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介護の基礎知識

【2024年介護報酬改定】ターミナルケア加算をわかりやすく解説

  • 公開日:2025年05月02日
  • 更新日:2025年05月02日

ターミナルケア加算は、利用者様の終末期において医療的ケアを実施した際に算定できる加算です。介護保険の要件を満たすことが条件となります。なお、医療保険では「訪問看護ターミナルケア療養費」として扱われます。混同される方も多いかと思いますが、看取り加算とは異なる加算のため注意が必要です。本記事では各介護サービスでの単位数や算定要件を解説します。

【2024年介護報酬改正】ターミナルケア加算の変更点

ターミナルケア加算は2024年の報酬改正により一部見直しが行われました。変更点としては、介護保険と医療保険で提供されるターミナルケアの内容が同等であることを踏まえ、訪問看護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、看護小規模多機能型居宅介護の単位数が2,000単位→2,500単位に変更されました。また、介護老人保健施設などで行われる在宅復帰や在宅療養支援において、看取りへの対応を適切に評価する観点から、死亡日以前31日以上45日以下の区分の評価を見直し、死亡日の前日及び前々日並びに死亡日の区分への重点化が図られました

ターミナルケアとは

ターミナルケアとは、終末期医療を意味する言葉で、病気や老衰によって避けられない「死」を迎える人々に対して、無理な延命治療を行わず、その人の意思を尊重し、尊厳を保った最期を迎えることを支援する医療的な手助けを指します。これは、医療と介護の分野で提供されています。

日本におけるターミナルケアのあり方については、「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」が開催され、その議論の記録は厚生労働省のホームページで公開されています。

人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会|厚生労働省

ターミナルケア加算を算定できる介護サービス

ターミナルケア加算は以下の4つの介護サービスにて算定可能です。

  • 介護老人保健施設
  • 看護小規模多機能型居宅介護
  • 訪問看護 ※介護予防訪問看護は対象外です。
  • 定期巡回・随時対応型訪問看護介護

ターミナルケア加算の単位数

単位数(介護老人保健施設)

期間 単位数
死亡日 1,900単位/日
死亡日前々日から前日 910単位/日
死亡日4日前から30日前 160単位/日
死亡日31日前から45日前 72単位/日

単位数(看護小規模多機能型居宅介護、訪問看護、定期巡回・随時対応型訪問看護介護)

期間 単位数
死亡日及び死亡日前14日以内に2日以上ターミナルケアを提供した場合 2,500単位/月

ターミナルケア加算の算定要件

算定要件(介護老人保健施設)

入所者が以下の要件に当てはまる場合、加算の算定が行えます。

  1. 医師が一般的に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがないと診断した者であること。
  2. 入所者又はその家族等の同意を得て、入所者のターミナルケアに係る「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容に沿った取組計画が作成されていること。また、作成にあたっては本人の意思を尊重した医療・ケアの方針決定に対する支援に努めること。
  3. 医師、看護師、介護職員、支援相談員、管理栄養士等が共同して、入所者の状態又は家族の求め等応じ随時、本人又はその家族への説明を行い、同意を得てターミナルケアが行われていること。

※本人又はその家族に対する随時の説明に係る同意については、口頭で同意を得た場合は、その説明日時、内容等を記録するとともに、同意を得た旨を記載しておくことが必要。

※本人が十分に判断をできる状態になく、かつ、家族の来所が見込めないような場合も、医師、看護職員、介護職員、支援相談員、管理栄養士等が入所者の状態等に応じて随時、入所者に対するターミナルケアについて相談し、共同してターミナルケアを行っていると認められる場合には、ターミナルケア加算の算定は可能。この場合には、適切なターミナルケアが行われていることが 担保されるよう、職員間の相談日時、内容等を記録するとともに、本人の状態や、家族と連絡を取ったにもかかわらず来所がなかった旨を記載しておくことが必要。
なお、家族が入所者の看取りについてともに考えることは極めて重要であり、施設としては、一度連絡を取ったにもかかわらず来所がなかったとしても、定期的に連絡を取り続け、可能な限り家族の意思を確認しながらターミナルケアを進めていくことが重要。

※本人又はその家族が個室でのターミナルケアを希望する場合には、当該施設は、その意向に沿えるよう考慮すべきであること。

※個室に移行した場合の入所者については、以下の規定する措置の対象とする。
平成17年9月30日において従来型個室に入所している者であって、平成17年10月1日以後引き続き従来型個室に入所するもの(別に厚生労働大臣が定める者に限る。)に対して、介護保健施設サービス費を支給する場合は、当分の間、介護保健施設サービス費(Ⅰ)の介護保健施設サービス費(iii)若しくは(iv)、介護保健施設サービス費(Ⅱ)の介護保健施設サービス費(ii)、介護保健施設サービス費(Ⅲ)の介護保健施設サービス費(ii)又は介護保健施設サービス費(Ⅳ)の介護保健施設サービス費(ii)を算定する。

【留意点】

  • 死亡日を含めて45日を上限として、介護老人保健施設において行ったターミナルケアを評価するものです。
    死亡前に他の医療機関等に移った場合又は自宅等に戻った場合には、当該施設においてターミナルケアを直接行っていない退所した日の翌日から死亡日までの間は、算定することができません。
    (したがって、退所した日の翌日から死亡日までの期間が45日以上あった場合には、ターミナルケア加算を算定することはできません。)
  • 死亡前に他の医療機関等に移った場合または自宅等に戻った場合、当該施設においてターミナルケアを直接行っていない退所した日の翌日から死亡日までの間は、算定することができません。
  • 施設を退所した月と死亡した月が異なる場合でも算定可能ですが、ターミナルケア加算は死亡月にまとめて算定することから、入所者側にとっては、当該施設に入所していない月についても自己負担を請求されることになため、入所者が退所する際、退所の翌月に亡くなった場合には、前月分のターミナルケア加算に係る一部負担の請求を行う場合があることを説明し、文書にて同意を得ておくことが必要。
  • 施設退所の後も、継続して入所者の家族指導等を行うことが必要であり、入所者の家族等との継続的な関わりの中で、入所者の死亡を確認することが可能。
  • 外泊または退所の当日についてターミナルケア加算を算定できるかどうかは、当該日に所定単位数を算定するかどうかによります。
    したがって、入所者が外泊した場合(外泊加算を算定した場合を除く。)には、当該外泊期間が死亡日以前45日の範囲内であれば、当該外泊期間を除いた期間について、ターミナルケア加算の算定が可能です。

算定要件(看護小規模多機能型居宅介護、訪問看護、定期巡回・随時対応型訪問看護介護)

  • 24時間連絡可能な体制を確保しており、ターミナルケアを受ける利用者のために必要に応じて訪問できる環境を整備していること
  • 体制の届出を行っていること
  • 主治医と連携し、ターミナルケアに係る計画や支援体制について利用者様とそのご家族に説明した上で同意を得て、ターミナルケアを行っていること
  • 死亡日ないしは死亡日前14日以内に2日(末期の悪性腫瘍等、特定の利用者様については1日)以上ターミナルケアを行っていること
  • ターミナルケアの提供について必要な事項が適切に記録されていること
  • 厚生労働省の「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」を踏まえて、利用者の意思決定を基本とした医療やケアを医療・ケアチームが提供すること

【留意点】

  • 利用者の「死亡月」に算定します。(最後にターミナルケアを行った日と死亡月が異なる場合、死亡月での算定となります。)
  • 1人の利用者につき、1事業所等だけがターミナルケア加算を算定できます。
  • 算定は1回のみです。死亡日及び死亡前14日以内に2日以上訪問した場合でも最後の訪問日に算定されます。
  • 訪問看護ステーションで医療保険、介護保険の両方の訪問を1日以上実施した場合、最後に実施した保険制度におけるターミナルケア加算等を算定します。
  • ターミナルケアを実施するにあたり、多専門職種の医療・介護従事者とチームを構成し、十分な連携を図るように努めることが求められます。

「特定の利用者」とは?

ターミナルケア加算の算定要件の一つの「死亡日ないしは死亡日前14日以内に2日(末期の悪性腫瘍等、特定の利用者様については1日)以上ターミナルケアを行っていること」の「特定の利用者」とは、厚生労働大臣が定める状態に該当する利用者のことを示します。厚生労働大臣が定める状態は以下の通りです。

  • 末期の悪性腫瘍
  • 多発性硬化症
  • 重症筋無力症
  • スモン
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 脊髄小脳変性症
  • ハンチントン病
  • 進行性筋ジストロフィー症
  • パーキンソン病関連疾患
    ・進行性核上性麻痺、
    ・脳皮質基底核変性症
    ・パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上であって生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る)
  • 多系統萎縮症
    ・線条体黒質変性症
    ・オリーブ橋小脳萎縮症
    ・シャイ・ドレ―ガー症候群
  • プリオン病
  • 亜急性硬化性全脳炎
  • ライソゾーム病
  • 副腎白質ジストロフィー
  • 脊髄性筋萎縮症
  • 球脊髄性筋萎縮症
  • 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
  • 後天性免疫不全症候群
  • 頚髄損傷
  • 人工呼吸器を使用している状態
  • 急性増悪その他利用者の主治医が一時的に頻回の訪問看護が必要であると認める状態
参考:「厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者等」|厚生労働省

ターミナルケア加算についてのよくあるご質問

令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)より、ターミナルケア加算に関わるよくあるご質問を抜粋してご紹介します。

問36 特別管理加算について

問 36 特別管理加算は1人の利用者につき1ヵ所の訪問看護事業所しか算定できないが、定期巡回・随時対応型訪問介護看護又は複合型サービスを利用する場合など訪問看護事業所以外の事業所であれば同一月に複数の事業所で特別管理加算を算定できるのか。

(答)訪問看護を利用中の者は、同時に定期巡回・随時対応型訪問介護看護及び複合型サービスを利用することはできないため算定できない。ただし、月の途中で訪問看護の利用を中止し、定期巡回・随時対応型訪問介護看護又は複合型サービスの利用を開始する場合等は、変更後の事業者のみ特別管理加算の算定を可能とする。なお、緊急時訪問看護加算、ターミナルケア加算、退院時共同指導加算(2回算定出来る場合を除く)についても同様の取扱いとなる。

参考:令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)|厚生労働省

最後に

本記事は、作成時点での最新の資料や情報に基づいて作成しています。具体的な解釈や申請手続きについては、最新の情報をご確認のうえ、各自治体などの窓口へお問い合わせいただきますようお願いいたします。

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