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介護の基礎知識

【2024年改定対応】訪問介護の加算・減算一覧

  • 公開日:2025年01月08日
  • 更新日:2025年02月17日

訪問介護事業所の運営を安定させるには、加算の取得が重要です。
訪問介護事業所では、さまざまな加算を申請することが可能ですが、「どの加算を申請できるのか?」「算定条件が分からない」といった悩みが生じることも少なくありません。

本記事では、訪問介護事業所で申請できる加算・減算の種類や単位数・算定要件について解説します。また、令和6年度の介護報酬改定によって、変更のある加算もありますので、併せて解説していきます。

加算・減算とは

加算および減算とは、特定の要件を満たした場合に、基本単位数に対してプラスまたはマイナスを加えて算定する仕組みを指します。

近年の介護報酬制度では、加算を取得することで安定した収益を確保できる運営が可能となり、特に処遇改善に関連する加算を取得しない場合には、全産業平均の賃金に達しないといった課題も見られます。

加算は、国が推進したい方向性や均衡を保つための施策、また訪問介護事業所として整えるべき仕組みや制度を基に設けられています。一方、減算は国が廃止したい、あるいは評価ができないものについての仕組みや制度に基づいて設けられています。

今後、国の施策の方向性を理解するためにも、加算や減算の要件を把握することは非常に重要です。

訪問介護事業所で申請できる加算の種類

訪問介護事業所では、以下の加算を申請することが可能です。

  • 身体介護に引き続き生活援助を行った場合
  • 2人の訪問介護員等による場合
  • 夜間若しくは早朝の場合又は深夜の場合
  • 特定事業所加算
  • 特別地域訪問介護加算
  • 中山間地域等における小規模事業所加算
  • 中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算
  • 緊急時訪問介護加算
  • 初回加算
  • 生活機能向上連携加算
  • 口腔連携強化加算
  • 認知症専門ケア加算
  • 介護職員等処遇改善加算

それぞれの加算について、以下にて詳しく解説していきます。

参考:令和6年度介護報酬改定における改定事項について|厚生労働省

身体介護に引き続き生活援助を行った場合

算定単位数:所要時間が20分から起算して25分を増すごとに65単位・上限195単位
算定要件:20分以上の身体介護に引き続き生活援助をおこなった場合加算が可能

令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
身体介護に引き続き生活援助を行った場合の加算は、令和6年度の介護報酬改定にて単位数が見直されました。報酬改定による変更点は以下の通りです。

67単位→65単位

2人の訪問介護員等による場合

1人の利用者に対して2人の訪問介護員等がサービスを提供した場合、基本単位数の2倍の単位数で算定することができます。

算定単位数:基本単位数の2倍
加算が認められる場合:
・利用者の身体的理由により1人の訪問介護員等による介護が困難と認められる場合
・暴力行為、著しい迷惑行為、器物破損行為等が認められる場合
・その他利用者の状況等から判断して、1又は2に準ずると認められる場合

ただし、上記の条件を満たしていても、3人以上の訪問介護員等が同時にサービス提供を行った場合は加算を算定することはできません。加算が算定できるのは、訪問介護員等が2人の場合のみです。

夜間若しくは早朝の場合又は深夜の場合

夜間・早朝・深夜にサービス提供を行った場合、サービス提供1回ごとに基本単位数に加算が適用されます。なお、夜間・早朝・深夜の時間帯の定義および加算率は、以下の通りです。

利用時間が長時間にわたる場合で、加算対象となる時間帯におけるサービス提供時間が全体のサービス提供時間に占める割合がごくわずか(半数未満)である場合、加算は算定できないため、注意が必要です。

特定事業所加算

特定事業所加算の単位数と算定要件は以下の通りで、全部で14項目あります。赤字が令和6年度介護報酬改定の変更箇所となります。

※「体制要件6」は、重度者など対応要件で「体制要件14」を選択する場合に満たす必要があります。
※加算Vを算定する場合、特別地域加算・中山間地域等における小規模事業所加算・中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算は算定できません

令和6年度の介護報酬改定での変更ポイント
令和6年度の介護報酬改定により、現行の(Ⅳ)を廃止し、現行の(Ⅴ)を(Ⅳ)に、(Ⅴ)を新設しました。

特筆すべきは、加算Ⅴの新設です。これは中山間地域等での継続的なサービス提供や、看取り期の利用者を含む重度者へのサービス提供を評価するために導入されました。加算Ⅴの特徴として、他の区分との併用が可能であることが挙げられます。そのため、最大で所定単位数の23%まで加算を受けられる可能性があります。この改定により、地域特性や利用者の状態に応じた評価が可能となり、質の高いサービス提供を行う事業所への適切な評価が期待されます。

特別地域訪問介護加算

特別地域訪問介護加算は、厚生労働省が指定する地域でサービスを提供した場合に申請できる加算です。
指定地域には、交通の利便性が低い地域や高齢者の多い地域などが含まれます。

算定単位数:15/100
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・厚生労働大臣が定める地域(平成24年厚生労働省告示第120号)に所在する
・指定訪問介護支援事業所の介護支援専門員が指定訪問介護支援を行った場合

特別地域訪問介護加算を適用するには、対象地域の条件を満たしているか確認する必要があります。
適用される地域は限られているため、事業所の所在地が対象地域に該当するかを正確に確認しましょう。

中山間地域等における小規模事業所加算

小規模事業加算は、山間部や離島など、介護サービスの提供が困難な地域でその促進を目的とした加算です。

算定単位数:1回につき10/100
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・厚生労働大臣が定める地域(平成21年厚生労働省告示第83号1)に所在している
・厚生労働大臣が定める施設基準(平成27年厚生労働省告示第96号46)に適合する
・指定訪問介護支援事業所の介護支援専門員が指定訪問介護支援を行った場合

中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算

サービス提供加算は、サービス提供時に発生する交通費や移動費に対して申請できる加算です。

算定単位数:1回につき5/100
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・厚生労働大臣が定める地域(平成21年厚生労働省告示第83号2)に居住している利用者に対して、サービスを提供する
・通常の事業の実施地域を越えて、指定訪問介護支援を行った場合

令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
特別地域加算、中山間地域等の小規模事業所加算及び中山間地域に居住する者へのサービス提供加算の対象地域は、令和6年度の介護報酬改定にて対象地域が明確化されました。報酬改定による変更点は以下の通りです。

過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法(令和三年法律第十九号)第二条第一項に規定する過疎地域

↓ 変更後

過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法(令和三年法律第十九号)第二条第二項により公示された過疎地域

過疎地域その他の地域で、人口密度が希薄、交通が不便等の理由によりサービスの確保が著しく困難であると認められる地域であって、特別地域加算の対象として告示で定めるものについて、前回の改正以降、新たに加除する必要が生じた地域において、都道府県及び市町村から加除の必要性等を聴取した上で、見直しが行われました。

緊急時訪問介護加算

緊急時訪問介護加算とは、サービス計画に含まれていない予期しない日時に、利用者やその家族などからの要請を受けて24時間以内に身体介護を提供した場合に算定できる加算です。

算定単位数:1回につき100単位
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・あらかじめケアプランに「日常的に必要なサービス」と位置づけられていないこと
・利用者又はその家族に対して、緊急時訪問介護加算に関する事項を書面で説明し同意を得ていること
・要請を受けてから24時間以内に訪問介護を行うこと
・身体介護中心型の訪問介護であること・ケアマネージャーが当該訪問介護を緊急的なものと判断していること
・要請があった時間・内容・訪問介護の提供時間・算定対象とみなされることがサービス提供記録に記載してあること

初回加算

初回加算は、新しく訪問介護計画を作成する利用者に対して、算定することができる加算です。

算定単位数:1ヶ月につき200単位
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・新規又は2ヶ月以上サービス提供がなかったため訪問介護計画を作成した場合
・初回または初回と同月内にサービス提供責任者が自らサービスを提供、もしくは訪問介護員にサービス提供責任者が同行した場合

初回加算の対象となる利用者は、新たにサービスを利用し始めた人だけではありません。一定期間訪問介護サービスが中断していた人や、身体状況の変化により要介護度が変更された場合も、初回加算の対象となります。

生活機能向上連携加算

生活機能向上連携加算とは、訪問介護事業所が、外部の医師やリハビリ専門職(理学療法士など)と連携してアセスメントを実施し、介護計画を作成することで算定される加算です。専門職の視点を反映した計画に基づき支援を行うことで、利用者の自立支援や重度化の防止を目指すことを目的としています。

  • 生活機能向上連携加算(Ⅰ)

算定単位数:1ヶ月につき100単位
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・訪問・通所リハビリテーションを実施している事業所又はリハビリテーションを実施している医療機関のリハビリ専門職や医師からの助言(アセスメント・カンファレンス)を受けることができる体制を構築する。
・助言を受けた上で、サービス提供責任者が生活機能の向上を目的とした訪問介護計画を作成する。
・リハビリ専門職は、通所リハビリテーションなどのサービス提供の場又はICTを活用した動画などにより、利用者の状態を把握した上で、助言をおこなう。
・訪問介護計画の進捗状況を3ヵ月に1回以上評価し、利用者・家族へ説明する。必要に応じて訓練内容の見直しをおこなう。
・3ヵ月に1回を限度に算定可能
・(Ⅰ)と(Ⅱ)の併算定不可

  • 生活機能向上連携加算(Ⅱ)

算定単位数:1ヶ月につき200単位
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・訪問・通所リハビリテーションを実施している事業所又はリハビリテーションを実施している医療機関のリハビリ専門職や医師からの助言(アセスメント・カンファレンス)を受けることができる体制を構築する。
・助言を受けた上で、機能訓練指導員などが生活機能の向上を目的とした訪問介護計画を作成する。
・リハビリ専門職が利用者宅を訪問する際にサービス提供責任者が同行する、またはリハビリ専門職とサービス提供責任者が利用者の居宅を訪問した後に共同してカンファレンスをおこない、生活機能アセスメントをおこなっていること。
・訪問介護計画の進捗状況を3ヵ月に1回以上評価し、利用者・家族へ説明する。必要に応じて訓練内容の見直しをおこなう。
・(Ⅰ)と(Ⅱ)の併算定不可

口腔連携強化加算

口腔連携強化加算は、介護施設と歯科医院が情報を共有することで算定可能な加算です。歯科医療機関から提供される専門的な情報を活用し、利用者に適切な口腔ケアを行うことを目的としています。令和6年度の介護報酬改定により新設されました。

算定単位数:1ヶ月につき50単位
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・事業所の従業者が、口腔の健康状態の評価を実施した場合において、利用者の同意を得て、歯科医療機関及び介護支援専門員に対し、当該評価の結果を状況提供した場合に、1ヶ月に1回に限り所定単位数を加算する。
・事業所は利用者の口腔の健康状態に係る評価を行うに当たって、診療報酬の歯科点数表区分番号にC000に掲げる歯科訪問診療料の算定の実績がある歯科医療機関の歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、当該従業者からの相談等に対応する体制を確保し、その旨を文書等で取り決めていること。

令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
口腔連携強化加算は職員による利用者の口腔の状態の確認によって、歯科専門職による適切な口腔管理の実施につなげる観点から、令和6年度介護報酬改定にて新設されました。

認知症専門ケア加算

認知症専門ケア加算とは、認知症に関する専門的な研修を修了した職員が介護サービスを提供した場合に算定できる加算です。

  • 認知症専門ケア加算(Ⅰ)

算定単位数:1日につき3単位
算定要件:以下のいずれも満たす場合
1.日常生活自立度Ⅲ以上の認知症高齢者が利用者の50%以上であること
2.認知症介護実践リーダー研修等修了者を配置している
・日常生活自立度Ⅲ以上の認知症高齢者が20人未満の場合
→研修等修了者を1人以上配置する
・日常生活自立度Ⅲ以上の認知症高齢者が20人以上の場合
→研修修了者を1人+対象者が10人または端数を増すごとに1人ずつ追加して配置する
3.日常生活自立度Ⅲ以上の認知症高齢者に対して、専門的な認知症ケアを実施する
4.当該事業所の従業者に対して、認知症ケアに関する留意事項の伝達または技術的指導に係る会議を定期的に開催する

  • 認知症専門ケア加算(Ⅱ)

算定単位数:1日につき4単位
算定要件:以下のいずれも満たす場合
・認知症専門ケア加算(Ⅰ)の2と4を満たすこと
・日常生活自立度Ⅲ以上の高齢者が利用者の50%以上であること
・日常生活自立度Ⅲ以上の高齢者に対して、専門的な認知症ケアを実施する
・認知症介護指導者研修修了者を1名以上配置し、事業所全体の認知症ケアの指導などを実施する
・介護職員、看護職員ごとの認知症ケアに関する研修計画を作成し、研修または実施を予定する

令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
認知症専門ケア加算は、令和6年度の介護報酬改定にて基準が一部見直されました。報酬改定による変更点は以下の太字の箇所です。

<認知症専門ケア加算(Ⅰ)>
ア 認知症高齢者の日常生活自立度以上の者が利用者の2分の1以上
イ 認知症介護実践リーダー研修等修了者を認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上の者が20人未満の場合は1以上、
20人以上の場合は1に、当該対象者の数が19を超えて10又は端数を増すごとに1を加えて得た数以上配置
ウ 認知症高齢者の日常生活自立度以上の者に対して、専門的な認知症ケアを実施した場合
エ 当該事業所の従業者に対して、認知症ケアに関する留意事項の伝達又は技術的指導に係る会議を定期的に開催

<認知症専門ケア加算(Ⅱ)>
ア 認知症専門ケア加算(Ⅰ)のイ・エの要件を満たすこと
認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の者が利用者の100分の20以上
ウ 認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の者に対して、専門的な認知症ケアを実施した場合
エ 認知症介護指導者研修修了者を1名以上配置し、事業所全体の認知症ケアの指導等を実施
オ 介護職員、看護職員ごとの認知症ケアに関する研修計画を作成し、研修を実施又は実施を予定

介護職員等処遇改善加算

介護職員等処遇改善加算は、介護職員の処遇改善を目的に設けられた加算です。2023年度までは、処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算の3つに分かれていましたが、令和6年度より一本化され、改めて介護職員等処遇改善加算が創設されました。

<算定単位数の計算>

単位数
処遇改善加算の計算をするためには、まず1ヶ月あたりの総単位数を求めます。
1ヶ月あたりの総単位数を求める計算式は、以下のとおりです。

1ヶ月あたりの総単位数 = 前年度1~12月の介護報酬総単位数 ÷ 12

計算方法
1ヶ月あたりの総単位数が算出できたら、次の計算式で処遇改善加算の加算単位数を求めます。

加算単位数=1ヶ月あたりの総単位数×サービス類型別加算率

訪問介護サービスの加算率は、以下のとおりです。

算定要件は以下の表の通りです。

  • キャリアパス要件
    (Ⅰ) 介護職員について、職位、職責、職務内容等に応じた任用等の要件を定め、それらに応じた賃金体系を整備する
    (Ⅱ) 介護職員の資質向上の目標や以下のいずれかに関する具体的な計画を策定し、当該計画に係る研修の実施または研修の機会を確保する
    a:研修機会の提供又は技術指導等の実施、介護職員の能力評価
    b:資格取得のための支援(勤務シフトの調整、休暇の付与、費用の援助等)
    (Ⅲ) 介護職員について以下のいずれかの仕組みを整備する
    a 経験に応じて昇給する仕組み
    b 資格等に応じて昇給する仕組み
    c 一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み
    (Ⅳ) 経験・技能のある介護職員のうち1人以上は、賃金改善後の賃金額が年額440万円以上であること
    (Ⅴ) サービス類型ごとに一定割合以上の介護福祉士等を配置していること
  • 月額賃金改善要件

(Ⅰ) 新加算Ⅳ相当の加算額の2分の1以上を、月給(基本給または決まって毎月支払われる手
当)の改善に充てる
(Ⅱ) 前年度と比較して、現行のベースアップ等加算相当の加算額の3分の2以上の新たな基本給等の改善(月給の引上げ)を行う

  • 職場環境等要件
入職促進に向
けた取組
・法人や事業所の経営理念やケア方針・人材育成方針、その実現のための施策・仕組みなどの明確化
・事業者の共同による採用・人事ローテーション・研修のための制度構築
・他産業からの転職者・主婦層・中高年齢者等・経験者・有資格者等にこだわらない幅広い採用の仕組みの構築
・職業体験の受入れや地域行事への参加や主催等による職業魅力度向上の取組の実施
資質の向上やキャリアアップに向けた支援 ・働きながら介護福祉士取得を目指す者に対する実務者研修受講支援や、より専門性の高い介護技術を取得しようとする者に対するユニットリーダー研修、ファーストステップ研修、喀痰吸引、認知症ケア、サービス提供責任者研修、中堅職員に対するマネジメント研修の受講支援等
・研修の受講やキャリア段位制度と人事考課との連動
・エルダー・メンター制度等導入
・上位者・担当者等によるキャリア面談など、キャリアアップ・働き方等に関する定期的な相談の機会の確保
両立支援・多様な働き方の推進 ・子育てや家族等の介護等と仕事の両立を目指す者のための休業制度等の充実、事業所内託児施設の整備
・職員の事情等の状況に応じた勤務シフトや短時間正規職員制度の導入、職員の希望に即した非正規職員から正規職員への転換の制度等の整備
・有給休暇を取得しやすい雰囲気・意識作りのため、具体的な取得目標を定めた上で、取得状況を定期的に確認し、身近な上司等からの積極的な声かけを行っている
・有給休暇の取得促進のため、情報共有や複数担当制等により、業務の属人化の解消、業務配分の偏りの解消を行っている
腰痛を含む心身の健康管理 ・業務や福利厚生制度、メンタルヘルス等の職員相談窓口の設置等相談体制の充実
・短時間勤務労働者等も受診可能な健康診断・ストレスチェックや、従業員のための休憩室の設置等健康管理対策の実施
・介護職員の身体の負担軽減のための介護技術の修得支援、職員に対する腰痛対策の研修、管理者に対する雇用管理改善の研修等の実施
・事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成等の体制の整備
生産性向上のための業務改善の取組 ・厚生労働省が示している「生産性向上ガイドライン」に基づき、業務改善活動の体制構築(委員会やプロジェクトチームの立ち上げ、外部の研修会
の活用等)を行っている
・現場の課題の見える化(課題の抽出、課題の構造化、業務時間調査の実施等)を実施している
・5S活動(業務管理の手法の1つ。整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字をとったもの)等の実践による職場環境の整備を行っている
・業務手順書の作成や、記録・報告様式の工夫等による情報共有や作業負担の軽減を行っている
・介護ソフトおよび情報端末の導入
・介護ロボットの導入
・業務内容の明確化と役割分担を行った上で、間接業務については、いわゆる介護助手等の活用や外注等で担い、介護職員がケアに集中できる環境を整備
・各種委員会の共同設置、各種指針・計画の共同策定、物品の共同購入等の事務処理部門の集約、共同で行うICTインフラの整備、人事管理システムや福利厚生システム等の共通化等、協働化を通じた職場環境の改善に向けた取組の実施
やりがい・働きがいの醸成 ・ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の介護職員の気づきを踏まえた勤務環境やケア内容の改善
・地域包括ケアの一員としてのモチベーション向上に資する、地域の児童・生徒や住民との交流の実施
・利用者本位のケア方針など介護保険や法人の理念等を定期的に学ぶ機会の提供
・ケアの好事例や、利用者やその家族からの謝意等の情報を共有する機会の提供
令和6年度介護報酬改定での変更ポイント
介護職員等処遇改善加算は、令和6年度の介護報酬改定にて一部見直されました。報酬改定による変更点は以下の通りです。

介護現場で働く方々にとって、令和6年度に2.5%、令和7年度に2.0%のベースアップへと確実につながるよう加算率の引上げを行いました。また、介護職員等の確保に向けて、介護職員の処遇改善のための措置ができるだけ多くの事業所に活用されるよう推進する観点から、介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算について、現行の各加算・各区分の要件及び加算率を組み合わせた4段階の「介護職員等処遇改善加算」に一本化を行いました。
※ 一本化後の加算については、事業所内での柔軟な職種間配分を認める。また、人材確保に向けてより効果的な要件とする等の観点から、月額賃金の改善に関する要件及び職場環境等要件を見直します。

訪問介護サービスで算定される減算一覧

訪問介護サービスで減算となってしまうものは以下の通りです。

高齢者虐待防止措置未実施減算

高齢者虐待防止措置未実施減算とは、利用者への虐待の発生や再発を防ぐための措置が適切に講じられていない場合に適用される減算です。

以下の対策などを講じていない場合、所定単位数×1%の減算となります。
・虐待の防止のための対策を検討する委員会の定期的な開催と職員への周知をおこなうこと
・虐待防止のための指針を整備すること
・虐待防止のための研修を定期的に実施すること
・虐待防止のための担当者を配置すること

業務継続計画未策定減算

業務継続計画未策定減算とは、感染症や非常災害の発生時に備えた業務継続計画(BCP)が策定されていない場合に適用される減算です。所定単位数の1%が減算されます。

令和6年度介護報酬改定による変更ポイント
業務継続計画未策定減算は、感染症や災害が発生した場合であっても、必要な介護サービスを継続的に提供できる体制を構築するため、業務継続に向けた計画の策定の徹底を求める観点から、令和6年度の介護報酬改定にて新設されました。

共生型訪問介護を行う場合

障害福祉サービスの指定を受けた事業所が介護保険サービスを提供する際、介護保険の指定を受けているものの、その基準を満たしていない場合、共生型訪問介護を実施する際に減算の対象となります。

減算の区分と単位数は以下の通りです。

事業所と同一建物の利用者又はこれ以外の同一建物の利用者20人以上にサービスを行う場合

介護保険給付の公平性を確保するため、事業所と同じ建物に居住する利用者へのサービス提供は効率的に行えることから、減算の対象となります。訪問介護の同一建物減算における算定要件と減算率は以下の通りです。

まとめ

本記事では訪問介護事業所で申請できる加算・減算の種類や単位数、算定要件について解説しました。訪問介護事業所の運営を安定させるためにも、加算や減算への理解を深めて、申請を行うことが重要です。
また、令和6年度の介護報酬改定による変更のある加算もあるため、変更点を把握しておくことも大切です。

本記事が訪問介護事業所様のお役に立ちますと幸いです。

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