介護の基礎知識
【2024年改定対応】ケアマネ必見 居宅介護支援事業所の加算一覧
- 公開日:2025年01月08日
- 更新日:2025年03月03日

居宅介護支援事業所の運営を安定させるには、加算の申請が重要です。
居宅介護支援事業所では、さまざまな加算を申請することが可能ですが、「どの加算を申請できるのか?」「算定条件が分からない」といった悩みが生じることも少なくありません。
本記事では、居宅介護支援事業所で申請できる加算の種類や単位数・算定要件について解説します。また、令和6年度の介護報酬改定によって、変更のある加算もありますので、併せて解説していきます。
居宅介護支援事業所で申請できる加算一覧
居宅介護支援事業所では、以下の加算を申請することが可能です。
- 特別地域居宅介護支援加算
- 中山間地域等における小規模事業所加算
- 中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算
- 初回加算
- 特定事業所加算
- 特定事業所医療介護連携加算
- ターミナルケアマネジメント加算
- 通院時情報連携加算
- 入院時情報連携加算
- 退院・退所加算
- 緊急時等居宅カンファレンス加算
それぞれの加算について、以下にて詳しく解説していきます。
特別地域居宅介護支援加算

特別地域居宅介護支援加算は、厚生労働省が指定する地域でサービスを提供した場合に申請できる加算です。
指定地域には、交通の利便性が低い地域や高齢者の多い地域などが含まれます。
算定単位数:15/100
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・厚生労働大臣が定める地域(平成24年厚生労働省告示第120号)に所在する
・指定居宅介護支援事業所の介護支援専門員が指定居宅介護支援を行った場合
特別地域居宅介護加算を適用するには、対象地域の条件を満たしているか確認する必要があります。
適用される地域は限られているため、事業所の所在地が対象地域に該当するかを正確に確認しましょう。
中山間地域等における小規模事業所加算
小規模事業加算は、山間部や離島など、介護サービスの提供が困難な地域でその促進を目的とした加算です。
算定単位数:1回につき10/100
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・厚生労働大臣が定める地域(平成21年厚生労働省告示第83号1)に所在している
・厚生労働大臣が定める施設基準(平成27年厚生労働省告示第96号46)に適合する
・指定居宅介護支援事業所の介護支援専門員が指定居宅介護支援を行った場合
中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算
サービス提供加算は、サービス提供時に発生する交通費や移動費に対して申請できる加算です。
算定単位数:1回につき5/100
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・厚生労働大臣が定める地域(平成21年厚生労働省告示第83号2)に居住している利用者に対して、サービスを提供する
・通常の事業の実施地域を越えて、指定居宅介護支援を行った場合
- 令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
- 特別地域加算、中山間地域等の小規模事業所加算及び中山間地域に居住する者へのサービス提供加算の対象地域は、令和6年度の介護報酬改定にて対象地域が明確化されました。報酬改定による変更点は以下の通りです。
- 特別地域居宅介護支援加算は、令和6年度の介護報酬改定にて基準が一部見直されました。報酬改定による変更点は以下の通りです。
過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法(令和三年法律第十九号)第二条第一項に規定する過疎地域
↓ 変更後
過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法(令和三年法律第十九号)第二条第二項により公示された過疎地域
過疎地域その他の地域で、人口密度が希薄、交通が不便等の理由によりサービスの確保が著しく困難であると認められる地域であって、特別地域加算の対象として告示で定めるものについて、前回の改正以降、新たに加除する必要が生じた地域において、都道府県及び市町村から加除の必要性等を聴取した上で、見直しが行われました。
初回加算

初回加算は、居宅介護支援事業所が新たに利用者を受け入れた際に適用される加算です。事業所が初めてケアプランを作成する際に、その利用者への特別な配慮が必要と認められる場合に申請できます。
算定単位数:1ヶ月につき300単位
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・新規に居宅サービス計画を作成する
・要支援者が要介護認定を受けて居宅サービス計画を作成する
・要介護状態区分が2区分以上変更された利用者に対し居宅サービス計画を作成する
・運営基準減算に該当しない
申請のメリットとして、初回ケアプラン作成時の品質向上や適切な評価の促進が挙げられます。
また、申請にはケアプラン作成に関する詳細な記録の保持が求められるため、文書管理体制の整備が重要です。
特定事業所加算
特定事業所加算は質の高いサービスの提供や研修を実施している場合に申請を行うことができます。特定事業所加算には、(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)(A)の4つの区分があり、以下の表の通り、それぞれ異なる要件を満たす必要があります。
特定事業所加算(Ⅰ)が最も算定要件が厳しく、その分単位数も1ヶ月あたり519単位と、多くの手当てが得られます。

この加算を申請することで、研修の実施が義務付けられるため、スタッフのスキル向上やサービス提供体制の強化が期待できます。
一方で、加算を受けるための基準は多岐にわたるため、定期的な体制の見直しや評価基準の更新が欠かせません。
スタッフの配置基準や研修実施状況が条件を満たしているかを継続的に確認するとともに、関連する証明書類の整備も必要です。
- 令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
- 特定事業所加算は、令和6年度の介護報酬改定にて単位数や算定要件が見直されました。報酬改定による変更点は以下の通りです。
<単位数>
特定事業所加算(Ⅰ) 505単位/月 → 519単位/月
特定事業所加算(Ⅱ) 407単位/月 → 421単位/月
特定事業所加算(Ⅲ) 309単位/月 → 323単位/月
特定事業所加算(A) 100単位/月 → 114単位/月
<算定要件>
・多様化・複雑化する課題に対応するため「特定のテーマに関する事例検討会・研修などに参加していること」が算定要件に追加
・介護支援専門員の専任要件について、介護予防支援や総合相談支援事業を行う場合に兼務が可能であることを明確化
・運営基準減算に関わる算定要件を削除
・介護支援専門員が取り扱う1人当たりの利用者数に関する算定要件を見直し
これらの改定により、課題の多様化に対応しつつ、事業所の柔軟な運営を可能にする内容となっています。
特定事業所医療介護連携加算

医療機関との連携を強化し、高品質な医療と介護サービスを提供する際に申請できる加算です。
この加算を算定するには、他のいくつかの加算を申請していることが要件となります。
算定単位数:1ヶ月につき125単位
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・前々年度の3月から前年度の2月までの間において退院・退所加算の算定に係る病院、診療所、地域密着型介護老人福祉施設又は介護保険施設との連携の回数の合計が35回以上であること。
・前々年度の3月から前年度の2月までの間においてターミナルケアマネジメント加算を15回以上算定していること。
・特定事業所加算(Ⅰ)、(Ⅱ)又は(Ⅲ)を算定していること。
医療機関との連携を深めることで、利用者に包括的なサービスを提供することが可能になりますが、その一方で、医療機関との調整や合意形成には時間と労力が必要です。また、連携体制の構築には一定の時間を要する場合があります。申請にあたっては、医療機関との具体的な連携体制の証明が求められます。
- 令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
- 特定事業所医療介護連携加算は、令和6年度の介護報酬改定にて算定要件が見直されました。報酬改定による変更点は以下の通りです。
前々年度の3月から前年度の2月までの間においてターミナルケアマネジメント加算を5回以上算定していること。
↓ 改定後
前々年度の3月から前年度の2月までの間においてターミナルケアマネジメント加算を15回以上算定していること。
※ 令和7年3月31日までの間は、なお従前の例によるものとし、同年4月1日から令和8年3月31日までの間は、令和6年3月におけるターミナルケアマネジメント加算の算定回数に3を乗じた数に令和6年4月から令和7年2月までの間におけるターミナルケアマネジメント加算の算定回数を加えた数が15以上であることとする。
ターミナルケアマネジメント加算
末期がんなど終末期にある利用者に対して、特別なケアマネジメントを提供する場合に申請できる加算です。
算定単位数:1ヶ月につき400単位
算定要件:以下のいずれも満たした場合
・利用者が在宅で死亡した。(末期の悪性腫瘍の患者に限る)
・終末期の医療やケアの方針に関する当該利用者又はその家族の意向を把握した上で、 死亡日及び死亡日前14日以内に2日以上、利用者又はその家族の同意を得て居宅を訪問し、心身の状況等を記録し、主治医及び居宅サービス計画に位置付けた居宅サービス事業者に提供した。
・ターミナルケアマネジメントを受けることに利用者、またはその家族が同意した。
・24時間連絡ができる体制を確保しており、かつ、必要に応じて指定居宅介護支援を行うことができる体制を整備している。
ターミナルケアに特化したサービスを行うことで、事業所の専門性を高めることができます。申請に際しては、ターミナルケアの実施実績や研修記録を適切に管理し、申請時に提出できるよう準備しておきましょう。
- 令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
- ターミナルケアマネジメント加算は、令和6年度の介護報酬改定にて算定要件が見直されました。報酬改定による変更点は以下の通りです。
在宅で死亡した利用者(末期の悪性腫瘍の患者に限る。)に対して、その死亡日及び死亡日前14日以内に2日以上、当該利用者又はその家族の同意を得て、当該利用者の居宅を訪問し、当該利用者の心身の状況等を記録し、主治の医師及び居宅サービス計画に位置付けた居宅サービス事業者に提供した場合
↓ 改定後
在宅で死亡した利用者に対して、終末期の医療やケアの方針に関する当該利用者又はその家族の意向を把握した上で、その死亡日及び死亡日前14日以内に2日以上、当該利用者又はその家族の同意を得て、当該利用者の居宅を訪問し、当該利用者の心身の状況等を記録し、主治の医師及び居宅サービス計画に位置付けた居宅サービス事業者に提供した場合
通院時情報連携加算
利用者が医療機関で医師や歯科医師の診察を受ける際に、居宅介護支援事業所のケアマネジャーが同席し、医師や歯科医師と情報連携を行います。その情報をもとにケアマネジメントを行うことを評価する加算です。
算定単位数:1ヶ月につき50単位
算定要件:以下のいずれも満たした場合
・利用者が病院又は診療所において医師又は歯科医師の診察を受けるときに介護支援専門員が同席し、医師又は歯科医師等に対して利用者の心身の状況や生活環境等の必要な情報の提供を行うこと
・医師又は歯科医師等から利用者に関する必要な情報の提供を受けた上で、居宅サービス計画に記録すること
- 令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
- 通院時情報連携加算は、令和6年度の介護報酬改定にて算定要件が見直されました。報酬改定による変更点は以下の通りです。
以下の太字の箇所の通り、医師だけでなく、歯科医師についても明文化されました。
利用者が病院又は診療所において医師又は歯科医師の診察を受けるときに介護支援専門員が同席し、医師又は歯
科医師等に対して当該利用者の心身の状況や生活環境等の当該利用者に係る必要な情報の提供を行うとともに、医
師又は歯科医師等から当該利用者に関する必要な情報の提供を受けた上で、居宅サービス計画に記録した場合は、
利用者1人につき1月に1回を限度として所定単位数を加算する。
入院時情報連携加算
入院中の利用者に関する情報提供や連携を行った場合に申請できる加算です。以下の通り、入院日数に応じて、(Ⅰ)(Ⅱ)の2種類の加算に分かれます。
- 入院時情報連携加算(Ⅰ)
算定単位数:1ヶ月につき1回250単位
算定要件:利用者が病院又は診療所に入院した日の内に、当該病院又は診療所の職員に対して当該利用者に係る必要な情報を提供していること。
※ 入院日以前の情報提供を含む。
※ 営業時間終了後又は営業日以外の日に入院した場合は、入院日の翌日を含む。
- 入院時情報連携加算(Ⅱ)
算定単位数:1ヶ月につき1回200単位
算定要件:利用者が病院又は診療所に入院した日の翌日又は翌々日に、当該病院又は診療所の職員に対して当該利用者に係る必要な情報を提供していること。
※ 営業時間終了後に入院した場合であって、入院日から起算して3日目が営業日でない場合は、その翌日を含む。
この加算のメリットは、入院時の情報連携を通じて利用者のスムーズな入院をサポートできる点です。また、医療機関との連携強化により、事業所の評価向上にもつながります。一方で、入院時の情報連携の実施実績を正確に記録・管理することが求められます。さらに、連携の具体的な手順を明確にしておく必要があるため、事前に体制を整えておくことが重要です。
- 令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
- 入院時情報連携加算は、令和6年度の介護報酬改定にて単位数や算定要件が見直されました。報酬改定による変更点は以下の通りです。
- 入院時情報連携加算(Ⅰ)
200単位/月
利用者が病院又は診療所に入院してから3日以内に、
当該病院又は診療所の職員に対して当該利用者に係る必
要な情報を提供していること。
↓ 改定後
250単位/月
利用者が病院又は診療所に入院した日のうちに、当該病院又は診療所の職員に対して当該利用者に係る必要な情報を提供していること。
※ 入院日以前の情報提供を含む。
※ 営業時間終了後又は営業日以外の日に入院した場合は、入院日の翌日を含む。
- 入院時情報連携加算(Ⅱ)
100単位/月
利用者が病院又は診療所に入院してから4日以上7日以内に、当該病院又は診療所の職員に対して当該利用者に係る必要な情報を提供していること。
↓ 改定後
200単位/月
利用者が病院又は診療所に入院した日の翌日又は翌々日に、当該病院又は診療所の職員に対して当該利用者に係る必要な情報を提供していること。
※ 営業時間終了後に入院した場合であって、入院日から起算して3日目が営業日でない場合は、その翌日を含む。
退院・退所時連携加算
病院や施設から退院・退所する利用者がスムーズに移行できるよう提供されるサービスに対する加算です。
カンファレンスの実施回数や内容に応じて、5種類の区分に分類されています。
- 退院退所加算(Ⅰ)イ
算定単位数:450単位
算定要件
・退院もしくは退所するにあたり、医療機関などの職員と面談を行うこと。なお面談は直接対面ではなくテレビ電話などを活用してもよい
・医療機関などの職員から利用者にかかる情報提供を「カンファレンス以外」の方法によって、「1回」受けていること
・必要な情報を元にケアプランを作成し、居宅サービスや地域密着型サービスの調整を行っていくこと
- 退院退所加算(Ⅰ)ロ
算定単位数:600単位
算定要件
・退院もしくは退所するにあたり、医療機関などの職員と面談を行うこと。なお面談方法はビデオ通話などの活用もOK
・医療機関等の職員から利用者にかかる情報提供を「カンファレンス」によって、「1回」受けていること
・必要な情報を元にケアプランを作成し、居宅サービスや地域密着型サービスの調整をおこなっていること
- 退院退所加算(Ⅱ)イ
算定単位数:600単位
算定要件
・退院退所にあたり、医療機関などの職員と対面やテレビ電話などを活用し面談を行うこと
・医療機関などの職員から利用者にかかる情報提供を「カンファレンス以外」の方法で「2回」以上受けていること
・必要な情報を元にケアプランを作成し、居宅サービスや地域密着型サービスの調整を行っている
- 退院退所加算(Ⅱ)ロ
算定単位数:750単位
算定要件
・退院退所にあたり、医療機関などの職員と対面やテレビ電話などを活用し面談を行うこと
・医療機関などの職員から利用者の情報提供を「2回」以上受け、さらにそのうちの「1回」以上は「カンファレンス」であること
・必要な情報を元にケアプランを作成し、居宅もしくは地域密着型サービスの調整を行っている
- 退院退所加算(Ⅲ)
算定単位数:900単位
算定要件
・退院もしくは退所にあたり、医療機関等の職員と対面やビデオ通話などで面談を行うこと
・医療機関等の職員から利用者にかかる情報提供を「3回」以上受け、そのうち「1回」以上はカンファレンスによること
・必要な情報を元にケアプランを作成し、居宅もしくは地域密着型サービスの調整を行うこと
退院退所加算は区分によって算定要件に違いがあります。区分による算定要件の違いについて、より理解しやすいよう、表にまとめましたので参考にしてみてください。

緊急時等居宅カンファレンス加算
緊急事態や重要な変化が発生した際に、サービス提供者間の連携強化を目的とする加算です。
算定単位数:200単位(利用者1人につき1ヶ月に2回を限度)
算定要件:以下のいずれも満たした場合
・病院又は診療所の求めにより、当該病院又は診療所の医師又は看護師等と共に利用者の居宅を訪問し、カンファレンスを行うこと。
・必要に応じて、必要な居宅サービス又は地域密着型サービスの利用に関する調整を行う。
申請時には、緊急時に実施されたカンファレンスの開催記録や参加者リストなど、具体的な実施証明を提出する必要があります。
また、緊急時の対応手順やカンファレンスの開催頻度、内容を明確にしておくことが重要です。
まとめ
本記事では居宅介護支援事業所で申請できる加算の種類や単位数、算定要件について解説しました。居宅介護支援事業所の運営を安定させるためにも、加算への理解を深めて、申請を行うことが重要です。
また、令和6年度の介護報酬改定による変更のある加算もあるため、変更点を把握しておくことも大切です。
本記事が居宅介護支援事業所様のお役に立ちますと幸いです。