介護の基礎知識
福祉用具届出コードとTAISコードの違いとは?
- 公開日:2025年05月12日
- 更新日:2025年05月12日

介護保険制度の改正により、2017年10月貸与分から福祉用具レンタルに関して、介護給付費明細書への「TAISコード」または「福祉用具届出コード」の記載が義務化されました。
福祉用具事業所やケアマネジャーの方々の中には、「TAISコードと福祉用具届出コードってどう違うの?」「福祉用具コードとはまた別物なの?」といった疑問がある方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、「TAISコード」と「福祉用具届出コード」また、「福祉用具コード」それぞれの定義や用途、違いについて、分かりやすく解説します。正しい理解をもとに、スムーズな請求業務やケアプラン作成に役立てていただければ幸いです。
TAISコードとは
TAISコード(TAIS = Technical Aids Information System)は、テクノエイド協会が福祉用具情報システム(TAIS)上で、運用する管理コードです。 11桁の数字のコード(例:00001-000010)で、5桁の企業コードと6桁の福祉用具コードをハイフンで結びます。
このコードは、メーカーなどからの申請に基づき、同協会が審査を行った上で、福祉用具として認められた場合に付与され、システム上に商品情報が掲載されます。TAISコードは、福祉用具に関する情報を収集・分類し、提供することで、保険者が給付判断を行う際の参考として活用されています。
- 発行元:公益財団法人テクノエイド協会
- 目的:全国の福祉用具・介護機器に統一的な識別コードを付与し、情報を一元管理するためのもの
- 用途:製品検索、機器分類、参考資料等に使用される
- 特徴:
・メーカーごとに登録申請され、製品単位でTAISコードが割り当てられる
・福祉用具の情報検索や分類に便利(公的データベースで検索可能)
・介護給付費明細書にも代替的に記載可能
福祉用具届出コードとは
福祉用具届出コードとはTAISコードのない商品に対して、福祉用具を管理するために設けられたコードです。5桁の企業コードと6桁の商品コード計11桁の管理番号をハイフンで結びます。TAISコードは企業コードと福祉用具コードの組み合わせであるのに対して、福祉用具届出コードは企業コードと商品コードの組み合わせとなります。
福祉用具届出コードは福祉用具貸与事業者などが、実際に使用・取り扱っている商品ごとに地方厚生局へ届け出る際に使う固有のコードで、例えば、同じ「手すり」でも、メーカーや型番が違えば、それぞれに別の届け出コードが付与されます。
- 発行元:地方厚生(支)局
- 目的:福祉用具貸与事業所などが、実際にレンタルや販売を行っている商品の情報を厚労省に届け出る際に使用されるコード
- 用途:介護給付費明細書(レセプト)や給付管理票などに記載するために使われる
- 特徴:
・介護保険での請求に必要(2017年10月改定以降、原則として記載が義務)
・事業者ごとに届け出た製品ごとに割り当てられる
福祉用具届出コードとTAISコードの違いについて、わかりやすく以下の表にまとめました。
項目 | 福祉用具届出コード | TAISコード |
---|---|---|
発行元 | 地方厚生(支)局 | テクノエイド協会 |
管理主体 | 各事業所が個別に届け出 | メーカーが登録 |
用途 | 請求業務、給付管理 | 請求書類(代替)、商品情報の確認など |
コードの対象 | 各事業所で取り扱う製品 | 福祉用具の製品単位 |
福祉用具コードと福祉用具届け出コードの違い
福祉用具コードと福祉用具届け出コードについても混同されやすいですが別物です。福祉用具コードは介護保険制度において、特定福祉用具販売・貸与品目ごとに設定されているコードのことです。福祉用具届け出コードは実際の製品ごとに事業者が届け出る個別コードであるのに対して、福祉用具コードは用具分類ごとの一般的なコードです。
2025年4月よりサービス利用票のTAISコード欄が変更になりました

厚生労働省は2025年3月6日、今年4月から改正される居宅サービス計画書(ケアプラン)の様式に関するQ&Aを公表しました。福祉用具貸与に関しては、商品ごとに11桁のTAIS(タイス)コードまたは届出コードを記載する欄が設けられましたが、貸与事業所間でのプランのやり取りにおいて、ケアプランデータ連携システムでのCSVファイル連携を行わない場合には、「当面の間、空欄でも差し支えない」と公表しました。
併せて、ケアプランの記載要領も改正され、「TAIS・届出コード」欄については、「福祉用具貸与の場合、公益財団法人テクノエイド協会が管理・運用する福祉用具情報システム(TAIS)に登録されている商品はTAISコードを、TAISコードがない商品については福祉用具届出コードのいずれかを記載する」と定められました。
今回のケアプラン様式の改正は、ケアプランデータ連携システムの標準仕様改訂がきっかけとなっています。様式改正前はケアプランデータ連携を使用してCSVデータをやり取りする際、TAISコードを事業所側で別途入力する必要があり、手間になっていました。ケアプランにTAISコードなどの情報を追加することで、別途コード入力する必要が無くなります。こうした経緯から、ケアプランデータ連携システムの標準仕様の改訂に伴い、ケアプランの様式も見直されることとなりました。
一方で、事業所からは「記載は必須なのか」「コードを誤って記入した場合はどうなるのか」といった疑問や不安の声も寄せられていました。これを受け、厚生労働省は「ケアプランデータ連携標準仕様に準じたCSVファイルでデータ連携を行う場合には記載が必要ですが、データ連携を行わない場合は当面の間、該当項目を空白のままでも差し支えない」とのQ&Aを公表しました。
まとめ
福祉用具届出コードとTAISコードは、どちらも福祉用具を識別するためのコードですが、役割や発行元、使われる場面が異なることがわかりました。請求書類への正しい記載のためにも、それぞれのコードの違いを理解して使い分けることが重要です。本記事が、日々の業務や制度理解の一助になれば幸いです。