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介護の基礎知識

【2024年改定対応】訪問介護の初回加算とは?概要や算定要件を解説

  • 公開日:2024年12月06日
  • 更新日:2025年02月13日

訪問介護サービスにおける初回加算は、新規利用者、またはサービスの利用期間が空いてから訪問介護サービスを受ける利用者に対して、訪問介護計画を作成することを評価するための加算です。
本記事では訪問介護における初回加算の単位数や算定要件について解説します。

訪問介護の初回加算は2024年度の報酬改定で何が変わった?

訪問介護の初回加算については、2024年の介護報酬改定で大きな変更はありませんでした。初回加算の単位数は従来通り200単位/月となっています。
なお、訪問看護の初回加算では2024年度改定で退院当日の訪問に対する新たな区分が設けられましたが、これは訪問介護ではなく訪問看護に関する改定であることに注意が必要です。

訪問介護の初回加算の単位数

200単位/月

訪問介護の初回加算の対象者

  • 過去2ヶ月間(歴月)に、当該訪問介護事業所から指定訪問介護の提供を受けていない利用者

訪問介護の初回加算の算定要件

  • 新規に訪問介護計画を作成していること
  • 初回または初回の訪問介護を行った日の属する月に、「サービス提供責任者がサービスを提供する」、または「訪問介護員等がサービスを提供する際、サービス提供責任者が同行する」のいずれかを満たすこと

訪問介護の初回加算の注意点

サービス提供責任者が同行訪問を行った場合は、その旨を記録に残すことが必要です。

なお、サービス提供責任者は必ずしもサービス提供時間の全てに滞在する必要はありません。利用者の状況を確認し、必要な対応を行ったうえで途中で現場を離れた場合でも、加算の算定要件を満たします。そのため、訪問時の状況や対応内容を正確に記録し、算定要件を確実に満たしていることを証明できるようにしておきましょう。

初回加算を取得する際のポイント

初回加算は、算定要件を満たせば取得可能ですが、事業所の対応次第では取得できなくなる可能性があります。確実に取得するために、重要なポイントを押さえておきましょう。

要介護度の区分変更に注意

初回加算を算定する際は、利用者の要介護度の区分変更に注意が必要です。

利用者が区分変更により要介護状態になった場合、新たに介護計画を作成する必要があります。この場合、初めて訪問介護を受ける利用者と同様の扱いとなるため、過去2カ月以内に訪問介護サービスを利用していた場合でも、初回加算の算定が可能です。

区分変更に伴う初回加算は見落としやすいため、利用者の状況を丁寧に確認し、算定漏れがないよう注意しましょう。

複数の事業所と契約していても取得可能

訪問介護における初回加算は、同月内であれば利用者が複数の事業所と契約していても算定可能です。

初回加算の対象となるのは、当該訪問介護事業所が利用者に対して初めてサービスを提供する場合、または2カ月以上の期間を空けて再開する場合です。
そのため、同じ利用者が複数の訪問介護事業所と契約している場合でも、条件を満たせば初回加算を算定できるケースがあります。

訪問記録を必ず残す

初回加算を算定する際は、訪問記録を確実に残すことが重要です。

例えば、サービス提供責任者が初回訪問を行った際には、必ず初回訪問記録を作成し、日付や経緯を明確に記録しましょう。具体的な記録を残しておくことで、初回加算の算定時に要件を満たしているかを確認しやすくなります。

初回加算に限らず、加算を算定する際は、要件を満たしていることを証明する記録が不可欠です。記録が不十分な状態で介護請求を行うと、加算を取得できなくなる恐れがあります。また、重要事項の説明や訪問介護以外のサービス提供時も、適切に記録を残すよう徹底しましょう。

「初回」の定義

訪問介護の初回加算の算定率は、53.41%です。初回加算は初回サービス提供時に算定できる加算のため、算定の難易度も高くない割には低い算定率であると言えます。
訪問介護の初回加算の算定率が低くなる要因は、「初回」の定義の曖昧さが一因と考えられます。初回加算における「初回」の定義は、①新規サービス提供時、②過去2か月間(暦月)において訪問介護の提供を受けていない場合、③要支援者が要介護認定(要介護者が要支援認定)を受けた場合の3パターンとなります。中でも①・②の算定漏れが多いため、初回の定義をしっかり理解して、算定漏れのないように加算を取得するようにしましょう。

参考:第220回社会保障審議会介護給付費分科会資料|訪問介護|厚生労働省

訪問介護の初回加算のよくある質問

過去の介護保険最新情報に掲載されている、Q&Aから、訪問介護の初回加算についての質問のみ抜粋してご紹介します。令和6年度介護報酬改定に関する内容は以下のリンクよりご確認いただけます。

令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)

平成21年4月改定関係Q&A(Vol.1) 問33

Q.(訪問介護)初回加算を算定する場合を具体的に示されたい。

A.初回加算は過去二月に当該指定訪問介護事業所から指定訪問介護の提供を受けていない場合に算定されるが、この場合の「二月」とは歴月(月の初日から月の末日まで)によるものとする。
したがって、例えば、4月15日に利用者に指定訪問介護を行った場合、初回加算が算定できるのは、同年の2月1日以降に当該事業所から指定訪問介護の提供を受けていない場合となる。
また、次の点にも留意すること。
①初回加算は同一月内で複数の事業所が算定することも可能であること。
②一体的に運営している指定介護予防訪問介護事業所の利用実績は問わないこと(介護予防訪問介護費の算定時においても同様である。)。

平成21年4月改定関係Q&A(Vol.1) 問34

Q.緊急時訪問介護加算及び初回加算を算定する場合に、利用者の同意は必要か。

A.緊急時訪問介護加算及び初回加算はいずれも、それぞれの要件に合致する指定訪問介護を行った場合に、当然に算定されるものである。したがって、その都度、利用者からの同意を必要とするものではないが、居宅サービス基準第8条に基づき、事前にそれぞれの加算の算定要件及び趣旨について、重要事項説明書等により利用者に説明し、同意を得ておく必要がある。

まとめ

訪問介護の初回加算は、新規利用者や一定期間サービスを利用していない方に対して訪問介護計画を作成することを評価する加算です。2024年度の介護報酬改定では大きな変更はなく、単位数は従来通り200単位/月となっています。留意点として、サービス提供責任者が同行した場合は記録を残す必要があります。また、サービス提供責任者は全時間滞在する必要はなく、利用者の状況確認後に途中で現場を離れても算定要件を満たします。
なお、訪問看護の初回加算で2024年度に新設された退院当日の訪問に対する区分は、訪問介護には適用されないので注意が必要です。

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