介護の基礎知識
簡単・盛り上がる!高齢者向けの座ってできるレクリエーション13選
- 公開日:2025年05月02日
- 更新日:2025年05月02日

運動は健康維持に欠かせない要素ですが、体力や身体の状態により、立って行う運動が難しい方もいらっしゃいます。特に年齢の高い方やリハビリ中の方、または車いすを利用している方にとっては、安全に楽しめるレクリエーションが重要です。そこで今回は、座ったままでも楽しめるレクリエーションをご紹介します。
これらのアクティビティは、体を動かすことが難しい方でも無理なく取り組める内容が中心です。楽しみながら運動機能の維持・向上や、脳の活性化、コミュニケーションの促進にも役立ちます。利用者の状態やニーズに合わせて取り入れ、安心して取り組める環境づくりを心掛けることが大切です。介護サービス事業所などの介護の現場で、ぜひ取り入れてみてください。
座ってできるレクリエーションの特徴とメリット
座ってできるレクリエーションは、バランス機能が低下している高齢者を含め、ほとんどの方が安全に行えます。ここでは、その特徴とメリットをそれぞれ解説します。
【座ってできるレクリエーションの特徴】
座ってできるレクリエーションは、高齢者が無理なく楽しむことができます。座って行うため、足への負担や転倒リスクを最小限に抑えながら楽しんで身体を動かす機会が得られます。
【座ってできるレクリエーションのメリット】
高齢者にとって、座ったままでも適度に体を動かすことができるため、体幹や腕などの筋力の維持や関節の柔軟性を保つのに役立ちます。また、座位での活動は転倒に対する恐怖感が少なく、精神的にリラックスして行いやすいでしょう。さらに、レクリエーションに参加することで日常生活に活力が生まれ、他の利用者と交流することで社会的なつながりを深めることもできます。
施設職員にとって、座位で行うレクリエーションは、一度に複数人で実施しやすい点がメリットになるでしょう。座位での活動は比較的多くの利用者が安心して参加できるため、見守りする人数や範囲を抑えることができます。また、準備や進行も安全に行えるため、効率的にレクリエーションを進めることができます。介護職員の人員に不足感がある場合であっても、座ってできるレクリエーションのバリエーションが豊富であれば、比較的安全に利用者の活動機会を作ることができるでしょう。
座ってでできるレクリエーションの種類

老人ホームやグループホームなどでは、利用者の状況に応じたレクリエーションの選択が重要です。体を動かしたり脳を刺激したりすることで、健康維持にも役立ちます。
今回は、数多く存在するレクリエーションの中から「高齢者が座ってできるレク」を以下の5つに分類してご紹介します。
- 運動系のレクリエーション
- 脳トレ系のレクリエーション
- 大人数で楽しめるレクリエーション
- 少人数で楽しめるレクリエーション
- 道具なしでできるレクリエーション
利用者の人数や体の状況、得意・不得意に合わせて最適なレクリエーションを選び、全員で一緒に楽しみましょう。以下ではレクリエーションの具体的なやり方などを種類別にご紹介します。
運動系のレクリエーション
ペットボトルボーリング
ペットボトルをピンに見立て、座ったままボールを転がして倒すレクリエーションです。座った姿勢でも、腕をしっかり振ることで上半身の筋力が鍛えられます。また、ボールを投げる際に足で踏ん張ることで下半身の筋肉にも適度な刺激が加わります。ピンの配置やボールの重さを工夫することで、利用者の体力に応じた難易度調整ができるのも魅力です。
■準備するもの
- 空のペットボトル 10本(500ml〜2Lのものがおすすめ)
- ボール(サッカーボールやビーチボールなど、転がしやすいもの)
- 水(ペットボトルの重りとして使用)
- ガムテープ(ピンの位置や投球ラインの目印用)
■やり方
①ペットボトルに少量の水を入れて重りにします。入れすぎると倒れにくくなるので、1/4程度が目安です。フタはしっかりと締めるようにしましょう。
②ボーリングと同様に、三角形の形に並べます。各列の間隔は、ボールが転がりやすいように適度に広めにしましょう。ピンの位置にはテープなどで印をつけると、倒れた後の復元がスムーズです。
③ペットボトルから2〜3メートルほど離れた位置に椅子を設置します。椅子に座ってボールを転がしてもらい点数を競います。
ティッシュあおぎ
ティッシュあおぎは、ティッシュペーパーをうちわであおぎ、相手の陣地に落としたり、空中に長く浮かせたりして勝敗を競う、簡単で盛り上がるレクリエーションです。簡単な道具で気軽に楽しめるうえ、応用ルール次第でさまざまな楽しみ方ができます。
■準備するもの
- ティッシュペーパー(1枚でOK)
- うちわ(人数分)
- 床に円陣の境界線を描くためのテープやひも
- タイマー(スマートフォンのタイマー機能でも可)
■やり方
①1チーム5人前後を目安に、複数のグループを作ります。人数が多い場合はトーナメント形式にするのもおすすめです。
②各グループは床に円を描くように座ります。円の中央にティッシュを1枚置き、各チームが向かい合う形で円を2分割します。
③床にテープやひもで「自分たちの陣地」と「相手の陣地」をわかりやすく区切りましょう。
④開始の合図で、ティッシュを上から落とし、各チームはうちわを使ってティッシュをあおいで制限時間内に相手の陣地にティッシュを落とした方の勝ちです。
■ポイント
- 引き分けの場合は、ティッシュがどちらの陣地に近いかで勝敗を決めます。
- チームごとに円陣を分け、制限時間内にティッシュが床に落ちないように、長く浮かせ続けたチームの勝ちのルールにアレンジしても楽しめます。
- 力任せにあおぐとティッシュが不規則に飛びやすいので、「優しく」「細かく」あおぐのが成功のコツです。
- 相手チームがあおぐ方向を観察し、意表を突いた風を送ると効果的です。
ピンポン玉送り
ピンポン玉送りは、単純なルールながら、笑いと緊張感が生まれる盛り上がるゲームです。コミュニケーションの活性化や手先の器用さを促す効果があり、高齢者の心身の活性化に最適です。注意点としては、ピンポン玉が床に落ちた際に、無理に拾おうとすると転倒のリスクがあるため、スタッフがサポートできる体制を整えましょう。スプーンの持ち方やピンポン玉の受け渡しのコツを事前に伝えると、安心して参加できます。
■準備するもの
- ピンポン玉(1チームあたり1〜2個)
- スプーン(参加者全員分)
- テープやひも(スタートライン・ゴールラインの目印用)
■やり方
①1チーム5〜8人程度のグループに分かれます。チームごとに1列に並び、隣の人との距離は約1メートルが目安です。
②並んだチームメンバー全員は、それぞれスプーンを持ち、各チームの列の先頭の人はピンポン玉を持ちます。
③合図と同時に、先頭の人がスプーンに乗せたピンポン玉を隣の人のスプーンに慎重に渡します。手でピンポン玉を触れたり、落とした場合はその場から再スタートします。
④列の最後の人が無事にピンポン玉を受け取ったらゴールです。一番早く全員がピンポン玉をつなぎ終えたチームが勝ちです。
風船バレー
風船バレーは立ったままでも行えますが、座った状態でも安全に楽しめます。風船は軽いので、動きが遅く予測しやすく、ゆっくり楽しめます。ゲーム性が高いので利用者みんなで盛り上がることができます。
■準備するもの
- 風船
- 簡易ネット(タオルや紐で代用可能。ネットの高さは低めに調整)
- コーンやテープ(プレイエリアの境界を作るため)
■やり方
①参加者を2つのチームに分けて、等間隔に椅子を配置し座ってもらいます。テープやコーンでエリアを区切り、タオルや紐で簡易ネットを作りましょう。
②風船を手で打って、相手チームのコートに風船を落とします。風船は軽いので、動きが遅く予測しやすく、ゆっくり楽しめます。サーブ(最初の一発)は、1チームから順番で行います。その後はお互いに風船を打ち合って、相手チームのコートに風船を落とします。風船が地面に落ちた場合、相手チームにポイントが入ります。
③ゲーム時間が終了した際にポイントの多いチームが勝ちです。ゲーム時間は利用者の体力に合わせて5分または10分程度とします。
脳トレ系のレクリエーション
野菜の重さ当てクイズ
「野菜の重さ当てクイズ」は、さまざまな野菜を見たり触ったりしながら「重い順」に並べるゲームです。思考力や集中力が鍛えられ、視覚・触覚・嗅覚などの五感を刺激するため、脳の活性化にも役立ちます。
■準備するもの
- さまざまな重さの野菜(例:にんじん、じゃがいも、玉ねぎ、キャベツ、かぼちゃなど)
- 計り(キッチンスケールなど)
- ホワイトボードや得点表(得点を記録する場合)
- テーブル(参加者が見やすく、触りやすい位置に並べる)
■やり方
①個人戦・グループ戦どちらでも可能です。グループ3〜5人にすると、相談や話し合いが活発になり盛り上がります。
②テーブルの上に数種類の野菜を並べます。野菜の数は4〜6種類ほどが最適です。多すぎると難易度が上がるので、利用者の様子に合わせて調整しましょう。
③利用者は野菜を1つずつ手に取り、重さを予想しながら「重い順」に並べ替えます。野菜は「持つ」「見る」「匂いを嗅ぐ」ことができますが、振ったり投げたりするのはNGです。
④並び替えが終わったら、1つずつ計りで重さを量り、正しい順番を確認し、正解発表を行います。実際の重さと照らし合わせ、最も近い予想を立てた人(チーム)が勝利です。
■ポイント
- 30秒や1分など、制限時間を設けるとスリルが増します。
- 「この野菜は何の栄養が豊富?」「旬の季節は?」など、野菜に関するクイズをプラスすると学びの要素が加わります。
- 目隠しをして「触覚だけ」で重さを予想するルールにすると、より五感が刺激されます。
- 持ったときの重さに意外性があるものを選ぶと、よりクイズが面白くなります。(軽めの野菜:レタス、ピーマン、トマト・重めの野菜:キャベツ、かぼちゃ、大根)
暗記ゲーム
「暗記ゲーム」は、利用者の「好きなもの」を聞いたあと、その内容を記憶して当てるレクリエーションです。「全員分の好きなものを暗記できているか?」を確認し、正解の数の多いチームが勝利です。人の話をしっかり聞くことで記憶力や集中力を鍛えられ、インタビューによって思考力やコミュニケーション力の向上にもつながります。楽しい会話が生まれ、交流を深めるきっかけにもなります。
■準備するもの
- メモ用紙やホワイトボード(質問内容や回答を記録するため)
- 時計やタイマー(インタビューの時間管理用)
- 参加者全員分の「テーマ」を決めたリスト(予め決めておく)
■やり方
①利用者を複数のチームに分けます。1チーム3〜5人が理想です。
②職員が事前に決めたテーマに基づいて、各チームのメンバーに対して質問をします。質問は1つずつ行い、利用者が答える時間を取ります。職員が回答をメモし、利用者の答えを記録します。(質問例:好きな色、好きな食べ物、好きな映画、好きな場所、思い出の旅行先 など)
③チームメンバー同士で、テーマに関連した質問をしてインタビューを行う時間を設けます。
④インタビューが終わった後、職員が「最初にメンバーが答えた内容を記憶しているか?」を確認します。各チームのメンバーは、他のメンバーの最初の答えを1人ずつ発表し、正解の数が多いチームが勝ちです。
■ポイント
- 各チームが交互に答える形式にすると、より緊張感が高まります。
- テーマをより感情に関連づけると、答えが心に残りやすくなります。例えば、「最近感動した出来事は?」や「子どもの頃、一番楽しかったことは?」などを質問します。
大人数で楽しめるレクリエーション
紙コップリレー
紙コップリレーは、棒を使って紙コップをリレー形式で運ぶゲームです。利用者が協力しながら、集中力や手先の器用さを鍛えることができます。競争形式にすると、さらに盛り上がる楽しいレクリエーションです。
- 紙コップ(チームの人数分+予備)
- 棒(割り箸、竹串、ペンなど持ちやすいもの)
- タイマー(時間を計る際に使用)
- テープ(床にスタートラインやゴールラインを引く場合)
■やり方
①利用者を2〜3チームに分けます。1チームあたり3〜5人が理想的です。
②各チームが1列に並ぶようにします。
③利用者に棒1本を渡し、チームの先頭に紙コップ1個を渡します。
④職員の合図でゲームを開始します。先頭の人は、棒の先に紙コップを引っ掛けて隣の人の棒に移します。手を使わず、棒だけを使って紙コップを受け渡します。
⑤紙コップが最後の人に無事渡れば成功です。各チームがクリアするまでの時間を競っても良いでしょう。
■注意点
- 棒が目や顔に当たらないよう、程よく距離を取って、周囲の安全確認を行うように注意しましょう。
連想衰弱
連想衰弱は、言葉の連想力やチームワークが問われるゲームです。シンプルなルールながら、ひらめきやコミュニケーションが鍛えられ、幅広い世代に楽しんでもらえるレクリエーションです。
■準備するもの
- お題カード(お題の言葉を書いたカード)
- ヒントカード(お題を連想させる言葉を書いたカード)
- ペンと紙(得点を記録する場合)
■やり方
①職員が「お題」を決め、利用者には内緒にします。お題は身近なものや簡単な言葉がオススメです。(例:ポスト、りんご、時計、傘など)
②職員は、お題を連想させる単語を5〜10個程度考え、それぞれの単語をカードに記入します。(例:(お題が「ポスト」の場合)郵便、赤い、手紙、投函など)カードはすべて裏返しにしておきます。
③ゲームを開始します。各チームは順番に1枚ずつヒントカードをめくります。めくったカードの言葉から、お題が何かをチーム内で話し合い、1回だけ回答できます。もし不正解だった場合は、次のチームが順番にカードをめくり、同様に推測を行います。
④より少ないヒントカードの枚数でお題を当てたチームが勝ちです。最後まで誰も当てられなかった場合は、最もお題に近い回答をしたチームに得点を与えるのもよいでしょう。
歌詞リレー
歌詞リレーは、利用者が順番に歌を歌い、歌詞をつないでいくレクリエーションです。歌詞を覚える記憶力や、歌に合わせて音楽を楽しむ感覚を養うことができ、集団で行うことでコミュニケーション力や協力精神も高まります。
■準備するもの
- 歌詞を覚えるための歌本や歌詞カード(必要に応じて)
- マイク(もしあれば)
- 音楽プレーヤーや簡易的な音響設備(オプション)
■やり方
①事前に、歌う曲をいくつか決めておきます。利用者が馴染みのある歌や、覚えるのが簡単な童話など、みんなで楽しめる歌を選ぶと良いでしょう。
②最初の利用者が歌い出し、次の利用者がその歌詞の続きを歌います。リレーは順番に行い、利用者全員が歌うまで続けます。歌詞の間違いや詰まった部分があれば、他の利用者が助け舟を出し合うことで、和気あいあいと進行します。
■アレンジ方法
歌詞リレーにテーマを設けることで、さらに楽しさが増します。例えば「昭和のヒット曲」や「季節に関連する歌」、「動物に関する歌」など、特定のテーマに沿って歌を選びます。
少人数で楽しめるレクリエーション
福笑い
日本に古くから伝わる「福笑い」は、目隠しをした状態で顔のパーツを並べ、ユニークな表情を作り上げる楽しいレクリエーションです。顔をホワイトボードに描き、各パーツの裏にマグネットをつけると、簡単かつスムーズに行えます。
顔のパーツが多いほど難易度が上がるため、利用者の状況やレベルに合わせてパーツの数を調整すると、無理なく楽しめます。
■準備するもの
- 顔の輪郭を描いたホワイトボードまたは模造紙
- 目・鼻・口・眉毛などの顔のパーツ(裏にマグネットや粘着テープをつけると便利)
- アイマスクやタオル(目隠し用)
■やり方
①ホワイトボードや模造紙に顔の輪郭を描いておきます。
②顔のパーツ(目・鼻・口・眉毛など)を用意し、裏にマグネットをつけておきます。
③利用者に目隠しをしてもらい、顔のパーツを1つずつ配置してもらいます。
④他の利用者は「もっと右!」「下に少しずらして!」など、声をかけながら誘導するとさらに盛り上がります。
⑤すべてのパーツが配置できたら目隠しを外し、出来上がった顔をみんなで楽しみます。
道具なしでできるレクリエーション
制限付きしりとり
制限付きしりとりは、通常のしりとりに特定のルールを加えたレクリエーションです。ルールがあることで、言葉を思い出す力や発想力が鍛えられ、脳の活性化に効果的です。
■やり方
①職員が「どんな制限をつけるか」を決めます。(制限の例:5文字の単語、カタカナの言葉、食べ物の名前、3文字以上の単語など)
②制限を守りながらしりとりをします。
古今東西ゲーム
古今東西ゲームは、特定のテーマに沿った言葉を次々に答えていくシンプルなゲームです。制限時間やルールを工夫することで、発想力や記憶力を刺激しながら盛り上がることができます。
■やり方
① 職員がお題を決めます。お題は、利用者がイメージしやすいものにすると楽しさが増します。(例:フルーツの名前、昭和の歌手、映画のタイトル)
②1人目から順にお題の言葉を発表していきます。次の人は、前の人と同じ単語を言わないように注意しましょう。
犬・猫トレーニング
犬・猫トレーニングは、職員が言った動物の名前に対応する鳴き声を利用者が答えるレクリエーションです。シンプルなルールながら、注意力や瞬発力を鍛えられ、脳の活性化に効果的です。
■やり方
①職員が「犬」や「猫」など、動物の名前をはっきりと伝えます。
②利用者は、その動物に合った鳴き声を答えます。(例:犬→ワンワン、猫→ニャー、牛→モーモー、カエル→ゲロゲロ、ニワトリ→コケコッコー)
まとめ:座ってできるレクも安心・安全に配慮して行いましょう

座ってできるレクリエーションにはさまざまな種類があり、利用者の体調や人数、そして個々の得意・不得意を考慮して、最適なものを選ぶことが大切です。
座ったままで行うレクリエーションは、基本的に安全に楽しめるものが多いですが、高齢者が多く集まる場面では、個人の安全に十分配慮する必要があります。例えば、複数の職員が周囲から見守ることで、万が一のトラブルが起きてもすぐに対応できる体制を整えておくと安心です。また、事前にどのような事故が起こり得るかを想定し、その対策を講じておくことも重要です。利用者が安心して楽しめるレクリエーションの場を提供しましょう。