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介護の基礎知識

小規模多機能型居宅介護の運営基準をわかりやすく 人員や建物・設備基準についても解説

  • 公開日:2025年10月01日
  • 更新日:2025年10月01日

小規模多機能型居宅介護を運営するには、介護保険法に基づいて定められたルールを守る必要があり、遵守することで利用者に安心・安全な介護サービスを提供することができます。小規模多機能型居宅介護の運営基準を守らなかった場合、行政から指導や勧告を受けることがあり、改善が見られない場合には業務停止や指定取り消しといった処分につながる可能性があるため、基準の遵守は事業所の存続に直結する重要なポイントと言えます。

本ブログでは、小規模多機能型居宅介護の運営基準や人員・建物基準、運営基準を守らなかった場合の処分についてもわかりやすく解説します。

小規模多機能型居宅介護の運営基準

小規模多機能型居宅介護の運営基準は、第62条から第87条までで規定されており、事業所の運営に必要な職員体制や設備、サービス提供の方法、記録の管理、苦情対応、職員研修などについて定められています。詳しい内容は以下の通りです。

基本方針

第62条 基本方針

小規模多機能型居宅介護では、要介護の利用者が自宅への訪問、事業所への通い、短期間の宿泊を組み合わせながら、家庭的な環境と地域住民の交流の下で入浴・排泄・食事などその他の日常生活上の世話や機能訓練を行います。それにより、利用者が能力に応じて自立した日常生活を送れるように支援します。

人員に関する基準

第63条~第65条 人員に関する基準

小規模多機能型居宅介護の人員基準は以下の通りです。

■代表者

認知症の介護従事経験若しくは保健医療・福祉サービスの経営経験があり、認知症対応型サービス事業開設者研修を修了した者

■管理者

3年以上認知症の介護従事経験があり、認知症対応型サービス事業管理者研修を修了した常勤・専従の者

■介護支援専門員

介護支援専門員であって、小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修を修了した者 1名以上

■小規模多機能型居宅介護従事者

看護職員…小規模多機能型居宅介護従業者のうち1名以上

【日中】

  • 通いサービス…常勤換算方法で3:1名以上
  • 訪問サービス…常勤換算方法で1名以上(他のサテライト型事業所の利用者に対しサービスを提供することができる。)

 

【夜間】

  • 夜勤職員…時間帯を通じて1名以上(宿泊利用者がいない場合、置かないことができる。)
  • 宿直職員…時間帯を通じて1名以上(宿泊利用者がいない場合、置かないことができる。)

第66条 登録定員及び利用定員

登録定員及び利用定員は以下の通りです。

登録定員 ・1事業所の登録は29名以下
・要介護度の制限はなし
・同一内建物または併設の老人ホーム等の入居者は登録することはできない
・利用者は1つの小規模多機能型居宅介護の登録のみ可能
通いサービス

登録が25名以下
登録が26か27人
登録が28人
登録が29人
おおむね15名以下

登録の2分の1から15名まで
登録の2分の1から16名まで
登録の2分の1から17名まで
登録の2分の1から18名まで
宿泊サービス おおむね9名以下 登録者のみ利用可能
通いの利用定員3分の1から9人
訪問サービス 登録者の居宅を訪問する

設備基準

第67条 設備及び備品等

設備に関する基準は以下の通りです。

設備 設備基準
居間及び食堂 機能を十分に発揮しうる適当な広さを有すること
宿泊室 定員…1人(利用者の処遇上必要な場合は、2人でも可)
床面積…7.43平方メートル以上
  • 上記の設備は小規模多機能型居宅介護の事業専用でなければなりません。ただし、サービス提供に支障がない場合は、この限りではありません。
  • 小規模多機能型居宅介護事業所は、利用者家族との交流や地域住民との交流のために、住宅地などの交流の機会が確保される地域にあるようにしなければなりません。
  • 設備基準を満たす小規模多機能型居宅介護事業者が介護予防小規模多機能型居宅介護事業者の指定を併せて受け、同一の事業所でサービス運営している場合は設備基準を満たすこととします。

運営基準

第68条 心身の状況等の把握

指定小規模多機能型居宅介護事業者は、サービスを提供するにあたり、介護支援専門員(※サテライト型の場合は本体事業所の介護支援専門員)が開くサービス担当者会議などを通じて、利用者の心身の状態、生活環境、他の医療や福祉サービスの利用状況などを把握するよう努めなければなりません。

※サービス担当者会議とは、ケアマネジャーがケアプランを作成するために、関係するサービス担当者を招集して行う会議です。テレビ電話などでの開催も可能ですが、利用者等が参加する場合は、その同意を得る必要があります。

第69条 居宅サービス事業者等との連携

サービス提供にあたって、居宅介護支援事業者や医療・福祉サービス提供者、主治医との連携を図る必要があります。サービス終了時には利用者やそのご家族に対して適切な指導を行い、居宅介護支援事業所や医療・福祉サービス提供者との連携に努めます。

第70条 身分を証する書類の携行

訪問サービスの提供の際、初回訪問時や利用者・ご家族からの求めがあった場合に、小規模多機能型居宅介護従業者が身分証を提示できるように、身分を証する書類携行するよう、指導が必要です。

第71条 利用料等の受領

法定代理受領サービスの場合、サービス提供時に、利用者から費用基準額から保険給付分(地域密着型介護サービス費)を差し引いた額を利用料として受け取ります。

法定代理受領サービスに該当しない場合、事業者は、利用者から受け取る利用料が、費用基準額と比べて不合理な差額にならないようにしなければなりません。

上記の利用料とは別に、以下の費用については利用者から受け取ることができます。

  • 実施地域外への送迎にかかる費用
  • 実施地域外での訪問サービスに要した交通費
  • 食事提供にかかる費用
  • 宿泊にかかる費用
  • おむつ代
  • その他、日常生活で通常必要とされ、利用者が負担することが適当と認められる費用

 

食事代・宿泊費については、厚生労働大臣の定めによります。事業者は、これら追加費用に関するサービスを提供する際、あらかじめ利用者や家族に内容と費用を説明し、同意を得なければなりません。

第72条 指定小規模多機能型居宅介護の基本取扱方針

小規模多機能型居宅介護では、利用者の要介護状態の軽減又は悪化の防止のための目標を設定し、計画的に行わなくてはなりません。自事業所のサービスの質の評価を行い、その結果を公表し、常に改善を図る必要があります。

第73条 指定小規模多機能型居宅介護の具体的取扱方針

小規模多機能型居宅介護事業者は以下の方針に従うものとします。

  • 利用者が住み慣れた地域での生活を継続することができるよう、地域住民との交流や地域活動への参加を図りつつ、利用者の心身の状況や希望、置かれている環境を踏まえて、通いサービス、訪問サービス、宿泊サービスを柔軟に組み合わせることで適切なサービス提供を行う
  • 利用者一人一人の人格を尊重し、利用者がそれぞれの役割を持って家庭的な環境の下で日常生活を送ることができるよう配慮する
  • 小規模多機能型居宅介護計画に基づいたサービス提供を行なう
  • サービス提供は懇切丁寧に行い、利用者やその家族に対して説明を行う
  • やむを得ない場合を除き身体的拘束を行ってはならず、やむを得ず身体的拘束を行う場合も、様子や時間、利用者の心身の状況や理由を記録しなければならない
  • 身体的拘束等の適正化を図るため、以下の対応を行うこと
    ・身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会を3ヶ月に1回開催し、結果を周知する
    ・身体的拘束等の適正化のための指針を整備する
    ・身体的拘束等の適正化のための研修を定期的に実施する
  • 通いサービスの利用者が登録定員に比べて著しく少ない状態が続いてはいけない
  • 登録者が通いサービスを利用していない日は可能な限り、訪問サービスの提供、電話連絡による見守りを行う等、自宅での生活を支えるために適切なサービスを提供する

第74条 居宅サービス計画の作成

小規模多機能型居宅介護事業所の管理者は、介護支援専門員に登録者の居宅サービス計画の作成業務を担当させるものとします。

第75条 法定代理受領サービスに係る報告

事業者は、市町村に対して、居宅サービス計画に位置付けたサービスのうち「法定代理受領サービス」にあたるものについて、情報をまとめた文書を毎月提出しなければなりません。

第76条 利用者に対する居宅サービス計画等の書類の交付

登録者が他の小規模多機能型居宅介護事業所の利用を希望する場合、その他登録者からの申出があった場合には、その登録者に直近の居宅サービス計画及びその実施状況に関する書類を交付しなければならない。

第77条 小規模多機能型居宅介護計画の作成

小規模多機能型居宅介護事業所の管理者は、介護支援専門員に、小規模多機能型居宅介護計画の作成に関する業務を担当させます。

小規模多機能型居宅介護計画の作成にあたり、介護支援専門員は地域における活動への参加などにより、利用者の様々な活動が確保されるものとなるように努めなければなりません。

利用者の心身の状況や希望、置かれている環境を踏まえて、他の小規模多機能型居宅介護従業者と協議の上、小規模多機能型居宅介護計画を基本として、利用者の様態や希望を踏まえて通いサービス、訪問サービス及び宿泊サービスを組み合わせた介護を行わなくてはなりません。また、介護支援専門員は、小規模多機能型居宅介護計画の作成に当たっては、その内容について利用者またはその家族に対して説明し、同意取得と計画書の交付が必要です。

介護支援専門員は小規模多機能型居宅介護計画の実施状況を把握し、必要に応じて計画の変更を行います。

第78条 介護等

介護は、利用者の心身の状況に応じて、利用者の自立の支援と日常生活が充実するよう、適切な技術をもって行うことが求められます。利用者の負担によって、小規模多機能型居宅介護従業者以外の者による介護を受けさせてはいけません。利用者の食事やその他の家事は、原則として利用者と小規模多機能型居宅介護従業者が共同で行うよう努めます。

第79条 社会生活上の便宜の提供等

小規模多機能型居宅介護事業者は、利用者の外出の機会の確保や意向を踏まえた社会生活継続のための支援に努めます。利用者が日常生活を営む上で必要な行政機関に対する手続が困難な場合は、本人の同意を得て代わりに行う必要があります。また、常に利用者の家族との連携を図るとともに利用者とその家族との交流等の機会を確保するよう努めます。

第80条 緊急時等の対応

小規模多機能型居宅介護サービスを提供している際に、利用者の病状の急変等が生じた場合には、速やかに主治医へ連絡を行う等の対応を行う必要があります。

第81条 運営規程

事業所の重要事項を定めた以下のような運営規程を作成する必要があります。

  1. 事業の目的及び運営の方針
  2. 従業者の職種、員数及び職務の内容
  3. 営業日及び営業時間
  4. 小規模多機能型居宅介護の登録定員と通いサービスおよび宿泊サービスの利用定員
  5. 小規模多機能型居宅介護の内容及び利用料その他の費用の額
  6. 事業の実施地域
  7. サービス利用に当たっての留意事項
  8. 緊急時等における対応方法
  9. 非常災害対策
  10. 虐待の防止のための措置に関する事項
  11. その他運営に関する重要事項

第82条 定員の遵守

指定小規模多機能型居宅介護事業者は、登録定員や「通い」「宿泊」の利用定員を超えてサービスを提供してはいけません。ただし、利用者の状態や希望などから特に必要と認められる場合には、一時的に定員を超えることは認められます。また、災害などやむを得ない事情がある場合も、この限りではありません。

また、過疎地域などで事情によって市町村の判断で、介護保険事業計画の期間内(必要に応じて次期計画まで)、定員を超えて運営できる場合もあります。

第83条 協力医療機関等

小規模多機能型居宅介護事業者は、主治医との連携を基本として、利用者の病状の急変等に備えるため、あらかじめ協力医療機関を定めておかなければなりません。また、協力歯科医療機関についても定めておくよう努めます。

サービスの提供体制の確保、夜間における緊急時の対応等のため、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、病院等との間の連携や支援の体制を整えておきます。

第84条 調査への協力等

小規模多機能型居宅介護事業者は、提供したサービスに関して市町村が行う調査に協力するとともに、市町村から指導または助言を受けた場合には、必要な改善を行わなければなりません。

第85条 削除

平成28年に公布された厚生労働省令第14号によって削除されました。

第86条 居住機能を担う併設施設等への入居

小規模多機能型居宅介護事業者は、可能な限り利用者が自宅で生活を継続できるよう支援することを前提として、もし施設への入所等を希望した場合は、円滑に入所が行えるよう、必要な対応を行なうよう努めます。

第86条の2 利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会の設置

業務の効率化や介護の質や生産性向上のため、利用者の安全や介護の質、職員の負担軽減を行うための委員会(テレビ電話の活用も可能)を定期的に開催しなければなりません。

第87条 記録の整備

職員、設備、備品、会計に関する記録や、提供サービス記録などを整理し、2年間保存しなければなりません。サービス提供に関する書類は以下の通りです。

  1. 居宅サービス計画
  2. 小規模多機能型居宅介護計画
  3. 提供した具体的なサービスの内容等の記録
  4. 身体的拘束を行った際の様子及び時間、心身の状況及びにやむを得ない理由の記録
  5. 市町村への通知に係る記録
  6. 苦情の内容等の記録
  7. 事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録
  8. 報告、評価、要望、助言等の記録
参考:指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(◆平成18年03月14日厚生労働省令第34号)|厚生労働省

小規模多機能型居宅介護の運営基準を守るために気を付けるべきポイント

小規模多機能型居宅介護の運営基準を守るために気を付けるべきポイントは以下の通りです。

運営基準は定期的に見直す

小規模多機能型居宅介護の運営基準は、法改正やガイドラインの更新により内容が変わることがあります。そのため、事業所は開業後も定期的に基準を確認し、必要に応じて運営ルールを見直すことが大切です。これにより、常に適切で安全なサービス提供が可能になり、実地指導や監査にも対応することができます。

職員に運営基準を周知する

運営基準を守るためには、職員全員がその内容を理解していることが重要です。基準に沿ったサービス提供、記録の作成、個人情報の管理、苦情対応など、日常業務で必要な対応を職員に周知することで、サービスの質を一定に保つことができます。研修やマニュアルを活用して、日々の業務で意識できる体制を整えることも効果的です。

運営基準の遵守などが定期的に確認される「運営指導(実地指導)」とは?

運営指導とは行政の担当者が事業所を訪れ、適正な介護保険サービスが運営されているかを定期的に調査するもので、事業所の指定有効期間内に少なくとも1回は実施されます。

運営指導の結果、違反が見つかると指定取消や効力の停止などの処罰が下される場合があります。介護事業所は、都道府県知事から指定を受けて介護保険法に基づく介護事業を運営しています。つまり、この指定が取り消されるか、効力が停止されると、介護事業所は介護保険法に基づく介護事業運営を行うことができなくなります。運営指導で引っかからないためにも、日頃から運営基準を守り、健全な運営を行うことが重要です。

小規模多機能型居宅介護の運営指導(実地指導)で確認される標準確認文書一覧

小規模多機能型居宅介護の実地指導で確認される書類は以下の通りです。これらの資料は、サービスの質や適切なサービス提供のために必要な帳票類が整備されているかを確認するためのものです。

  • 平面図(行政機関側が保存しているもの)
  • 重要事項説明書(利用申込者又は家族の同意があったことがわかるもの)
  • 利用契約書
  • サービス提供記録
  • 送迎記録がわかるもの
  • 身体的拘束等の記録(身体的拘束等がある場合)
  • 身体的拘束等の適正化のための指針
  • 身体的拘束等の適正化検討委員会の開催状況及び結果がわかるもの
  • 身体的拘束等の適正化のための研修の開催状況及び結果がわかるもの
  • サービス担当者会議の記録
  • 支援経過記録等
  • 個別サービス計画
  • 居宅サービス計画
  • 小規模多機能型居宅介護計画(利用者又は家族の同意があったことがわかるもの)
  • アセスメントの結果がわかるもの
  • モニタリングの結果がわかるもの
  • 雇用の形態(常勤・非常勤)がわかるもの
  • 従業者の勤怠状況がわかるもの(例:タイムカード、勤怠管理システム)
  • 資格要件に合致していることがわかるもの(例:資格証の写し、研修を終了したことがわかるもの)
  • 管理者の雇用形態がわかるもの
  • 管理者の勤務体制及び勤務実績がわかるもの(例:勤務体制一覧表、勤務実績表)
  • 管理者の勤怠状況がわかるもの(例:タイムカード、勤怠管理システム)
  • 研修を修了したことがわかるもの
  • 介護保険番号、有効期限等を確認している記録等
  • 請求書
  • 領収書
  • 運営規程
  • 従業者の勤務体制及び勤務実績がわかるもの(例:勤務体制一覧表、勤務実績表)
  • 職場におけるハラスメントによる就業環境悪化防止のための方針
  • 国保連への請求書控え
  • 業務継続計画
  • 訓練の計画及び実績がわかるもの
  • 非常災害時の対応計画(管轄消防署へ届け出た消防計画(風水害、地震対策含む)又はこれに準ずる計画)
  • 避難・救出等訓練の実施状況がわかるもの
  • 通報、連絡体制がわかるもの
  • 生産性向上のための委員会の開催状況がわかるもの
  • 感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会の開催状況・結果がわかるもの
  • 感染症の予防及びまん延の防止のための指針
  • 感染症の予防及びまん延の防止のための研修及び訓練の実施状況・結果がわかるもの
  • 個人情報の利用のための同意書
  • 従業者の秘密保持誓約書
  • パンフレット/チラシ
  • web 広告
  • 苦情の受付簿
  • 苦情への対応記録
  • 運営推進会議の記録
  • 市町村、利用者家族、居宅介護支援事業者等への連絡状況がわかるもの
  • 事故に際して採った処置の記録
  • 損害賠償の実施状況がわかるもの
  • 虐待の防止のための対策を検討する委員会の開催状況及び結果がわかるもの
  • 虐待の防止ための指針
  • 虐待の防止ための研修の計画及び実績がわかるもの
  • 担当者を置いていることがわかるもの
参考:厚生労働省 確認項目及び確認文書

小規模多機能型居宅介護の運営基準を守らなかった場合の処分

運営基準を満たしておらず、運営基準違反となった場合、指定取消・指定の効力停止処分の対象となります。以下では、指定取消・指定の効力停止処分とはどのような措置なのかを詳しく解説していきます。

効力の一部停止とは

介護事業所が、運営基準に違反していたり、利用者の人格を尊重する義務に違反していた場合など、介護保険法第77条に該当する重大な問題があると認められた場合、指定権者(都道府県などの行政機関)は、効力の一部停止を行うことができます。効力の一部停止とは、新規利用者の受入停止、介護報酬請求額の上限設定(期間を限定して報酬額を通常の 70%とする)などの制限が挙げられます。

このような処分を行う場合、行政手続法に基づき、次のようなルールが定められています。

  • 処分の前に、事業所に「弁明の機会(意見を述べる機会)」を与える必要があります(第13条)
  • 処分の基準をあらかじめ設定・公表する努力義務があります(第12条)
  • 処分を行う際には、その理由を明示しなければなりません(第14条)

なお、指定効力の一部停止は、事業所にとって深刻な影響を与える一方で、利用者のサービス継続にも関わるため、処分内容の検討にあたっては、利用者保護の観点も十分に考慮されるべきです。

効力の全部停止とは

効力の全部停止とは、事業所が一定期間、介護サービスを提供できなくなる重大な措置です(介護保険法第77条第1項など)。このような処分を行う際には、以下の条件を満たす必要があります。

  • 弁明の機会の付与:事前に、事業所に対して「説明や反論の機会」を設けることが法律で義務付けられています(行政手続法第13条)。
  • 処分基準の設定・公表の努力:処分の判断基準をあらかじめ整備し、公表するよう努めることが求められています(行政手続法第12条)。
  • 処分理由の明示:実際に効力停止を命じる場合は、その理由を文書でしっかりと伝える義務があります(行政手続法第14条)。

また、効力を停止する期間や内容の決定にあたっては、利用者への影響を最小限に抑えることが大切です。特にサービスの継続性が損なわれないよう、各自治体が丁寧に検討し対応する必要があります。

指定取消とは

介護事業所が重大な法令違反などを犯した場合、都道府県などの指定権者は「指定取消し」という最も重い行政処分を行うことができます(介護保険法第77条第1項など)。この「指定取消し」は、介護保険制度に基づくサービス提供そのものができなくなるため、事業の継続が不可能になります。

指定取消しの手続きで必要なこと

  • 必ず「聴聞」を行う必要がある
    指定取消しを行う際は、事業所に対し「正式な意見陳述の機会(聴聞)」を設けることが法律で義務づけられています。
    ※この場合、「弁明の機会」では代用できません(行政手続法第13条第1項第1号)。
  • 処分基準の整備・公表が求められる
    処分を行う際の判断基準を明確にし、公表するよう努めることが求められています(行政手続法第12条第1項)。
  • 処分理由の提示が必要
    指定取消しを通知する際には、その理由を明示する必要があります(行政手続法第14条第1項)。

 

指定を取り消し、又は指定の全部若しくは一部の効力を停止したときは、指定権者は介護保険法第 78 条第3項等に基づいて、事業所名、処分の内容及びその期間など介護保険法施行規則第 131 条の2等に定められた事項を公示します。

まとめ

小規模多機能型居宅介護の運営基準は、事業所を適正に運営し、利用者が安心してサービスを受けられるようにするために定められたルールです。各基準をしっかり理解し、開設後も運営基準を定期的に見直す・職員への運営基準を周知するなど、継続的な取り組みが必要です。今回紹介した内容を参考に、安心して選ばれる小規模多機能型居宅介護の運営を目指しましょう。

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