介護の基礎知識
【2024年改定対応】認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の加算・減算一覧
- 公開日:2025年03月21日
- 更新日:2025年03月21日

グループホームの運営を安定させるには、加算の取得が重要です。
グループホームでは、さまざまな加算を申請することが可能ですが、「どの加算を申請できるのか?」「算定条件が分からない」といった悩みが生じることも少なくありません。
本記事では、グループホームで申請できる加算・減算の種類や単位数・算定要件について解説します。また、令和6年度の介護報酬改定によって、変更のある加算もありますので、併せて解説していきます。
加算・減算とは
介護保険における加算および減算とは、特定の要件を満たした場合に、基本単位数に対してプラスまたはマイナスを加えて算定する仕組みを指します。
加算は、国が推進したい方向性や均衡を保つための施策、また通所介護事業所として整えるべき仕組みや制度を基に設けられています。一方、減算は国が廃止したい、あるいは評価ができないものについての仕組みや制度に基づいて設けられています。
今後、国の施策の方向性を理解するためにも、加算や減算の要件を把握することは非常に重要です。
グループホームで申請できる加算一覧
グループホームでは、以下の加算を申請することが可能です。
- 協力医療機関連携加算
- 医療連携体制加算
- 退居時情報提供加算
- 認知症チームケア推進加算
- 高齢者施設等感染対策向上加算
- 新興感染症等施設療養費
- 生産性向上推進体制加算
- 介護職員等処遇改善加算
- 初期加算
- 夜間支援体制加算
- 若年性認知症利用者受入加算
- 看取り介護加算
- 退居時相談援助加算
- 認知症専門ケア加算
- 生活機能向上連携加算
- 栄養管理体制加算
- 口腔・栄養スクリーニング加算
- 科学的介護推進体制加算
- サービス提供体制強化加算
グループホームの減算一覧
グループホームで減算となるものは以下の通りです。
- 認知症対応型高齢者虐待防止未実施減算
- 業務継続計画未策定減算
- 夜勤を行う職員の勤務条件基準を満たさない場合
- 利用者の数が利用定員を超える場合又は介護従業者の員数が基準に満たない場合
- 身体拘束廃止未実施減算
- 3ユニットで夜勤を行う職員の員数を2人以上とする場合
それぞれの加算・減算について、以下にて詳しく解説していきます。
グループホームの加算
以下ではグループホームの各加算について解説していきます。
協力医療機関連携加算

協力医療機関連携加算とは、グループホームと協力医療機関との連携体制を構築するため、入居者の現病歴等の情報共有を行う会議を定期的に開催することを評価する加算です。
協力医療機関の要件
① 入所者等の病状が急変した場合等において、医師又は看護職員が相談対応を行う体制を常時確保していること。
② 高齢者施設等からの診療の求めがあった場合において、診療を行う体制を常時確保していること。
算定単位数
・協力医療機関連携加算(協力医療機関が上記の①②を満たす場合):1ヶ月につき100単位
・協力医療機関連携加算(それ以外の場合):1ヶ月につき40単位
算定要件:協力医療機関との間で、入所者等の同意を得て、当該入所者等の病歴等の情報を共有する会議を定期的に開催していること。
- 令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
- 協力医療機関連携加算は、令和6年度の介護報酬改定にて新設されました。
医療連携体制加算
- 医療連携体制加算(Ⅰ)(イ)
算定単位数:1日につき57単位
算定要件
・事業所の職員として看護師を常勤換算で1名以上配置していること。
・事業所の職員である看護師、又は病院、診療所若しくは訪問看護ステーションの看護師との連携により、24時間連絡できる体制を確保していること。
- 医療連携体制加算(Ⅰ)(ロ)
算定単位数:1日につき47単位
算定要件
・事業所の職員として看護職員を常勤換算で1名以上配置していること。
・事業所の職員である看護師、又は病院、診療所若しくは訪問看護ステーションの看護師との連携により、24時間連絡できる体制を確保していること。
- 医療連携体制加算(Ⅰ)(ハ)
算定単位数:1日につき37単位
算定要件
・事業所の職員として、又は病院、診療所若しくは訪問看護ステーションとの連携により、看護師を1名以上確保していること。
・事業所の職員である看護師、又は病院、診療所若しくは訪問看護ステーションの看護師との連携により、24時間連絡できる体制を確保していること。
- 医療連携体制加算(Ⅱ)
算定単位数:1日につき5単位
算定要件
・医療連携体制加算(Ⅰ)のいずれかを算定していること
・ 算定日が属する月の前3月間において、次のいずれかに該当する状態の入居者が1人以上であること。
(1)喀痰吸引を実施している状態
(2)呼吸障害等により人工呼吸器を使用している状態
(3)中心静脈注射を実施している状態
(4)人工腎臓を実施している状態
(5)重篤な心機能障害、呼吸障害等により常時モニター測定を実施している状態
(6)人工膀胱又は人工肛門の処置を実施している状態
(7)経鼻胃管や胃瘻等の経腸栄養が行われている状態
(8)褥瘡に対する治療を実施している状態
(9)気管切開が行われている状態
(10)留置カテーテルを使用している状態
(11)インスリン注射を実施している状態
- 令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
- 医療連携体制加算は、令和6年度の介護報酬改定にて一部見直されました。報酬改定による変更点は以下の表の通りです。

退居時情報提供加算
退居時情報提供加算は、入居者が医療機関へ退所した際、生活支援上の留意点等の情報提供を行うことを評価する加算です。
算定単位数:1回250単位
算定要件:医療機関へ退所する入所者等について、退所後の医療機関に対して入所者等を紹介する際、入所者等の同意を得て、当該入所者等の心身の状況、生活歴等を示す情報を提供した場合に、入所者等1人につき1回に限り算定する。
- 令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
- 退居時情報提供加算は、令和6年度の介護報酬改定にて新設されました。
認知症チームケア推進加算
認知症チームケア推進加算は、認知症の行動・心理症状(BPSD)の発現を未然に防ぐため、あるいは出現時に早期に対応するための平時からの取組を推進する観点から新たに設けられた加算です。
- 認知症チームケア推進加算(Ⅰ)
算定単位数:1ヶ月につき150単位
算定要件:以下のいずれも満たす場合
(1) 事業所又は施設における利用者又は入所者の総数のうち、周囲の者による日常生活に対する注意を必要とする認知症の者の占める割合が2分の1以上であること。
(2)認知症の行動・心理症状の予防及び出現時の早期対応(以下「予防等」という。)に資する認知症介護の指導に係る専門的な研修を修了している者又は認知症介護に係る専門的な研修及び認知症の行動・心理症状の予防等に資するケアプログラムを含んだ研修を修了した者を1名以上配置し、かつ、複数人の介護職員から成る認知症の行動・心理症状に対応するチームを組んでいること。
(3) 対象者に対し、個別に認知症の行動・心理症状の評価を計画的に行い、その評価に基づく値を測定し、認知症の行動・心理症状の予防等に資するチームケアを実施していること。
(4) 認知症の行動・心理症状の予防等に資する認知症ケアについて、カンファレンスの開催、計画の作成、認知症の行動・心理症状の有無及び程度についての定期的な評価、ケアの振り返り、計画の見直し等を行っていること。
- 認知症チームケア推進加算(Ⅱ)
算定単位数:1ヶ月につき120単位
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・(Ⅰ)の(1)、(3)及び(4)に掲げる基準に適合すること。
・認知症の行動・心理症状の予防等に資する認知症介護に係る専門的な研修を修了している者を1名以上配置し、かつ、複数人の介護職員から成る認知症の行動・心理症状に対応するチームを組んでいること。
- 令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
- 認知症チームケア推進加算は、令和6年度の介護報酬改定にて新設されました。
高齢者施設等感染対策向上加算

高齢者施設等感染対策向上加算は、施設内で感染者が発生した場合に、感染者の対応を行う医療機関との連携の上で施設内で感染者の療養を行うことや、他の入所者等への感染拡大を防止することが求められることから、その対応を評価する加算です。
- 高齢者施設等感染策向上加算(Ⅰ)
算定単位数:1ヶ月につき10単位
算定要件
・感染症法第6条第17 項に規定する第二種協定指定医療機関との間で、新興感染症の発生時等の対応を行う体制を確保していること。
・協力医療機関等との間で新興感染症以外の一般的な感染症の発生時等の対応を取り決めるとともに、感染症の発生時等に協力医療機関等と連携し適切に対応していること。
・診療報酬における感染対策向上加算又は外来感染対策向上加算に係る届出を行った医療機関又は地域の医師会が定期的に行う院内感染対策に関する研修又は訓練に1年に1回以上参加していること。
- 高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅱ)
算定単位数:1ヶ月につき5単位
算定要件:診療報酬における感染対策向上加算に係る届出を行った医療機関から、3年に1回以上施設内で感染者が発生した場合の感染制御等に係る実地指導を受けていること。
- 令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
- 高齢者施設等感染対策向上加算は、令和6年度の介護報酬改定にて新設されました。
新興感染症等施設療養費
新興感染症等施設療養費は、新興感染症のパンデミック発生時等において、施設内で感染した高齢者に対して必要な医療やケアを提供する観点や、感染拡大に伴う病床ひっ迫を避ける観点から、必要な感染対策や医療機関との連携体制を確保した上で感染した高齢者を施設内で療養を行うことを評価します。
算定単位数:1日240単位
算定要件:入所者等が別に厚生労働大臣が定める感染症に感染した場合に相談対応、診療、入院調整等を行う医療機関を確保し、かつ、当該感染症に感染した入所者等に対し、適切な感染対策を行った上で、該当する介護サービスを行った場合に、1月に1回、連続する5日を限度として算定する。※ 現時点において指定されている感染症はない。
- 令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
- 新興感染症等施設療養費は、令和6年度の介護報酬改定にて新たに新設されました。
生産性向上推進体制加算

生産性向上推進体制加算は、介護現場における生産性の向上の取組の促進を図る観点から、介護ロボットやICT等の導入後の継続的なテクノロジー活用を支援するための加算です。
- 生産性向上推進体制加算(Ⅰ)
算定単位数:1ヶ月につき100単位
算定要件
・(Ⅱ)の要件を満たし、(Ⅱ)のデータにより業務改善の取組による成果が確認されていること。
・見守り機器等のテクノロジーを複数導入していること。
・職員間の適切な役割分担(いわゆる介護助手の活用等)の取組等を行っていること。
・1年以内ごとに1回、業務改善の取組による効果を示すデータの提供(オンラインによる提出)を行うこと。
注:生産性向上に資する取組を従来より進めている施設等においては、(Ⅱ)のデータによる業務改善の取組による成果と同等以上のデータを示す等の場合には、(Ⅱ)の加算を取得せず、(Ⅰ)の加算を取得することも可能である。
- 生産性向上推進体制加算(Ⅱ)
算定単位数:1ヶ月につき10単位
算定要件
・利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会の開催や必要な安全対策を講じた上で、生産性向上ガイドラインに基づいた改善活動を継続的に行っていること。
・見守り機器等のテクノロジーを1つ以上導入していること。
・1年以内ごとに1回、業務改善の取組による効果を示すデータの提供(オンラインによる提出)を行うこと。
- 令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
- 生産性向上推進体制加算は、令和6年度の介護報酬改定にて新設されました。
介護職員等処遇改善加算
介護職員等処遇改善加算は、介護職員の処遇改善を目的に設けられた加算です。2023年度までは、処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算の3つに分かれていましたが、2024年度より一本化され、改めて介護職員等処遇改善加算が創設されました。
<算定単位数の計算>
単位数
処遇改善加算の計算をするためには、まず1ヶ月あたりの総単位数を求めます。
1ヶ月あたりの総単位数を求める計算式は、以下のとおりです。
1ヶ月あたりの総単位数 = 前年度1~12月の介護報酬総単位数 ÷ 12
計算方法
1ヶ月あたりの総単位数が算出できたら、次の計算式で処遇改善加算の加算単位数を求めます。
加算単位数=1ヶ月あたりの総単位数×サービス類型別加算率
グループホームの加算率は、以下のとおりです。

算定要件は以下の表の通りです。

- キャリアパス要件
(Ⅰ) 介護職員について、職位、職責、職務内容等に応じた任用等の要件を定め、それらに応じた賃金体系を整備する
(Ⅱ) 介護職員の資質向上の目標や以下のいずれかに関する具体的な計画を策定し、当該計画に係る研修の実施または研修の機会を確保する
a:研修機会の提供又は技術指導等の実施、介護職員の能力評価
b:資格取得のための支援(勤務シフトの調整、休暇の付与、費用の援助等)
(Ⅲ) 介護職員について以下のいずれかの仕組みを整備する
a 経験に応じて昇給する仕組み
b 資格等に応じて昇給する仕組み
c 一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み
(Ⅳ) 経験・技能のある介護職員のうち1人以上は、賃金改善後の賃金額が年額440万円以上であること
(Ⅴ) サービス類型ごとに一定割合以上の介護福祉士等を配置していること - 月額賃金改善要件
(Ⅰ) 新加算Ⅳ相当の加算額の2分の1以上を、月給(基本給または決まって毎月支払われる手当)の改善に充てる
(Ⅱ) 前年度と比較して、現行のベースアップ等加算相当の加算額の3分の2以上の新たな基本給等の改善(月給の引上げ)を行う
- 職場環境等要件
入職促進に向 けた取組 |
・法人や事業所の経営理念やケア方針・人材育成方針、その実現のための施策・仕組みなどの明確化 ・事業者の共同による採用・人事ローテーション・研修のための制度構築 ・他産業からの転職者・主婦層・中高年齢者等・経験者・有資格者等にこだわらない幅広い採用の仕組みの構築 ・職業体験の受入れや地域行事への参加や主催等による職業魅力度向上の取組の実施 |
資質の向上やキャリアアップに向けた支援 | ・働きながら介護福祉士取得を目指す者に対する実務者研修受講支援や、より専門性の高い介護技術を取得しようとする者に対するユニットリーダー研修、ファーストステップ研修、喀痰吸引、認知症ケア、サービス提供責任者研修、中堅職員に対するマネジメント研修の受講支援等 ・研修の受講やキャリア段位制度と人事考課との連動 ・エルダー・メンター制度等導入 ・上位者・担当者等によるキャリア面談など、キャリアアップ・働き方等に関する定期的な相談の機会の確保 |
両立支援・多様な働き方の推進 | ・子育てや家族等の介護等と仕事の両立を目指す者のための休業制度等の充実、事業所内託児施設の整備 ・職員の事情等の状況に応じた勤務シフトや短時間正規職員制度の導入、職員の希望に即した非正規職員から正規職員への転換の制度等の整備 ・有給休暇を取得しやすい雰囲気・意識作りのため、具体的な取得目標を定めた上で、取得状況を定期的に確認し、身近な上司等からの積極的な声かけを行っている ・有給休暇の取得促進のため、情報共有や複数担当制等により、業務の属人化の解消、業務配分の偏りの解消を行っている |
腰痛を含む心身の健康管理 | ・業務や福利厚生制度、メンタルヘルス等の職員相談窓口の設置等相談体制の充実 ・短時間勤務労働者等も受診可能な健康診断・ストレスチェックや、従業員のための休憩室の設置等健康管理対策の実施 ・介護職員の身体の負担軽減のための介護技術の修得支援、職員に対する腰痛対策の研修、管理者に対する雇用管理改善の研修等の実施 ・事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成等の体制の整備 |
生産性向上のための業務改善の取組 | ・厚生労働省が示している「生産性向上ガイドライン」に基づき、業務改善活動の体制構築(委員会やプロジェクトチームの立ち上げ、外部の研修会 の活用等)を行っている ・現場の課題の見える化(課題の抽出、課題の構造化、業務時間調査の実施等)を実施している ・5S活動(業務管理の手法の1つ。整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字をとったもの)等の実践による職場環境の整備を行っている ・業務手順書の作成や、記録・報告様式の工夫等による情報共有や作業負担の軽減を行っている ・介護ソフトおよび情報端末の導入 ・介護ロボットの導入 ・業務内容の明確化と役割分担を行った上で、間接業務については、いわゆる介護助手等の活用や外注等で担い、介護職員がケアに集中できる環境を整備 ・各種委員会の共同設置、各種指針・計画の共同策定、物品の共同購入等の事務処理部門の集約、共同で行うICTインフラの整備、人事管理システムや福利厚生システム等の共通化等、協働化を通じた職場環境の改善に向けた取組の実施 |
やりがい・働きがいの醸成 | ・ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の介護職員の気づきを踏まえた勤務環境やケア内容の改善 ・地域包括ケアの一員としてのモチベーション向上に資する、地域の児童・生徒や住民との交流の実施 ・利用者本位のケア方針など介護保険や法人の理念等を定期的に学ぶ機会の提供 ・ケアの好事例や、利用者やその家族からの謝意等の情報を共有する機会の提供 |
- 令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
- 介護職員等処遇改善加算は、令和6年度の介護報酬改定にて一部見直されました。報酬改定による変更点は以下の通りです。
介護現場で働く方々にとって、令和6年度に2.5%、令和7年度に2.0%のベースアップへと確実につながるよう加算率の引上げを行いました。また、介護職員等の確保に向けて、介護職員の処遇改善のための措置ができるだけ多くの事業所に活用されるよう推進する観点から、介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算について、現行の各加算・各区分の要件及び加算率を組み合わせた4段階の「介護職員等処遇改善加算」に一本化を行いました。
※ 一本化後の加算については、事業所内での柔軟な職種間配分を認める。また、人材確保に向けてより効果的な要件とする等の観点から、月額賃金の改善に関する要件及び職場環境等要件を見直します。

初期加算
初期加算は、入居直後は、環境の変化により症状が安定しにくく、手厚い介護が求められたり、支援計画の策定に時間がかかることが多いため、算定できる加算です。
さらに、2018年度の介護報酬改定により、医療機関に1カ月以上入院した後に退院し、再び入居する場合にも初期加算の対象となることが明記されました。
算定単位数:1日30単位
算定要件
・入居または再入居後30日間が対象
・適切なケアプランの作成や入居者の生活状況に応じた支援が提供されていること
夜間支援体制加算

夜間支援等体制加算とは、夜間の連絡・支援体制が確保されている場合に算定できる加算です。
- 夜間支援等体制加算(Ⅰ)
算定単位数:1日につき50単位(共同生活住居の数が1の場合)
算定要件
・共同生活住居の数が1の場合
・事業所ごとに常勤換算方法で1人以上の夜勤職員又は宿直職員を加配する
- 夜間支援等体制加算(Ⅱ)
算定単位数:1日につき25単位日(共同生活住居の数が2以上の場合)
算定要件
・共同生活住居の数が2以上の場合
・事業所ごとに常勤換算方法で1人以上の夜勤職員又は宿直職員を加配する
- 令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
- 夜間支援体制加算は令和6年度の介護報酬改定にて算定要件が見直されました。報酬改定による変更点は以下の表の通りです。

※ 全ての開所日において夜間及び深夜の時間帯の体制が人員配置基準を上回っていること。
※ 宿直職員は事業所内での宿直が必要。
※ 併設事業所と同時並行的に宿直勤務を行う場合には算定対象外(それぞれに宿直職員が必要)。
若年性認知症利用者受入加算
若年性認知症利用者受入加算は、若年性認知症の利用者を受け入れ、担当スタッフが適切なサービスを提供した場合に算定できる加算です。対象者は40歳以上65歳未満の若年性認知症の利用者で、特性やニーズに応じたサービスを提供することが求められます。
算定単位数:1日120単位
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・受け入れた若年性認知症の利用者ごとに個別の担当者を決める
・担当者を中心に、利用者や家族のニーズを踏まえたサービスを提供している
・利用者の要介護、要支援認定における主治医の意見書に、認知症という記載されていること
看取り介護加算

看取り介護加算は、老衰や疾病の回復の見込みがないと診断された方を、医師や看護師など多職種と連携をとって介護施設で看取りをする場合に算定される加算です。
算定単位数
・死亡日45日前~31日前:1日につき72単位
・死亡日30日前~4日前:1日につき144単位
・死亡日前々日・前日:1日につき680単位
・死亡日:1日につき1280単位
算定要件
・配置医師と施設の間で、利用者に対する注意事項、病状等の情報共有、医師との連絡方法、診察依頼の具体的状況等を取り決めている
・複数名の配置医師を配置もしくは、配置医師と協力医療機関の医師が連携することで、施設の求めに応じて24時間対応の体制が確保されている
退居時相談援助加算
退居時相談援助加算は、利用者が施設等を退居する際に、適切な相談援助や支援を行った場合に適用される加算です。
算定単位数:1回400単位(利用者1人につき1回を限度)
算定要件
・利用者が施設や居住系サービスから退居する場合に限る
・利用者やその家族の相談に応じ、適切な情報提供を行う
・退居後の生活環境や利用可能なサービスについて助言を提供する。
・地域包括支援センターや医療機関、居宅介護支援事業所などと連携して支援を行う
・退居後の支援計画を策定し、それに基づいて支援を実施し、相談援助の内容や支援計画、実施した内容についての記録を一定期間保存すること
認知症専門ケア加算
認知症専門ケア加算とは、認知症に関する専門的な研修を修了した職員が介護サービスを提供した際に算定できる加算です。
- 認知症専門ケア加算(Ⅰ)
算定単位数:1日につき3単位
算定要件
1.日常生活自立度Ⅲ以上の認知症高齢者が利用者の50%以上であること
2.認知症介護実践リーダー研修等修了者を配置している
・日常生活自立度Ⅲ以上の認知症高齢者が20人未満の場合
→研修等修了者を1人以上配置する
・日常生活自立度Ⅲ以上の認知症高齢者が20人以上の場合
→研修修了者を1人+対象者が10人または端数を増すごとに1人ずつ追加して配置する
3.日常生活自立度Ⅲ以上の認知症高齢者に対して、専門的な認知症ケアを実施する
4.当該事業所の従業者に対して、認知症ケアに関する留意事項の伝達または技術的指導に係る会議を定期的に開催する
- 認知症専門ケア加算(Ⅱ)
算定単位数:1日につき4単位
算定要件
・認知症専門ケア加算(Ⅰ)の2と4を満たすこと
・日常生活自立度Ⅲ以上の高齢者が利用者の50%以上であること
・日常生活自立度Ⅲ以上の高齢者に対して、専門的な認知症ケアを実施する
・認知症介護指導者研修修了者を1名以上配置し、事業所全体の認知症ケアの指導などを実施する
・介護職員、看護職員ごとの認知症ケアに関する研修計画を作成し、研修または実施を予定する
生活機能向上連携加算
生活機能向上連携加算とは、事業所の職員と外部のリハビリ専門職が連携し、機能訓練に関するマネジメントを提供することを評価する加算です。
(Ⅰ)と(Ⅱ)の区分に分かれており、併算定はできません。
- 生活機能向上連携加算(Ⅰ)
算定単位数:1ヶ月100単位(※3ヶ月に1回まで)
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・外部のリハビリテーション専門職等が、利用者のADL及びIADLに関する状況について、所属する事業所等のサービス提供時または機能訓練指導員等と連携してICTを活用した動画やテレビ電話装置等を用いて、利用者の状態を把握し、助言を行っていること。
・外部のリハビリテーション専門職等の助言に基づき、機能訓練指導員等(機能訓練指導員、看護職員、介護職員、生活相談員、その他の職種)が共同して、利用者の身体状況等の評価、認知症対応型共同生活介護計画の作成を行っていること。
・認知症対応型共同生活介護計画に、利用者ごとの目標、実施時間、実施方法等の内容を記載していること。
・認知症対応型共同生活介護計画に基づき、利用者の身体機能または生活機能の向上を目的とする機能訓練の項目を準備し、機能訓練指導員が利用者の心身の状況に応じた機能訓練を適切に提供していること。
・身体状況等の評価に基づき、認知症対応型共同生活介護計画の進捗状況等を3月ごとに1回以上評価し、利用者・家族へ説明し、必要に応じて訓練内容の見直しを行っていること。
- 生活機能向上連携加算(Ⅱ)
算定単位数:1ヶ月200単位
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・外部のリハビリテーション専門職等が、認知症対応型共同生活介護事業所を訪問し、機能訓練指導員等が共同して、利用者の身体状況等の評価、認知症対応型共同生活介護計画の作成を行っていること。
・認知症対応型共同生活介護計画に、利用者ごとの目標、実施時間、実施方法等の内容を記載していること。
・認知症対応型共同生活介護計画に基づき、利用者の身体機能または生活機能の向上を目的とする機能訓練の項目を準備し、機能訓練指導員が利用者の心身の状況に応じた機能訓練を適切に提供していること。
・身体状況等の評価に基づき、認知症対応型共同生活介護計画の進捗状況等を3月ごとに1回以上評価し、利用者・家族へ説明し、必要に応じて訓練内容の見直しを行っていること。
栄養管理体制加算
栄養管理加算は、認知症グループホームにおける入居者の栄養状態の改善を目指した体制づくりを評価する加算です。この加算では、施設スタッフが管理栄養士から入居者の栄養や食生活に関するアドバイスや指導を受けます。
算定単位数:1ヶ月につき30単位
算定要件:管理栄養士が日常的な栄養ケアに係る介護職員への技術的な助言や指導を月に1回以上行う。
口腔・栄養スクリーニング加算

口腔・栄養スクリーニング加算は、口腔内の健康状態と栄養状態をスクリーニングすることで算定される加算です。定期的に口腔および栄養状態を確認し、利用者の健康管理や症状の悪化を予防することを目的としています。
算定単位数:1回20単位(6ヶ月に1回を限度)
算定要件:以下の1.2のいずれも満たすこと
1.サービス利用開始時および利用中の6か月ごとに、利用者の口腔の健康状態と栄養状態についてスクリーニングを行い、ケアマネージャーにその結果を情報提供していること
2.算定日がある月が、次の基準のどれにも当てはまらないこと
a.栄養アセスメント加算を加算している
b.利用者が栄養改善加算の算定のため栄養改善サービスを受けている間である
c.栄養改善サービスが終了した日がある月
d.利用者が口腔機能向上加算の算定のため口腔機能向上サービスを受けている間である
e.口腔機能向上サービスが終了した日がある月
科学的介護推進体制加算
科学的介護推進体制加算とは、LIFE(科学的介護情報システム)に関係する加算です。
算定単位数:1ヶ月40単位
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・利用者ごとの心身の状況をはじめとした基本情報を厚生労働省に提出している
・上記の情報、その他サービスを適切に提供するために必要な情報を活用している
- 令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
- 科学的介護推進体制加算は、令和6年度の介護報酬改定にて算定要件が見直されました。報酬改定による変更点は以下の太字の箇所となります。
- 科学的介護推進体制加算は、令和6年度の介護報酬改定にて算定要件が見直されました。報酬改定による変更点は以下の太字の箇所となります。
LIFEへのデータ提出頻度について、他のLIFE関連加算と合わせ、少なくとも「3月に1回」に見直す。
○ その他、LIFE関連加算に共通した見直しを実施。
<入力負担軽減に向けたLIFE関連加算に共通する見直し>
・入力項目の定義の明確化や、他の加算と共通する項目の選択肢を統一化する
・同一の利用者に複数の加算を算定する場合に、一定の条件下でデータ提出のタイミングを統一できるようにする
サービス提供体制強化加算
サービス提供体制強化加算とは、事業所内の介護福祉士の割合や勤続年数などによって算定ができる加算です。事業所に勤務している介護福祉士の割合や勤続年数によって(Ⅰ)~(Ⅲ)までの3種類の区分に分けられます。
- サービス提供体制強化加算(Ⅰ)
算定単位数:1回(日)22単位
算定要件:介護福祉士の資格を有する者の割合が70%以上または勤続10年以上の介護福祉士が25%以上
- サービス提供体制強化加算(Ⅱ)
算定単位数:1回(日)18単位
算定要件:介護福祉士の割合が60%以上
- サービス提供体制強化加算(Ⅲ)
算定単位数:1回(日)6単位
算定要件:以下のいずれかに該当する場合
・介護福祉士の割合が50%以上
・常勤職員が75%以上
・勤続7年以上の職員が30%以上
グループホームの減算
以下ではグループホームの減算について解説していきます。
高齢者虐待防止措置未実施減算
高齢者虐待防止措置未実施減算とは、虐待の発生や再発を防ぐための適切な措置が講じられていない場合に適用される減算です。
単位数:所定単位数×1%の減算
適用要件:以下の対策等を講じていない場合
- 虐待の防止のための対策を検討する委員会の定期的な開催と職員への周知
- 虐待防止のための指針の整備
- 虐待防止のための研修の定期的な実施
- 虐待防止のための担当者の配置
- 令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
- 高齢者虐待防止措置未実施減算は、令和6年度の介護報酬改定にて新設されました。
業務継続計画未策定減算
業務継続計画未策定減算は、感染症や災害が発生した場合であっても、必要な介護サービスを継続的に提供できる体制を構築するため、業務継続に向けた計画の策定の徹底を求める観点から、感染症若しくは災害のいずれか又は両方の業務継続計画が未策定の場合、基本報酬を減算します。
算定単位数:所定単位数×3%の減算
適用要件:感染症若しくは災害のいずれか又は両方の業務継続計画が未策定の場合
- 令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
- 業務継続計画未策定減算は、令和6年度の介護報酬改定にて新設されました。
夜勤を行う職員の勤務条件基準を満たさない場合
夜勤を行う職員の勤務条件基準を満たさない場合の減算とは、夜勤を行う職員の勤務条件が、基準を満たさない場合には、介護報酬の所定単位数が減算されます。
算定単位数:所定単位数×3%の減算
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・夜勤を担当する職員の人数が、サービスの種別や規模に応じて定められた基準よりも少ない場合
・夜勤職員の勤務時間が基準を満たしていない場合
・夜勤を担当する職員に必要とされる資格や経験が基準に達していない場合
・夜勤職員の配置や勤務時間に関する記録が適切に管理されていない、または不備がある場合
利用者の数が利用定員を超える場合又は介護従業者の員数が基準に満たない場合
介護サービス施設において、利用者数が定められた利用定員を超える場合、または介護従業者の配置数が基準を満たしていない場合は、適切なサービス提供が難しいと判断されるため、介護報酬が減算されます。
算定単位数:所定単位数×30%の減算
適用要件:利用者の数が利用定員を超える場合又は介護従業者の員数が基準に満たない場合
身体拘束廃止未実施減算
身体拘束廃止未実施減算は、不適切な身体拘束を防ぐための取り組みを実施していない場合に適用される減算項目です。
算定単位数:所定単位数×1%の減算
算定要件:以下のいずれも満たす場合
以下の身体的拘束適正化措置が講じられていない場合
1.身体的拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録すること
2.身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会を3月に1回以上開催するとともに、その結果について、介護職員その他従業者に周知徹底を図ること
3.身体的拘束等の適正化のための指針を整備すること
4.介護職員その他の従業者に対し、身体的拘束等の適正化のための研修を定期的に実施すること
・全ての施設・事業所で身体的拘束等の適正化が行われるよう、令和6年度中に小規模事業所等における取組事例を周知するほか、介護サービス情報公表システムに登録すべき事項に身体的拘束等の適正化に関する取組状況を追加する。
また、指定権者に対して、集団指導等の機会等にて身体的拘束等の適正化の実施状況を把握し、未実施又は集団指導等に不参加の事業者に対する集中的な指導を行うなど、身体的拘束等の適正化に向けた取組の強化を求める。
3ユニットで夜勤を行う職員の員数を2人以上とする場合
夜勤の職員配置基準を満たしていない場合、その日のサービス提供について減算が行われます。
基準に適合しない状況が継続する場合、繰り返し減算が適用されます。
算定単位数:1日につき-50単位
夜勤職員の配置基準
・3ユニットの場合、夜勤職員は最低でも2人以上を配置する必要がある
・各ユニットが別々の夜勤職員によって管理されることが求められ、1人の職員が複数ユニットを担当することは基本的に認められない
適用基準:夜勤の職員数が基準の2人以上に満たない場合、減算が適用されます。
まとめ
本記事ではグループホームで申請できる加算・減算の種類や単位数、算定要件について解説しました。グループホームの運営を安定させるためにも、加算や減算への理解を深めて、申請を行うことが重要です。
また、令和6年度の介護報酬改定による変更点を把握しておくことも大切です。
本記事がグループホーム運営のお役に立ちますと幸いです。