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介護の基礎知識

【2024年改定対応】訪問入浴介護の加算・減算の種類を一覧で解説

  • 公開日:2025年01月10日
  • 更新日:2025年12月11日

訪問入浴介護の運営を安定させるには、加算の取得が重要です。
訪問入浴介護事業所では、さまざまな加算を申請することが可能ですが、「どの加算を申請できるのか?」「算定条件が分からない」といった悩みが生じることも少なくありません。

本記事では、訪問入浴介護事業所で申請できる加算・減算の種類や単位数・算定要件について解説します。また、令和6年度の介護報酬改定によって、変更のある加算もありますので、併せて解説していきます。

加算・減算とは

介護保険における加算および減算とは、特定の要件を満たした場合に、基本単位数に対してプラスまたはマイナスを加えて算定する仕組みを指します。

加算は、国が推進したい方向性や均衡を保つための施策、また訪問入浴介護事業所として整えるべき仕組みや制度を基に設けられています。一方、減算は国が廃止したい、あるいは評価ができないものについての仕組みや制度に基づいて設けられています。

今後、国の施策の方向性を理解するためにも、加算や減算の要件を把握することは非常に重要です。

訪問入浴介護で申請できる加算一覧

訪問入浴介護事業所では、以下の加算を申請することが可能です。

  • サービス提供体制強化加算
  • 介護職員等処遇改善加算
  • 看取り連携体制加算
  • 初回加算
  • 中山間地域等における小規模事業所加算
  • 中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算
  • 特別地域訪問入浴介護加算
  • 認知症専門ケア加算

訪問入浴介護の減算一覧

訪問入浴介護事業所で減算となるものは以下の通りです。

  • 介護職員3人による訪問の減算
  • 業務継続計画未策定減算
  • 高齢者虐待防止措置未実施減算
  • 清拭又は部分浴を実施した場合の減算
  • 同一建物減算

それぞれの加算・減算について、以下にて詳しく解説していきます。

参考:令和6年度介護報酬改定における改定事項について|厚生労働省

訪問入浴介護の加算

訪問入浴介護の加算は以下の通りです。

サービス提供体制強化加算

サービス提供体制強化加算は、介護職員の資格(介護福祉士など)の有無や勤続年数などを基準に、質の高いサービスを提供できる体制を整えている事業所を評価するために設けられた加算です。

  • サービス提供体制強化加算(Ⅰ)

算定単位数:1回につき44単位
算定要件
・従業者の個別の研修計画の作成、研修の実施等
・利用者の情報、サービス提供の留意事項の伝達、サービスを提供する従業者の技術指導を目的とした会議の定期的な開催
・従業者の定期的な健康診断等の実施
・以下のいずれかに該当すること
介護職員の総数のうち、介護福祉士の占める割合が60%以上
介護職員の総数のうち、勤続10年以上の介護福祉士の占める割合が25%以上

  • サービス提供体制強化加算(Ⅱ)

算定単位数:1回につき36単位
算定要件
・従業者の個別の研修計画の作成、研修の実施等
・利用者の情報、サービス提供の留意事項の伝達、サービスを提供する従業者の技術指導を目的とした会議の定期的な開催
・従業者の定期的な健康診断等の実施
・以下のいずれかに該当すること
介護職員の総数のうち、介護福祉士の占める割合が40%以上
介護職員の総数のうち、介護福祉士・実務者研修修了者・介護職員基礎研修課程修了者の占める割合が60%以上

  • サービス提供体制強化加算(Ⅲ)

算定単位数:1回につき12単位
算定要件
・従業者の個別の研修計画の作成、研修の実施等
・利用者の情報、サービス提供の留意事項の伝達、サービスを提供する従業者の技術指導を目的とした会議の定期的な開催
・従業者の定期的な健康診断等の実施
・以下のいずれかに該当すること
介護職員の総数のうち、介護福祉士の占める割合が30%以上
介護職員の総数のうち、介護福祉士・実務者研修修了者・介護職員基礎研修課程修了者の占める割合が50%以上
従業者の総数のうち、勤続7年以上の者の占める割合が30%以上

介護職員等処遇改善加算

介護職員等処遇改善加算は、介護職員の処遇改善を目的に設けられた加算です。2023年度までは、処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算の3つに分かれていましたが、2024年度より一本化され、改めて介護職員等処遇改善加算が創設されました。

<算定単位数の計算>

単位数
処遇改善加算の計算をするためには、まず1ヶ月あたりの総単位数を求めます。
1ヶ月あたりの総単位数を求める計算式は、以下のとおりです。

1ヶ月あたりの総単位数 = 前年度1~12月の介護報酬総単位数 ÷ 12

計算方法
1ヶ月あたりの総単位数が算出できたら、次の計算式で処遇改善加算の加算単位数を求めます。

加算単位数=1ヶ月あたりの総単位数×サービス類型別加算率

訪問介護サービスの加算率は、以下のとおりです。

算定要件は以下の表の通りです。

  • キャリアパス要件
    (Ⅰ) 介護職員について、職位、職責、職務内容等に応じた任用等の要件を定め、それらに応じた賃金体系を整備する
    (Ⅱ) 介護職員の資質向上の目標や以下のいずれかに関する具体的な計画を策定し、当該計画に係る研修の実施または研修の機会を確保する
    a:研修機会の提供又は技術指導等の実施、介護職員の能力評価
    b:資格取得のための支援(勤務シフトの調整、休暇の付与、費用の援助等)
    (Ⅲ) 介護職員について以下のいずれかの仕組みを整備する
    a 経験に応じて昇給する仕組み
    b 資格等に応じて昇給する仕組み
    c 一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み
    (Ⅳ) 経験・技能のある介護職員のうち1人以上は、賃金改善後の賃金額が年額440万円以上であること
    (Ⅴ) サービス類型ごとに一定割合以上の介護福祉士等を配置していること
  • 月額賃金改善要件

(Ⅰ) 新加算Ⅳ相当の加算額の2分の1以上を、月給(基本給または決まって毎月支払われる手
当)の改善に充てる
(Ⅱ) 前年度と比較して、現行のベースアップ等加算相当の加算額の3分の2以上の新たな基本給等の改善(月給の引上げ)を行う

  • 職場環境等要件
入職促進に向
けた取組
・法人や事業所の経営理念やケア方針・人材育成方針、その実現のための施策・仕組みなどの明確化
・事業者の共同による採用・人事ローテーション・研修のための制度構築
・他産業からの転職者・主婦層・中高年齢者等・経験者・有資格者等にこだわらない幅広い採用の仕組みの構築
・職業体験の受入れや地域行事への参加や主催等による職業魅力度向上の取組の実施
資質の向上やキャリアアップに向けた支援 ・働きながら介護福祉士取得を目指す者に対する実務者研修受講支援や、より専門性の高い介護技術を取得しようとする者に対するユニットリーダー研修、ファーストステップ研修、喀痰吸引、認知症ケア、サービス提供責任者研修、中堅職員に対するマネジメント研修の受講支援等
・研修の受講やキャリア段位制度と人事考課との連動
・エルダー・メンター制度等導入
・上位者・担当者等によるキャリア面談など、キャリアアップ・働き方等に関する定期的な相談の機会の確保
両立支援・多様な働き方の推進 ・子育てや家族等の介護等と仕事の両立を目指す者のための休業制度等の充実、事業所内託児施設の整備
・職員の事情等の状況に応じた勤務シフトや短時間正規職員制度の導入、職員の希望に即した非正規職員から正規職員への転換の制度等の整備
・有給休暇を取得しやすい雰囲気・意識作りのため、具体的な取得目標を定めた上で、取得状況を定期的に確認し、身近な上司等からの積極的な声かけを行っている
・有給休暇の取得促進のため、情報共有や複数担当制等により、業務の属人化の解消、業務配分の偏りの解消を行っている
腰痛を含む心身の健康管理 ・業務や福利厚生制度、メンタルヘルス等の職員相談窓口の設置等相談体制の充実
・短時間勤務労働者等も受診可能な健康診断・ストレスチェックや、従業員のための休憩室の設置等健康管理対策の実施
・介護職員の身体の負担軽減のための介護技術の修得支援、職員に対する腰痛対策の研修、管理者に対する雇用管理改善の研修等の実施
・事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成等の体制の整備
生産性向上のための業務改善の取組 ・厚生労働省が示している「生産性向上ガイドライン」に基づき、業務改善活動の体制構築(委員会やプロジェクトチームの立ち上げ、外部の研修会
の活用等)を行っている
・現場の課題の見える化(課題の抽出、課題の構造化、業務時間調査の実施等)を実施している
・5S活動(業務管理の手法の1つ。整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字をとったもの)等の実践による職場環境の整備を行っている
・業務手順書の作成や、記録・報告様式の工夫等による情報共有や作業負担の軽減を行っている
・介護ソフトおよび情報端末の導入
・介護ロボットの導入
・業務内容の明確化と役割分担を行った上で、間接業務については、いわゆる介護助手等の活用や外注等で担い、介護職員がケアに集中できる環境を整備
・各種委員会の共同設置、各種指針・計画の共同策定、物品の共同購入等の事務処理部門の集約、共同で行うICTインフラの整備、人事管理システムや福利厚生システム等の共通化等、協働化を通じた職場環境の改善に向けた取組の実施
やりがい・働きがいの醸成 ・ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の介護職員の気づきを踏まえた勤務環境やケア内容の改善
・地域包括ケアの一員としてのモチベーション向上に資する、地域の児童・生徒や住民との交流の実施
・利用者本位のケア方針など介護保険や法人の理念等を定期的に学ぶ機会の提供
・ケアの好事例や、利用者やその家族からの謝意等の情報を共有する機会の提供
入職促進に向けた取組 ・法人や事業所の経営理念やケア方針・人材育成方針、その実現のための施策・仕組みなどの明確化
・事業者の共同による採用・人事ローテーション・研修のための制度構築
・他産業からの転職者・主婦層・中高年齢者等・経験者・有資格者等にこだわらない幅広い採用の仕組みの構築
・職業体験の受入れや地域行事への参加や主催等による職業魅力度向上の取組の実施
資質の向上やキャリアアップに向けた支援 ・働きながら介護福祉士取得を目指す者に対する実務者研修受講支援や、より専門性の高い介護技術を取得しようとする者に対するユニットリーダー研修、ファーストステップ研修、喀痰吸引、認知症ケア、サービス提供責任者研修、中堅職員に対するマネジメント研修の受講支援等
・研修の受講やキャリア段位制度と人事考課との連動
・エルダー・メンター制度等導入
・上位者・担当者等によるキャリア面談など、キャリアアップ・働き方等に関する定期的な相談の機会の確保
両立支援・多様な働き方の推進 ・子育てや家族等の介護等と仕事の両立を目指す者のための休業制度等の充実、事業所内託児施設の整備
・職員の事情等の状況に応じた勤務シフトや短時間正規職員制度の導入、職員の希望に即した非正規職員から正規職員への転換の制度等の整備
・有給休暇を取得しやすい雰囲気・意識作りのため、具体的な取得目標を定めた上で、取得状況を定期的に確認し、身近な上司等からの積極的な声かけを行っている
・有給休暇の取得促進のため、情報共有や複数担当制等により、業務の属人化の解消、業務配分の偏りの解消を行っている
腰痛を含む心身の健康管理 ・業務や福利厚生制度、メンタルヘルス等の職員相談窓口の設置等相談体制の充実
・短時間勤務労働者等も受診可能な健康診断・ストレスチェックや、従業員のための休憩室の設置等健康管理対策の実施
・介護職員の身体の負担軽減のための介護技術の修得支援、職員に対する腰痛対策の研修、管理者に対する雇用管理改善の研修等の実施
・事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成等の体制の整備
生産性向上のための業務改善の取組 ・厚生労働省が示している「生産性向上ガイドライン」に基づき、業務改善活動の体制構築(委員会やプロジェクトチームの立ち上げ、外部の研修会 の活用等)を行っている
・現場の課題の見える化(課題の抽出、課題の構造化、業務時間調査の実施等)を実施している
・5S活動(業務管理の手法の1つ。整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字をとったもの)等の実践による職場環境の整備を行っている
・業務手順書の作成や、記録・報告様式の工夫等による情報共有や作業負担の軽減を行っている
・介護ソフトおよび情報端末の導入
・介護ロボットの導入
・業務内容の明確化と役割分担を行った上で、間接業務については、いわゆる介護助手等の活用や外注等で担い、介護職員がケアに集中できる環境を整備 ・各種委員会の共同設置、各種指針・計画の共同策定、物品の共同購入等の事務処理部門の集約、共同で行うICTインフラの整備、人事管理システムや福利厚生システム等の共通化等、協働化を通じた職場環境の改善に向けた取組の実施
やりがい・働きがいの醸成 ・ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の介護職員の気づきを踏まえた勤務環境やケア内容の改善
・地域包括ケアの一員としてのモチベーション向上に資する、地域の児童・生徒や住民との交流の実施
・利用者本位のケア方針など介護保険や法人の理念等を定期的に学ぶ機会の提供
・ケアの好事例や、利用者やその家族からの謝意等の情報を共有する機会の提供
令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
介護職員等特定処遇改善加算は、令和6年度の介護報酬改定にて一部見直されました。報酬改定による変更点は以下の通りです。

介護現場で働く方々にとって、令和6年度に2.5%、令和7年度に2.0%のベースアップへと確実につながるよう加算率の引上げを行いました。また、介護職員等の確保に向けて、介護職員の処遇改善のための措置ができるだけ多くの事業所に活用されるよう推進する観点から、介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算について、現行の各加算・各区分の要件及び加算率を組み合わせた4段階の「介護職員等処遇改善加算」に一本化を行いました。
※ 一本化後の加算については、事業所内での柔軟な職種間配分を認める。また、人材確保に向けてより効果的な要件とする等の観点から、月額賃金の改善に関する要件及び職場環境等要件を見直します。

看取り連携体制加算

訪問入浴介護における看取り連携体制加算とは、医師や訪問看護師などと連携し、看取り期にある利用者に対して適切なサービスを提供する取り組みを評価する加算です。

算定単位数:1回につき64単位※死亡日及び死亡日以前30日以下に限り算定することができます。
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・都道府県知事に対して届出を行っていること。
・看取り期の利用者に対して、サービス提供を行うこと。
・病院、診療所または訪問看護ステーションとの連携により、利用者の状態等に応じた連携体制を確保していること。
・必要に応じて病院、診療所または訪問看護ステーションから訪問看護サービスが提供されるように、訪問入浴介護サービスを提供する日時を、病院、診療所または訪問看護ステーションと調整していること。
・看取り期における対応方針を定め、利用者またはその家族に対して、当該対応方針の内容を説明し、同意を得ていること。
・看取りに関する職員研修を行っていること。
対象者:以下のすべてに適合する利用者
・医師が一般に認められる医学的知見に基づき回復の見込みがないと判断した者
・看取り期における対応方針に基づき、利用者の状態又は家族の求め等に応じ、介護職員、看護職員等から介護記録等の利用者に関する記録を活用し行われるサービスについての説明を受け、同意した上でサービスを受けている者

令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
看取り連携体制加算は、訪問入浴介護における看取り期の利用者へのサービス提供について、その対応や医師・訪問看護師等の多職種との連携体制を推進する観点から、令和6年度の介護報酬改定にて新設された加算です。

初回加算

訪問入浴介護における初回加算とは、新規の利用者に対して利用の調整等を行うことを評価する加算です。

算定単位数:1月につき200単位
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・初回のサービス提供の前に、事業所の職員が利用者の居宅を訪問し、浴槽の設置場所や給排水の方法の確認等を行うこと。
・初回の訪問入浴介護サービスを提供すること。

中山間地域等における小規模事業所加算

小規模事業加算は、山間部や離島など、介護サービスの提供が困難な地域でその促進を目的とした加算です。

算定単位数:1回につき10/100
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・厚生労働大臣が定める地域(平成21年厚生労働省告示第83号1)に所在している
・厚生労働大臣が定める施設基準(平成27年厚生労働省告示第96号46)に適合する
・指定訪問入浴介護支援事業所の介護支援専門員が指定訪問入浴介護支援を行った場合

中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算

サービス提供加算は、サービス提供時に発生する交通費や移動費に対して申請できる加算です。

算定単位数:1回につき5/100
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・厚生労働大臣が定める地域(平成21年厚生労働省告示第83号2)に居住している利用者に対して、サービスを提供する
・通常の事業の実施地域を越えて、指定訪問入浴介護支援を行った場合

特別地域訪問入浴介護加算

特別地域訪問入浴介護加算は、厚生労働省が指定する地域でサービスを提供した場合に申請できる加算です。
指定地域には、交通の利便性が低い地域や高齢者の多い地域などが含まれます。

算定単位数:15/100
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・厚生労働大臣が定める地域(平成24年厚生労働省告示第120号)に所在する
・指定訪問入浴介護支援事業所の介護支援専門員が指定訪問入浴介護支援を行った場合

特別地域訪問入浴介護加算を適用するには、対象地域の条件を満たしているか確認する必要があります。
適用される地域は限られているため、事業所の所在地が対象地域に該当するかを正確に確認しましょう。

令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
特別地域加算、中山間地域等の小規模事業所加算及び中山間地域に居住する者へのサービス提供加算の対象地域は、令和6年度の介護報酬改定にて対象地域が明確化されました。報酬改定による変更点は以下の通りです。

過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法(令和三年法律第十九号)第二条第一項に規定する過疎地域

↓ 変更後

過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法(令和三年法律第十九号)第二条第二項により公示された過疎地域

過疎地域その他の地域で、人口密度が希薄、交通が不便等の理由によりサービスの確保が著しく困難であると認められる地域であって、特別地域加算の対象として告示で定めるものについて、前回の改正以降、新たに加除する必要が生じた地域において、都道府県及び市町村から加除の必要性等を聴取した上で、見直しが行われました。

認知症専門ケア加算

認知症専門ケア加算とは、認知症に関する専門的な研修を修了した職員が介護サービスを提供した場合に算定できる加算です。

  • 認知症専門ケア加算(Ⅰ)

算定単位数:1日につき3単位
算定要件:以下のいずれも満たす場合
1.日常生活自立度Ⅲ以上の認知症高齢者が利用者の50%以上であること
2.認知症介護実践リーダー研修等修了者を配置している
・日常生活自立度Ⅲ以上の認知症高齢者が20人未満の場合
→研修等修了者を1人以上配置する
・日常生活自立度Ⅲ以上の認知症高齢者が20人以上の場合
→研修修了者を1人+対象者が10人または端数を増すごとに1人ずつ追加して配置する
3.日常生活自立度Ⅲ以上の認知症高齢者に対して、専門的な認知症ケアを実施する
4.当該事業所の従業者に対して、認知症ケアに関する留意事項の伝達または技術的指導に係る会議を定期的に開催する

  • 認知症専門ケア加算(Ⅱ)

算定単位数:1日につき4単位
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・認知症専門ケア加算(Ⅰ)の2と4を満たすこと
・日常生活自立度Ⅲ以上の高齢者が利用者の50%以上であること
・日常生活自立度Ⅲ以上の高齢者に対して、専門的な認知症ケアを実施する
・認知症介護指導者研修修了者を1名以上配置し、事業所全体の認知症ケアの指導などを実施する
・介護職員、看護職員ごとの認知症ケアに関する研修計画を作成し、研修または実施を予定する

令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
認知症専門ケア加算は、令和6年度の介護報酬改定にて基準が一部見直されました。報酬改定による変更点は以下の太字の箇所です。

<認知症専門ケア加算(Ⅰ)>
ア 認知症高齢者の日常生活自立度以上の者が利用者の2分の1以上
イ 認知症介護実践リーダー研修等修了者を認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上の者が20人未満の場合は1以上、
20人以上の場合は1に、当該対象者の数が19を超えて10又は端数を増すごとに1を加えて得た数以上配置
ウ 認知症高齢者の日常生活自立度以上の者に対して、専門的な認知症ケアを実施した場合
エ 当該事業所の従業者に対して、認知症ケアに関する留意事項の伝達又は技術的指導に係る会議を定期的に開催

<認知症専門ケア加算(Ⅱ)>
ア 認知症専門ケア加算(Ⅰ)のイ・エの要件を満たすこと
イ 認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の者が利用者の100分の20以上
ウ 認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の者に対して、専門的な認知症ケアを実施した場合
エ 認知症介護指導者研修修了者を1名以上配置し、事業所全体の認知症ケアの指導等を実施
オ 介護職員、看護職員ごとの認知症ケアに関する研修計画を作成し、研修を実施又は実施を予定

訪問入浴介護の減算

訪問入浴介護の減算は以下の通りです。

介護職員3人による訪問の減算

訪問入浴介護における介護職員3人による訪問の減算とは、通常は介護職員2人と看護師1人で訪問する形態が一般的であるところ、看護師を含まず介護職員3人で訪問入浴介護を提供した場合に適用される減算です。
利用者に対して、入浴により利用者の身体状況等に支障が出るおそれがないと認められ、主治の介護医師の意見を確認した上で、介護職員3人で訪問し、サービスを提供した場合に適用され、所定単位数の5%が減算されます。

業務継続計画未策定減算

訪問入浴介護における業務継続計画未策定減算とは、運営基準で策定が義務付けられている業務継続計画(BCP)が未策定の場合に適用される減算です。近年の自然災害の増加や感染症の流行を受け、災害や感染症の発生時にも介護サービスを継続して提供できる体制を整えるため、業務継続計画の策定が義務化されました。単位数は所定単位数×1%の減算となります。

令和6年度介護報酬改定による変更ポイント
業務継続計画未策定減算は、感染症や災害が発生した場合であっても、必要な介護サービスを継続的に提供できる体制を構築するため、業務継続に向けた計画の策定の徹底を求める観点から、令和6年度の介護報酬改定にて新設されました。

高齢者虐待防止措置未実施減算

訪問入浴介護における高齢者虐待防止措置未実施減算は、虐待の発生や再発を防止するための措置が講じられていない場合に適用される減算です。

単位数:所定単位数×1%の減算
適用要件:以下の対策等を講じていない場合に減算が適用となります。
・虐待の防止のための対策を検討する委員会の定期的な開催と職員への周知
・虐待防止のための指針の整備
・虐待防止のための研修の定期的な実施
・虐待防止のための担当者の配置

令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
高齢者虐待防止措置未実施減算は、利用者の人権の擁護、虐待の防止等をより推進する観点から令和6年度の介護報酬改定にて新設された減算です。

清拭又は部分浴を実施した場合の減算

訪問入浴介護における清拭又は部分浴を実施した場合の減算とは、全身入浴が困難な心身の状況等にある利用者に対して、清拭又は部分浴を実施した場合に適用となる減算です。

単位数:所定単位×90%(10%の減算)
適用要件:訪問時の利用者の心身の状況等から全身入浴が困難な場合であって、当該利用者の希望により清拭又は部分浴(洗髪、陰部、足部等の洗浄)を実施した場合

同一建物減算

同一敷地内建物等とは、「事業所と構造的または外観的に一体化した建築物」や「同一敷地内または隣接する敷地に位置し、効率的なサービス提供が可能な建築物」を指します。具体例としては、同じ建物内の異なるフロアに事業所がある場合、渡り廊下で接続された建物、同一敷地内の別棟、または幅の狭い道路を挟んで隣接する建物などが該当します。利用者の人数は1ヶ月間の利用者数の平均で計算します。

単位数
・事業所と同一建物の利用者又はこれ以外の同一建物の利用者20人以上にサービスを行う場合:所定単位数×90%
・事業所と同一建物の利用者50人以上にサービスを行う場合:所定単位数×85%

適用要件:以下のいずれかに該当した場合、減算を行うことになります。
・事業所と同一敷地内建物等に居住する利用者にサービスを提供した場合
・同一敷地内建物等以外の建物で、1月あたり20人以上の利用者が居住する集合住宅等に居住する利用者にサービスを提供した場合

まとめ

本記事では訪問入浴介護事業所で申請できる加算・減算の種類や単位数、算定要件について解説しました。訪問入浴介護事業所の運営を安定させるためにも、加算や減算への理解を深めて、申請を行うことが重要です。
また、令和6年度の介護報酬改定による変更点を把握しておくことも大切です。

本記事が訪問入浴介護事業所様のお役に立ちますと幸いです。

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