無料体験お申込み 資料請求・お問い合わせ

介護の基礎知識

「SOAP」を活用した看護記録の書き方 | 良い例・悪い例を踏まえて解説

  • 公開日:2025年05月12日
  • 更新日:2025年05月12日

看護記録や介護記録を記載する際に用いられる代表的な形式の一つが「SOAP(ソープ)」です。電子カルテの普及により、日々の記録をより正確かつ簡潔に残すことが求められる中、SOAP形式の理解と活用はますます重要になっています。しかし、実際の現場では「どこまで書けばいいの?」「SとOの違いがあいまい…」と悩むことも少なくありません。本記事では、SOAPそれぞれの要素の基本的な考え方に加えて、良い書き方とありがちなNG例を交えながら、わかりやすく解説します。

誰が読んでも状況が正確に伝わる記録を目指すために、ぜひ参考にしてください。

SOAPとは?

SOAP(ソープ)とは、看護記録や介護記録を書く際の書式の1つです。「S」は「subjective data」(主観的データ)「O」は「objective data」(客観的データ)「A」は「assessment」(アセスメント)「P」は「plan」(計画)の4項目にそって内容を記入していきます。以下では4項目それぞれについて解説します。

Subjective data(主観的データ)

Subjective data(主観的データ)は利用者本人や家族などから得られた主観的な情報を指します。たとえば、本人が「最近あまり眠れない」と話したり、「足が痛くて歩きにくい」と訴えたりするような内容が該当します。重要なのは、これらの情報が“感じたこと”や“思ったこと”など、本人の主観に基づいているという点です。そのため、記録する際には、できるだけ本人の言葉をそのまま記載するように心がけます。

Objective data(客観的データ)

Objective data(客観的データ)は実際に観察したことや測定によって得られた、誰が見ても同じように判断できる情報を指します。たとえば、バイタルサイン(体温、血圧、脈拍など)や、食事摂取量、歩行状況、表情、排泄の状態などが含まれます。記録においては、数字や事実に基づいて、主観的な解釈を交えずに淡々と記載することが求められます。

Assessment(アセスメント)

Assessment(アセスメント)はSとOの情報を踏まえて、専門職としての評価や分析を行う部分です。ここでは、「なぜそのような状況になっているのか」「どのような背景があるのか」といったことを総合的に考察します。たとえば、「足の痛みの訴えがあるため、活動量が低下しており、その影響で食欲も落ちている可能性がある」といったように、SとOを結びつけて利用者の状態を読み解いていきます。記録を読む他職種が、利用者の現状や問題点を把握しやすくなるように書くことが大切です。

Plan(計画)

Plan(計画)は今後の支援の方向性や具体的な対応策を示します。この項目では、たとえば「足の痛みについて整形外科受診を家族に提案する」「食事量の変化について経過観察を継続し、必要に応じて栄養士に相談する」といったように、具体的かつ実行可能な内容を記載します。また、いつ、誰が、どのように対応するかを明確にすることで、ケアチーム全体の連携を図ることができます。

SOAPによる記録の書き方実例(良い例・悪い例)

以下では看護や介護の現場でよく見られる状況をもとにしたSOAP形式の記録実例を3パターン、良い例・悪い例を踏まえてご紹介します。

実例①:利用者が足の痛みを訴えている場合(訪問介護)

S(主観的データ)

【良い例】「昨日から右足が痛くて歩くのがつらい。段差の上り下りが特にきつい」と本人より訴えあり。

【悪い例】「足が痛いらしい」
→誰の発言か不明確で、本人の言葉として記録されていない。

O(客観的データ)

【良い例】歩行時に右足をかばう様子あり。自室からトイレまでの移動に1分半程度要し、途中で壁に手をついて休む姿が見られた。右足に腫脹や発赤は認められず、体温36.7℃、血圧132/78mmHg。

【悪い例】「足が痛そうだった」
→どんな状態かイメージしづらく、具体性がない。また、「痛そうだった」は看護師の主観が入っている。

A(アセスメント)

【良い例】筋肉痛または軽度の捻挫の可能性。転倒などの外的要因はなく、活動量の低下による筋力低下も背景にあると考えられる。日常動作への影響が懸念される。

【悪い例】「多分筋肉痛だと思う」
→「多分」や「〜と思う」は曖昧で、専門職のアセスメントとして信頼性に欠ける。

P(計画)

【良い例】本日午後、看護師に状態報告し、必要に応じて主治医へ連絡を検討。歩行補助具の使用を一時的に提案予定。家族にも状況を共有し、転倒予防のため動線の整理を依頼する。

【悪い例】「すぐに状態を報告した」
→誰が・いつ・何をするかを明確にすることが大切。誰にいつ報告したのかがわからないためNG。

実例②:利用者の食欲低下が見られる場合(通所介護)

S(主観的データ)

【良い例】「最近、あまりお腹が空かない」と本人より発言あり。「なんとなくだるくて…」とも話される。

【悪い例】「見た感じは元気そうに見える」
→看護師の主観が入っているためNG。

O(客観的データ)

【良い例】昼食は主菜半分、副菜と汁物はほとんど手を付けず。水分摂取は200ml程度。表情がやや曇っており、午前の体操には参加せず休憩スペースで静かに過ごす。体温36.3℃、血圧124/76mmHg。

【悪い例】「昼食はほとんど食べていないように見えた」
→「ように見えた」は観察の事実ではなく、印象のためNG。

A(アセスメント)

【良い例】食欲低下と活動意欲の減退が見られる。明確な身体症状は確認されないが、季節の変わり目による体調の変動や心理的要因の可能性も考えられる。脱水や栄養不足の予防が必要。

【悪い例】「たぶん疲れてるのではないか」
→ 推測のみに基づくアセスメントは避け、客観情報と結びつけて分析する。

P(計画)

【良い例】食事摂取状況を今後1週間継続観察。看護師・栄養士に情報共有し、間食や水分補給の工夫を検討。レクリエーションや軽運動への参加を促し、意欲向上を図る声かけを行う。

【悪い例】「水分摂取の声掛けをすれば良かった。」
→看護師の抱負になってしまっている。看護計画にて抱負は不要。

実例③:認知症の利用者が夜間徘徊をした場合(グループホーム)

S(主観的データ)

【良い例】夜勤スタッフに対し「家に帰らなきゃ」「母が心配してる」と話しながら施設内を歩き回っていたとの申し出あり。

【悪い例】「帰りたがっていた」
→抽象的すぎて状況が分からない。「“母が心配”と話された」など具体的な言葉にする。

O(客観的データ)

【良い例】21時過ぎから約30分間、玄関付近を行ったり来たりする様子が見られた。職員の声かけに対しては混乱した表情を見せつつも、最終的には落ち着いて居室に戻る。入眠は22時頃。事故・怪我なし。

【悪い例】「ウロウロしていた」
→「何時頃から」「どの場所をどれくらい」など、行動の具体的な時間・場所・回数が必要。

A(アセスメント)

【良い例】認知症による時間・場所の見当識障害からくる帰宅願望と推測される。夜間の不安感や記憶の混乱が影響した可能性。徘徊による事故リスクが懸念される。

【悪い例】「徘徊があったので困った」
→困っただけでは評価にならず、原因分析や背景の考察が不十分。

P(計画)

【良い例】夜勤者に対し、21時以降の居室確認と見守り強化を指示。居室内の環境調整(照明・音)を検討。昼間の活動量確保と安心感のある日中支援を通じて、夜間の安定化を図る。必要に応じて家族とも連携をとり対応内容を共有する。

【悪い例】「医師へ報告し、眠剤を投与する」
→医師が判断する内容になっているのでNG。あくまで今後の看護の範疇で記載する。看護師資格の責任の範囲を越えた判断は行わないよう注意。

看護記録にてSOAPを用いるメリット

看護記録や介護記録で「SOAP」を用いるメリットは下記の3つです。

① 利用者のニーズに合った看護ができる

SOAP記録では、利用者本人や家族の希望を正確に記録することが重要です。現在提供されている看護サービスが利用者にとって十分であるか、あるいは現在利用している看護サービスとは別のサービスを望んでいるかなどを丁寧にヒアリングし、今後の支援内容に反映していきます。

看護のニーズは利用者ごとに異なるため、SOAPの枠組みを活用することで、個々の状況に応じた、きめ細やかな支援が可能となります。

② 主観と客観の両面から質の高い看護を実現できる

SOAPでは、本人や家族の訴え・気持ちなどの主観的データと、バイタルサインや行動観察、医療機器による測定結果などの客観的データの両方を記録し、分析します。

主観的な希望だけをもとに看護を進めても、身体機能の改善や維持につながらないことがあります。一方で、数値データなど客観的な情報だけに基づいた支援では、本人や家族の意向に沿わないこともあります。

この両者をバランスよく取り入れることで、利用者にとって本当に必要で効果的な看護サービスの提供が可能になります。

③ 中長期的な自立支援につながる看護が行える

看護サービスによって、短期間で利用者の判断力や身体機能が劇的に改善することは難しいのが現実です。そのため、日々の変化に合わせた柔軟な対応を重ねながら、長期的な視点で自立支援を目指すことが求められます。

SOAPを活用すれば、過去の看護記録から現在の支援がケアプランに沿って実施されているかどうかを確認できるほか、支援の目標に対してどの程度達成されているかも把握できます。また、蓄積された記録を分析することで、より実態に即したケアプランの見直しや、今後の看護方針の立案にも活かすことができます。

SOAPを使って看護記録を書く際のポイント

SOAP形式を使って看護記録を書く際のポイントを押さえることでチーム内の情報共有やケアの質の向上につながります。ポイントは以下の通りです。

曖昧な表現を避け、具体的に記録する

  • ×「たぶん痛いのでは」→ ○「『痛い』と訴えあり。歩行時に右膝をさすりながら動作を行う」
  • ×「あまり食べなかった」→ ○「昼食:主菜半分、副菜・汁物は手を付けず。水分摂取100ml」

誰が見ても状況が伝わるように、「数字」「時間」「行動」を使って記録しましょう。

5W1Hを意識する

  • いつ(When)
  • どこで(Where)
  • 誰が(Who)
  • 何を(What)
  • なぜ(Why)
  • どのように(How)

これらを意識すると、記録に抜けや曖昧さがなくなり、後から読んだときにも有用な情報になります。

アセスメントは「決めつけず、冷静に推論する」

Aの部分で「〜に違いない」といった思い込みは禁物です。SとOの情報から論理的に導き出した「可能性のある原因」「今後のリスク」を述べましょう。

P(計画)は“次に活かす”意識で書く

「記録で終わり」ではなく、「記録がケアにつながっているか」が重要です。たとえば「様子を見る」ではなく、「明日のバイタルチェック時に再評価予定」など、具体的で実行可能な計画を書くことが求められます。

チームケアを見据えた看護記録を意識する

SOAPは個人の記録ではなく、チーム全体の共有ツールです。読み手(看護師、他の介護職、ケアマネなど)を意識し、「この記録を見て、他職種がどう行動すべきか」がわかるように仕上げるとより効果的です。

まとめ:SOAPを活用してチームケアの質を高めましょう

SOAPは、単なる記録手法ではなく、より良い看護・介護サービスにつなげるための“思考の整理ツール”です。正しく活用すれば、チームケアの質を高め、利用者一人ひとりに合った支援を実現する大きな力になります。

初めての方も、改めて振り返りたい方も、この機会にSOAP記録の基本をしっかり押さえて、現場での実践に活かしてみてください。

看護・介護ソフトのトリケアトプスの「訪問看護」はSOAPでの看護記録に対応しています

看護・介護ソフトのトリケアトプスの「訪問看護」はSOAPでの看護記録に対応しています。予めSOAPの項目が入っているので、SOAPにそって記録を書く癖付けができ、チーム全体が共通で理解しやすい看護記録の作成が行えます。

実績入力や国保連請求、利用者請求はもちろん、シフト作成やアプリ連携、LIFEやケアプランデータ連携など、低価格帯のソフトながら、多くの機能が付いたコスパの良い看護・介護ソフトです。

トリケアトプスが6,000以上の事業所様に選ばれてきたポイントは以下の4つです。

01 お得な料金体系
トリケアトプスは従量課金制を採用しており、ご請求は使った分のみ。

最低440円/人~使用可能で、従量課金制の看護・介護ソフトの中でも業界最安値です。上限価格もあるため、事業所の規模が大きくなって、思ったより負担が大きくなってしまった…なんてこともなく安心です。
オプションによる追加費用も無しで、全ての機能を標準装備で使用可能です。
02 パソコンが苦手な人でも使いやすい画面
ケアマネジャーやヘルパーさん、どんな人でも使いやすいよう、直感的にどこに何があるか、分かりやすい操作画面を設計しました。
iOS/Androidのスマホアプリも対応しており、スマホからでも簡単に実績入力が行えます。

イメージキャラクターのトリケアちゃんが見守ってくれる、女性に人気の可愛い操作画面です♪
03 ご利用いただいている事業者様の92%が「サポートに満足」と回答
ソフトの使い方で分からないことがあれば、お電話頂ければ、専任のオペレーターが丁寧に対応致します。
開発元が運営も行っているため、わからないことは丁寧にしっかりとご説明することができます。
電話もつながりやすく、困っている時にすぐ頼っていただけます。
04 お客様のお声から機能を開発
お客様から多くの声を寄せられた「こんな機能がほしい!」という機能を、他社では対応できないスピードでの実装を実現。ほぼ標準機能としてアップデートしているため、追加費用はいただきません。開発元がサポートも行っているため、ダイレクトに機能を反映することができます。

トリケアトプスは、最大3ヶ月間の無料体験を実施しています。 この機会にトリケアトプスをぜひお試しください。

介護の基礎知識一覧へ