介護の基礎知識
【2024年度改定】科学的介護推進体制加算(LIFE加算)とは?算定要件やⅠとⅡの違いなど

2021年度の介護報酬改定でLIFE導入とともに新設された科学的介護推進体制加算(LIFE加算)。LIFE関連加算の中でもLIFEにデータを提出しフィードバックを受け取るだけで、施設を利用しているすべての利用者に対して算定が行えるため、事業所運営にとって非常に重要な加算と言えます。
本記事では、LIFEの概要と、科学的介護推進体制加算の算定要件・単位数、LIFE関連加算についてわかりやすく解説しますので、事業所運営にぜひお役立てください。
そもそも科学的介護情報システム(LIFE)とは?
LIFEは全国の介護施設や事業所で記録された利用者のケアプランや介護計画、日々のアセスメントの結果等に関するデータを収集して、集まった全国のデータに基づいて事業所にフィードバックを提供するシステムです。
事業所毎のフィードバックでは、自施設が提供するサービスが全国の同じサービスを提供する施設・事業所と比べてどの位置にあるかを確認できます。利用者毎のフィードバックでは、自施設での利用者の状態の変化を把握できます。
LIFEによるフィードバックは、他の施設での取り組みや状況と組み合わせて活用することで、質の高いケアの実現に役立ちます。また、このデータは研究にも活用され、介護分野における新たな発見やフィードバックの充実が期待されています。
LIFEの前身として、利用者の状態やサービスの内容等の幅広い情報を集める「CHASE」とリハビリの情報に特化した「VISIT」があり、それらが統合されたものがLIFE(Long-term care Information system ForEvidence)となります。
科学的介護情報システム(LIFE)に入力するデータ項目
科学的介護情報システム(LIFE)に必要なデータ項目は、施設系サービスと通所・居宅系サービスで異なります。データ項目は以下の通りです。
<施設系サービス>
- 評価日・前回評価日
- 記入者名
- 利用者氏名
- 日常生活自立度
- 基本情報(保険者番号・被保険者番号・事業所番号・生年月日・性別)
- 既往歴
- 服薬情報
- 同居家族の有無
- 家族が介護できる時間
- ADL(バーセルインデックス)
- 在宅復帰の有無
- 身長・体重
- 褥瘡の有無
- 口腔の健康状態
- 誤嚥性肺炎の発症・既往
- 認知症の診断
- DBD13
- Vitality Index
<通所・居宅系サービス>
- 評価日・前回評価日
- 記入者名
- 利用者氏名
- 日常生活自立度
- 基本情報(保険者番号・被保険者番号・事業所番号・生年月日・性別)
- 既往歴
- 服薬情報
- 同居家族の有無
- 家族が介護できる時間
- ADL(バーセルインデックス)
- 在宅復帰の有無
- 身長・体重
- 褥瘡の有無
- 口腔の健康状態
- 誤嚥性肺炎の発症・既往
- 低栄養状態のリスクレベル
- 栄養補給法
- 食事摂取量
- 必須栄養素
- 提供栄養量
- 血清アルプミン値
- 認知症の診断
- DBD13
- Vitality Index
従来のLIFEと新LIFEの変更点
新LIFEシステムは2024年4月22日から一部稼働し、8月1日から本格稼働がされました。
従来のLIFEはフィードバックの内容が分かりにくい、アウトカムの評価が適切でない、データ提出のタイミングが複雑、評価項目に重複が多いなどの問題点がありましたが、2024年の介護報酬改定により、LIFEのシステムに改善が加えられ、Eフィードバック項目の見直しやデータ提出タイミングが「3ヶ月ごと」に統一されるなどの見直しがされました。
科学的介護推進体制加算(LIFE加算)とは?
科学的介護推進体制加算は、LIFE(科学的介護情報システム)を活用し、データ提出とフィードバックを通じてPDCAサイクルを推進することで、ケアの質を向上させる取り組みを評価する加算です。2021年度の介護報酬改定でLIFE導入とともに新設されました。
科学的介護推進体制加算(LIFE加算)の算定要件・単位数
科学的介護推進体制加算の対象となる介護サービスは、施設系と通所・居宅・機能系にわかれます。それぞれについて詳しい施設種別と加算単位数、算定要件を解説します。
【施設系】算定要件・単位数

【通所・居宅・機能系】算定要件・単位数
通所・居宅・機能系サービスでは、加算は(Ⅰ)のみで、算定要件も入所系の(Ⅰ)と同様です。単位数は月40単位となっています。対象施設は以下のとおりです。
- 通所介護
- 通所リハビリテーション
- 認知症対応型通所介護
- 地域密着型通所介護
- 特定施設入居者生活介護
- 地域密着型特定施設入居者生活介護
- 認知症対応型共同生活介護
- 小規模多機能型居宅介護
- 看護小規模多機能型居宅介護
以上の通り、科学的介護推進体制加算(Ⅰ)と(Ⅱ)は、加算される対象となる施設と単位数、算定要件が異なります。
科学的介護推進体制加算を算定する際の注意点

1. 科学的介護推進体制加算(Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定できない
科学的介護推進体制加算(Ⅰ)と(Ⅱ)は算定要件が異なるため、同じ施設で同時に算定することはできません。
事前に施設の状況や算定要件を確認し、どちらを選択すべきか慎重に判断しましょう。
2. 利用者負担の増加に対する説明が必要
科学的介護推進体制加算を導入すると、利用者の自己負担額が増加するため、利用者への丁寧な説明が欠かせません。
特に、この加算は利用者の日常的なサービス内容が直ちに変化するものではないため、利用者が次のような疑問や不満を抱く可能性があります。
「データを提出するだけなのに、なぜ自己負担が増えるのか?」
「どのようなメリットがあるのか分からない。」
科学的介護を行うことで、利用者のデータ提出が施設全体のケアの質を向上させる点や、提出されたデータがどのように分析・活用され、利用者自身にどのような恩恵があるのかを明確に伝える必要があります。
その他LIFE関連加算
科学的介護推進体制加算以外にもLIFEを活用することが算定要件に含まれるLIFE関連加算が存在します。LIFE関連加算の単位数や算定要件、加算対象施設は以下の通りです。
個別機能訓練加算(Ⅱ):20単位/月
利用者の自立支援等に向けて個別機能訓練の提供を促進するための加算
▼算定要件
- 個別機能訓練加算(Ⅰ)イまたは個別機能訓練加算(Ⅰ)ロを算定していること
- Ⅰの取り組みに加えて、厚生労働省に個別機能訓練計画の情報を提出・フィードバックを受けること(LIFEの活用)
- 利用者の状態に応じて個別機能訓練計画の作成、計画に基づいた訓練の実施、評価、評価結果を踏まえた計画の見直しや改善の一連のサイクルによりサービスの質の管理を行う
▼加算対象施設
通所介護の他、介護老人福祉施設、特定施設入居者生活介護等
ADL維持等加算 (Ⅰ)・(Ⅱ):30単位・60単位/月
自立支援や重症化防止に向けた取り組みを推進するための加算
▼算定要件
- 利用者全員(要介護者)のバーセルインデックスを、BI研修を受けた者が評価し、その後LIFEへデータ提出を行こと
- 利用者の総数が10人以上であること(評価対象利用期間が6ヵ月を超える者)
- ADL維持等加算 (Ⅰ)…ADL利得1以上
- ADL維持等加算 (Ⅱ)…ADL利得3以上
▼加算対象施設
- 通所介護
- 介護老人福祉施設
- 特定施設入居者生活介護
※以下の事業所については各市町村が管轄 - 地域密着型通所介護
- 認知症対応型通所介護
- 地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護
- 地域密着型特定施設入居者生活介護
栄養アセスメント加算 :50単位/月
栄養改善が必要な利用者を把握し、管理栄養士と介護職などが連携した栄養アセスメントの取り組みを推進するための加算
▼算定要件
- 事業所の従業者として、または外部との連携により管理栄養士を1名以上配置していること
- 利用者ごとに、管理栄養士、看護職員、介護職員など多職種が共同して栄養アセスメントを実施し、・利用者またはご家族様に対して説明、必要に応じて対応すること
- 利用者ごとの栄養状態等の情報をLIFEに提出し、栄養管理の適切かつ有用な実施のためにフィードバックを活用すること
▼加算対象施設
- 通所介護(デイサービス)
- 地域密着型通所介護
- 認知症対応型通所介護
- 通所リハビリテーション
- 看護小規模多機能型居宅介護
口腔機能向上加算(Ⅱ):160単位/回
利用者の口腔機能低下を早期に確認し、適切な管理により口腔機能の低下予防や維持、回復につなげるための加算
▼算定要件
- LIFEへのデータを行う場合、口腔機能向上加算(Ⅱ)を算定可能
- 提出頻度は(ア)新規に口腔機能向上サービスに関する計画書の作成を行った日の属する月(イ)口腔機能向上サービスに関する計画書の変更を行った日の属する月(ウ)アまたはイのほか、少なくとも3月に1回
▼加算対象施設
- 通所介護(デイサービス)
- 介護予防通所介護(総合事業)
- 通所リハビリテーション(デイケア)
褥瘡マネジメント加算(Ⅰ)・(Ⅱ):3単位・13単位/回
褥瘡(床ずれ)の発生予防に積極的に取り組んでいる施設に対して算定される加算
▼(Ⅰ)の算定要件
(1)入所者ごとに褥瘡の発生と関連のあるリスクについて、入所時に評価するとともに、3月に1回、評価を行い結果等の情報を厚生労働省に提出し、褥瘡管理の実施にあたり当該情報その他褥瘡管理の適切かつ有効な実施に必要な情報を活用する。
(2)(1)の評価の結果、褥瘡が発生するリスクがあるとされた入所者ごとに医師、看護師、介護職員、管理栄養士、ケアマネジャーその他の職種の者が共同して、褥瘡管理に関する褥瘡ケア計画を作成する
(3)入所者ごとの褥瘡ケア計画に従い褥瘡管理を実施するとともに、その管理の内容や入所者の状態を定期的に記録している
(4)(1)の評価に基づき3月に1回以上、入所者ごとに褥瘡ケア計画を見直す
▼(Ⅱ)の算定要件
- (Ⅰ)を満たす
- (Ⅰ)の(1)の評価の結果、入所時に褥瘡が発生するリスクがあるとされた入所者について褥瘡の発生がない
▼加算対象施設
- 特別養護老人ホーム(特養)
- 介護老人保健施設(老健)
排せつ支援促進加算(Ⅰ)・(Ⅱ)・(Ⅲ):10単位・15単位・20単位/月
排せつ状態の改善が期待できる入所者を支援し、定期的な評価の実施により介護の質の向上を推進するための加算
▼(Ⅰ)の算定要件
- 排せつに介護を要する入所者に対して、要介護状態の軽減の見込みについて、医師や医師と連携した看護師が施設入所時と少なくとも6ヵ月に1回、評価を行う。その評価結果をLIFEに提出し、排せつ支援を適切かつ有効に実施するためにフィードバックを活用する。
- 医師、看護師、介護支援専門員などが共同して、排せつに介護を要する原因を分析し、支援計画を作成、支援を継続して実施すること
- 排せつの評価に基づき、支援計画を少なくとも3ヵ月に1回は見直すこと▼(Ⅱ)の算定要件
- (Ⅰ)の要件を満たしている施設において、施設入所時等と比べ、排尿や排便の少なくとも一方が改善し、いずれにも悪化がない。または、オムツ使用有から無に改善していること。
▼(Ⅲ)の算定要件
- (Ⅰ)の算定要件を満たしている施設等において、適切な対応をおこなうことにより、要介護状態の軽減が見込まれる者について
- 施設入所時等と比較して、排尿・排便状態の少なくとも一方が改善するとともに、いずれにも悪化がない。
- 又は施設入所時・利用開始時に尿道カテーテルが留置されていた者について、尿道カテーテルが抜去されたこと。
- かつ、おむつ使用ありから使用なしに改善していること。
▼加算対象施設
- 介護老人福祉施設【特別養護老人ホーム】
- 介護老人保健施設
- 介護療養型医療施設
- 介護医療院
- 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
- 看護小規模多機能型居宅介護
自立支援促進加算:300単位/月
施設系サービスにおける自立支援や重症化予防、廃用や寝たきり防止等の観点から、医学的評価に基づくアセスメントやケアを推進するための加算
▼算定要件
- 医師が入所者ごとに、入所時と少なくとも6ヵ月に1回、自立支援のために必要な医学的評価を実施し、支援計画等の策定などに参加していること
- 医師、看護師、介護職員、そのほかの多職種が共同して自立支援に係る支援計画の策定と支援計画に従ったケアを実施すること
- 少なくとも3ヵ月に1回、支援計画を見直すこと
- 医師が行った自立支援の評価結果をLIFEに提出し、自立支援促進の適切かつ有効な実施のためにフィードバックを活用すること
▼加算対象施設
- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
- 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
- 介護老人保健施設
- 介護医療院
栄養マネジメント強化加算:11単位/日
介護施設における栄養ケアやマネジメントの取り組み強化を推進するための加算
▼算定要件
- 常勤の管理栄養士を、入所者の数を50(1名以上配置し、給食管理を行っている場合は70)で割った値よりも配置していること
- 低栄養リスクが高い入所者に対して、医師、管理栄養士、看護師等が共同して作成した栄養ケア計画に従い、食事観察を週3回以上行い、食事調整等を実施すること
- 低栄養リスクの低い入所者に対して、食事の変化を把握し、問題がある場合は早期に対応すること
- 入所者ごとの栄養状態等の情報をLIFEに提出し、継続的な栄養管理の適切かつ有効な実施のためにフィードバックを活用すること
▼加算対象施設
- 介護老人福祉施設
- 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
- 介護老人保健施設
- 介護療養型医療施設(一部除く)
- 介護医療院
口腔衛生管理加算(Ⅰ)・(Ⅱ):90単位・110単位/月
施設系サービスにおいて、口腔衛生管理体制を充実させ、入所者ごとの状態に応じた口腔衛生の管理を推進するための加算
▼(Ⅰ)の算定要件
(1)歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士の技術的助言及び指導に基づき、入所者の口腔衛生等の管理に係る計画が作成されていること。
(2)歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、入所者に対し、口腔衛生等の管理を月二回以上おこなうこと。
(3)歯科衛生士が、(1)における入所者に係る口腔衛生等の管理について、介護職員に対し、具体的な技術的助言及び指導をおこなうこと。
(4)歯科衛生士が、(1)における入所者の口腔に関する介護職員からの相談等に必要に応じ対応すること。
(5)通所介護費等算定方法第十号、第十二号、第十三号及び第十五号に規定する基準のいずれにも該当しないこと。
▼(Ⅱ)の算定要件
- 口腔衛生管理加算(Ⅰ)の算定要件の(1)から(5)までに掲げる基準のいずれにも適合すること。
- 入所者ごとの口腔衛生等の管理に係る情報を厚生労働省に提出し、口腔衛生の管理の実施に当たって、当該情報その他口腔衛生の管理の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること。
▼加算対象施設
- 介護老人福祉施設
- 介護老人保健施設
- 介護療養型医療施設
- 介護医療院
- 地域密着型介護老人福祉施設
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