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介護の基礎知識

障がい福祉サービスの国保連請求の流れや返戻について解説

  • 公開日:2024年12月26日
  • 更新日:2025年11月05日

障がい福祉サービスの対価として介護給付費や訓練等給付費等を国保連合会へ請求する報酬請求業務は、事業所の運営に関わる重要な業務です。

この業務を正確に行うには、国保連請求の仕組みと手順を理解し、必要書類を適切に準備・提出する必要があります。この記事では、障がい福祉サービス事業所における、国保連請求の基本的な仕組みや手順、さらに払い戻し(返戻)が生じる理由とその対応策についても解説します。

障がい福祉サービスの国保連請求とは?

障がい福祉サービスの国保連請求とは、提供した障がい福祉サービスの対価として介護給付費や訓練等給付費等の9割を国民健康保険団体連合会(以下、国保連)に請求する業務を指します。原則、利用者負担は費用に対して1割ですが、世帯の収入によって負担上限額が設定されているので、負担上限額を確認し、請求することになります。

報酬請求がなぜ重要かというと、報酬請求業務が正確でないと、事業所の収益が減少する可能性があるからです。障がい福祉サービスの費用の9割は後から国保連に請求するため、事業所が一時的に立て替えます。このプロセスが滞ると、立て替えた費用が事業所負担となり、経営に影響を及ぼします。そのため、報酬請求の仕組みと手順を正確に理解することが欠かせません。

出典:山口県国民健康保険団体連合会

障がい福祉サービスにおける報酬請求の仕組み

国保連は、全国の市町村および特別区(東京23区)の保険者から委託を受け、給付費等の審査や支払い業務を担っています。事業所が提出した書類は国保連にて審査され、審査結果とともに各保険者へ提出されます。

保険者から国保連へ支払いがなされ、国保連から事業所へ支払いされるのは翌々月末頃です。つまり、事業所に給付費が振り込まれるまでは、請求から約2ヶ月の期間がかかります。

障がい福祉サービスの報酬の構造

障がい福祉サービス事業所が受け取る報酬の構造は、

  • 基本報酬
  • 加算・減算

に分類することができます。
基本報酬に各種加算・減算の項目を加減した報酬の総額を算定し、負担割合に応じて利用者様と国保連に対して請求を行うことになります。

上限額管理とは

利用者には、世帯の年収に応じた月ごとの負担上限額が設定されています。複数のサービス事業所を利用している場合、負担上限額を超える可能性がある利用者には、上限額管理事業所が指定されます。自事業所が上限額管理事業所に指定された場合は、利用者の負担上限額を適切に管理する業務を担当することになります。

報酬請求の仕組みと流れ

以下では障がい福祉サービス事業所での国保連請求の流れを解説します。

サービス提供事業所の請求・支払いスケジュール

サービス提供事業所の支払いスケジュールは以下の表の通りです。

事業所がサービスの提供を行ってから、給付費が国保連より振り込まれるまでは約2ヶ月の期間がかかります。特に事業所の開業時はサービス提供をしてから2ヶ月間は収入の大部分が入金されないため、その期間の運転資金を確保する必要があります。

まず、サービス提供前に事業所と利用者様との契約を行い、個別支援計画の作成を行います。サービス提供月の月末までにサービス提供実績記録票の確認と利用予定表の作成を行います。サービス提供月の月末~翌月頭頃までに、実績の作成を行います。

自事業所が上限額管理事業所の場合は、3日までに他事業所から提出される「利用者負担額一覧表」を受け取り、6日までに当該利用者の利用者負担額を上限管理し「利用者負担上限額管理結果表」を他事業所に提出します。

他事業所が上限額管理事業所の場合は、3日までに上限額管理事業所へ「利用者負担額一覧表」を提出し、6日までに上限額管理事業所から提出される「利用者負担上限額管理結果表」を受け取ります。

10日までに国保連への書類作成と請求を行い、10日~利用者負担金の集金を行います。サービス提供の翌々月の15日~20日前後に国保連から給付金の振込が行われます。

月遅れ請求について

事業所は、サービス提供月の翌月10日までに国保連へ請求します。ただし、翌月10日までに請求できなかったケースについては、翌々月以降に繰り越して請求することが可能です。
これを「月遅れ請求」と呼び、5年間の時効期間が定められています。

障がい福祉サービスの報酬請求で必要な書類

国保連請求では、正確な書類作成が必須です。以下に、国保連への提出に必要な主な書類を紹介します。

  • 介護給付費・訓練等給付費等請求書・明細書
    国保連に介護給付費・訓練等給付費を請求する際に提出する書類です。請求する事業所の情報や請求金額、サービス提供内容などを記載します。
  • サービス提供実績記録票
    利用者が実際に受けた介護サービスの内容や提供日、時間帯などを記録した書類です。これを基に給付費を請求します。
  • (上限額管理事業所の場合)利用者負担上限額管理結果票
    自事業所が上限額管理事業所の場合、利用者の利用者負担額が上限額を超えないよう調整し、他事業所へ提出します。
  • その他付随書類
    国保連によっては、利用者に関する補足情報や、特定のサービスに関する追加資料を求められる場合があります。

これらの書類を正確かつ期限内に作成・提出することで、円滑な給付金受給が可能になります。

国保連請求の返戻とは?

返戻とは、国保連からの支払いが差し戻されることを指します。返戻が発生する主な理由とその対処方法を以下にまとめます。

主な返戻理由

受給者証番号・市町村番号の不整合
受給者証番号・市町村番号の不一致や、受給資格喪失のエラーです。エラーコードの例は以下の通りです。
  • EG01 資格:障害児支援受給者台帳にサービス提供年月時点で有効な受給者の認定情報が登録されていません
  • EG02 資格:受給者台帳にサービス提供年月時点で有効な受給者の認定情報が登録されていません
  • EG20 資格:受給者台帳で受給資格を喪失している受給者です
  • EG45 資格:障害児支援受給者台帳で受給資格を喪失している受給者です

EG01とEG02は、請求明細書の受給者証番号・市町村番号が、受給者証の受給者証番号・市町村番号(国保連合会の受給者台帳に登録)と不一致の場合に検出されるエラーです。受給者証番号は、それぞれ市町村の採番ルールにしたがって付番されますので、障害福祉サービス受給者証と地域生活支援事業の受給者証で受給者証番号が異なることがあります。必ず該当するサービスの受給者証を確認するようにします。

市町村番号の入力誤りでも、同様のエラーとして検出されます。障害者等が他の市町村へ転出した場合には転出元の市町村での受給資格は喪失し、転出先の市町村で新たに受給者証の交付を受けることになります。転出後に、旧受給者証の受給者証番号・市町村番号で請求を続けると、EG20やEG45のエラーとなります。

支給決定内容の不整合
市町村の支給決定内容との相違のエラーです。エラーコードの例は以下の通りです。
  • EG03 資格:受給者台帳にサービス提供年月時点で有効な受給者の支給決定情報が登録されていません
  • EG07 資格:障害児支援受給者台帳にサービス提供年月時点で有効な受給者の支給決定情報が登録されていません
  • EG13 資格:受給者台帳にサービス提供年月時点で有効な受給者の支給決定情報が登録されていません

EG03とEG07は、請求明細書に入力されたサービスコードが、受給者証の支給決定内容のサービス種別と対応していない場合に検出されるエラーです。市町村が支給決定したサービス種別は決定サービスコードとして国保連合会の受給者台帳に決定支給量や支給決定期間とともに登録されます。居宅介護の例で示すと、「居宅介護(家事援助中心)」と「居宅介護(通院介助(身体介護を伴わない場合)中心)」が支給決定されていても、請求明細書に支給決定されていない「居宅介護(居宅における身体介護中心)」に対応するサービスコードが入力されているとEG03のエラーとなります。

サービス提供年月が支給決定期間の範囲外であるときは、EG13のエラーとなります。支給決定の期限が近くなったら、更新申請の状況などを障害者等に確認します。また、18歳到達により受給者証が変更されている場合に、以前の受給者証番号で請求を行ったためにEG13のエラーとなっている事例も多く見られます。

受給者証番号の確認(障害児が18歳到達時に注意)
同一の受給者について、受給者証番号が変更されることは一般的にありません。しかし、障害児が18歳到達により障害者となった場合には、受給者証番号が異なる新たな「受給者証」が交付されますので、これを確認したうえで、サービス提供や請求情報の作成を行うようにします。

また、18 歳到達前に障害福祉サービスを利用するため障害者の受給者証番号を取得していた場合も、18歳到達時には新たな番号が設定されますので、「受給者証」を確認するようにします。

ただし、18 歳到達後も放課後等デイサービス等の障害児支援のサービスを 20 歳に到達するまでみなしで利用する場合は、引き続き同一の障害児の受給者証番号を利用します。

返戻が発生した場合は、速やかに原因を特定し、修正後に再請求を行うことが大切です。返戻が続くと、事業所のキャッシュフローに悪影響を与えるため、できる限り早く原因を改善する体制を整える必要があります。

参照:障害福祉サービス・障害児支援 請求事務ハンドブック|国民健康保険中央会

エラーコードについて

エラーコードには「S」や「T」で始まるものがあります。「S」で始まるエラーコードは、市区町村の審査で返戻となったものです。一方、「T」で始まるエラーコードは、都道府県の審査で返戻となったものです。

これらの返戻内容について問い合わせる際は、国保連ではなく、「S」の場合は市区町村へ、「T」の場合は都道府県へ連絡しましょう。

障がい福祉サービスの国保連請求業務の注意点

障がい福祉サービス事業所が国保連請求を行う際には、以下の点に注意が必要です。

注意点① 返戻になると支払いが行われない

返戻とは、介護給付費・訓練等給付費等請求書・明細書に記載ミスがある場合に、国保連から事業所へ書類が返却されることを指します。返戻となった書類は、再請求を行わなければ支払いを受けることができません。

注意点② 支払決定後に間違いに気づくと過誤申立が必要

過誤申立とは、介護給付費・訓練等給付費等請求書・明細書が国保連で審査・支払いされた後に誤りが判明した場合、支払いを受けた給付費を返還し、修正した内容で再請求を行うための手続きです。
この手続きを行うと、返還および再請求のプロセスを経るため、給付費の入金が遅れる可能性があります。過誤申立を行わないためにも、請求内容の正確性を確認した上で、提出することが重要です。

障がい福祉サービスの国保連請求業務でミスを減らすには?

上記でご紹介したように、国保連請求業務においてミスが発生すると、返戻や過誤申立による支払い遅延や返金といった問題が生じるため、ミスを減らしたいと考える事業所は多いでしょう。

国保連請求業務のミスを減らすためには、以下の対策が有効です。

  • 他事業所との適切な連携
    上限額管理が必要な場合には、利用者負担額一覧表や利用者負担上限額管理結果票を他の事業所と送り合うなど、他事業所とのやり取りが発生します。電話やFAXを活用してリマインドを行うことが必要です。
  • ダブルチェック体制の構築
    請求業務における転記ミスを防ぐため、複数のスタッフによるダブルチェックを導入し、正確性を高めます。
  • 障がい福祉ソフトの活用
    記録と請求データが連動する障がい福祉ソフトを導入することで、記録から実績への転記ミスを最小限に抑えます。

上記を行うことで、ミスを防ぎ、介護保険請求業務をより正確に進めることが可能です。

障がい福祉ソフト導入のメリット

障がい福祉ソフトは、介護保険請求の正確性を向上させる以外にも、以下の通り様々なメリットがあります。

記載ミスの防止
必須項目の入力チェック機能が備わっており、記載漏れや入力ミスを防ぎます。
返戻のリスク軽減
自動計算機能や警告機能により、不備のある請求を未然に防ぐことが可能です。
業務効率化
サービス等利用計画の作成や実績記録の作成が簡単になり、手作業に比べて作業時間を大幅に短縮できます。
情報管理の一元化
利用者情報やサービス記録を一元的に管理できるため、情報漏洩や紛失のリスクを軽減します。
上限額管理機能
利用者ごとの上限額を確認・管理することができます。

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上限額管理機能も付いており、利用者ごとの上限額の確認・管理や上限額管理結果票の作成が可能です。

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まとめ

障がい福祉サービスの国保連請求は、事業所の運営を支える重要な業務です。正確かつ効率的に請求業務を進めるためには、仕組みや手順を深く理解することが欠かせません。また、返戻を防ぐための対策や、業務効率を向上させる障がい福祉ソフトの活用も重要なポイントです。

トリケアトプスは、障がい・介護・看護に対応した、国保連への伝送機能付きのソフトです。国保連請求業務でお困りでしたら、ぜひトリケアトプスの導入をご検討ください。

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