介護の基礎知識
【2024年(令和6年)度】介護報酬改定のポイントをわかりやすく解説
- 公開日:2024年11月18日
- 更新日:2025年02月12日

2000年に施行された介護保険法は、2005年以降3年ごとに改正されています。
介護保険法が改正される理由は、介護の現状を踏まえ、社会のニーズに合わせた制度に整備していくためです。
介護保険制度が創設されて20年以上が経ちましたが、高齢者を取り巻く環境や介護に関する課題は年々変化しています。さらに、国内における高齢化は、今後ますます加速します。このような変化に対応していくために、介護保険法は定期的な見直しが必要なのです。本記事では、2024年(令和6年)の介護報酬改定の全体像が分かるよう、ポイントを踏まえてわかりやすくまとめました。
2024年(令和6年)度介護報酬改定の改定率
2024年(令和6年)度の介護報酬改定の改定率は、『+ 1.59%』となりました。内訳としては、介護職員の処遇改善分が「+ 0.98%」、その他の改定率が「+ 0.61%」となっています。
また、改定率の外枠として、処遇改善加算の一本化による賃上げ効果や、光熱水費の基準費用額の増額による介護施設の増収効果として「+ 0.45%」が見込まれ、合計で『+ 2.04%』相当の改定になります。
2024年は、診療報酬、障害福祉サービス等の報酬も改定となるタイミングであり、診療報酬の改定率は「+ 0.88%」、障害福祉サービス等報酬の改定率は「+ 1.12%(外枠の処遇改善等の一本化の効果を合計すると+ 1.5%)」となっています。
2024年(令和6年)度介護報酬改定の施行日
厚生労働省の実施した「第236回介護給付費分科会」において、介護報酬改定の施行日がサービス種別によって、2024年4月と2024年6月に別れることが示されました。診療報酬改定の施行に合わせる形で、2024年6月に施行されるのは、「訪問看護」、「訪問リハビリテーション」、「通所リハビリテーション」、「居宅療養管理指導」の4つのサービス種別となっています。それ以外のサービス種別は、2024年4月に施行されることになります。
2024年(令和6年)6月に施行される介護サービス種別
- 訪問看護
- 訪問リハビリテーション
- 通所リハビリテーション
- 居宅療養管理指導
2024年(令和6年)4月に施行される介護サービス種別
- 訪問介護
- 訪問入浴介護
- 通所介護
- 短期入所生活介護
- 短期入所療養介護
- 特定施設入居者生活介護
- 福祉用具貸与
- 居宅介護支援
- 介護老人福祉施設
- 介護老人保健施設
- 介護医療院
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
- 夜間対応型訪問介護
- 地域密着型通所介護
- 認知症対応型通所介護
- 小規模多機能型居宅介護
- 認知症対応型共同生活介護
- 地域密着型特定施設入居者生活介護
- 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
- 看護小規模多機能型居宅介護
2024年(令和6年)介護報酬改定の背景
物価高騰や少子高齢化による人材不足の影響により、介護業界が直面する課題はますます複雑化しています。こうした状況の中で、これらの課題にどのように対応し、介護サービスの質を向上させていくのかが、制度改定において重要なポイントとなります。
さらに、2025年には団塊の世代(1947年~1949年生まれ)が75歳以上となり、「労働力不足」や「社会保障費の負担増」などの社会課題がより深刻化すると予測されています。これらの課題は「2025年問題」と総称され、介護業界にとっても大きな影響を及ぼします。今回の介護報酬改定は、こうした2025年問題を見据えた、今後の介護の在り方を示すものでもあります。
2024年(令和6年)介護報酬改定のポイント
2024年度介護報酬改定は、以下の5つの基本視点に基づいて行われました。
①地域包括ケアシステムの深化・推進
②自立支援・重度化防止
③働きやすい職場づくりと良質な介護サービスの効率的提供
④制度の安定性と持続可能性の確保
⑤その他
以下、それぞれの視点について改定内容のポイントを詳しく説明します。
①地域包括ケアシステムの深化・推進
介護を必要とする方が地域で適切な支援を受けられるよう、関係機関と連携しながら、より質の高いサービスの提供を目指します。具体的には、居宅介護支援や訪問介護における「特定事業所加算」の見直しをはじめ、各種加算の新設・変更が行われます。また、利用者の負担軽減を図るため、福祉用具の貸与・販売が選択制となり、一人ひとりの状況に応じた適切な説明・提案が義務付けられました。
具体的な項目は以下の通りです。
- ①-1 質の高い公正中立なケアマネジメント
・居宅介護支援における特定事業所加算の見直し
・居宅介護支援事業者が市町村から指定を受けて介護予防支援を行う場合の取扱い
・他のサービス事業所との連携によるモニタリング - ①-2 地域の実情に応じた柔軟かつ効率的な取組
・訪問介護における特定事業所加算の見直し
・豪雪地帯等において急な気象状況の悪化等があった場合の通所介護費等の所要時間の取扱いの明確化
・通所リハビリテーションにおける機能訓練事業所の共生型サービス、基準該当サービスの提供の拡充
・総合マネジメント体制強化加算の見直し - ①-3 医療と介護の連携の推進
・専門性の高い看護師による訪問看護の評価
・患者の状態に応じた在宅薬学管理の推進
・総合医学管理加算の見直し
・療養通所介護における医療ニーズを有する中重度者の短期利用の推進
・療養通所介護における重度者への安定的なサービス提供体制の評価
・看護小規模多機能型居宅介護における柔軟なサービス利用の促進
・円滑な在宅移行に向けた看護師による退院当日訪問の推進
・医療機関のリハビリテーション計画書の受け取りの義務化
・退院後早期のリハビリテーション実施に向けた退院時情報連携の推進
・入院時情報連携加算の見直し
・通院時情報連携加算の見直し
・特定施設入居者生活介護等における夜間看護体制の強化
・特定施設入居者生活介護等における医療的ケアの推進に向けた入居継続支援加算の見直し
・認知症対応型共同生活介護における医療連携体制加算の見直し
・配置医師緊急時対応加算の見直し
・介護老人福祉施設等における給付調整のわかりやすい周知
・介護老人福祉施設等における透析が必要な者に対する送迎の評価
・所定疾患施設療養費の見直し
・協力医療機関との連携体制の構築
・協力医療機関との定期的な会議の実施
・入院時等の医療機関への情報提供
・介護老人福祉施設等における緊急時等の対応方法の定期的な見直し
・介護老人保健施設における医療機関からの患者受入れの促進 - ①-4 看取りへの対応強化
・訪問入浴介護における看取り対応体制の評価
・訪問看護等におけるターミナルケア加算の見直し
・情報通信機器を用いた死亡診断の補助に関する評価
・短期入所生活介護における看取り対応体制の強化
・ターミナルケアマネジメント加算等の見直し
・介護老人保健施設におけるターミナルケア加算の見直し
・介護医療院における看取りへの対応の充実 - ①-5 感染症や災害への対応力向上
・高齢者施設等における感染症対応力の向上
・施設内療養を行う高齢者施設等への対応
・新興感染症発生時等の対応を行う医療機関との連携
・業務継続計画未策定事業所に対する減算の導入 - ①-6 高齢者虐待防止の推進
・高齢者虐待防止の推進
・身体的拘束等の適正化の推進 - ①-7 認知症の対応力向上
・訪問系サービスにおける認知症専門ケア加算の見直し
・訪問リハビリテーションにおける集中的な認知症リハビリテーションの推進
・通所介護・地域密着型通所介護における認知症加算の見直し
・(看護)小規模多機能型居宅介護における認知症対応力の強化
・認知症対応型共同生活介護、介護保険施設における平時からの認知症の行動・心理症状の予防、早期対応の推進
・介護老人保健施設における認知症短期集中リハビリテーション実施加算の見直し - ①-8 福祉用具貸与・特定福祉用具販売の見直し
・一部の福祉用具に係る貸与と販売の選択制の導入
・モニタリング実施時期の明確化
・モニタリング結果の記録及び介護支援専門員への交付
・福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会を踏まえた対応
以下では特に重要なポイントをピックアップしてご紹介します。
居宅介護支援や訪問介護における特定事業所加算の見直し
【居宅介護支援における特定事業所加算の見直し】
居宅介護支援における特定事業所加算の算定要件について、より多様化・複雑化する課題に対応できるよう見直しが行われます。
まず、ヤングケアラーや障害者、生活困窮者、難病患者など、他制度に関する知識を深めることを目的に、事例検討会や研修等への参加が要件として追加されるとともに、これに対する評価の充実が図られます。
また、(主任)介護支援専門員の専任要件についても見直しが行われ、居宅介護支援事業者が介護予防支援の提供や、地域包括支援センターからの委託を受けて総合相談支援事業を行う場合、これらの事業との兼務が可能であることが明確化されます。
さらに、事業所における毎月の確認作業等の負担を軽減するため、運営基準減算に関する要件が削除されます。加えて、介護支援専門員が担当する利用者数についても、居宅介護支援費の見直しを踏まえた適切な調整が行われる予定です。
これにより、特定事業所加算(Ⅰ)~(A)の算定要件・単位数に変更がありました。新たな算定要件・単位数は以下の表の通りです。
※報酬改定による変更点は赤文字となっております。

【訪問介護における特定事業所加算の見直し】
訪問介護における特定事業所加算については、看取り期の利用者や重度者へのサービス提供、また中山間地域等での継続的なサービス提供を行っている事業所を適切に評価する観点から、いくつかの見直しが行われます。
まず、看取り期にある利用者への対応を適切に評価するため、重度者対応の要件として新たに「看取り期にある者」に関する要件が追加されることになります。
次に、中山間地域等において、地域資源などの状況により、やむを得ず移動距離が長くなり、事業運営が非効率にならざるを得ない場合もあることを考慮し、継続的にサービスを提供している事業所に対して新たな評価が行われます。
さらに、重度要介護者等への対応に関する現行の要件についても、実態を踏まえて一部の区分が見直されることになります。
これにより、特定事業所加算(Ⅰ)~(Ⅴ)の算定要件・単位数に変更がありました。新たな算定要件・単位数は以下の表の通りです。
※報酬改定による変更点は赤文字となっております。

業務継続計画未実施減算・高齢者虐待防止措置未実施減算の新設
【業務継続計画未実施減算】
感染症や災害が発生した場合であっても、必要な介護サービスを継続的に提供できる体制を構築するため、業務継続に向けた計画の策定の徹底を求める観点から、感染症若しくは災害のいずれか又は両方の業務継続計画が未策定の場合、以下の通り基本報酬を減算します。
- 施設・居住系:基本報酬の30%減算
- その他(居宅療養管理指導や特定福祉用具販売を除く):基本報酬の10%減算
算定要件は以下の基準に適合していない場合となります。
- 感染症や非常災害の発生時において、利用者に対するサービスの提供を継続的に実施するための、及び非常時の体制で早期の業務再開を図るための計画(業務継続計画)を策定すること
- 当該業務継続計画に従い必要な措置を講ずること
※ 令和7年3月31日までの間、感染症の予防及びまん延の防止のための指針の整備及び非常災害に関する具体的計画の策定を行っている場合には、減算を適用しない。訪問系サービス、福祉用具貸与、 居宅介護支援については、令和7年3月31日までの間、減算を適用しない。 - 1年間の経過措置期間中に全ての事業所で計画が策定されるよう、事業所間の連携により計画策定を行って差し支えない旨を周知することも含め、小規模事業所の計画策定支援に引き続き取り組むほか、介護サービス情報公表システムに登録すべき事項に業務継続計画に関する取組状況を追加する等、事業所への働きかけを強化する。また、県別の計画策定状況を公表し、指定権者による取組を促すとともに、業務継続計画を策定済みの施設・事業所についても、地域の特性に合わせた実効的な内容となるよう、指定権者による継続的な指導を求める
【高齢者虐待防止措置未実施減算】
虐待防止のための委員会設置や、介護現場への取り組みの周知など、必要な対策を講じていない場合、高齢者虐待防止措置未実施減算により基本報酬から10%減算されます。
高齢者虐待防止措置未実施減算は以下の措置が講じられていない場合に算定されます。
- 虐待の防止のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等の活用可能)を定期的に開催するとともに、その結果について、従業者に周知徹底を図ること。
- 虐待の防止のための指針を整備すること。
- 従業者に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施すること。
- 上記措置を適切に実施するための担当者を置くこと。
身体拘束の適正化および身体拘束廃止未実施減算の新設
身体的拘束等の更なる適正化を図る観点から、以下の要件を満たさない場合、所定単位数の100分の1に相当する単位数が減算されることとなりました。
- 短期入所系・多機能系:身体的拘束等の適正化のための措置(委員会の開催等、指針の整備、研修の定期的な実施)を義務付ける。また、身体的拘束等の適正化のための措置が講じられていない場合は、基本報酬を減算する。その際、1年間の経過措置期間を設けることとする。
- 訪問系・通所系・福祉用具貸与、特定福祉用具販売及び居宅介護支援:利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならないこととし、身体的拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録することを義務付ける。
一部の福祉用具に係る貸与と販売の選択制の導入
利用者の負担を過度に増やすことなく、制度の持続可能性を確保するとともに、福祉用具の適時・適切な利用や利用者の安全を確保する観点から、一部の福祉用具において貸与と販売の選択制が導入されました。
具体的には、要介護度に関係なく給付が可能な福祉用具のうち、比較的廉価であり、購入することで利用者の負担軽減につながるものを対象とします。対象となるのは、固定用スロープ、歩行器(歩行車を除く)、単点杖(松葉づえを除く)、および多点杖です。
貸与と販売の選択制の導入に伴い、以下の対応が求められます。
- 選択制の対象福祉用具の提供に当たっては、福祉用具専門相談員又は介護支援専門員(※)が、福祉用具貸与又は特定福祉用具販売のいずれかを利用者が選択できることについて、利用者等に対し、メリット及びデメリットを含め十分説明を行うこととするとともに、利用者の選択に当たって必要な情報を提供すること及び医師や専門職の意見、利用者の身体状況等を踏まえ、提案を行うこととする。
※ 介護支援専門員については、居宅介護支援及び介護予防支援の運営基準の解釈通知を改正。 - 福祉用具貸与について、選択制の対象福祉用具の提供に当たっては、福祉用具専門相談員が、利用開始後6か月以内に少なくとも1回モニタリングを行い、貸与継続の必要性について検討を行うこととする。
- 特定福祉用具販売について、選択制の対象福祉用具の提供に当たっては、福祉用具専門相談員が、特定福祉用具販売計画の作成後、当該計画における目標の達成状況を確認することとする。また、利用者等からの要請等に応じて、販売した福祉用具の使用状況を確認するよう努めるとともに、必要な場合は、使用方法の指導、修理等(メンテナンス)を行うよう努めることとする。
その他の改定事項(①地域包括ケアシステムの深化・推進)
地域包括ケアシステムの深化・推進について、上記以外の改定事項は以下となります。詳しい内容は「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」の該当ページをご確認ください。
■居宅介護支援
・入院時情報連携加算、通院時情報連携加算の見直し P24〜
・ターミナルケアマネジメント加算・特定事業所医療介護連携加算の見直し P42
■介護予防支援
・【新設】介護予防支援費(Ⅱ) P5~
※指定居宅介護支援事業者のみ対象
■居宅介護支援・介護予防支援
・モニタリング要件の見直し P7
■通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護・通所リハビリテーション
・通所介護費の所要時間の見直し P11
■通所リハビリテーション
・共生型自立訓練・基準該当自立訓練が可能に P12
■定期巡回・随時対応型訪問介護看護・小規模多機能型居宅介護・看護小規模多機能型居宅介護
・【新設】総合マネジメント体制強化加算(Ⅰ) P13〜
■訪問看護・看護小規模多機能型居宅介護
・【新設】専門管理加算 P15
■居宅療養管理指導
・【新設】医療用麻薬持続注射療法加算、在宅中心静脈栄養法加算 P16
■短期入所療養介護
・総合医学管理加算の算定要件の見直し P17
■療養通所介護
・【新設】短期利用療養通所介護費(1日につき)
・【新設】重度者ケア体制加算 P18〜
■看護小規模多機能型居宅介護
・サービス提供回数が少ない場合の基本報酬の減算 P20
・緊急時訪問看護加算の見直し
■訪問看護
・【新設】初回加算(Ⅰ) P21
■訪問リハビリテーション・通所リハビリテーション
・【義務化】リハビリテーション計画書の受け取り P22〜
・【新設】退院時共同指導加算
■特定施設入居者生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護
・【新設】夜間看護体制加算(Ⅰ) P26〜
・入居継続支援加算の算定要件の見直し
■認知症対応型共同生活介護
・医療連携体制加算の算定要件・単位数の見直し P28
■介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
・配置医師緊急時対応加算の見直しP29〜31
・給付調整の事例周知
・【新設】特別通院送迎加算
・緊急時の対応方法の定期的な見直し P36
■介護老人保健施設
・所定疾患施設療養費の要件変更 P32
・【新設】初期加算(Ⅰ) P37
・【新設】認知症短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅰ) P58
■介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護・介護老人保健施設・介護医療院・特定施設入居者生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護・認知症対応型共同生活介護
・協力医療機関との連携体制の構築 P33〜
・【新設】協力医療機関連携加算
・【新設】退所時情報提供加算(Ⅱ)
■訪問入浴介護・短期入所生活介護
・【新設】看取り連携体制加算 P38 P41
■訪問看護・定期巡回・随時対応型訪問介護看護・看護小規模多機能型居宅介護・介護老人保健施設
・ターミナルケア加算の単位数変更 P39 P43
■訪問看護・看護小規模多機能型居宅介護
・【新設】遠隔死亡診断補助加算 P40
・介護医療院 看取り対応の取り組み充実 P44
■特定施設入居者生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護・認知症対応型共同生活介護・介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護・介護老人保健施設・介護医療院
・【新設】高齢者施設等感染対策向上加算、新興感染症等施設療養費 P45~
■訪問介護・訪問入浴介護・定期巡回・随時対応型訪問介護看護・夜間対応型訪問介護
・認知症専門ケア加算の算定要件の見直し P53
■訪問リハビリテーション
・【新設】認知症短期集中リハビリテーション実施加算 P54
■通所介護・地域密着型通所介護・小規模多機能型居宅介護・看護小規模多機能型居宅介護
・認知症加算の見直し P55~
■認知症対応型共同生活介護・介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護・介護老人保健施設・介護医療院
・【新設】認知症チームケア推進加算 P57
■福祉用具貸与・特定福祉用具販売・居宅介護支援
・福祉用具貸与 モニタリング実施時期の明確化
・【義務化】モニタリング結果の記録と交付 P60〜
■福祉用具貸与・特定福祉用具販売
・福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会を踏まえた対応 P62
②自立支援・重度化防止に向けた対応
要介護者が自立した生活を送り、その状態を維持できるよう支援します。自立支援や重度化防止を促進するため、リハビリテーションに関する加算の拡充や、医療との連携を強化するための加算が見直されます。また、科学的介護の推進を目的に、厚生労働省が提供する「LIFE(科学的介護情報システム)」の活用に関する改定も実施されます。例えば、データ提出頻度を少なくとも3か月に1回とすることや、入力項目の定義を明確化し、他の加算と共通する項目の選択肢を統一するなどの変更が行われます。
具体的な項目は以下の通りです。
- ②-1 リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の一体的取組等
・訪問・通所リハビリテーションにおけるリハビリテーション、口腔、栄養の一体的取組の推進
・介護保険施設におけるリハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の一体的取組の推進
・リハビリテーション・個別機能訓練、口腔管理、栄養管理に係る一体的計画書の見直し
・訪問及び通所リハビリテーションのみなし指定の見直し
・要介護・要支援のリハビリテーションの評価の差別化
・介護予防サービスにおけるリハビリテーションの質の向上に向けた評価
・退院直後の診療未実施減算の免除
・診療未実施減算の経過措置の延長等
・通所リハビリテーションの事業所規模別基本報酬の見直し
・ケアプラン作成に係る「主治の医師等」の明確化
・介護老人保健施設における短期集中リハビリテーション実施加算の見直し
・居宅療養管理指導における管理栄養士及び歯科衛生士等の通所サービス利用者に対する介入の充実
・訪問系サービス及び短期入所系サービスにおける口腔管理に係る連携の強化
・居宅療養管理指導におけるがん末期の者に対する歯科衛生士等の介入の充実
・特定施設入居者生活介護における口腔衛生管理の強化
・介護保険施設における口腔衛生管理の強化
・管理栄養士による居宅療養管理指導の算定回数の見直し
・退所者の栄養管理に関する情報連携の促進
・再入所時栄養連携加算の対象の見直し - ②-2 自立支援・重度化防止に係る取組の推進
・通所介護等における入浴介助加算の見直し
・通所リハビリテーションにおける入浴介助加算(Ⅱ)の見直し
・ユニットケア施設管理者研修の努力義務化
・介護老人保健施設における在宅復帰・在宅療養支援機能の促進
・かかりつけ医連携薬剤調整加算の見直し - ②-3 LIFEを活用した質の高い介護
・科学的介護推進体制加算の見直し
・自立支援促進加算の見直し
・アウトカム評価の充実のためのADL維持等加算の見直し
・アウトカム評価の充実のための排せつ支援加算の見直し
・アウトカム評価の充実のための褥瘡マネジメント加算等の見直し
以下では特に重要なポイントをピックアップしてご紹介します。
リハビリテーションマネジメント加算の見直し
利用者の自立や重度化防止を促進し、リハビリテーション・口腔・栄養などのケアを一体的に提供するため、「口腔の健康状態の評価及び栄養アセスメントを行っていること。」「リハビリテーション計画等の内容について、リハビリテーション・口腔・栄養の情報を関係職種の間で一体的に共有すること。その際、必要に応じて LIFEに提出した情報を活用していること」「共有した情報を踏まえ、リハビリテーション計画について必要な見直しを行い、見直しの内容について関係職種に対し共有していること」などの要件を満たす場合を評価する新たな区分が設けられました。主な変更点は以下の通りです。
- 訪問リハビリ・通所リハビリ:リハビリマネジメント加算(B)イ・ロを廃止し、医師が利用者又はその家族に説明した場合に270単位が加算されるように見直しがされました。
- 通所リハビリ専用加算 リハビリテーションマネジメント加算(ハ)新設:初回6か月793単位/月、6か月以降473単位/月。
新たに新設された、リハビリテーションマネジメント加算(ハ)の算定要件は以下の通りです。
- リハビリテーションマネジメント加算(ロ)の要件を満たしていること。
- 事業所の従業者として、又は外部との連携により管理栄養士を1名以上配置していること。
- 利用者ごとに、多職種が共同して栄養アセスメント及び口腔の健康状態の評価を行っていること。
- 利用者ごとに、言語聴覚士、歯科衛生士又は看護職員がその他の職種の者と共同して口腔の健康状態を評価し、当該利用者の口腔の健康状態に係る解決すべき課題の把握を行っていること。
- 利用者ごとに、関係職種が、通所リハビリテーション計画の内容の情報等や、利用者の口腔の健康状態に関する情報及び利用者の栄養状態に関する情報を相互に共有すること。
- 共有した情報を踏まえ、必要に応じて通所リハビリテーション計画を見直し、当該見直しの内容を関係職種に対して情報提供していること。
LIFE関連加算の見直し
これまで、LIFE関連の各加算のデータ提出頻度について、サービス利用開始月より入力を求めている加算もあれば、サービス利用開始後の計画策定時に入力が必要な加算もあり、同一の利用者であっても算定する加算によって入力のタイミングが異なり、事業所における入力タイミングの管理が煩雑になっていました。
この課題を解決するために、 LIFEへのデータ提出について、「少なくとも3か月に1回」に統一しました。また、同一の利用者に対して複数の加算を算定する場合のデータ提出頻度を統一できるように見直しました。例えば、月末よりサービス利用を開始する場合、当該利用者の評価を行う時間が十分確保できない場合に一定の条件の下で、提出期限に猶予が与えられました。
例:同一の利用者に科学的介護推進体制加算及びリハビリテーションマネジメント加算を算定する場合
• 現在、科学的介護推進体制加算はサービス利用開始月とその後少なくとも6月に1度評価を行い、翌月の10日までにデータを提出することとなっており、リハビリテーションマネジメント加算はリハビリテーション計画書策定月、及び計画変更月に加え、少なくとも3月に1度評価を行いデータを提出することとなっている。いずれの加算にもADLを含め同じ評価項目が含まれている。
• これらの加算の提出タイミングを少なくとも3月に1度と統一するとともに、例えば、月末にサービスを開始した場合に、科学的介護推進体制加算のデータ提出期限に猶予期間を設けることで、評価やデータ提出のタイミングを揃えることを可能とする。
- 提出頻度を3か月に1回とし、提出日の統一を可能化。
- 単位数変更:自立支援促進加算280単位/月に。

また、LIFE関連加算である自立支援促進加算の単位数が300単位/月→280単位/月に見直されました。
※介護老人保健施設は300単位/月
その他の改定事項(②自立支援・重度化防止に向けた対応)
自立支援・重度化防止に向けた対応について、上記以外の改定事項は以下となります。詳しい内容は「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」の該当ページをご確認ください。
■通所介護・通所リハビリテーション・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護・介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護・介護老人保健施設・介護医療院
リハビリテーション
・個別機能訓練、口腔管理、栄養管理に係る一体的計画書の見直し P70
・ターミナルケアマネジメント加算・特定事業所医療介護連携加算の見直し
■訪問リハビリテーション・通所リハビリテーション
・みなし指定が可能な施設の見直し P71
■訪問リハビリテーション
・訪問リハビリテーション(介護予防含む)の基本報酬の変更 P72
・診療未実施減算の見直し P74~
■介護予防訪問リハビリテーション・介護予防通所リハビリテーション
・【新設】利用開始後12ヶ月が経過した際の減算について要件の緩和 P73
・【廃止】事業所評価加算
■通所リハビリテーション
・基本報酬の見直し P76~、
・入浴介助加算(Ⅱ)の算定要件の見直し P91
■居宅介護支援・介護予防支援(訪問リハビリテーション/通所リハビリテーション)
・ケアプラン作成における「主治の医師等」の要件明確化 P78
■介護老人保健施設
・【新設】短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅰ) P79
・在宅復帰・在宅療養支援等指標の見直しP93〜
・【新設】かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅰ)ロ P95
■居宅療養管理指導
・居宅療養管理指導費の算定対象者の見直し P80
・終末期がん患者に対する居宅療養管理指導の算定回数上限の緩和 P82
・終末期の利用者に対し、医師の判断のもと追加訪問が可能に P85
■訪問介護・訪問看護・訪問リハビリテーション・短期入所生活介護・短期入所療養介護・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
・【新設】口腔連携強化加算 P81
■特定施設入居者生活介護
・【廃止】口腔衛生管理体制加算 P83
■介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護・介護老人保健施設・介護医療院
・【義務化】入所時・入所後の定期的な口腔衛生管理 P84
・【新設】退所時栄養情報連携加算 P86
・再入所時栄養連携加算の対象者見直し P87〜
■通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護
・入浴介助加算の算定要件の見直し P89~
■短期入所生活介護・短期入所療養介護・介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護・介護老人保健施設・介護医療院
・【努力義務】管理者のユニットケア施設管理者研修受講 P92
■通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護・特定施設入居者生活介護・地域密着型特定施設入居者・生活介護・介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
・ADL維持等加算の算定要件の見直し P103
■看護小規模多機能型居宅介護・介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護・介護老人保健施設・介護医療院
・排せつ支援加算、褥瘡マネジメント加算の算定要件の見直し P104〜
③ 良質な介護サービスの効率的提供と働きやすい職場づくり
介護需要が高まる一方で、業界全体として人材不足が深刻な課題となっています。本改定では、この問題に対応するため、「働きやすい職場づくり」にも重点が置かれています。特に重要なのが、介護職員の処遇改善です。令和6年度には2.5%、令和7年度には2.0%のベースアップを実施し、段階的な賃上げが進められます。
また、「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」が一本化され、1種別4段階の仕組みに統一される点も大きな変更点です。さらに、テレワークの明確な取り扱いや、ロボットなどのテクノロジーを活用した職場環境の整備を支援するための新たな加算が導入されるなど、働きやすい環境づくりが進められます。
具体的な項目は以下の通りです。
- ③-1 介護職員の処遇改善
・介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算・介護職員等ベースアップ等支援加算の一本化 - ③-2 生産性の向上等を通じた働きやすい職場環境づくり
・テレワークの取扱い
・利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を 検討するための委員会の設置の義務付け
・介護ロボットや ICT 等のテクノロジーの活用促進
・生産性向上に先進的に取り組む特定施設における人員配置基準の特例的な柔軟化
・介護老人保健施設等における見守り機器等を導入した場合の夜間における人員配 置基準の緩和
・認知症対応型共同生活介護における夜間支援体制加算の見直し
・人員配置基準における両立支援への配慮
・外国人介護人材に係る人員配置基準上の取扱いの見直し - ③-3 効率的なサービス提供の推進
・管理者の責務及び兼務範囲の明確化
・いわゆるローカルルールについて
・訪問看護等における24時間対応体制の充実
・訪問看護における24時間対応のニーズに対する即応体制の確保
・退院時共同指導の指導内容の提供方法の柔軟化
・薬剤師による情報通信機器を用いた服薬指導の評価の見直し
・通所介護、地域密着型通所介護における個別機能訓練加算の人員配置要件の緩和及び評価の見直し
・ユニット間の勤務体制に係る取扱いの明確化
・随時対応サービスの集約化できる範囲の見直し
・(看護)小規模多機能型居宅介護における管理者の配置基準の見直し
・公正中立性の確保のための取組の見直し
・介護支援専門員1人当たりの取扱件数(報酬)
・介護支援専門員1人当たりの取扱件数(基準)
・小規模介護老人福祉施設の配置基準の見直し
以下では特に重要なポイントをピックアップしてご紹介します。
介護職員等処遇改善加算の新設
現行の処遇改善に関わる、「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」の3つの加算が統合され、「介護職員等処遇改善加算」に一本化されました。
介護職員等処遇改善加算はⅠ~Ⅳの区分があり、それぞれ現状より基本給が2%以上アップできるよう、加算率が引き上げられました。
介護職員等処遇改善加算を除く加減算後の総報酬単位数に以下の加算率を乗じます。加算率はサービス毎の介護職員の常勤換算職員数に基づき設定が可能です。

また、加算(Ⅰ~Ⅳ)の算定要件は以下の通りです。

生産性向上推進体制加算の新設
介護現場に見守り機器などのテクノロジーを導入した施設・事業所が算定できる加算が創設されました。あわせて委員会の設置や、導入後の業務時間の変化などを示すデータの提出が必要です。同加算は2区分で、複数機器を導入する場合は加算Ⅱを算定できます。
- 加算(Ⅰ):100単位/月
- 加算(Ⅱ):10単位/月
算定要件は以下の通りです。
【生産性向上推進体制加算(Ⅰ)】(新設)
- (Ⅱ)の要件を満たし、(Ⅱ)のデータにより業務改善の取組による成果(※1)が確認されていること。
- 見守り機器等のテクノロジー(※2)を複数導入していること。
- 職員間の適切な役割分担(いわゆる介護助手の活用等)の取組等を行っていること。
- 1年以内ごとに1回、業務改善の取組による効果を示すデータの提供(オンラインによる提出)を行うこと。
注:生産性向上に資する取組を従来より進めている施設等においては、(Ⅱ)のデータによる業務改善の取組による成果と同等以上のデータを示す等の場合には、(Ⅱ)の加算を取得せず、(Ⅰ)の加算を取得することも可能である。
【生産性向上推進体制加算(Ⅱ)】(新設)
- 利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会の開催や必要な安全対策を講じた上で、生産性向上ガイドラインに基づいた改善活動を継続的に行っていること。
- 見守り機器等のテクノロジーを1つ以上導入していること。
- 1年以内ごとに1回、業務改善の取組による効果を示すデータの提供(オンラインによる提出)を行うこと。
その他の改定事項(③良質な介護サービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり)
良質な介護サービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくりについて、上記以外の改定事項は以下となります。詳しい内容は「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」の該当ページをご確認ください。
■全サービス
・※居宅療養管理指導を除く テレワークの取扱い P109
■短期入所系・居住系・多機能系・施設系
・【義務化】生産性向上委員会の設置 P110
※経過措置期間3年
■特定施設入居者生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護
・生産性向上に取り組む施設の人員配置基準緩和 P113〜
■短期入所療養介護・介護老人保健施設
・テクノロジー導入施設における夜間の人員配置基準緩和 P115~
■認知症対応型共同生活介護
・夜間支援体制加算の要件見直し P116
■全サービス
・短時間勤務制度利用者の常勤の要件変更 P117
・管理者の責務及び兼務範囲の明確化 P119~
・ローカルルールについて
■通所系・短期入所系・居住系・多機能系・施設系
・外国人介護人人材の人員配置基準上の取扱い見直し P118
■訪問看護・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
・【新設】緊急時訪問看護加算(Ⅰ) P121
・退院時共同指導加算の要件緩和 P123
■訪問看護
・24時間対応の確保 P122
■居宅療養管理指導
・情報通信機器を利用した薬剤師の服薬指導に関して要件と単位数変更 P124
■通所介護・地域密着型通所介護
・個別機能訓練加算(Ⅰ)ロの算定要件と単位数変更 P125~
■短期入所生活介護・短期入所療養介護・介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護・介護老人保健施設・介護医療院
・ユニット間勤務の体制ルールの明確化 P127
■定期巡回・随時対応型訪問介護看護
・随時対応サービスの範囲見直し P128
■小規模多機能型居宅介護・看護小規模多機能型居宅介護
・管理者の配置基準見直し P129
■居宅介護支援
・サービス提供割合の見直し P130~
・介護支援専門員の取扱件数の変更
■介護老人福祉施設
・小規模介護老人福祉施設の配置基準見直し P133
④ 制度の安定性・持続可能性の確保
介護保険制度が今後も国民の安心した生活を支える基盤となるよう、現行の制度が見直されます。
具体的には、訪問看護における減算の新設や、訪問介護における同一建物減算の要件見直し、短期入所生活介護・介護予防短期入所生活介護における長期利用の報酬単位の見直しが行われます。
また、運動機能向上加算の基本報酬への包括化をはじめとする報酬体系の整理・簡素化も進められ、より分かりやすく効率的な制度運用が図られます。また、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の基本報酬に、夜間対応型訪問介護の利用者負担に配慮した新たな区分が設けられました。
- ④-1 評価の適正化・重点化
・訪問介護における同一建物等居住者にサービス提供する場合の報酬の見直し
・理学療法士等による訪問看護の評価の見直し
・短期入所生活介護における長期利用の適正化
・同一建物に居住する利用者へのケアマネジメント
・多床室の室料負担 - ④-2 報酬の整理・簡素化
・運動器機能向上加算の基本報酬への包括化
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護の基本報酬の見直し
・経過的小規模介護老人福祉施設等の範囲の見直し
・認知症情報提供加算の廃止
・地域連携診療計画情報提供加算の廃止
・長期療養生活移行加算の廃止
以下では特に重要なポイントをピックアップしてご紹介します。
訪問介護における同一建物減算の要件見直し
訪問介護において、同一建物等居住者へのサービス提供割合が多くなるにつれて、訪問件数は増加し、移動時間や移動距離は短くなっている実態を踏まえ、同一建物減算について、事業所の利用者のうち、一定割合以上が同一建物等に居住する者への提供である場合に、報酬の適正化を行う新たな区分を設け、更なる見直しが行われました。
新たな区分では、正当な理由なく、事業所において、前6か月間に提供した訪問介護サービスの提供総数のうち、事業所と同一敷地内又は隣接する敷地内に所在する建物に居住する者に提供されたものの占める割合が100分の90以上である場合に12%の減算が行われることとなります。
※当該建物に居住する利用者の人数が1か月あたり50人以上の場合を除く
理学療法士等の訪問回数に関する新たな減算
訪問看護において、看護職員の訪問回数を超えて理学療法士などが利用者宅を訪問している場合、新たな減算が適用されます。
算定要件は以下の通りです。
- 当該訪問看護事業所における前年度の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士による訪問回数が、看護職員による訪問回数を超えていること。
- 緊急時訪問看護加算、特別管理加算及び看護体制強化加算をいずれも算定していないこと。

※12月を超えて訪問を行う場合は更に15単位減算(新設)
短期入所生活介護・介護予防短期入所生活介護における長期利用時(61日以降)の基本報酬引き下げ
短期入所生活介護、介護予防短期入所生活介護における長期利用について、長期利用の適正化を図り、サービスの目的に応じた利用を促す観点から、施設入所と同等の利用形態となる場合、施設入所の報酬単位との均衡を図ります。
<対象者>
- 短期入所生活介護:連続して60日を超えて同一の短期入所生活介護事業所に入所している利用者
- 介護予防短期入所生活介護:連続して30日を超えて同一の介護予防短期入所生活介護事業所に入所している利用者
単位数の表は以下の通りです。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護の基本報酬見直し
定期巡回・随時対応型訪問介護看護と夜間対応型訪問介護の機能・役割や利用状況等を踏まえ、将来的なサービスの統合を見据えて、夜間対応型訪問介護との一体的実施を図る観点から、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の基本報酬に、夜間対応型訪問介護の利用者負担に配慮した新たな区分が設けられました。
- 基本夜間訪問サービス費:989単位/月
- 定期巡回サービス費:372単位/回
- 随時訪問サービス費(Ⅰ):567単位/回
- 随時訪問サービス費(Ⅱ):764単位/回
運動器機能向上加算の基本報酬への包括化
予防通所リハビリテーションにおける身体機能評価をさらに推進し、報酬体系の簡素化を図るため、いくつかの見直しが行われます。
まず、運動器機能向上加算を廃止し、その内容を基本報酬に包括することで、計算の複雑さを軽減し、より分かりやすい仕組みへと変更されます。また、運動器機能向上加算・栄養改善加算・口腔機能向上加算のうち、複数の加算を組み合わせて算定している場合に評価される「選択的サービス複数実施加算」についても見直しが行われ、より適切な評価体系へと整理されます。
運動器機能向上加算 225単位/月 → 廃止(基本報酬に包括化)
選択的サービス複数実施加算Ⅰ 480単位 → 廃止(栄養改善加算、口腔機能向上加算で評価)
選択的サービス複数実施加算Ⅱ 700単位 → 一体的サービス提供加算 480単位/月(新設)
一体的サービス提供加算の算定要件は以下の通りです。
- 栄養改善サービス及び口腔機能向上サービスを実施していること。
- 利用者が介護予防通所リハビリテーションの提供を受けた日において、当該利用者に対し、栄養改善サービス
又は口腔機能向上サービスのうちいずれかのサービスを行う日を1月につき2回以上設けていること。 - 栄養改善加算、口腔機能向上加算を算定していないこと。
その他の改定事項(④制度の安定性・持続可能性の確保に関する改定)
制度の安定性・持続可能性の確保に関する改定について、上記以外の改定事項は以下となります。詳しい内容は「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」の該当ページをご確認ください。
■居宅介護支援
・【新設】同一建物に居住する利用者へのケアマネジメント P140
■短期入所療養介護・介護老人保健施設・介護医療院
・【新設】多床室の利用者に対し、月8,000円相当の室料負担を導入 P141
■介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所生活介護 経過的小規模介護老人福祉施設
・基本報酬見直し P144
■介護老人保健施設
・【廃止】認知症情報提供加算 P145~
・【廃止】地域連携診療計画情報提供加算 P146
■介護医療院
・【廃止】長期療養生活移行加算 P147
⑤ その他
その他、以下の改定が行われました。詳しい内容は「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」の該当ページをご確認ください。
・「書面掲示」規制の見直し P149
・特別地域加算、中山間地域等の小規模事業所加算及び中山間地域に居住する者へのサービス提供加算の対象地域の明確化 P150
・特別地域加算の対象地域の見直し P151
・居宅療養管理指導における高齢者虐待防止措置及び業務継続計画の策定等に係る経過措置期間の延長 P152
・通所系サービスにおける送迎に係る取扱いの明確化 P153
・看護小規模多機能型居宅介護におけるサービス内容の明確化 P154
・基準費用額(居住費)の見直し P155~
・地域区分 P158~
まとめ
2024年の介護報酬改定は、介護サービスの質を向上させるとともに、利用者と事業者双方に配慮した施策が多数盛り込まれた内容となっています。各事業者は改定内容を十分に理解し、必要な対応を迅速に進めることで、持続可能な介護サービスの提供を目指しましょう。
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