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介護の基礎知識

介護記録(ケース記録)の書き方とは?文例やポイントについても解説

  • 公開日:2025年03月10日
  • 更新日:2025年03月18日

介護サービスや障害福祉サービスを提供する事業所の業務の一環として、介護記録の記載があります。これは介護報酬を受け取るための必須の提出書類ではありませんが、利用者の状況を把握し、トラブル発生時の証拠として活用できるため、日々の記録を義務付けている事業所も多くあります。

本記事では、適切な介護記録の書き方や文例、ポイントをご紹介いたします。

介護記録(ケース記録)とは

介護記録は、介護・福祉サービスを提供する事業所や施設において、利用者がどのように過ごし、どのようなケアを受けたかを一目で把握できるように記録するものです。記録に定められた様式はないため、それぞれ事業所ごとに内容や項目を取り決め記載します。

主な記載項目は以下の通りです。

  • サービス提供の日付と時刻
  • 利用者の個人情報(氏名、年齢、既往歴 など)
  • 提供した介護サービスの内容と結果(食事支援、排泄支援、入浴支援、機能訓練 など)
  • 利用者の状態(体調の変化、疲労、不安の様子 など)

介護記録は、事業所内だけでなく多職種との情報共有にも活用されるため、事実に基づいた客観的な記載が求められます。主観的な感想ではなく、具体的な状況を記録することが重要です。

介護記録(ケース記録)の目的

介護記録は、介護報酬を申請する際に提出を義務づけられている書類ではありませんが、介護記録をつける場合が多くあるのはなぜでしょうか。以下では介護記録をつける目的をご紹介します。

ケアプラン作成・見直しの参考情報

介護事業所では、ケアマネージャーが作成したサービス計画書(ケアプラン)に基づいてケアを提供しています。日々の介護状況を記録した介護記録は、ケアプランの見直し時に役立つ情報源となります。介護記録は、ケアプランの目標達成状況を把握し、プランが利用者に適切であるかどうかを検討するために活用されます。

スタッフ同士の情報共有

シフト制を採用している事業所では、1人の利用者を複数の介護スタッフが交代でケアします。この場合、サービス内容に一貫性を持たせるために引き継ぎが行われます。口頭での引き継ぎも有効ですが、介護記録を残すことで「言った、言わない」のトラブルを防げます。利用者の命に関わる重要な情報も、記録として残すことで確実に伝わり、安心です。

異職種の担当者への情報提供

利用者の日々の状態は、介護職員だけでなく医師、看護師、機能訓練士など、他の専門職にも必要な情報です。介護記録を通じて、利用者の健康状態に基づいて治療やリハビリメニューを変更するための情報提供が行われます。

施設や職員を守るための情報記録

介護事業所では、利用者に対する虐待やネグレクトなどが訴えられることがあります。こうした問題が発生した場合、日々の様子や提供されたサービス内容を記録した介護記録は重要な証拠となります。また、事故が発生した際には、介護記録が職員の過失の有無を証明するための有効な情報となります。事業所や職員を守るためにも、介護記録は欠かせません。

利用者の家族への報告

利用者の家族は、日々の生活やケアの様子を知りたがっています。介護記録は、家族への報告手段としても役立ちます。また、家族が不信感を抱いて介護記録の開示を求めることがありますが、その際、介護記録をきちんと作成しておけば、厚生労働省のガイドラインに基づいて適切に開示できます。記録を欠かすと、家族の不信感が募り、事業所の評判に悪影響を与える可能性があります。

介護記録(ケース記録)の保管期間

介護記録の保管期間について、令和3年に厚生労働省は2年間の保管期間を定めました。しかし、自治体によっては介護報酬記録と同様に5年の保管を求める場合もあります。そのため、事業所や施設が所在する自治体に問い合わせ、正確な保管期間を確認しておくことが重要です。

介護記録(ケース記録)の書き方のポイント

介護記録には、介護従事者や利用者の家族にとって有益な情報を正確に記載することが求められます。また、誰が読んでも理解できるように、情報が漏れなく、わかりやすく記述することも重要です。

わかりやすい言葉を使う

医学用語や事業所独自の略語は避け、利用者やその家族が読んでも理解できるよう、平易な表現を心がけましょう。

簡潔に記述する

文章は短くまとめ、基本的に一文一義を徹底します。言いたいことは一つに絞り、簡潔に書くことを意識しましょう。

5W1Hを意識する

「いつ(When)」「どこで(Where)」「誰が(Who)」「何を(What)」「なぜ(Why)」「どのように(How)」の視点で記録し、必要な情報を漏れなく伝えます。これにより、伝えたい内容が明確になり、抜け漏れを防げます。

客観的な事実を記載する

介護記録は事実のみを記載することが大切です。感想や推測は避け、出来事を具体的に記録します。トラブルが起きた際にも、感情的な表現を避け、客観的な事実を述べましょう。

見やすいレイアウトを心掛ける

文字が密集していると読みにくくなるため、箇条書きや図、絵を活用すると良いでしょう。また、余白を取り入れた整然としたレイアウトを心がけましょう。

丁寧な文字

パソコンで入力することが多いですが、手書きの場合は丁寧に書きましょう。美しい字でなくても、読みやすい文字で記入することが重要です。崩し字や略字は避け、誰が見ても理解できるように心がけましょう。

読み返しを習慣にする

書き終わったらすぐに作業を終了せず、再度読み返す習慣をつけましょう。誤字や脱字、わかりにくい部分を見つけることができ、さらに完成度の高い介護記録になります。忙しいときは次の仕事に進みたくなるかもしれませんが、このひと手間で、よりわかりやすく、漏れのない介護記録に仕上がります。

介護記録(ケース記録)の例文

介護記録を記入する際は、記録者の主観ではなく、本人の発言や客観的な事実に基づいた記載が求められます。実際にあったことを簡潔かつ明確に記録しましょう。

記載例

(悪い例)夢の内容が楽しそうだった
(良い例)夢の内容について尋ねたところ、「楽しかった」とお答えになった。

(悪い例)悲しそうだった
(良い例)朝食後に伏し目がちだったため、○○(支援職員名)が傾聴を実施。テレビ番組の内容を見て、10年前にご主人とご友人を相次いで亡くされたことを思い出し、悲しさを感じたとのこと。

(悪い例)お怒りの様だった
(良い例)情緒が不安定で、○○(支援職員名)の声かけに対し無視をする、叩こうとするそぶりが見られた。

(悪い例)お怒りで感情を爆発されていたが、すぐに落ち着かれたようだった
(良い例)「ここに居たくない」と発言し、事業所を飛び出された。職員が見守る中、50m先のケーキ屋で会話を交わした後、落ち着かれ、そのまま事業所へ戻られた。その後は特に問題なく一日を過ごされた。

(悪い例)ごはんはほとんどお召し上がりになりました。
(良い例)主食9割、副食8割

(悪い例)水分は十分です。
(良い例)午前:水1杯、お茶2杯

介護記録を効率的に書くポイント

常にメモ帳を持っておく

1日の終わりにまとめて記録を書くと、出来事や利用者の言動を思い出すのが難しくなり、それに時間をかけすぎてしまいます。うろ覚えのままだと、記録の正確性にも影響が出るため、記録が必要な出来事や利用者の言動があった時点でメモを取ることが重要です。常にメモ帳を携帯し、すぐにメモできる状態を保ちましょう。

テンプレートを作っておく

食事や排せつ、入浴などの定期的なケア内容について、よく使用する文章をあらかじめ定型文として保存しておくと、記録の効率が大幅にアップします。この方法により、文章入力の手間を省き、職員ごとの表現の違いや言葉遣いを統一でき、不適切な表現を避けることができます。ただし、定型文に頼りすぎると、利用者の変化や状況を記録し忘れることがあるので、注意が必要です。

ICT化による介護記録(ケース記録)の効率化

ICTを活用した介護記録では、記入者の名前が自動記録されるため、事実のみを記載する形が一般的です。また、食事・水分・排泄の記録などは定型フォーマットに数値を入力するだけで入力できる介護ソフトが増えており、電子化のメリットが大きく活かされる分野といえます。

まとめ

介護記録は、介護・福祉サービスを提供する事業所や施設において、利用者がどのように過ごし、どのようなケアを受けたかを一目で把握できるように記録するものです。

そうすることで、ケアプランの見直しやスタッフ同士や異職種の情報共有、利用者の家族への報告などに役立ちます。介護記録は記録者の主観ではなく、本人の発言や客観的な事実に基づいて簡潔に記録するように注意しましょう。

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