介護の基礎知識
ケアマネジャーの担当件数の上限や平均は?【2024年度報酬改定版】
- 公開日:2025年08月27日
- 更新日:2025年08月27日

ケアマネジャー(介護支援専門員)が1人で担当できる利用者数には、介護報酬上の上限が定められています。2024年度の介護報酬改定では、この利用者の上限件数が引き上げられました。
「何件まで担当できるのか?」「平均的にはどのくらい担当しているのか?」という疑問は、ケアマネ業務の負担感や事業所経営に直結するテーマです。本記事では、2024年度版の最新情報をもとに、担当件数の上限や平均値、担当件数を調整する上で重要な「逓減制」、担当件数のカウント方法についても解説します。
ケアマネジャーの担当件数上限引き上げの背景
担当件数上限引き上げの大きな理由として、ケアマネジャーの人材不足が挙げられます。高齢化が進み要介護認定者は増加している一方で、ケアマネジャーの数は十分に確保できていません。特に地方や過疎地域では、利用者を受け入れるケアマネジャーが不足し、サービス提供に支障が出るケースも見られていました。こうした状況を緩和するため、担当件数の上限を拡大する必要があったのです。
もうひとつの背景は、業務効率化の進展です。介護ソフトの導入やICTの活用が広がり、ケアプラン作成や記録、請求といった事務作業の効率化が進んでいます。従来であれば人手や時間が不足しやすかった部分が、システム化によって軽減されてきたことで、一定の条件下であればより多くの利用者を担当できると判断されました。
このように、ケアマネジャーの担当件数上限の引き上げは、人材不足の解消とICT活用による効率化の流れを背景に実施されたものです。現場の負担を抑えつつ、利用者が必要な支援を受けられる体制づくりが目的とされています。
居宅介護支援のケアマネジャーの担当件数上限
居宅介護支援のケアマネジャーの担当件数の上限は、2024年度の介護報酬改定より変更になりました。介護報酬改定前ケアマネージャー1人あたりの1ヵ月の担当件数の上限は、39件でしたが、2024年度の介護報酬改定により、上限が44件に引き上げられました。
さらに、居宅介護支援費(Ⅱ)の算定要件を満たしている事業所では、49件まで担当することが可能になりました。
▼居宅介護支援費(Ⅱ)の算定要件
ケアプランデータ連携システム活用及び事務職員の配置
※ケアプランデータ連携システムは、同等の機能とセキュリティを有すると認められたシステムも含む
▼事務員の配置条件
- 介護支援専門員が行う一連の業務等の負担軽減や効率化に資する職員を配置
- 事務員の勤務形態は常勤でなくても可
- 居宅介護支援事業所内の配置に限らず、同一法人内の配置でも可
- 勤務時間数については特段の定めを設けない
担当件数45件以上から適応される「逓減制」とは?
担当件数が増えすぎると、1人1人に対するケアの時間が減り、質の低下を招きます。無理な担当件数の増加を防ぐ観点から、ケアマネジャーの1件あたりの居宅介護支援費は、担当件数が増えると段階的に減額される仕組みになっており、これを「逓減制」といいます。2024年の介護法改定では逓減制が適応される上限数や単位数が変更されました。

介護支援専門員1人当たり取扱件数が40件以上の場合40件目から、60件以上の場合60件目から逓減制によって評価が低くなります。(40件未満は居宅介護支援費(Ⅰ)、40件以上60件未満の部分は(Ⅱ)、60件以上の場合は(Ⅲ)を適用。)逓減制において、一定のICTの活用や事務職員の配置をしている事業者は、逓減制の適用(居宅介護支援費(Ⅱ)の適用)を45件以上の部分からに見直す。併せて、逓減率(居宅介護支援(Ⅱ)及び(Ⅲ)の単位数)にメリハリをつけた設定とされました。
※例外として、自然災害や感染症等への突発的な対応で利用者を受け入れた場合や周辺の中山間地域等の事業所の存在状況からやむを得ず利用者を受け入れた場合は例外的に件数に含めないこととされています。
ケアマネジャーの担当件数のカウント方法に注意
介護報酬の請求における担当件数の数え方は、要介護の利用者は「1」として数え、要支援の利用者は「3分の1」として数えます。2024年の介護法改正以前は要支援は「2分の1」とカウントされていたため、混乱しないように注意しましょう。
ケアマネジャーの担当件数の平均
居宅介護支援のケアマネジャーの担当件数は35人程度が基準とよく言われますが、逓減制の上限が45人に変更されたことにより、令和4年度の居宅ケアマネの平均担当件数は44.0人と増加傾向にあります。以下は厚生労働省の調査によるケアマネの平均担当件数の変化です。
年度 | 平均担当件数 | 備考 |
---|---|---|
平成30年度(2018年度) | 36.3/人 | |
令和元年度(2019年度) | 39.4/人 | |
令和3年度(2021年度) | 42.7/人 | 逓減制の上限が45人に変更 |
令和4年度(2022年度) | 44.0/人 |
ケアマネジャー担当件数の上限を超えないための対策

担当できる件数の幅は広がりましたが、それでも上限を超えてしまえば報酬の算定に影響が出たり、業務の質を維持することが難しくなったりします。だからこそ、日ごろから件数を適切に管理し、無理のない体制を整えておくことが大切です。ここでは、担当件数が上限を超えないための具体的な対策について見ていきましょう。
新規利用者の受け入れを計画的に管理する
ケアマネジャーが担当できる件数には上限があるため、新規利用者の受け入れは慎重に調整する必要があります。常に「現在の担当件数」を把握できるようにしておくことが大切です。案件管理シートや介護支援ソフトを活用し、件数を自動的にカウントできる仕組みを整えると効率的です。
ICT導入や事務職員配置で「区分Ⅱ」を満たす
2024年度の介護報酬改定では、ICTの導入かつ事務職員の配置を行うことで「区分Ⅱ」の要件を満たすと、担当件数の上限が49件に拡大されます。システム導入による業務効率化や、補助金を活用した事務職員の雇用などを検討することで、無理なく多くの利用者を担当できる体制をつくることが可能です。
事業所内で担当件数を分担する
複数のケアマネジャーが在籍している事業所では、担当件数に偏りが出ないように振り分けを行うことが大切です。定期的に担当件数を確認し、調整会議を設けることで、特定のケアマネジャーに過度な負担が集中するのを防げます。
非常勤ケアマネジャーを雇用する
常勤のケアマネジャーだけでなく、非常勤のケアマネジャーを雇うことで人員を確保できます。週数日の勤務や時短勤務でも、担当件数を分担することで全体の負担を軽減できます。働き方の多様化にも対応できる方法です。
他の介護サービス事業所と兼務して人員を確保する
訪問介護や通所介護など、他の介護サービス事業所で働いている介護職員がケアマネ資格を持っている場合、兼務という形でケアマネジャーとして稼働してもらう方法もあります。自事業所だけで人材を確保するのが難しい場合でも、グループ内や地域の連携を活用すれば人員を補えます。
まとめ
ケアマネジャーの担当件数は、2024年度の介護報酬改定により、一定の条件を満たすことで上限が見直され、より柔軟に対応できるようになりました。制度としての幅が広がったことで、地域におけるケアマネジャーの役割や業務のあり方にも新しい可能性が生まれています。
一方で、件数とケアの質のバランスの取り方が問われます。利用者への支援を充実させながら、ケアマネジャー自身の負担をどう調整するかが今後の大きなテーマとなるでしょう。
今回の改定は、ケアマネジメントの現場に「量」と「質」の両面から見直しを促す契機といえます。制度の数字を理解するだけでなく、その背景にある目的を踏まえ、持続可能な支援の形を考えていくことが求められています。
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ケアマネジャーが安心してより多くの利用者を担当するためには、業務の効率化が欠かせません。介護ソフト「トリケアトプス」は、ケアプラン作成や記録、請求などの煩雑な作業を効率的に進められるため、ケアマネジャーの負担を減らしつつ、担当できる件数を増やすことに役立ちます。
また、トリケアトプスはケアプランデータ連携システムに対応しており、2024年度介護報酬改定で新たに導入された「居宅介護支援費(Ⅱ)」の算定要件を満たすことができます。これにより、担当件数の上限を従来の44件から最大49件まで拡大することが可能になります。
さらに、ソフト内で担当件数の上限管理ができる機能も備わっているため、件数超過による算定ミスや事務処理の煩雑化を防ぐことができます。業務効率化と算定要件対応を同時に実現できるため、トリケアトプスはケアマネジャーがより多くの担当件数を無理なく担当するために重要なサポートツールになります。
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