確認し、必要な薬学的管理指導を行った場合に、1回につき150単位を所定単位数に加算する。
・医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第39条第1項の規定による高度管理医療機器の販売業の許可を受けている又は同法第39条の3第1項の規定による管理医療機器の販売業の届出を行っていること。

介護報酬改定での変更点:在宅中心静脈栄養法加算の新設
在宅中心静脈栄養法加算とは、薬剤師が行う居宅療養管理指導について、在宅患者に対して適切な薬物療法を提供する観点から新設された加算です。

特別地域居宅療養管理指導加算

特別地域居宅療養管理指導加算とは、介護サービスの確保が極めて困難とされる地域などで、介護サービスの提供に貢献している事業所を評価する加算です。

算定単位数:所定単位数×15/100
算定要件:事業所が厚生労働大臣の定める特別地域に所在すること
厚生労働大臣の定める特別地域
・離島振興法第二条第一項の規定により指定された離島振興対策実施地域
・奄美群島振興開発特別措置法第一条に規定する奄美群島
・山村振興法第七条第一項の規定により指定された振興山村
・小笠原諸島振興開発特別措置法第四条第一項に規定する小笠原諸島
・沖縄振興特別措置法第三条第三号に規定する離島
・以下の地域のうち、人口密度が希薄であること、交通が不便であること等の理由により、指定居宅サービス等の確保が著しく困難であると認められる地域であって、厚生労働大臣が別に定めるもの
・豪雪地帯対策特別措置法第二条第一項の規定により指定された豪雪地帯
・豪雪地帯対策特別措置法第二条第二項の規定により指定された特別豪雪地帯
・辺地に係る公共的施設の総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律第二条第一項に規定する辺地
・過疎地域自立促進特別措置法第二条第ニ項の規定により公示された過疎地域
・その他の地域

中山間地域等における小規模事業所加算

小規模事業加算は、山間部や離島など、介護サービスの提供が困難な地域でその促進を目的とした加算です。

算定単位数:1回につき10/100
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・厚生労働大臣が定める地域(平成21年厚生労働省告示第83号1)に所在している
・厚生労働大臣が定める施設基準(平成27年厚生労働省告示第96号46)に適合する
・指定居宅介護支援事業所の介護支援専門員が指定居宅介護支援を行った場合

中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算

サービス提供加算は、サービス提供時に発生する交通費や移動費に対して申請できる加算です。

算定単位数:1回につき5/100
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・厚生労働大臣が定める地域(平成21年厚生労働省告示第83号2)に居住している利用者に対して、サービスを提供する
・通常の事業の実施地域を越えて、指定居宅介護支援を行った場合

介護報酬改定での変更点:特別地域加算、中山間地域等の小規模事業所加算及び中山間地域に居住する者へのサービス提供加算の対象地域の明確化
特別地域加算、中山間地域等の小規模事業所加算及び中山間地域に居住する者へのサービス提供加算の対象地域は、令和6年度の介護報酬改定にて対象地域が明確化されました。報酬改定による変更点は以下の通りです。
過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法(令和三年法律第十九号)第二条第一項に規定する過疎地域

↓ 変更後

過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法(令和三年法律第十九号)第二条第二項により公示された過疎地域

過疎地域その他の地域で、人口密度が希薄、交通が不便等の理由によりサービスの確保が著しく困難であると認められる地域であって、特別地域加算の対象として告示で定めるものについて、前回の改正以降、新たに加除する必要が生じた地域において、都道府県及び市町村から加除の必要性等を聴取した上で、見直しが行われました。

まとめ

本記事では居宅療養管理指導費の算定要件や単位数、居宅療養管理指導事業所で申請できる加算の種類や単位数、算定要件について解説しました。居宅療養管理指導事業所の運営を安定させるためにも、加算への理解を深めて、申請を行うことが重要です。また、令和6年度の介護報酬改定による変更点についても把握しておきましょう。

本記事が居宅療養管理指導事業所様の運営のお役に立ちますと幸いです。

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