介護の基礎知識
【2024年度改定対応】ADL維持等加算をわかりやすく。算定要件やLIFEについて解説

ADL維持等加算は、1年間の評価結果をもとに算定可否が決まる加算です。この加算は、要介護の利用者が対象であり、評価対象期間中にADL値の集計結果として「維持」または「改善」が確認された場合、評価期間終了後の1年間、事業所に所属するすべての要介護利用者に対して加算を算定できるという、事業所の成果を高く評価する加算です。
本記事ではADL維持等加算の算定要件と単位数や2024年の報酬改定による変更点やADL利得について解説します。
ADL維持等加算とは
要介護者のADL(日常生活動作)の維持や向上は、重症化予防や自立支援に繋がり、高齢化が進む社会で重要視される取り組みです。バーセルインデックス(BI)という評価方法で、食事、移乗、整容、トイレ動作、入浴、歩行、階段昇降、着替え、排便コントロール、排尿コントロールの10項目を100点満点でADLの自立度を評価し、その結果をLIFEに提出します。これにより、事業所の自立支援への取り組みが客観的に評価されます。
ADL維持等加算は、介護サービスの質を利用者やケアマネジャーに示す指標となります。また、事業所にとっては、営業活動の一環として、自社の介護サービスの質をアピールできる点も魅力です。
ADL維持等加算の算定要件・単位数
ADL維持等加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の算定要件と単位数は以下の表の通りです。ADL維持等加算の算定を行うには、バーセルインデックスにてADL値を適切に評価し、LIFEにてデータ提出していることが求められます。

ADL維持等加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の違い
ADL維持等加算(Ⅰ)は現状維持、(Ⅱ)は改善に対して支給される加算です。
2024年介護報酬改定での変更点
ADL維持等加算について、自立支援・重度化防止に向けた取組をより一層推進する観点から、ADL維持等加算(Ⅱ)におけるADL利得の要件が、「2以上」から「3以上」と見直されました。また、ADL利得の計算方法の簡素化が行われました。
算定要件の変更点は以下の太字の箇所です。
< ADL維持等加算(Ⅰ) >(変更なし)
○ 以下の要件を満たすこと
イ 利用者等(当該施設等の評価対象利用期間が6月を超える者)の総数が10人以上であること。
ロ 利用者等全員について、利用開始月と、当該月の翌月から起算して6月目(6月目にサービスの利用がない場合はサービスの利用があった最終月)において、Barthel Indexを適切に評価できる者がADL値を測定し、測定した日が属する月ごとに厚生労働省に提出していること。
ハ 利用開始月の翌月から起算して6月目の月に測定したADL値から利用開始月に測定したADL値を控除し、初月のADL値や要介護認定の状況等に応じた値を加えて得た値(調整済ADL利得)について、利用者等から調整済ADL利得の上位及び下位それぞれ1割の者を除いた者を評価対象利用者等とし、評価対象利用者等の調整済ADL利得を平均して得た値が1以上であること。
< ADL維持等加算(Ⅱ) >
○ ADL維持等加算(Ⅰ)のイとロの要件を満たすこと。
○ 評価対象利用者等の調整済ADL利得を平均して得た値が3以上であること。
<ADL維持等加算(Ⅰ)(Ⅱ)について>
初回の要介護認定があった月から起算して12月以内である者の場合や他の施設や事業所が提供するリハビリテーションを併用している利用者の場合のADL維持等加算利得の計算方法を簡素化。
ADL維持等加算の対象となる介護サービス

下記の事業がADL維持等加算の対象となるサービスです。
- 通所介護
- 介護老人福祉施設
- 特定施設入居者生活介護
以下サービスは各市町村が管轄しているため、各自治体に確認してください。
- 地域密着型通所介護
- 認知症対応型通所介護
- 地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護
- 地域密着型特定施設入居者生活介護
ADL利得とは
ADL利得とは、利用者のADLがどれだけ改善したかを示す指標です。
具体的には、リハビリや介護を通じて利用者が自立した生活にどれほど近づけたかを数値化したものです。この指標を活用することで、サービスの効果を客観的かつ明確に評価することが可能となります。ADL利得の数値が大きいほど、利用者のADLが向上したことを意味します。
ADL利得の計算につきましては、LIFEにADL値を提出することで計算が可能となっています。以下参考画面です。

バーセルインデックスの評価項目と評価基準
バーセルインデックスの評価項目は以下の通りです。

点数の一般的な評価基準は以下の通りです。
100点:全自立
60点:部分自立
40点:大部分介助
0点:全介助レベル
バーセルインデックスの評価項目は、食事・移乗・整容・トイレ・入浴・歩行(移動)・階段昇降・更衣・排便・排尿の全10項目で構成され、各項目を自立度に応じて15点・10点・5点・0点で採点します。
採点方法は100点満点で採点できるので、見た目にもわかりやすい評価方法です。一般的には100点満点が全自立、60点が部分自立(カットオフ)、40点が大部分介助、0点は全介助とされています。
※バーセルインデックスにおけるカットオフとは、「部分自立」と「介助」の分岐点のことです。
ADL維持等加算を算定する際の注意点
- (Ⅰ)(Ⅱ)との併用算定は不可です。
- 請求する場合は、加算算定開始月の末日までにLIFE上でADL利得に係る基準を満たしていることを確認する必要があります。
- 算定が決定すればその後1年間は要介護の新規利用者にも算定可能です。
ADL維持等加算の評価対象期間と算定期間
ADL維持等加算の評価対象期間は、申請を行った日から1年間(12ヶ月間)です。
この評価対象期間中に、初回と7ヶ月目の計2回、バーセルインデックスを用いて利用者(要介護者)のADL値を測定し、その結果をLIFEに提出します。評価対象期間が終了すると、算定開始の届出を行い、一定の条件を満たした場合、翌年の1年間(12ヶ月間)加算を受けられます。令和4年度以降に算定する場合、評価対象期間は「届出を行った日から12ヶ月間」となります。
算定開始には事前の届出・申出が必要

ADL維持等加算を算定するには、まず評価対象期間の測定結果を計算する必要がありますが、加算算定の可能性がある場合は、あらかじめ届出を行う必要があります。
届出時に必要な書類
届出を行う際は以下の2点を準備してください。
- 介護給付費算定に係る体制等状況一覧表
- 介護給付費算定に係る体制等に関する届出書
届出書の記入方法
①「介護給付費算定に係る体制等に関する届出書」の「ADL維持等加算(申出)の有無」欄に「2 あり」と記載してください。
②ADL維持等加算(Ⅰ)(Ⅱ)を申請する場合は、同時に「LIFEへの登録」欄にも「2 あり」と記入し、提出します。
これらの手続きが適切に完了していれば、評価対象期間終了後、要件を満たした際に加算を算定できる準備が整います。
ADL維持等加算は科学的介護推進体制加算(LIFE加算)と合わせて算定がおすすめ
ADL維持等加算を算定する際は、科学的介護推進体制加算(LIFE加算)と併せて算定を検討することをおすすめします。
科学的介護推進体制加算はLIFE関連加算の中でもLIFEにデータを提出しフィードバックを受け取るだけで、施設を利用しているすべての利用者に対して算定が行える加算で、最低40単位を算定することができます。
ADL維持等加算(Ⅰ)は30単位が算定できるため、両加算を組み合わせることで月に合計70単位を取得できる計算になります。ADL維持等加算の算定要件にはADL値をLIFEにて提出することも含まれるため、ADL維持等加算と合わせて科学的介護推進体制加算も算定するようにしましょう。
介護報酬改定に伴うよくある質問
問176 令和6年3月以前に評価対象期間の届出を行っている場合であっても、ADL 維持等加算(Ⅱ)の算定には ADL利得「3以上」である必要があるか。
(答)令和5年4月以降が評価対象期間の始期となっている場合は、ADL利得が「3以上」の場合に、ADL 維持等加算(Ⅱ)を算定することができる。
参考:厚労省「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)」まとめ
ADL維持等加算はバーセルインデックス(BI)を活用したADL値の集計結果として「維持」または「改善」が確認された場合に算定できる加算です。2024年の介護報酬改定では、ADL維持等加算(Ⅱ)におけるADL利得の要件が「2以上」から「3以上」へと見直されました。また、ADL利得の計算方法の簡素化も行われています。
ADL維持等加算の算定要件にはLIFEでのデータ提出が含まれているため、加算を受けるにはLIFEを導入する必要があります。
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