介護の基礎知識
介護ソフトの乗り換えのポイント!データ移行はできるの?注意点は?

介護ソフトを導入してみたものの、実際に使用することで必要な機能やサポートなどが具体的になり、事業所にとってより良い介護ソフトの乗り換えを検討することがあるかと思います。本記事では、介護ソフトの乗り換えを行う際のポイントや注意点について詳しく解説します。
介護ソフトを乗り換える理由
介護事業所が利用している介護ソフトを乗り換えたいと考える理由は様々です。
例えば、導入したソフトがスタッフにとって使いづらく、介護現場でうまく活用できない場合、業務効率がかえって低下してしまうことがあります。また、ソフトの使用中に不具合が発生した際に、適切なサポートが受けられない、もしくは対応までに時間がかかりすぎるといった問題が発生すると、作業が滞ったり増えたりしてしまい、ソフトそのものへの不満が蓄積されることもあるでしょう。また、使っているうちに、欲しい機能が明確になり、欲しい機能を搭載した他社のソフトがあれば乗り換えを検討する場合もあるかと思います。
近年では、クラウド型(ASP型)の介護ソフトも広く普及しており、コスト削減や、事務所にいなくても移動中にスマホから入力ができたり、データの安全性などのメリットから、インストール型からクラウド型に乗り換えを行うケースも増えています。
介護ソフトごとに、費用や機能など様々のため、より事業所に合ったソフトへの乗り換えを行うことで、コスト削減や作業の効率化の有効な手段と言えます。
乗り換えの際の介護ソフト選びのポイント

それでは、実際に介護ソフトを別のソフトに乗り換える際、介護事業所が注意すべき点や、選定基準など、ポイントをご紹介します。
現状の課題や悩みを解決できる介護ソフトか?
介護ソフトの乗り換えを検討する際の基本的な判断基準は、現在抱えている問題が新しいソフトによって解決できるかどうかという点です。
一見基本的なことに思えるかもしれませんが、単に性能が優れているという理由だけで新しいソフトを選択してしまうと、予期せぬ問題が発生する可能性があります。実際の使用環境や従業員のスキルレベル、さらには組織の文化にも適合するかどうかを総合的に評価することが重要です。
現状使用しているソフトからのデータ移行は可能か?
介護ソフトを乗り換える際、最も大きな課題となるのがデータの移行問題です。膨大なデータをすべて移行することは難しい場合が多いです。利用者の名前や介護保険などの基本情報については、比較的低コストで移行できる場合が多いですが、詳細な記録や履歴の移行はより複雑で、費用がかかることがあります。
全てのデータを移行することは現実的ではないため、介護ソフトを選ぶ際には、どのようなデータが移行可能かを事前にメーカーに問い合わせることが重要です。各メーカーによって、移行できるデータの範囲や方法は異なりますが、自動でデータを移行することは通常できません。そのため、多くの情報を移行したい場合には、手入力による「データパンチ移行」が必要になります。この方法は時間とコストがかかるため、十分な準備と予算の確保が求められます。
介護ソフトを選ぶ際のポイント

介護ソフトの乗り換え・新規導入を問わず、介護ソフト選びの際に注意しておきたいポイントは以下の通りです。
費用
介護ソフトの利用料は5,000円~30,000円ほどと、金額に幅があります。また、初期費用が有料のソフト・無料のソフトがあります。欲しい機能に対してオーバースペックな介護ソフトを導入してコストが高くなってしまった…なんてことのないように、費用と欲しい機能を照らし合わせて、コストパフォーマンスの良い介護ソフトを選ぶようにしましょう。
各事業所・目的に合った介護ソフト
介護請求に強いソフト・介護記録に強いソフトなど、介護ソフトによって特徴が異なります。導入目的に合わせた介護ソフトを選ぶようにしましょう。また、パソコン作業に不安があるため、サポートが充実している介護ソフトを選ぶ・使用したい補助金に対応しているソフトを選ぶなど、事業所に合った介護ソフトを選ぶことも大切です。また、医療や障害に対応しているのかなど、事業所の提供するサービスに合った機能があるのかを確認する必要があります。
大規模事業者様向け・中規模事業者様向け
複数の施設・事業を運営する、大規模事業所向け機能を搭載したタイプか、対応する種類や事業所施設間連携に制限があるものの、その分シンプルで使いやすく、安価なソフトが多い中規模事業者向けか、事業所の規模に合わせた介護ソフトを選びましょう。
機能
費用が安い分、機能に制限のある介護ソフトもあります。新LIFEや・ケアプランデータ連携など、欲しい機能が付いているか確認するようにしましょう。
また、以下の機能が付いた多機能ソフトもあります。
- 勤怠管理
- シフト作成
- 経営管理
- 会計処理多機能型ソフトは費用が高めの場合もあるため、優先順位を明確にすることが重要です。
外部機能との連携
例えば、請求機能が無い以下の記録ソフトも介護ソフトと連携することで請求業務を行うことができます。
- 定期巡回・随時対応サービス業務支援システム<スマケア>
- 訪問介護記録アプリ<Colibri>
- デイサービス業務効率アプリ<ラクウェア>
その他、介護記録ソフトによっては、見守りシステムやナースコール、服薬管理システムと連携することも可能です。
現状使用している外部機能があれば、それらと連携可能な介護記録ソフトを選択すると、更なる業務効率化に繋がります。
口コミ・評判
比較サイトやSNSで、実際に導入した事業所の声を参考にするのがおすすめです。特に「使いやすさ」や「解決できた課題」など、具体的な評価に注目しましょう。
サポート体制
導入後の運用をスムーズにするため、サポート内容も比較しましょう。例えば以下のようなサポートがあると安心です。
- 開業支援やデータ移行支援
- 導入時の訪問サポート
- メール・電話での運用サポート特に、日々のメールや電話でのサポートは、操作方法が分からなかったり、困った際にすぐに相談できる点で重要です。
サポートの繋がりやすさや、親切に回答してくれるかなどを無料体験期間に確認するようにしましょう。
その他移行の際の注意点

介護ソフト移行にあたっての、その他の注意点です。想定外の問題が発生して後悔することのないよう、頭に入れておくようにしましょう。
移行に時間がかかる・スタッフへの教育コストがかかる
介護ソフトを乗り換え後、すぐに通常業務を行えるわけではなく、操作に慣れるまでの期間が必要となり、介護ソフトの使い方など、スタッフへの教育コストもかかります。
ユーザーインターフェースの優れた介護ソフトも存在しますので、感覚的に使用することができるソフトであれば、操作に慣れるまでの時間を短縮することができ、移行期間を短縮することが可能となります。
無料体験を行い、介護ソフトの使用感を確かめておく
無料体験期間を設けている介護ソフトが多いため、無料体験に申し込みを行って、実際ソフトを使ってみることがおすすめです。操作画面が分かりやすいか、欲しい機能が備わっているか、サポートは繋がりやすく親切かを確認するためにも、体験版やデモで使用感を確かめておきましょう。
また、新旧ソフトの併用利用をすることになるので、移行に向けての準備期間とし、介護の記録や請求データを旧ソフトと同じように入出力できるようになった時点で切り替え、通常業務に支障をきたすことなく乗り換える方法をとることもできます。
介護ソフトを乗り換えるタイミング

介護ソフトの乗り換えを行う際、介護事業所の通常業務に最小限の影響で実施できるタイミングとして、毎月10日の国保連合会への請求日が一般的です。
介護ソフトを利用して国保連に伝送を行うため、伝送のタイミングで伝送データが介護ソフトに正しく入力されている必要があります。正しくデータの伝送が行えないと、返戻されてしまい、前月の介護報酬が受け取れない可能性があり、事業所の運営に影響が出ます。
また、既存のソフトをリース契約で導入している場合、新たなソフトへの移行を考える適切な時期は、その契約更新日の3~4ヵ月程度前からとなります。この期間を新旧ソフトの併用期間として設定することで、混乱を最小限に抑えつつ、スムーズな移行が可能となります。この3~4ヵ月間は、データの移行や新システムの習熟、不測の事態への対応など、様々な課題に取り組むための時間となります。新しい介護ソフトへの乗り換えを決定した場合、速やかにリース終了の手続きを開始することが重要です。
リース会社の多くは、契約更新月の1ヵ月前までに書面で継続しない旨を通知する必要があります。この手続きを怠ると、自動的にリースが更新されてしまう可能性が高く、不要な費用負担や契約上の問題を引き起こす恐れがあります。
まとめ
介護ソフトの乗り換えを検討する際は、まず現状の課題が新しいソフトで解決できるかを確認することが重要です。データ移行の可能性や費用、スタッフへの教育コスト、操作性の良さも考慮する必要があります。特にデータ移行では、どの範囲が移行可能かを事前にメーカーに確認し、準備を進めることが大切です。
また、費用や機能、事業規模に合ったソフトを選ぶことで、効果的に運用が可能になります。導入目的や提供するサービスに合わせた選定や、外部システムとの連携も検討ポイントです。さらに、口コミや評判、サポート体制を確認することで、導入後の運用をスムーズに進められます。
乗り換えのタイミングとしては、国保連への請求後やリース契約の場合は契約更新日の3~4か月程度前が理想的です。この期間を利用して新旧ソフトを併用し、スムーズな移行を目指しましょう。適切な準備と慎重な選定が、乗り換え成功の鍵となります。
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