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介護の基礎知識

【2024年度改定対応】個別訓練機能加算について解説|デイサービス(通所介護)

  • 公開日:2025年04月02日
  • 更新日:2025年04月02日

通所介護(デイサービス)における個別機能訓練加算とは、機能訓練指導員を配置し、利用者ごとに個別機能訓練計画書を作成し、その計画に基づいて機能訓練を提供することを評価する加算です。令和6年度の介護報酬改定では、機能訓練を担う人材をより効果的に活用するため、個別機能訓練加算(Ⅰ)の単位数や機能訓練指導員の配置要件が見直されました。

本記事では、個別機能訓練加算の単位数や算定要件について詳しく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

通所介護(デイサービス)の個別機能訓練加算の単位数

  • 個別機能訓練加算(Ⅰ)イ:56単位/日
  • 個別機能訓練加算(Ⅰ)ロ:76単位/日
  • 個別機能訓練加算(Ⅱ):20単位/月

通所介護(デイサービス)の個別機能訓練加算の算定要件

個別機能訓練加算(Ⅰ)イの算定要件

  • 専従の機能訓練指導員を1名以上配置
  • 居宅訪問で得られた利用者のニーズと生活状況を参考に、多職種でアセスメントを行い、個別機能訓練計画書を作成する
  • 利用者の心身状況に応じた機能訓練の内容を設定し、機能訓練指導員が実施する
  • 3ヶ月に1回以上、利用者の居宅に訪問して生活状況を確認し、本人と家族に個別機能訓練計画書の進捗状況を確認し、適宜内容の見直しをする

個別機能訓練加算(Ⅰ)ロの算定要件

  • 専従の機能訓練指導員を2名以上配置(配置時間の定めなし)
  • 居宅訪問で得られた利用者のニーズと生活状況を参考に、多職種でアセスメントを行い、個別機能訓練計画書を作成する
  • 利用者の心身状況に応じた機能訓練の内容を設定し、機能訓練指導員が実施する
  • 3ヶ月に1回以上、利用者の居宅に訪問して生活状況を確認し、本人と家族に個別機能訓練計画書の進捗状況を確認し、適宜内容の見直しをする

個別機能訓練加算(Ⅱ)の算定要件

個別機能訓練加算(Ⅰ)イ・ロのいずれかを算定している個別機能訓練計画の内容を厚生労働省に提出し、フィードバックを受けている

機能訓練指導員の資格とは?

機能訓練指導員として必要な資格は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員(看護師・准看護師)、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師・きゅう師(※)です。
※はり師・きゅう師については、他の有資格者(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など)が配置されている事業所で、6ヶ月以上の機能訓練指導の実務経験が必要となります。

機能訓練とリハビリの違いについて

機能訓練とリハビリの大きな違いは、リハビリが「医師の指示」に基づいて実施される点にあります。さらに、実施する職種や目的も異なります。

機能訓練の定義

機能訓練とは、理学療法士、言語聴覚士、看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師などの機能訓練指導員が、身体機能の改善や低下防止を目的として行う訓練を指します。

リハビリテーションの定義

リハビリテーションとは、医師の指示のもと、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が、身体機能の回復・維持を目的に実施する訓練を指します。

令和6年度介護報酬改定での変更ポイント

個別機能訓練加算は、令和6年度の介護報酬改定にて単位数や算定要件が見直されました。報酬改定による変更点は以下の通りです。
<算定単位数>
個別機能訓練加算(Ⅰ)イ 56単位/日→変更なし
個別機能訓練加算(Ⅰ)ロ 85単位/日→76単位/日
個別機能訓練加算(Ⅱ) 20単位/月→変更なし

<算定要件>
機能訓練を行う人材の有効活用を図る観点から、個別機能訓練加算(Ⅰ)ロにおいて、現行、 機能訓練指導員を通所介護等を行う時間帯を通じて 1 名以上配置しなければならないとしている要件が緩和され、「配置時間の定めなし」に変更されました。

通所介護(デイサービス)の個別機能訓練加算の留意点

  • 個別機能訓練加算(Ⅰ)イと(Ⅰ)ロは、併せて算定することはできません。
  • 個別機能訓練計画の内容を通所介護計画に記載する場合、個別機能訓練計画の作成を省略することが可能です。
  • 個別機能訓練加算(Ⅰ)イ・ロにおける個別機能訓練は、類似の目標を持ち、同じ訓練項目を選択した5人程度の小集団を対象に、機能訓練指導員が直接実施する必要があります。
  • 訓練の実施にあたっては、個別機能訓練計画に定めた訓練項目に基づき、適切な訓練時間を設定し、おおむね週1回以上を目安に実施します。
  • 看護職員が個別機能訓練加算に関わる機能訓練指導員として従事する場合、その看護職員は看護職員としての人員基準には算定できません。
  • 機能訓練指導員の配置時間が限られている場合、その時間内に機能訓練指導員から直接訓練を受けた利用者のみが算定対象となります。また、この場合、配置に関する情報を利用者や居宅介護支援事業者に周知する必要があります。
  • テレビ電話装置を使用して利用者や家族に説明を行う場合、個人情報保護委員会および厚生労働省が定める「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」や「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」などを遵守することが求められます。

すべての自治体で共通で必要とされる書類

  • 介護給付費算定に係る体制等に関する届出書(加算届)
  • 介護給付費算定に係る体制等状況一覧表(居宅サービス・施設サービス)
  • 従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表
  • 機能訓練指導員の資格証
  • 機能訓練計画に関連する様式

個別機能訓練加算に必要な様式

算定要件にある内容を的確にこなす必要があり、様式がダウンロードできます。様式が厚生労働省のホームページよりダウンロードできますのでご確認ください。

興味・関心チェックシート 生活機能チェックシート 個別機能訓練計画書 通所介護及び地域密着型通所介護用 通所介護計画書 別紙様式3-3、3-4の書き方

算定要件に関する様式の記載方法については、厚生労働省の「令和3年度介護報酬改定における改定事項について」に基づき、適切に反映されています。各様式に従い、利用者ごとに個別の機能訓練計画を策定し、ご本人やご家族へ説明のうえ、同意を得て実施します。また、進捗状況の評価は3ヶ月に1回以上行う必要があり、状況に応じて計画の見直しも適宜実施します。

通所介護(デイサービス)の個別機能訓練加算のQ&A

厚生労働省の「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(令和6年3月15日)」の、デイサービスの個別機能訓練加算に関する質問・回答を一部抜粋します。

問 53 個別機能訓練加算(Ⅰ)イ・ロの人員配置要件

Q.個別機能訓練加算(Ⅰ)イ・ロにおいては、専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を1名以上配置することとなっているが、具体的な配置時間の定めはあるのか。

A.個別機能訓練加算(Ⅰ)イ・ロに係る機能訓練指導員については、具体的な配置時間の定めはないが、当該機能訓練指導員は個別機能訓練計画の策定に主体的に関与するとともに、利用者に対し個別機能訓練を直接実施したり、実施後の効果等を評価したりする必要があることから、計画策定に要する時間、訓練時間、効果を評価する時間等を踏まえて配置すること。なお、当該機能訓練指導員は専従で配置することが必要であるが、常勤・非常勤の別は問わない。

問 54 個別機能訓練加算(Ⅰ)ロの人員配置要件

Q.個別機能訓練加算(Ⅰ)ロにおいては、専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を1名以上配置することに加えて、専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を1名以上配置することとなっているため、合計で同時に2名以上の理学療法士等を配置する必要があるということか。

A.貴見のとおり。

問 55 個別機能訓練加算(Ⅰ)イ及びロの人員配置要件

Q.個別機能訓練加算(Ⅰ)ロにおいては、専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を1名以上配置することに加えて、専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を1名以上配置することとなっているが、専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を1名しか確保できない日がある場合、当該日は個別機能訓練加算(Ⅰ)ロに代えて個別機能訓練加算(Ⅰ)イを算定してもよいか。

A.差し支えない。ただし、専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を1名以上配置しているのみの場合と、これに加えて専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を1名以上配置している場合では、個別機能訓練の実施体制に差が生じるものであることから、営業日ごとの理学療法士等の配置体制について、利用者にあらかじめ説明しておく必要がある。

問 56 個別機能訓練加算(Ⅰ)ロの人員配置要件

Q.個別機能訓練加算(Ⅰ)イにおいては、専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を1名以上配置することとなっている。また個別機能訓練加算(Ⅰ)ロにおいては、個別機能訓練加算(Ⅰ)イの要件である、専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を1名以上配置することに加えて、専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を1名以上配置することとなっているが、これらの理学療法士等は病院、診療所、訪問看護ステーション等との連携により確保することとしてもよいか。

A.個別機能訓練加算(Ⅰ)イ及びロについては、いずれの場合も、当該加算を算定する事業所に理学療法士等を配置する必要があることから、事業所以外の機関との連携により確保することは認められない。

問 57 個別機能訓練加算(Ⅰ)ロの人員配置要件

Q.個別機能訓練加算(Ⅰ)ロにおいては、専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を1名以上配置することに加えて、専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を1名以上配置することとなっているが、個別機能訓練加算(Ⅰ)ロは、この要件に基づき、合計で2名以上の理学療法士等を配置している時間帯において個別機能訓練を実施した利用者に対してのみ算定することができるのか。

A.貴見のとおり。例えばサービス提供時間が9時から 17 時である通所介護等事業所において、
- 9時から 12 時:専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を1名配置
- 10 時から 13 時:専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を1名配置
した場合、10 時から 12 時までに当該理学療法士等から個別機能訓練を受けた利用者に対してのみ、個別機能訓練加算(Ⅰ)ロを算定することができる。(9時から 10 時、12 時から 13 時に当該理学療法士等から個別機能訓練を受けた利用者については、個別機能訓練加算(Ⅰ)イを算定することができる。)

問 58 機能訓練指導員が専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を兼務した場合の個別機能訓練加算(Ⅰ)イ又はロの算定

Q.個別機能訓練加算(Ⅰ)イ又はロにおいては、専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を配置する必要があるが、通所介護事業所(地域密着型通所介護事業所)において配置が義務づけられている機能訓練指導員に加えて、専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を配置する必要があるのか。

A.機能訓練指導員の配置基準は、指定通所介護事業所(指定地域密着型通所介護事業所)ごとに1以上とされている。この基準により配置された機能訓練指導員が「専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等」である場合は、個別機能訓練加算(Ⅰ)の算定要件の一つである「専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を1名以上配置」を満たすものとして差し支えない。

最後に

本記事は、作成時点での最新の資料・情報に基づいています。具体的な解釈や申請手続きについては、最新の情報をご確認のうえ、必要に応じて自治体などの関係機関へお問い合わせください。

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