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介護の基礎知識

【介護のバイタルサインチェックの基本】測定方法、基準値や注意点を解説

  • 公開日:2025年05月08日
  • 更新日:2025年05月08日

介護現場において、バイタルチェックは介護士の重要な役割のひとつです。しかし、経験が浅い介護士の中には、バイタルチェックに対して不安を感じる方も少なくありません。また、バイタルチェックの知識や測定方法、異常時の対応について、指導方法に悩む指導者や管理者もいることでしょう。

バイタルチェックは、介護士が行える医療的行為のひとつです。正しい知識を身に付けることで、自信を持って対応できるようになり、業務上の不安も軽減します。この記事では、介護士が知っておくべきバイタルチェックの基本知識について、わかりやすく解説します。

介護現場におけるバイタルチェックとは?

バイタルチェックとは、利用者のバイタルサインを測定し、現在の健康状態を確認する行為です。バイタルサインとは、人間の生命に関する基本的な情報であり、脈拍・呼吸・血圧・体温・意識状態を指します。介護現場では、主に脈拍・血圧・体温・呼吸の4つを測定することが一般的です。

バイタルチェックを行う理由と目的

介護現場でバイタルチェックが重要視されるのは、利用者の健康を適切に管理するためです。利用者の健康状態を把握することは非常に重要であり、継続的にバイタルチェックを行うことで、個々の正常値を知ることができます。特に高齢者の場合、早期対応が求められる病気であっても、典型的な症状が現れにくいことがあります。日頃からバイタルチェックを行い、利用者の正常な数値を把握しておくことで、わずかな異変にも気づきやすくなり、異常の早期発見や迅速な対応につながります。介護現場には持病を抱える高齢者の方も多く、体調が急変する可能性もあります。

デイサービスを利用する高齢者は、体調の変化に対する自覚症状が出にくく、またその情報を周囲にうまく伝えるのが難しいことも多いため、バイタルチェックは非常に有効です。このチェックを通じて、体調の悪化の兆候を早期に発見し、適切に対処することができます。

バイタルチェックを行うべき場面

デイサービスでのバイタルチェックは、利用者の健康状態や介護計画に応じて実施タイミングが異なることがあります。そのため、担当のケアマネジャーや医療機関との連携を図りつつ、適切なタイミングで実施することが求められます。以下は、バイタルチェックを行う代表的なシチュエーションの例です。ご参考にしてください。

① 新規利用者の受け入れ時

新たにデイサービスを利用する場合、初回の受け入れ時にバイタルチェックを実施したり、普段のバイタルサインの情報を共有することが望ましいです。これにより、利用者の基本的な健康状態や体調の把握ができ、サービス提供における適切な健康管理につながります。

② 自宅へお迎えに伺うとき

利用者の自宅に訪問した際、バイタルチェックを行い、デイサービスに連れて行ける状態かを確認します。特に感染症予防の観点から、訪問時の検温や症状確認は重要です。

③ デイサービス事業所へ来所されたとき

利用者がデイサービス事業所に到着した際、安定した状態でサービスを提供できるかを確認します。来所直後は移動や会話でバイタルサインに影響が出る可能性があるため、数分間落ち着いた後に安静時の血圧や脈拍、呼吸数などを確認することが望ましいです。

④ 入浴や機能訓練を行うとき

来所後に再度バイタルチェックが必要と判断された場合、入浴や機能訓練など身体的な負担がかかる活動の前後にバイタルチェックを行います。異常がある状態で体に負担がかかるサービスを行うと体調不良につながる可能性があるため、無理のない状態でサービスを受けられるよう、事前に確認を行いましょう。

⑤ 利用者の体調変化が認められたとき

発熱、呼吸困難、意識レベルの低下など、利用者の体調に変化が見られる場合は、速やかにバイタルチェックを行い、看護師を中心に状況を把握して適切に対応します。急変や転倒などの緊急時には迅速な対応が求められます。

⑥ 投薬の前後(必要に応じて)

投薬を行う前後に、薬の影響や体調の変化を確認するため、バイタルチェックを行うことがあります(例:血糖測定後のインスリン注射など)。血糖値などは薬を管理するうえで重要な指標となるため、医師の指示をしっかりと確認し対応することが求められます。

バイタルチェックは介護士が対応可能な医療的行為

バイタルチェックは、介護士が行える医療的行為のひとつです。医療的行為とは、医師や看護師などの免許を持つ者が業務として行う行為を指します。そのため、「バイタルチェックは医療的行為に該当するのでは?」と不安に感じる方もいるかもしれません。過去には、介護現場において医療的行為とそうでない行為の境界が曖昧で、判断に困ることがありました。そこで、厚生労働省は2005年7月に通達を出し、以下の行為については原則として医療的行為に当たらないと示しました。

  • 水銀体温計、電子体温計、耳式電子体温計を用いた腋下および外耳道での体温測定
  • 自動血圧測定器による血圧測定
  • 入院治療を要さず、動脈血酸素飽和度の測定を目的としたパルスオキシメーターの装着
  • 専門的な判断や技術を必要としない軽微な切り傷・擦り傷・やけどなどの処置
  • 一定条件を満たす医薬品の使用の介助
  • 爪に異常がなく、専門的な管理を必要としない爪切りややすりがけ
  • 重度の歯周病がない日常的なオーラルケア
  • 耳垢塞栓の除去を除く耳垢の除去
  • 肌に接着したパウチの取り換えを除く、ストマ装具パウチ内の排せつ物の処理
  • 自己導尿の補助のためのカテーテル準備、体位保持など
  • 一定条件を満たした市販の使い捨て浣腸器を用いた浣腸

 

さらに、2012年4月からは、介護福祉士および一定の研修を受けた介護士による喀痰吸引(かくたんきゅういん)と経管栄養の管理が認められています。

ただし、介護士が行える医療的行為を行う場合も、病状が不安定で、専門的な管理が必要な場合は、医行為とみなされることがありますので、注意が必要です。医行為に該当する場合は、医師や看護師による対応が求められます。また、「使用する道具」によっては制限が生じることがあります。たとえば、血圧測定に関して「自動血圧測定器により血圧を測定すること」は看護師でなくとも対応が認められますが、「水銀血圧計を使用する場合」については、看護師以外の職種が対応することはできません。「人体に危害を及ぼす恐れがある行為は医行為に該当する」とされているため、適切なルールを守り、慎重に対応することが重要です。

介護士が行う4つのバイタルチェックとポイント

介護士が実施するバイタルチェックは、「脈拍」「血圧」「体温」「呼吸」の4つの項目に分けられます。各測定方法と基準値や正常値、注意点について詳しく解説します。

1. 脈拍

脈拍は通常、自動血圧計とともに測定します。ただし、不整脈が疑われる場合は、手首に指を当てて直接確認するのが適切です。指で測定する際は、親指を避け、他の3本の指を使用して計測します。親指は自身の脈を感じやすいため使用しません。

基準値

高齢者の場合、基準値は1分間に50~70回です。

2. 血圧

血圧は自動血圧計で測定します。指式や手首式の血圧計もありますが、誤差が少ないカフ(上腕)式が推奨されます。測定前に1~2分間安静にしてもらい、楽な姿勢で座ってもらいます。背もたれに軽く寄りかかり、足を組まずにリラックスした姿勢が理想的です。測定部位は心臓の高さに合わせ、本やクッションで高さを調整します。カフは隙間ができないようにしっかり巻きます。可能であれば、毎回同じ時間帯に測定するのが望ましいです。

基準値

血圧の基準値は成人と同様以下の通りです。

  • 収縮期血圧(最高血圧):130mmHg未満
  • 拡張期血圧(最低血圧):85mmHg未満

ただし、高齢者では高血圧症の方も多いため、主治医と相談して正常値の目安を把握しておくと安心です。

3. 体温

体温は一般的に自動体温計で測定します。非接触型体温計が増えていますが、より正確な測定には腋下式が適しています。腋下式の場合は、しっかりと腋に挟むようにしましょう。

基準値

  • 高齢者の場合、35度台が多い(腋窩で測った場合※脇の下の窪み)

体温には個人差があるため、利用者ごとの平熱を把握しておくことが重要です。平熱が37度台の人でも、38度以上になると体調不良の可能性があるため、看護師や主治医に相談しましょう。

4. 呼吸

呼吸数は1分間の回数をカウントします。測定していることを意識されると正確に測れないため、血圧や体温を測定しながら胸の動きを観察すると自然に計測できます。呼吸数に加え、リズムや深さにも注意し、異常が感じられた場合は看護師に相談しましょう。

基準値

高齢者の場合、1分間に14~20回

介護士がバイタルチェックを行う際の注意点

利用者ごとの正常値の把握

バイタルサインには個人差があります。利用者の通常の数値を把握することで、異常の早期発見につながります。

測定はできるだけ同じ時間に行う

バイタルサインは時間帯によって変動するため、毎日決まった時間に測定するのが望ましいです。

利用者への声掛けを忘れない

いきなり測定を行うのではなく、「今からバイタルチェックを行います」と声をかけることで、利用者に安心感を与えられます。

数値以外の変化にも注意する

数値が正常でも、表情や行動に異変が見られる場合は、すぐに看護師へ報告し、情報を共有しましょう。

測定値に影響が出るタイミングを避ける

以下の場合は測定値に影響が出ます。それぞれ30~60分安静にしてから測定するようにしましょう。

  • 運動直後
  • 入浴後
  • 食後
  • 精神的緊張

記録もれに注意する

記録もれが発生し、測り直しを行うと、毎日決まった時間での測定にはならず、日々の測定結果との比較が難しくなります。記録までがバイタルサインの測定であることを意識して取り組みましょう。

バイタルチェックで異常値が出たときの対応方法

異常値が出た場合、まずは落ち着いて測定方法に間違いはないか確認するようにしましょう。測定方法が誤っていて異常値が出ることもあるためです。測定方法に間違いがないことを確認したら、速やかに看護師に報告し、その指示に従います。加えて、異常値が出た際には「頭が痛い」「気分が悪い」などの症状がないかを確認しておくことも大切です。介護士が自己判断で対応するのは危険なため、絶対に避けましょう。利用者から「これくらい大丈夫」と言われた場合でも、必ず看護師に相談することが重要です。

異常値報告の際のポイント

介護士がバイタルチェックを行い異常値が出た場合は、以下の点に注意して報告しましょう

  • 数値だけでなく、利用者の自覚症状や変わった様子がないか確認する。
  • いつもと比べて「言葉数が少ない」「笑顔が少ない」など、些細な変化でも気になったことはすべて伝える。

報告後は、看護師の指示に従い行動することが求められます。

バイタルチェック表で管理するのがおすすめ

バイタルチェックは、結果を正確に記録することが重要です。そのために活用されるのが、バイタルチェック表です。バイタルチェック表は、定期的に行われる健康状態の評価を記録し、管理するためのツールで、事業所ごとに「健康チェック表」など、名称はさまざまです。定期的に測定されるバイタルサインを表で管理することで、利用者の健康状態の経過や変化を簡単に把握できます。一般的なバイタルチェック表には、以下の項目が含まれます。

  • 日時
  • 利用者名
  • 体温
  • 脈拍
  • 血圧
  • 呼吸数

 

これらの基本的な項目に加え、必要に応じて他の項目を追加することもできます。例えば、排泄頻度、尿量、血糖値、入浴・機能訓練・口腔ケアの実施有無、備考欄などが考えられます。バイタルチェック表は一般的にExcelなどのスプレッドシートを使用して作成されますが、定められた様式はなく、各事業所ごとにフォーマットが異なります。

医療機関や介護施設などで複数の利用者のバイタルチェックを管理する場合も、表形式でデータを整理することで効率的かつ正確に管理が可能です。日々のバイタルサインデータを蓄積することで、数値の把握が容易になり、より効率的で正確な健康支援が実現できます。適切に記載されたバイタルチェック表を所定の場所に保管しておくことで、職員間での情報共有が促進され、健康管理において重要なデータとして活用できます。

まとめ:介護士が安心してバイタルチェックを行うために

バイタルチェックは、介護士が行っても問題のない業務です。経験の浅い介護士でも安心して対応できるよう、事業所全体でバイタルチェックの知識を正しく身に付けることが大切です。特に指導者が率先して知識を学び、正しい方法を指導することで、介護士が安心して日々の業務に取り組める環境をつくりましょう。

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