介護の基礎知識
デイサービスにおける看護師の配置時間とは?配置で算定できる加算についても解説
- 公開日:2025年08月27日
- 更新日:2025年08月27日

デイサービス(通所介護)において、看護師の配置は利用者の健康管理や緊急時対応の要となる重要な役割を担っています。とくに医療的ケアが必要な高齢者や体調変化が起こりやすい方に対しては、看護師の的確な観察や判断がサービスの質を左右します。また、看護師を適切に配置することで、加算を算定できる可能性もあり、事業所運営においても大きなメリットとなります。本記事では、デイサービスにおける看護師の配置時間の考え方と、配置により算定可能な加算について詳しく解説します。
デイサービスにおける看護師の配置時間とは
デイサービス(通所介護)においては、看護職員または准看護師を単位ごとに1名以上、専従で配置することが法律で定められています。ここでいう「専従」とは、当該事業所の業務に常時従事していることを意味し、原則として他の事業所との兼務はできません。
配置時間自体は「法令で画一的に決められている」のが原則ですが、実際の現場では利用者の健康状態や医療的ケアの必要性に応じて、看護職員を複数名配置したり、時間を延長したりする事業所もあります。これは基準以上の体制強化としての運用であり、必須要件ではありません。
適正な看護体制を確保することは、利用者の安全や安心の提供だけでなく、医療的ケア加算などの取得にも関係するため、事業所の運営戦略の一環として重要です。
【2025年最新版】デイサービスの看護師配置基準

デイサービスの看護師配置基準は、配置時間を定めるうえで重要な要素です。以下では、2025年最新版のデイサービスの看護師配置基準について解説します。
デイサービスにおける常勤・非常勤看護師の配置基準
デイサービスにおける常勤・非常勤看護師の配置基準は以下の通りです。
- 人数
単位ごとに専従で1人以上 (※デイサービスの提供時間帯を通じて専従する必要はなく、訪問看護ステーション等との連携も可能。) - 資格要件
看護師もしくは准看護師
また、定員10名以下の地域密着型通所介護事業所の場合は看護職員又は介護職員のいずれか1名の配置で問題ありません。
機能訓練指導員兼務の場合
看護職員が機能訓練指導員を兼務することは可能です。ただし、同一の時間帯に複数の職種を同時に担うことは認められていません。そのため、勤務シフト上で「看護職員としての時間」と「機能訓練指導員としての時間」を明確に区分する必要があります。たとえば、看護師として記録業務やバイタルチェックを行っている時間帯に、同時に機能訓練指導員として個別訓練を行うことはできません。逆も同様で、機能訓練を実施している時間に看護業務を兼ねることはできないということになります。
看護職員が複数在籍している事業所では、そのうちの一部が機能訓練指導員としての役割を担うことも十分に考えられます。その際も、職種ごとの役割分担と勤務時間の明確化が必要です。
デイサービスで看護職員を配置することで算定できる加算
デイサービスの看護職員の配置基準は単位ごとに専従で1人以上ですが、配置基準以上の数の看護職員を配置することを算定要件に含む加算もいくつか存在します。以下では2025年最新版の、配置基準以上の数の看護職員を配置することを算定要件に含む加算の単位数と算定要件をご紹介します。
認知症加算
認知症加算とは、認知症の利用者に介護サービスを提供した際に算定できる加算です。
算定単位数:1日60単位
算定要件:以下のいずれも満たす場合
- 人員基準に規定している人数に加え、看護職員または介護職員を常勤換算方法で2以上確保する
- 前年度あるいは算定日の月の前3ヶ月間の利用者の総数のうち、介護を必要とする認知症の利用者が占める割合が15%以上
- 認知症介護に関する研修を修了した職員、または認知症ケアに関する専門性の高い看護師を1名以上配置する
- 当該事業所の従業者に対する認知症ケアに関する事例の検討や技術的指導に係る会議を定期的に開催していること
中重度ケア体制加算
中重度者ケア体制加算とは、中重度の要介護者を受け入れる体制が整っており、利用者に応じたサービスを提供したときに算定される加算です。
算定単位数:1日45単位
算定要件:以下のいずれも満たす場合
- 指定された基準以上の介護職員、または看護職員の数に加え、それぞれ常勤換算で2以上確保している
- 前年度または算定月の前3ヶ月間前の利用者の総数のうち、要介護3以上の利用者が3割以上を占めている
- サービス提供時間のなかで、専従の看護職員を1名以上配置する
デイサービスにおける看護師の役割

以下ではデイサービスにおける看護師の役割について解説します。
1. 健康状態の観察と記録
デイサービスの看護師は、利用者のバイタルサイン(血圧・脈拍・体温など)や体調の変化を日々観察・記録し、体調不良の早期発見に努めます。特に持病のある利用者に対しては、常に注意が必要です。
2. 医療的ケアの提供
介護士が行える医療行為は、異常がない場合の爪切りや耳垢の除去など限定されています。また、条件付きで喀痰吸引や経管栄養が行えますが、医師の指示が必要です。ただし、介護士が行える医療的行為を行う場合も、病状が不安定で、専門的な管理が必要な場合は、医行為とみなされることがありますので、注意が必要です。
摘便やインスリン注射、褥瘡の処置は介護士は禁止されています。また、血圧測定に関して「自動血圧測定器により血圧を測定すること」は看護師でなくとも対応が認められますが、「水銀血圧計を使用する場合」については、看護師以外の職種が対応することはできません。これらの介護士ができない医療行為の提供を行うのも看護師の役割です。
3. 服薬管理と服薬支援
利用者が決められた時間に適切に服薬できるようにサポートします。薬の残数や服薬状況の確認、飲み忘れ防止の声かけも重要な役割です。
4. 急変時の初期対応と関係機関との連携
体調の急変時には、看護師が迅速に初期対応を行い、必要に応じて主治医や救急医療機関と連携します。また、家族やケアマネジャーへの報告も適切に行います。
5. 介護職員への助言と支援
介護士が安全に医療行為を行えるよう、医療的な視点からの助言や支援を行います。たとえば、褥瘡予防のための体位交換方法の指導や、感染症対策の助言などが挙げられます。
6. 利用者や家族への健康相談・指導
利用者やその家族からの健康相談に応じ、日常生活上のアドバイスや疾患への理解を深める支援を行います。信頼関係の構築も看護師の重要な役割です。
まとめ

デイサービスにおける看護師の配置は、利用者の健康と安全を守るだけでなく、人員基準を満たす意味でも重要です。看護師の配置基準を把握し、シフト管理を適切に行うことが、加算の算定にも直結します。今後の報酬改定や制度変更に備え、最新情報を常にチェックしながら、利用者一人ひとりに最適な看護体制を整えていくことが求められます。看護師の配置は、サービスの質向上と事業所の安定経営の両立につながります。