介護の基礎知識
【2024年改定対応】居宅介護支援の運営基準減算一覧
- 公開日:2025年03月10日
- 更新日:2025年03月10日

居宅介護支援の運営基準減算とは、居宅介護支援事業所の運営基準を遵守していない場合に適用される減算です。
この減算は事業所の収益に大きな影響を与えます。また、遵守できていない場合、厳しいペナルティが課せられることになるため、算定要件や減算される単位数について理解しておくことは居宅介護支援事業所の運営において重要です。
本記事では、運営基準減算の算定要件や単位数について解説します。また、令和6年度の介護報酬改定による変更点もありますので、併せて解説していきます。
居宅介護支援の運営基準減算とは?

居宅介護支援事業所における運営基準減算とは、指定居宅介護支援事業者が運営基準を守らなかった場合に、介護報酬が減額される仕組みです。この制度は、利用者が適切な居宅介護サービスを利用するための仕組みとなり、事業者のサービス品質向上を目的としています。
運営基準減算の算定要件
運営基準減算には、以下の4つの算定要件があります。
1.居宅介護支援の提供開始時に文書交付と説明が不足している
2.居宅サービス計画の新規作成・変更時に必要な手続きができていない
3.やむを得ない場合を除いて担当者会議を開催していない
4.特段の事情がないにも関わらずモニタリング等ができていない
上記要件のうち、いずれか1つが該当すると運営基準減算が適用されます。そのため、各算定要件について正しく理解したうえで、運営基準減算が適用されないよう、事業所運営を行うことが重要です。以下では、運営基準減算の各算定要件について詳しく解説します。
居宅介護支援の提供開始時に際した文書交付と説明が不足している
- 利用者は複数の指定居宅サービス事業者等を紹介するよう求めることができること
- 利用者は居宅サービス計画に位置付けた指定居宅サービス事業者等の選定理由の説明を求めることができること
2024年の介護報酬改定により、過去6ヶ月間に作成したケアプランにおける訪問介護等の各サービス利用割合や、同一事業者による訪問介護等の提供割合についての説明は、努力義務へと変更されました。報酬改定に伴い適用条件が細かく変更されている点には十分注意が必要です。
居宅サービス計画の新規作成・変更時に必要な手続きができていない
ケアマネージャーは、居宅サービス計画を新規に作成する際や内容を変更する際に、利用者本人や家族への説明や、担当者会議を開催する必要があります。これらの必要な手続きが適切に実施されていない場合、運営基準減算の対象となる可能性があります。居宅サービス変更時に運営基準減算が適用される条件は以下の通りです。
<居宅サービス計画変更時に必要な手続き>
- 介護支援専門員が、利用者の居宅を訪問し、利用者・家族に面接していない場合
- 介護支援専門員が、サービス担当者会議の開催等を行っていない場合(やむを得ない事情がある場合を除く)
- 介護支援専門員が、次の手順を経て居宅サービス計画を利用者・担当者に交付していない場合
1.計画の原案の内容について利用者・その家族に対し説明。
2.文書により利用者の同意を得る。
⇒ 当該月(当該居宅サービス計画に係る月)から当該状態が解消された月の前月まで減算
やむを得ない場合を除いて必要時に担当者会議を開催していない
居宅サービス計画書を作成した際や要介護区分が変更された際には、原則として担当者会議を開催する必要があります。やむを得ない理由がない限り、開催すべきタイミングで担当者会議が行われていない場合、運営基準減算が適用されます。詳しい要件については、以下をご参照ください。
<必要時に担当者会議を開催していない>
- 居宅サービス計画を新規に作成した場合
- 要介護認定を受けている利用者が要介護更新認定を受けた場合
- 要介護認定を受けている利用者が要介護状態区分の変更の認定を受けた場合
⇒ 当該月から当該状態が解消された月の前月まで減算。
特段の事情がないにも関わらずモニタリング等ができていない
ケアマネージャーは、原則として月に1回以上利用者の居宅を訪問し、生活状況などをモニタリングすることが求められます。モニタリングが実施されていない場合も運営基準減算の対象となるため、注意が必要です。詳細な要件については、以下をご参照ください。
<定期的なモニタリングが実施できていない>
- 居宅介護支援専門員が1ヶ月に利用者の居宅を訪問し、利用者に面接していない場合
※厚生労働省が定める基準を満たせば、テレビ電話装置等を活用して、利用者に面接できる。(テレビ電話装置等を活用する場合においても2ヶ月に1回は居宅を訪問する必要がある) - 介護支援専門員がモニタリングの結果を記録していない状態が1ヶ月以上継続する場合
⇒ その月から当該状態が解消された月の前月まで減算。
モニタリングの方法として、テレビ電話などを活用することも認められています。しかし、テレビ電話を利用した場合であっても、月に1回は必ず居宅を直接訪問する必要がある点に注意が必要です。
運営基準減算のペナルティ

令和6年度介護報酬改定による変更点
令和6年度の介護報酬改定において、居宅介護支援における特定事業所加算の算定要件から「運営基準減算の適用を受けていないこと」が削除されました。
厚生労働省の「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」によると、事業所における毎月の確認作業等の手間を軽減する観点により運営基準減算に係る要件が削除されたようです。
これにより、運営基準減算の対象となっている事業所でも、特定事業所加算を算定しやすくなっています。
まとめ
居宅介護支援の運営基準減算は、運営基準を守らなかった場合に介護報酬が減額される仕組みです。主な要件には、サービス開始時の説明不足や居宅サービス計画の新規作成・変更時の手続きの不備、担当者会議の未開催、モニタリングの不実施などがあります。運営基準減算が適用されると報酬が半減し、事業所の運営に大きな影響を与えるため、算定要件をよく理解しておくことが重要です。