介護の基礎知識
【2024年改定対応】看取り介護加算ⅠⅡの算定要件・単位数
- 公開日:2025年07月30日
- 更新日:2025年07月30日

看取り介護加算とは、利用者が人生の最期を迎える時期に、介護施設等で適切なケアを提供することに対して支給される加算です。特別養護老人ホームや特定施設入居者生活介護、グループホームなど、居住系サービスの安定した事業所運営のために、終末期利用者へ質の高いケアを提供すると同時に、適切に加算を取得することが求められています。
本記事では、加算ⅠとⅡの算定要件や、死亡日前からの日数区分ごとの単位数、算定要件を網羅的に解説します。2024年改定に対応した最新情報を押さえ、業務や請求業務にすぐに活かせる内容です。
看取り介護加算の対象となる介護事業所
看取り介護加算の対象となる介護事業所は以下の3つです。
- 特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護)
- 特定施設入居者生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護
- 認知症グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
看取り介護加算の算定要件
看取り介護加算を取得するには、算定要件を満たす必要があります。看取り介護加算Ⅰと看取り介護加算Ⅱでそれぞれ算定要件が異なります。
看取り介護加算Ⅰの算定要件
- 常勤の看護師を1人以上配置し、24時間連絡できる体制を確保していること
- 看取りに関する研修をおこなっている
- 看取りをおこなう際に、個室や静養室の利用ができる
- 利用者に医師より、適切な情報提供と説明がなされた上で、医療・介護職と十分な話し合いをした上で、ご本人・またはご家族による意思決定によって進めていること
- 医療・ケアチームにより、疼痛などの緩和・本人家族への精神的・社会的援助も含めた総合的な医療・ケアをおこなっていること
- 時間の経過により、心身の状況が変化することもあるため、医療・ケアチーム・本人・家族との話し合いを繰り返しおこない、文書にまとめておく
- 看取りに関する協議の参加者として、生活相談員を明記する
- 施設サービス計画の作成時、本人の意思を尊重した医療・ケアの方針決定に対する支援に努めている
看取り介護加算Ⅱの算定要件
看取り介護加算Ⅱの算定の際は、看取り介護加算Ⅰの要件に加え、以下の算定要件を満たす必要があります。
- 配置医師と施設の間で、利用者に対する注意事項、病状等の情報共有、医師との連絡方法、診察依頼の具体的状況等を取り決めている
- 複数名の配置医師を配置もしくは、配置医師と協力医療機関の医師が連携することで、施設の求めに応じて24時間対応の体制が確保されている
また、介護付きホームに関しては、「看取り期は、夜勤又は宿直の看護職員を配置すること」という算定要件が加えられるため注意が必要です。
看取り介護加算の施設・死亡日からの日数区分別の単位数
看取り介護加算は施設のサービス種別や死亡日前からの日数区分ごとに単位数が異なります。以下では条件ごとの単位数を表にしておりますのでご覧ください。
特別養護老人ホームの単位数
死亡日 | 看取り介護加算Ⅰ | 看取り介護加算Ⅱ |
---|---|---|
死亡日45日前~31日前 | 72単位/日 | 72単位/日 |
死亡日30日前~4日前 | 144単位/日 | 144単位/日 |
死亡日前々日・前日 | 680単位/日 | 780単位/日 |
死亡日 | 1280単位/日 | 1580単位/日 |
特定施設入居者生活介護(地域密着型施設を含む)の単位数
死亡日 | 看取り介護加算Ⅰ | 看取り介護加算Ⅱ |
---|---|---|
死亡日45日前~31日前 | 72単位/日 | 572単位/日 |
死亡日30日前~4日前 | 144単位/日 | 644単位/日 |
死亡日前々日・前日 | 680単位/日 | 1180単位/日 |
死亡日 | 1280単位/日 | 1780単位/日 |
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の単位数
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)で算定できる看取り介護加算はⅠのみです。
死亡日 | 看取り介護加算Ⅰ |
---|---|
死亡日45日前~31日前 | 72単位/日 |
死亡日30日前~4日前 | 144単位/日 |
死亡日前々日・前日 | 680単位/日 |
死亡日 | 1280単位/日 |
まとめ
看取り介護加算の取得には、施設ごとの単位数や算定期間、必要な記録・手続きについて正しく理解し、利用者本人やご家族の意向に沿った終末期ケアを提供できる体制づくりが求められます。
制度を正しく理解し、加算要件を満たしたうえで適切に算定することが、介護の質の向上と職員の働きやすさの両立につながるといえるでしょう。今後も制度の変更に注視しながら、看取り介護の現場における支援体制を充実させていくことが大切です。