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介護の基礎知識

【2024年改定対応】訪問リハビリテーションの加算・減算一覧

  • 公開日:2025年03月17日
  • 更新日:2025年03月17日

訪問リハビリテーションの運営を安定させるには、加算の取得が重要です。
訪問リハビリテーション事業所では、さまざまな加算を申請することが可能ですが、「どの加算を申請できるのか?」「算定条件が分からない」といった悩みが生じることも少なくありません。

本記事では、訪問リハビリテーション事業所で申請できる加算・減算の種類や単位数・算定要件について解説します。また、令和6年度の介護報酬改定によって、変更のある加算もありますので、併せて解説していきます。

加算・減算とは

介護保険における加算および減算とは、特定の要件を満たした場合に、基本単位数に対してプラスまたはマイナスを加えて算定する仕組みを指します。

加算は、国が推進したい方向性や均衡を保つための施策、また訪問リハビリテーション事業所として整えるべき仕組みや制度を基に設けられています。一方、減算は国が廃止したい、あるいは評価ができないものについての仕組みや制度に基づいて設けられています。

今後、国の施策の方向性を理解するためにも、加算や減算の要件を把握することは非常に重要です。

訪問リハビリテーションで申請できる加算一覧

訪問リハビリテーション事業所では、以下の加算を申請することが可能です。

  • リハビリテーションマネジメント加算
  • 認知症短期集中リハビリテーション実施加算
  • 短期集中リハビリテーション実施加算
  • 移行支援加算
  • 中山間地域等における小規模事業所加算
  • 中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算
  • 特別地域訪問リハビリテーション加算
  • 退院時共同指導加算
  • サービス提供体制強化加算
  • 口腔連携強化加算

訪問リハビリテーションの減算一覧

訪問リハビリテーションで減算となるものは以下の通りです。

  • 診療未実施減算
  • 同一建物減算
  • 高齢者虐待防止措置未実施減算
  • 業務継続計画未策定減算

それぞれの加算・減算について、以下にて詳しく解説していきます。

参考:令和6年度介護報酬改定における改定事項について|厚生労働省

訪問リハビリテーションの加算

以下では訪問リハビリテーションの各加算について解説していきます。

リハビリテーションマネジメント加算

リハビリテーションマネジメント加算とは、利用者の状態や生活環境を考慮し、計画の策定、適切なリハビリテーションの実施、評価、そして計画の見直しを通じて、質の高いリハビリテーションを提供する取り組みを評価する加算です。
算定要件によって以下の3つの区分に分かれます。
  • リハビリテーションマネジメント加算(イ)

算定単位数:1ヶ月につき180単位
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・事業所の医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、その他の職種が共同し、継続的にリハビリテーションの質を管理していること。

・事業所の医師が、理学療法士、作業療法士、または言語聴覚士に対し、利用者のリハビリテーションの目的に加え、「リハビリテーション開始前や実施中の留意事項」、「やむを得ずリハビリテーションを中止する際の基準」、「リハビリテーションにおける利用者に対する負荷」等のうち、いずれか1つ以上の指示を行うこと。
・医師、または指示を受けた理学療法士、作業療法士、もしくは言語聴覚士が、指示の内容が上記の基準に適合することが明確にわかるように記録すること。
・リハビリテーション会議を開催し、リハビリテーションに関する専門的な見地から利用者の状況等に関する情報を構成員と共有し、会議の内容を記録すること。
・リハビリテーション計画について、計画の作成に関与した理学療法士、作業療法士、または言語聴覚士が、利用者またはその家族に説明し、同意を得るとともに、説明した内容等を医師へ報告すること。
・3月に1回以上、リハビリテーション会議を開催し、利用者の状態の変化に応じてリハビリテーション計画を見直していること。
・事業所の理学療法士、作業療法士、または言語聴覚士が、介護支援専門員に対し、リハビリテーションの専門的な見地から、利用者の有する能力、自立のために必要な支援方法、日常生活上の留意点に関する情報提供を行うこと。
・以下のいずれかを満たすこと。
・事業所の理学療法士、作業療法士、または言語聴覚士が、居宅サービス計画に位置付けた居宅サービス事業所の従業者と利用者の居宅を訪問し、従業者に対し、リハビリテーションに関する専門的な見地から介護の工夫に関する指導と日常生活上の留意点に関する助言を行うこと。
・事業所の理学療法士、作業療法士、または言語聴覚士が、利用者の居宅を訪問し、利用者の家族に対し、リハビリテーションに関する専門的な見地から介護の工夫に関する指導と日常生活上の留意点に関する助言を行うこと。

  • リハビリテーションマネジメント加算(ロ)

算定単位数:1ヶ月につき213単位
算定要件:以下のいずれも満たす場合

・リハビリテーションマネジメント加算(イ)の算定要件を満たしていること。
・利用者ごとのリハビリテーション計画書の内容等の情報を「LIFE」を用いて提出し、フィードバック情報等を活用していること。

  • 訪問リハビリテーション事業所の医師が利用者またはその家族に対して説明し、利用者の同意を得た場合

算定単位数:1ヶ月につき270単位

令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
リハビリテーションマネジメント加算は、令和6年度の介護報酬改定にて区分が一部見直されました。報酬改定による変更点は以下の通りです。

リハビリテーションマネジメント加算(A)イ 180単位/月
リハビリテーションマネジメント加算(A)ロ 213単位/月
リハビリテーションマネジメント加算(B)イ 450単位/月
リハビリテーションマネジメント加算(B)ロ 483単位/月

↓ 改定後

リハビリテーションマネジメント加算(イ) 180単位/月
リハビリテーションマネジメント加算(ロ) 213単位/月
廃止(以下の条件に統合)
廃止(以下の条件に統合)

※医師が利用者又はその家族に説明した場合上記に加えて270単位
(新設・Bの要件の組み替え)

認知症短期集中リハビリテーション実施加算

認知症短期集中リハビリテーション実施加算とは、認知症のある利用者に対し、生活機能の向上を目的とした短期間の集中的なリハビリテーションを実施する取り組みを評価する加算です。

算定単位数:1日につき240単位※算定は1週に2日が限度
算定要件:認知症の診断を受け、リハビリテーションによって生活機能の改善が見込まれると判断された利用者に対して、医師または医師の指示を受けた理学療法士、作業療法士もしくは言語聴覚士が、その退院・退所日または訪問開始日から3月以内の期間に、リハビリテーションを集中的に行うこと。

短期集中リハビリテーション実施加算

短期集中リハビリテーション実施加算とは、病院や介護保険施設を退院・退所した利用者に対し、身体機能の回復を目的とした集中的なリハビリテーションを行う取り組みを評価する加算です。

算定単位数:1日につき200単位
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・利用者の状態に応じて、基本的動作能力・応用的動作能力を向上させ、身体機能を回復するための集中的なリハビリテーションを実施すること。
・退院・退所日、要介護認定日から起算して3ヶ月以内の期間に、1週間におおむね2日以上、一日当たり20分以上、リハビリテーションを実施すること。

令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
短期集中リハビリテーション実施加算は、認知症のリハビリテーションを推進していく観点から、令和6年度の介護報酬改定にて新設されました。

移行支援加算

移行支援加算とは、リハビリテーションを通じて利用者の日常生活動作(ADL)や手段的日常生活動作(IADL)が改善し、他のサービスへの移行が可能になったことを評価する加算です。

算定単位数:1日につき17単位
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・評価対象期間においてリハビリテーション終了者のうち、ADLやIADLの向上により通所介護等へ移行した者の割合が、5%を超えていること
・評価対象期間中にリハビリテーションの提供を終了した日から起算して14日以降44日以内に、訪問リハビリテーション終了者に対して、通所介護等の実施状況を確認し、記録すること
・訪問リハビリテーションの回転率「12月÷平均利用月数」が25%であること
・リハビリテーション終了者が通所介護等の事業所へ移行するにあたり、当該利用者のリハビリテーション計画書を移行先の事業所へ提供すること

中山間地域等における小規模事業所加算

小規模事業加算は、山間部や離島など、介護サービスの提供が困難な地域でその促進を目的とした加算です。

算定単位数:1回につき10/100
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・厚生労働大臣が定める地域(平成21年厚生労働省告示第83号1)に所在している
・厚生労働大臣が定める施設基準(平成27年厚生労働省告示第96号46)に適合する
・指定訪問リハビリテーション介護支援事業所の介護支援専門員が指定訪問リハビリテーション介護支援を行った場合

中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算

サービス提供加算は、サービス提供時に発生する交通費や移動費に対して申請できる加算です。

算定単位数:1回につき5/100
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・厚生労働大臣が定める地域(平成21年厚生労働省告示第83号2)に居住している利用者に対して、サービスを提供する
・通常の事業の実施地域を越えて、指定訪問リハビリテーション介護支援を行った場合

特別地域訪問リハビリテーション加算

特別地域訪問リハビリテーション加算とは、介護サービスの確保が極めて困難とされる地域などで、介護サービスの提供に貢献している事業所を評価する加算です。

算定単位数:所定単位数×15/100
算定要件:事業所が厚生労働大臣の定める特別地域に所在すること
厚生労働大臣の定める特別地域
・離島振興法第二条第一項の規定により指定された離島振興対策実施地域
・奄美群島振興開発特別措置法第一条に規定する奄美群島
・山村振興法第七条第一項の規定により指定された振興山村
・小笠原諸島振興開発特別措置法第四条第一項に規定する小笠原諸島
・沖縄振興特別措置法第三条第三号に規定する離島
・以下の地域のうち、人口密度が希薄であること、交通が不便であること等の理由により、指定居宅サービス等の確保が著しく困難であると認められる地域であって、厚生労働大臣が別に定めるもの
・豪雪地帯対策特別措置法第二条第一項の規定により指定された豪雪地帯
・豪雪地帯対策特別措置法第二条第二項の規定により指定された特別豪雪地帯
・辺地に係る公共的施設の総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律第二条第一項に規定する辺地
・過疎地域自立促進特別措置法第二条第ニ項の規定により公示された過疎地域
・その他の地域

令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
特別地域加算、中山間地域等の小規模事業所加算及び中山間地域に居住する者へのサービス提供加算の対象地域は、令和6年度の介護報酬改定にて対象地域が明確化されました。報酬改定による変更点は以下の通りです。
過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法(令和三年法律第十九号)第二条第一項に規定する過疎地域

↓ 変更後

過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法(令和三年法律第十九号)第二条第二項により公示された過疎地域

過疎地域その他の地域で、人口密度が希薄、交通が不便等の理由によりサービスの確保が著しく困難であると認められる地域であって、特別地域加算の対象として告示で定めるものについて、前回の改正以降、新たに加除する必要が生じた地域において、都道府県及び市町村から加除の必要性等を聴取した上で、見直しが行われました。

退院時共同指導加算

退院時共同指導加算とは、事業所の理学療法士などが医療機関の退院前カンファレンスに参加し、共同で指導を行った取り組みを評価する加算です。

算定単位数:1回につき600単位
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・病院や診療所を退院する利用者に対し、訪問リハビリテーション事業所の医師、理学療法士、作業療法士または言語聴覚士が退院前カンファレンスに参加し、退院時共同指導を行った後に、初回のサービス提供を行うこと。
・退院時共同指導の内容を記録すること。

令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
退院時共同指導加算は、退院時の情報連携を促進し、退院後早期に連続的で質の高いリハビリテーションを実施する観点から、令和6年度の介護報酬改定にて新設されました。

サービス提供体制強化加算

サービス提供体制強化加算は、介護職員の資格(介護福祉士など)の有無や勤続年数などを基準に、質の高いサービスを提供できる体制を整えている事業所を評価するために設けられた加算です。

  • サービス提供体制強化加算(Ⅰ)

算定単位数:1回につき6単位
算定要件:サービス提供にあたる理学療法士等のうち勤続年数7年以上の者が1人以上いること

  • サービス提供体制強化加算(Ⅱ)

算定単位数:1回につき3単位
算定要件:サービス提供にあたる理学療法士等のうち勤続年数3年以上の者が1人以上いること

口腔連携強化加算

口腔連携強化加算は、介護施設と歯科医院が情報を共有することで算定可能な加算です。歯科医療機関から提供される専門的な情報を活用し、利用者に適切な口腔ケアを行うことを目的としています。令和6年度の介護報酬改定により新設されました。

算定単位数:1ヶ月につき50単位
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・事業所の従業者が、口腔の健康状態の評価を実施した場合において、利用者の同意を得て、歯科医療機関及び介護支援専門員に対し、当該評価の結果を状況提供した場合に、1ヶ月に1回に限り所定単位数を加算する。
・事業所は利用者の口腔の健康状態に係る評価を行うに当たって、診療報酬の歯科点数表区分番号にC000に掲げる歯科訪問診療料の算定の実績がある歯科医療機関の歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、当該従業者からの相談等に対応する体制を確保し、その旨を文書等で取り決めていること。

令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
口腔連携強化加算は職員による利用者の口腔の状態の確認によって、歯科専門職による適切な口腔管理の実施につなげる観点から、令和6年度介護報酬改定にて新設されました。

訪問リハビリテーションの減算

以下では訪問リハビリテーションの減算について解説していきます。

診療未実施減算

リハビリテーション計画の作成に際し、訪問リハビリテーション事業所の医師がやむを得ず利用者の診療を行わなかった場合に適用される減算です。

単位数:1回につき-50単位
適用要件:訪問リハビリテーションの医師が診療を行っていない利用者に対して、別の医療機関の医師からの情報をもとに、訪問リハビリテーション事業所の医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が訪問リハビリテーション計画書を作成し、サービスを提供した場合

令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
診療未実施減算は、令和6年度の介護報酬改定にて一部見直されました。報酬改定による変更点は以下の通りです。

入院中にリハビリテーションを受けていた利用者が、退院後早期に介護保険のリハビリテーションを開始する観点から、退院後1月に限り、入院中の医療機関の医師の情報提供のもと、訪問リハビリテーションを実施した場合の減算は適用されません。

同一建物減算

単位数

  • 事業所と同一敷地内建物等の利用者にサービスを行う場合:所定単位数×90/100
  • 事業所と同一敷地内建物等以外の同一建物で、利用者20人以上居住する建物に居住する利用者にサービスを行う場合:所定単位数×90/100
  • 事業所と同一建物の利用者50人以上にサービスを行う場合:所定単位数×85/100

適用要件:以下のいずれかに該当した場合

  • 事業所と同一敷地内建物等に居住する利用者にサービスを提供した場合
  • 同一敷地内建物等以外の建物で、1月あたり20人以上の利用者が居住する集合住宅等に居住する利用者にサービスを提供した場合

高齢者虐待防止措置未実施減算

高齢者虐待防止措置未実施減算とは、虐待の発生や再発を防ぐための適切な措置が講じられていない場合に適用される減算です。

単位数:所定単位数×1%の減算
適用要件:以下の対策等を講じていない場合

  • 虐待の防止のための対策を検討する委員会の定期的な開催と職員への周知
  • 虐待防止のための指針の整備
  • 虐待防止のための研修の定期的な実施
  • 虐待防止のための担当者の配置
令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
高齢者虐待防止措置未実施減算は、利用者の人権の擁護、虐待の防止等をより推進する観点から、令和6年度の介護報酬改定にて新設されました。

業務継続計画未策定減算

業務継続計画未策定減算とは、運営基準で策定が義務付けられている業務継続計画(BCP)が未策定の場合に適用される減算です。近年の自然災害の増加や感染症の流行を受け、災害や感染症の発生時にも介護サービスを継続して提供できる体制を整えるため、業務継続計画の策定が義務化されました。

単位数:所定単位数×1%の減算
適用要件:業務継続計画(BCP)を策定し、業務継続計画に従い、必要な措置を講じている。

令和6年度介護報酬改定で変更ポイント
業務継続計画未策定減算は、感染症や災害が発生した場合であっても、必要な介護サービスを継続的に提供できる体制を構築するため、業務継続に向けた計画の策定の徹底を求める観点から、令和6年度の介護報酬改定にて新設されました。

まとめ

本記事では訪問リハビリテーション事業所で申請できる加算・減算の種類や単位数、算定要件について解説しました。訪問リハビリテーション事業所の運営を安定させるためにも、加算や減算への理解を深めて、申請を行うことが重要です。
また、令和6年度の介護報酬改定による変更点を把握しておくことも大切です。

本記事が訪問リハビリテーション事業所様のお役に立ちますと幸いです。

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